妹がいましたが、またさらに妹が増えました。   作:御堂 明久

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どうも、夏休みに入ってからというもの、課題に全く手をつけていない御堂です!
夏になると最早2次元少女の水着姿しか頭に浮かんでこない僕をどうか笑ってください。......いや、それはともかく。

では、水着回中編です。どうぞ!


兄と実妹と義妹とボクっ娘と筋肉 in プール2

前回までのあらすじ。

阿呆の誘いとボクっ娘(悪魔)の脅迫。

そしてダブル妹(天使)のいじらしいおねだりによってなし崩し的に屋内プール場へと足を運ぶことになってしまった俺。

だが、心優しき俺は無邪気にプールを楽しむ彼女たちが滑りたいと言うので、彼女たちがウォータースライダーで滑るところを見守ってやることにした。

しかしここで俺は突然の裏切りに遭うこととなる。

 

突如として掴まれる俺の脚。

為す術無く引きずられていく俺の身体。

俺は抵抗する間もなくスライダーに引き込まれ、平衡感覚も掴めぬまま終始嘔吐感に襲われつつ滑り続け、最終的には思いっきりプールに叩き落とされることとなった。おかげで元々死んでいた目がさらに死んだ。オーバーキルである。

 

「......どう思います⁉︎外道ですよねアイツら!」

「何自分にだけ都合の良いように説明してんのさ」

 

う、嘘は言ってないし......。

 

 

* * *

 

「と、ここまでが前回のあらすじだ」

「覚えててくれたかな?」

「お、お兄ちゃんと伊織(いおり)さん、何で何も無いところに話しかけてるんですか......?」

「「何でもないよ」」

 

俺たちは少し怯えたような表情の飛鳥を軽くあしらう。まぁ、本気で飛鳥や詩音に怖がられたりしたらお兄ちゃん死んじゃうけどね、寂しさで。まるでウサギさんのようである。ちなみに、別にウサギは寂しくても死なない。じゃあ何で言ったんだ。

 

「いやぁ、結構迫力あったなぁ!どうだった義妹ちゃん⁉︎楽しめたか⁉︎」

「は、はいっ。急カーブや急降下した時はここに来る前に遺書を書いて来なかったことを軽く後悔しましたが、楽しかったです!」

「ウォータースライダーでここまで重苦しいコメントをした女の子は義妹ちゃんくらいだと思うぜ......」

 

おおよそウォータースライダーに抱くべきではない感想を述べる詩音に、さしもの笠原も額に汗を滲ませていた。そもそもアレ汗なのん?プールの水と混ざってて分かりません。いや、あの水滴全てが汗とも考えられるな。何それ気持ち悪い、滅べ。

 

「ねーねークスノキくん」

 

俺が脳内で情熱的に笠原をdisっていると、背後から透き通るような綺麗な声が聞こえてきた。声の主は柊だと分かっている。俺は何事かと後ろを振り返る。すると......。

 

「何だ、ひいらばばばば⁉︎ブッハ⁉︎な、何だ⁉︎水⁉︎おい柊、何しやがったこの野郎!」

 

俺の顔面に弱々しい勢いの水流が突き刺さった。突然の事で対処出来ず、ぴゆーっと飛んできた水がモロに顔を濡らす。

そして正面には、プラスチック製のカラフルな両手銃を構えた狙撃手、柊の姿が。

 

「えっへっへ、水鉄砲!借りて来ちゃった♪」

「借りて来ちゃった☆じゃねぇよ......」

「違うよ、♪だよ、♪」

 

形容し難い発音を繰り返す柊に俺は眉をひそめ、フロントへと向かった。そして、そこで目当てのモノをレンタルして柊の元へと戻って行く。

 

「あっ、戻って来た。どしたのクスノキくん、急にどっか行っちゃって......わぷっ!」

「......水鉄砲。借りて来ちゃったぁ......♪」

「へぇ......やってくれるね......!!」

 

俺はフロントから片手で持つタイプの水鉄砲を2丁借り、お返しとばかりに柊の顔面に二つの弾丸(ただの水です)を叩き込んだ。

それを受けた柊は、心に潜む闘争心に火でも着いたのか、好戦的な表情でニヤリと笑った。まだまだ彼女は続ける気らしい。

よろしい、戦争だ。

 

