妹がいましたが、またさらに妹が増えました。   作:御堂 明久

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妹モノの小説に妹が出てこない......?
ま、まぁ今回は主人公の学校での生活をってことで!
ちょっと物足りない方もいるかもしれませんが.......

どうぞ!


兄の高校生活の一コマ

朝食を食べ終わり、身支度を終えた。

詩音は飛鳥と同じ中学の二年生として今日から登校するらしい。転校生という立場で不安もあるかもしれない。俺が学生でなけれぱ着いていってあげたかった......!!

 

「じゃ、お兄ちゃん。行ってくるねー」

「行ってきます、お兄ちゃん」

「ん、あぁ。いってらっしゃい」

 

飛鳥と詩音が扉を開けて外に出て行く。

......俺も行くか、学校。ふえぇ......面倒だよぉ......。

などという他愛も無いことを考えつつ、俺も扉を開いた。

 

 

* * *

 

 

最近自転車通学でも体力が尽きかけます。

重い身体を引きずるように歩きながら、俺は教室の扉を開けた。

 

「うーす......帰りたい......」

「ホームシックに陥るの早過ぎじゃない⁉︎」

 

俺が教室に入ってすぐに漏らした呟きに反応してきたのは(ひいらぎ)伊織(いおり)。中学からの付き合いで、艶やかな黒髪をセミロングに整えた、中々の美少女である。しかし性格があまり女の子っぽくないサバサバした感じなので、ぼくのいもうとたちにはかないません。まる。

俺はそんなことを考えながらも柊に挨拶をする。

 

「おはよう、柊。今日も絶好の居眠り日和だな」

「授業中にキミが眠る気でいることがハッキリ分かったよ。まぁ、おはよ、クスノキくん」

 

......中学からの付き合いだからといって、別に名前で呼びあったりはしない。所詮は同じ中学ってだけで今まで付き合ってきた腐れ縁みたいなモンだしな。別に俺はそこまで積極的に人との距離を縮めようと努めるタイプではない。あと、その、恥ずかしいし。だから......。

 

「よおおおおう祐介!おはよう!青春、謳歌してるか⁉︎」

 

こんな風に騒ぎながら馴れ馴れしく肩を組んでくる奴はマジで鬱陶しく思うんだよね。もうね、馬鹿かアホかと。俺はこの馬鹿の顔面に吸い込まれそうになった自身の拳をそっと抑え、馬鹿に問うた。

 

「してない。で、何の用だ、笠原(かさはら)

「おはよう」

「......おはよう。で、何」

「そんだけ」

「離れろこの阿呆が!」

 

俺は全身全霊を以って笠原を払いのけた。コイツは無駄に筋肉が付いているので、やたら重い。体重をかけられると貧弱な俺の両足は砕けてしまうのだ。

......コイツは笠原伸二(しんじ)。帰宅部のクセに体格が良く、いつも馬鹿みたいにニコニコ笑っている短髪の男子生徒だ。あと性格がやたら明るくて鬱陶しい。暑苦しい。多分かの熱血テニスプレイヤーくらい。

俺はそんな鬱陶しい笠原をギロッと睨みつける。

 

「笠原、前も言ったが俺を名前で呼ぶのをやめろ。気安くすんな」

「何でだよー。俺とお前の仲じゃんか!」

「このクラスで初めて知り合った、限りなく浅い仲だな」

 

そう、コイツはやたら馴れ馴れしいが、俺とコイツの関係は二年生になってからであり、今は6月下旬。精々二カ月半程度の付き合いだ。人の名前を覚えるのが得意ではない俺は、まだクラスメイトの名前も全ては把握していない。......コイツだけは何故か俺に超纏わりついてくるのですぐに覚えてしまったが。

 

「フッ、祐介......友情の深さってのはな、付き合いの長さだけじゃ決まらねーんだぜ?」

 

何てウザいんだ。

俺はフスッ、と不満ですという意思を込めに込めた鼻息を漏らし、俺と笠原のやり取りをニコニコして見ていた柊にも不満気な視線を向けた。

 

「助けてくれよ......」

「えー?どーしてー?」

 

ニヤニヤしながら柊がそんなことを言ってくる。チクショウ、中学のときからこの食えない笑顔は変わらない。

 

「いや、腐っても中学の同級生が得体の知れない馬鹿(笠原)に襲われてたんだぜ?少しは手を貸してくれたって良かったじゃねーか」

「俺、エイリアン扱い⁉︎」

 

何を言うか。今や貴様はエイリアンより禍々しいナニカに見えるぞ。その内黒い瘴気とか身に纏いそう。ゴア・マ◯ラみたいな。

 

「酷い言い草だね......でも、ボクはクスノキくんとカサハラくんは、とっても仲良しに見えるんだけどなー」

『何⁉︎』

 

柊の発言に、俺は死ぬほど心外だという表情で、笠原は憎たらしいほど嬉しそうな表情で反応する。やべぇ、マジで心外だ。こんなムキムキ似非リア充と仲が良いように見られてるなんて。

俺はあまりの心外さに、出来るだけクラスメイトには教えないようにしていた最近の生活に起きた変化を話してしまった。

 

「冗談はよせ。ぶっちゃけ、二ヶ月半程度の付き合いのコイツよりも、まだ4日しか生活を共にしていない俺の義妹の方が仲が良いぜ」

『え?義妹?』

「.....................あっ」

 

言ってもうた。

というか、柊と笠原、息ピッタリじゃねーか。お前らの方が仲良くね。

 

 

* * *

 

 

数分後。俺は二人に質問責めにあっていた。

義妹って何、どんな子なの、可愛いのか、名前は何なの、妄想じゃねーの、年齢は、そんなことよりサッカーしようぜ。

何かちょいちょい失礼な質問や全然関係ない発言が混じっていたので、取り敢えずそれらの発信元と思われる阿呆(笠原)をシバいておいた。

と、柊がセミロングの黒髪の先をいじりながら言った。

 

「へー......詩音ちゃんかぁ。......ねークスノキくん、ボクもその子、見に行っていーかな⁉︎」

「は⁉︎え、いつ、どこで」

「今日!キミの家で!」

「何で!というか、いきなり......!」

「おお!じゃあ俺も行くぜ!祐介の義妹とか興味あるわ!」

「お前さっき『そんなことより』サッカーしようぜとか言ってただろーが!」

「いーからいーからぁ。中学からの友達でしょー?」

「その友達を見捨てて傍観してた女はどこのどいつでしたかねぇ!」

 

全力で反論する俺。あぁ、多分俺はコイツらに詩音のことがバレたらこうなることを薄々分かってたんだ。だから無意識の内に隠そうとしてたんだな......。

俺が自分の注意力の無さに項垂れていると、一時限目が始まる5分前に鳴る予鈴が、校内に響き渡った。





こうして、彼の家にボクっ娘と馬鹿が来ることになったのだった。
次回、クラスメイトと義妹の初対面!
ちなみに、伊織は飛鳥と面識があります。
さぁ、二人に会った妹たちはどんな反応をするのか。

次回もよろしくお願いします!

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