実は今回、話の流れ上折角登場した伊織と笠原は空気となります......。しかし!次回からはちゃんと活躍しますので!
それを踏まえた上で......。
どうぞー!
「
「このタイミングで⁉︎」
前回までのあらすじ(錯乱)‼︎
僕、
それでね、僕の友達の
でね、でね、家で詩音を待ってたらね!
実妹の
「............」
「お、お兄ちゃん?大丈夫?頭押さえて......」
「悪い、ちょっと今お兄ちゃん脳内がラグナロクだから」
「凄い表現だね、脳内がラグナロクって」
別にビッグバンでもセカンドインパクトでも良い。
とにかく、現在の状況に脳の処理能力が追いついていないのだ。ただでさえ柊や笠原の相手は疲れるというのに......!!
と、柊に抱きつかれたまま詩音が話し出した。
「くっ、だから抱きつかないでと......はぁ。お兄ちゃん、こちら、私の父の光男です。今日ココに来ると連絡を貰っていたのですが......」
「え、俺聞いてないんですけど」
「アレ、
「母の記憶力はえげつない程低いですから」
不謹慎ではあるが、あの人が認知症を発病しても俺はしばらく気づかないのではないだろうか。今でさえその日の朝ごはんの内容さえ忘れてしまう上に、いつも何かほわっとしてるから分かりづらいことこの上ない。
俺のそんな考えを見透かしたわけではないだろうが、光男さんが引きつったような笑みを浮かべた。
「そ、そうですか......」
「ま、まぁ良いです。まずは座って下さい。貴方のこと、教えて下さいな」
俺は未だリビングの入り口付近に立っている光男さんを中に招いた。何せ新しい父親になるのだ。親睦を深めるのは早い方が良い。
すると、後ろからツンツンと肩を突かれる感覚。柊だ。
「ねーねー。ボクたち詩音ちゃんたちと遊んでていーかな?」
「えっ⁉︎い、いや、というか、貴女は本当に誰ですか⁉︎」
「わーい!久しぶりに伊織さんと遊べるんだー!」
「おう、俺も自己紹介を妹ちゃんたちにしたいしな!」
「.............笠原が血迷わないように見張っとけよ」
「血迷う⁉︎」
あいつらと飛鳥たちを一緒にするのが不安があるが......。
もし笠原が俺の妹たちを襲うようなことがあれば、俺は修羅と化すだろう。かといって俺も半生を塀の中で過ごすのは嫌なので、柊に笠原を監視を頼むことにした。頼んだぞ、スネーク。
俺は光男さんに問いかけた。
「では、行きましょーか?」
「は、はい......」
どうやら柊たちのキャラの濃さに気圧されているようだ。しかし、いきなり兄にキスをせがんでくるような娘がいるのだから、これくらい平気なのではないのだろうか。アレか、身内びいきってやつか。違うか。
* * *
場所は変わって、客人を招き入れるための和室に、俺と光男さんは二人きりでいる。光男さんは眼鏡の奥に覗く切れ長の眼を和室の至る所に向け、ほぅ、とか、へぇ、とか言っている。スーツ姿でピシッと決めた、いかにも大人という風貌の割に、中身は少年のように純粋な人なのかもしれない、と思った。
「では、改めて。楠祐介です」
「ならばこちらも。雨宮光男です」
自己紹介をし合う。そして。
「「......................」」
沈黙。......うん、どうしよう。
だって何か話すにしても共通の話題が無くね?何と話せば良いんだよ、地球温暖化が云々言えば良いの⁉︎世界情勢についてとか話せば良いの⁉︎
俺が懊悩していると、光男さんが。
「えっと、祐介くん。僕は君と飛鳥ちゃんの新たな父親になるわけだけど」
「あっ、はい」
「君と詩音はあくまで義理の家族だ。それを踏まえた上で聞いて欲しい」
「はぁ......」
いきなり真面目な雰囲気を纏い始めた光男さんのプレッシャーに少し身体を少し硬くしてしまう。一体何を......。
「結婚してくれないか......詩音と!」
「喜んで」
突然詩音との結婚を要求されて驚いたのだが、俺の口はほとんど半自動的に了承の旨を光男さんに伝えてしまっていた。
確かに唐突にもほどがある要求であったが、お義父さんのお願いとあれば無下にすることも出来まい。それに初めて会った方なのにいきなりそんな失礼な態度を取ったその日には、もう離婚だとか言われるかもしれないし義妹と結婚したいだとかイチャイチャしたいだとか飛鳥も交えて妹ハーレムを形成したいだとかいうそんな邪な考えは全く無いのでありまして以上
「任せて下さい光男さん。この不肖、楠祐介!必ず娘さんを、詩音を!幸せにしま「ダメーーーーーーーーーーッ‼︎」