 

「......プールとは、水鉄砲で遊ぶ場でもあったのですか?初耳です。また知識が増えました」

「詩音ちゃん、その知識はあまり役に立たないと思うから即刻破棄してもいいと思うよ」

「しっ!二人共、静かに!ここは戦場なんだよ⁉︎」

「ただの屋内プール場ですよ......」

 

「ハハッ、こういう遊びは何歳になっても楽しいよなぁ!よっしゃ、ドンドン撃ってやるぜ!」

「ああ。ちなみに、詩音と飛鳥の綺麗なお肌を水鉄砲の水で無闇に濡らしたりしたらシバくからな。目とかに入っても危ない。あの二人は撃たずに無力化しろ、分かったな」

「どうやってだよ⁉︎」

 

俺たちは男子チームと女子チームに別れ、互いに距離を取りながら思い思いの場所に潜伏していた。丁度お昼頃になり、家族連れなどが昼ご飯を食べに行った為、プール場が空き始めた。

その時を見計らい、他の3人を加え、俺のチームと柊のチームに別れて水鉄砲で撃ち合いっこでもしようという話になった......というのは建前で、俺は柊を、柊は俺を再度撃ち抜いて仕返しすることしか考えていない。

 

「良い、二人共。カサハラくんはパパッと片付けちゃって、クスノキくんは拘束してボクの前に連れてきてね。ワサビ水を鼻に流し込んでやる」

 

「良いか笠原。俺の愛すべき妹二人を丁重に退場させた後、柊だけは生かしておけ。今までのお返しだ、いたぶり倒してやる......!!」

「み、水鉄砲でか......!?」

 

今日こそ決着をつける時!戦闘開始––––––‼︎

 

 

* * *

 

 

惨敗しました。

 

「ああああ......はらが(鼻が)......はらがつーんてすう(鼻がツーンてする)......」

「つ、強え......伊織のあの動き何だよ......007?」

 

俺たちは銃撃戦が始まった瞬間に柊の物理法則を超越した異次元走法に対応出来ず、翻弄されまくった。具体的には壁を走ったりプールに張られた水の上を走ったり。忍者か。

そして俺たちがあたふたしている間に笠原が撃たれ、俺も笠原の二の舞になると思いきや......。

 

ー 数分前 ー

 

『えいっ!』

『うおっ......って、詩音に飛鳥⁉︎な、何で俺の両腕を掴んでんだ?ていうか、今までどこに......』

『......拘束は柊さんの依頼です。そして、今まではずっとプールの中に潜って機を待っていました』

『何か詩音ちゃんは五分くらい潜水出来てたんだけど......飛鳥は1分くらいで溺れそうになったから、コレ柊さんから借りたの』

 

そう言って、飛鳥は竹製の長い筒のようなモノを取り出した。コレを咥え、水面から出して呼吸をしていたらしい。だから忍者か。

 

『あっそう......で、俺をどうする気なの。柊がいつの間にかどっか行ってるんですけど。何か嫌な予感がするんですけど』

『とりあえず、鼻を全力で防衛した方が良いかと』

 

嫌な予感しかしない。どれくらい嫌な予感がするのかというと、友達から「遊ぼー!」と言われ、待ち合わせ場所に行ったら誰もおらず、その後待ち合わせ時間を1時間過ぎても誰も来なかったあの頃のいやこの話はやめよう。

と、その時丁度柊が何やらチューブとようなものと、水が入ったペットボトルを持ってやって来た。

 

...........................。

 

『お楽しみの時間だよ♡』

 

鼻にしこたまワサビ水を流し込まれました。

 

 

そして、今に至る。

うん、もうこれから柊さんに無闇に逆らうのはやめよう。仕返ししようとしてもロクな目に遭わないし、成功したとしても多分その数十倍規模の報復を受けることになる気がする。

 

「ふっ、クスノキくん、やっと身の程というものを知ったようだね......」

「......ああ。身に染みたよ......」

 