俺が詩音との結婚を承諾しようとした刹那、和室に取り付けられた
「......え、何してんの」
「それはこっちの台詞だよ⁉︎何結婚って⁉︎そして何で一瞬で承諾しようとしてるの⁉︎」
飛鳥がまくし立てるように言ってくるが、俺としてはそう言われても、という感じなんですが。だって......。
「だって光男さんがそうしろって」
「光男さん!そうですよ、いきなり何てこと言うんですか!」
「いやぁ、詩音からここに来てからの様子は電話で聞いていたんですが.......大層祐介くんのことが気に入ったようでして。ここまで詩音が好意を人に寄せることは今まで無かったものでしたから......」
だからこの千載一遇のチャンスを逃さないようにしようと光男さんは思ったわけだ。
「それに、義妹と兄の恋愛とか......!!超萌える、もとい燃えるじゃないですか!」
おっと、今少しこの人の裏の顔が見えましたね。
俺が僅かながら光男さんの本質を目撃していた時、飛鳥が狼狽えながらも光男さんの説得に勤しむ。
「でもでも、詩音ちゃんとお兄ちゃんは兄妹で......!!」
「クスノキくんと詩音ちゃんはあくまで義兄妹だから結婚は可能だよね」
「伊織さん⁉︎」
突然の柊の反逆(そもそも飛鳥の味方であったのかすら怪しいが)に驚く飛鳥。と、詩音が光男さんに言った。
「お父さん、私は確かにお兄ちゃんのことは大好きです。愛してますよ。最早この愛が質量を持ったならば太陽のソレを越えるでしょう」
「そ、そうかい......」
詩音の独白が予想以上だったのか、若干引いた様子の光男さん。ちなみに俺も額に汗を滲ませていた。いや、流石にここまでのレベルだとは思ってなかったし.......。
戦慄する俺たちをよそに、さらに詩音は続ける。
「しかし。私がお兄ちゃんと結婚すると、お姉ちゃんが悲しんでしまいます。お姉ちゃんもお兄ちゃんのことを愛してますから」
「ちょっと待って詩音ちゃん⁉︎」
「ほう、成る程......実妹と兄の禁断の恋......じゅるり」
詩音の言葉にヨダレを垂らしかける光男さん。この人アレだ、結構重度のオタクなんじゃないだろうか。それも妹萌えの。詩音との結婚を懇願してきたのも、少しはこの人の願望も入っている気がする。
「し、詩音ちゃん!別に飛鳥はお兄ちゃんを愛してなんか......なんか......なくもない、けど......うぅ」
そこまで言うと、飛鳥は顔を真っ赤にして俯いてしまう(可愛い)。ソレを見ると、光男さんはその眼鏡をキランと光らせ、高らかに声を上げ、こんなことを提案してきた。
「ならばこうしましょう!どちらの妹が祐介くんのことを愛しているのか......どれだけ祐介くんに尽くせるか!それを競い、その勝者が全てを決定する権利を得る.......どうでしょうか⁉︎」
「ど、どうも何もそんなの「やりましょう!」詩音ちゃん⁉︎」
飛鳥の反対の旨を伝えようとする言葉を遮り、詩音が光男さんの提案に賛成した。......何かもう、さっきから飛鳥が不憫で仕方ないよ......。
飛鳥は詩音に顔を寄せ、狼狽しながらも問うた。
「な、何で詩音ちゃん⁉︎さっきお兄ちゃんとは結婚しないって......」
「それとこれとは話が別ですよお姉ちゃん!.......前々から決めておきたかったのです。お兄ちゃんをより愛しているのはどちらなのか、と!」
「ええっ⁉︎」
「兄を取り合う妹二人......!!ひゃあああああ!萌える‼︎」
光男さんが五月蝿い。
萌えるっていうか、片方は貴方の実の娘ですからね?
「私はお姉ちゃんのことも大好きです。でも......お兄ちゃんにとっての『一番』は、たとえお姉ちゃんでも譲れないのです!」
「‼︎」
「例えお姉ちゃんの方がお兄ちゃんとの付き合いが長くとも......一番は、私が良いのです‼︎」
いつになく雄弁になり、皆の前で演説を披露した詩音。それに対して飛鳥は俯いたまま......。
「..............もん」
『?』
「飛鳥の方がお兄ちゃんのこと大好きだもん!」
「『どちらが祐介くんのことが大好きか対決』開催決定ーーー!」
光男さんがこの上なく嬉しそうな声音で、そう宣言した......。
......先程から柊と笠原の姿が見えないのが、一層俺の不安を搔き立てた。
はい、あの二人はどこ行ったんでしょうねー?
あからさまな伏線(なのかな?)でしたが、どうでしたか?
次回はもちろん二人の妹の対決が始まります!
結果はまだ僕も知りません (笑)!
では、結果も含め、また次回!
感想待ってます!