俺はいつの間にか背後に立っていた柊にそう返す。だからお前は忍(ry。いや、ここを略す必要無かったな、うん。と、俺が脳内で自身の無能さを嘆いていると、マイエンジェル兼ビューティフルシスターズ、詩音と飛鳥がやって来た。詩音はいつも通り涼しげな顔だが、飛鳥の方は何やら興奮しているようだ。やべぇ、何かまた嫌な予感がしてきた。

 

「お、お兄ちゃんお兄ちゃん!凄い!凄いよアレ!あそこ見てみて!」

「あん?」

「あそこです、お兄ちゃん。フロントの......」

 

飛鳥と詩音に言われ、俺はフロント付近に視線を向ける。するとそこにはかなり大きめのステージのようなモノがあり。

 

「......『夏の花形はやっぱり水着!ミス水着美女コンテスト‼︎』......なるほど」

「ああー、ミスコンかぁ。ま、皆水着着てきてるんだし......こんなのも開かれるよね」

「そうそう!だけど優勝商品見てみてよ!あの、賞金十万円と......!!」

 

飛鳥の口から放たれた賞金十万円という言葉を聞いた時点で柊の目が輝いたのだが、まだ飛鳥には伝えたいことがあるらしい。俺はさらに目を凝らしてみた。すると、賞金十万円の他に、優勝者には副賞があるのを見つける。その内容は。

 

「副賞は......秋に発売される予定の筈の『ドラゴンミッションIX』の製品版!?」

「へぇ!まだ予約も始まってないのに、凄いね!」

「何でも、このプール場のスポンサーが某有名ゲーム会社のようでして。ここは一つ景気づけに、と」

「ひゃあ、太っ腹だねぇ。......アレ?そういえばカサハラくんは?さっきから姿が見えないけど」

「笠原さんはさっき『マジかよ、ドラミ(ドラゴンミッションの略)の最新作が副賞⁉︎うわははは、俺も出るぞー!』って言って受付の方へ行きましたよ?」

 

ミスコンだっつってんだろ。

「まぁ、笠原はほっとけ。どうせ受付で馬鹿扱いされて終いだ。で、何、飛鳥たち出場したいのか?」

「う、うんっ!ちょっと恥ずかしいけど......ドラミの最新作はずっと待ってたからね!それが発売前にゲット出来るチャンスなら、出ないわけには行かないよっ!うん!」

「私はお姉ちゃんの付き添いです。万が一優勝出来たらゲームソフトはお姉ちゃんにあげますね」

 

詩音がまるで天使みたいなことを言い出した。もとい、本当の天使なのだろう。世界一可愛いよ‼︎

ま、観客が血迷って壇上の飛鳥たちを襲おうとしたら俺が消し飛ばせばいいんだし、別に良いだろう。妹のためなら犯罪さえ厭わない、それがお兄ちゃんというものだ(曲解)。

 

「ボクも出るよっ!水着姿を皆に見せるだけで十万円なんて、そんな美味しい話は逃せないからね!」

「むしろ清々しいな、お前は」

 

金への欲望を丸出しにして目を『¥』のカタチにする柊を俺は呆れ半分、諦観半分、どうでもいーやー感半分の視線で見つめる。総量1.5倍である。

さて、俺は観客席か何かでコイツらの晴れ姿(?)でも見ているか......と思い、受付の方へと歩いていく3人とは別の方向へと歩き出した。と、その先で見知った顔を発見した。

 

「ん......八雲(やくも)か?」

「あっ......楠くん。偶然、だね」

 

俺らのクラスメイト、八雲千秋(ちあき)が見た目麗しい薄ピンク色のビキニを着用した姿で、相変わらずの眠そうな表情でミスコンのステージを見つめていた。

 

 

 





新キャラ登場ひゃっほい!
と、言っておいて何ですが、千秋には実はモデルがいます。
というか、この時期に「千秋」という名前を出してくる辺り、知っている人は大体知っていると思いますが......(汗)
名字も同じは流石にマズいだろうと考え、『七』から『八』に変えたのが僕に出来る最大の妥協でした(笑)

とにかく、ありがとうございました!感想待ってます!

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