とあるメイドの学園都市   作:春月 望

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お久しぶりです。
復活しました!
そしてサブタイが謎!難しい!


呼び出された理由

学園都市から出て、しばらく滑空する。

霊夢ではないが勘に頼って飛んでいるだけで当麻と巡り会えてしまうのだから驚きだ。……まあ、百発百中というわけでもないのだが。

周りを囲む大勢のシスターたちは黒い。つまり、おそらくロシア正教のシスターたちに疑問を抱きながらも当麻の元へ降りると、彼は耳をほじっていた。下品である。

 

「当麻」

「あっ、わっ、咲夜!?よくここがわかったな……」

「私の能力を忘れたの?」

「だからって……しらみつぶしに探したのか?」

「いいえ、勘よ」

「勘!?」

 

ふと視線をずらすと、そこにはテントに永遠とルーンを貼り付けるステイルの姿があった。

 

「……ステイルはなにをしているの?」

「ルーンを貼り付けてる」

「見ればわかるわよ」

 

当麻曰く、あのテントが今夜インデックスの泊まるテントらしい。つまり野宿。

ステイルはそれが心配で心配で私をここまで寄越すことを提案したのだという。まあ、確かにステイルや当麻がインデックスと一緒に寝るのは問題があるだろう。

 

「そういえば、どうやって出てきたんだ?」

「きちんとルールに沿って出てきたわ。なぜか許可証が出ていてね」

「……例の気にくわないってやつから?」

「ええ」

 

実際私なんかよりずっと強いのだから、なにもいう資格はない。

そもそも宴の席でくらいしか真面目に会話したことがないし、それもお嬢様のお付きとしてだし。

 

「ステイル。私がインデックスといるだけじゃ、頼りないのかしら?」

「ん?そういうわけじゃないよ。ただ、万が一ということがあるのは、メイドである君も知っているだろう?」

「それはもちろん知っているけど……そんなルーンなんかより、私の能力の方が有能じゃない?」

 

私がテントに手をかざすと、一瞬にしてセピア色のまま止まった。もちろん、貼ってあったルーンまでもがセピア色である。

 

「もしかして、貼るタイミング間違えた?」

 

ステイルが、少し目を丸くして言った。

 

「……そうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「咲夜!?なんでいるの!?」

「こんばんは、インデックス」

 

ほかほかと湯気を立てるインデックスは、どうやら風呂上がりのようだった。

常盤台中学には、帰様の浴院をはじめとするシャワー等が豊富にある。もちろん、来る前に済ませてしまった。

 

「もしかして、またとうまに呼ばれたの?」

「んー、半分正解ってところかしらね。私を呼ぶようにしたのは、ステイルだそうだから」

 

そういうと、インデックスは少し複雑そうな顔をした。

今のインデックスにとって、ステイルは宿敵のはずだ。心を許すべき相手ではなく、逃げなくてはならない相手。あれから少し認識が変わったとしても、きっと基本的には変わらないのだろう。

 

「さて、そろそろ寝ましょうか」

「……うん」

 

黒いシスターたちはせわしなく動いている。なぜこのようになっているのかは私にはわからないが、きっと手伝ったところでどうせ邪魔になるだけだろう。というか、目的も知らないのに手伝うなんて無茶すぎる。

 

セピア色テントに入って(インデックスはすこし驚いていたが)、インデックスに今回の件について聞くと、完全記憶能力を持つ彼女らしく、とても詳細に教えてくれた。

 

簡単に言えば、オルソラ=アクィナスと法の書を天草式宗教から救いだせ、ということらしい。

オルソラは今、周辺にいるロシア正教のシスターで、インデックスでも解読ができなかった『法の書』の解読方法を知っているとのこと。

 

「法の書?」

「うん。咲夜は知ってる?」

「少し覚えがあるくらいだけど……」

 

いつだったか、図書館で見かけたことがある気がする。

パチュリー様に、「普通はすごく読むのが難しい本」だと教えてもらったこともある。とはいえ私は魔術や魔法にはさほど興味がなく、中身が気になるわけもないので頭の片隅に置いてあるだけだった。

 

「それって本当にインデックスでも読めないの?」

「あれは、既存の言語学で解明できるようなものではないんだよ」

 

なるほど。だからパチュリー様でさえも、「普通は読むのが難しい」とこぼしていたのか。と納得する。

既存の言語学で解明できないというのは魔女の言葉かなにかなのだろうか?……まあ、魔女ではない私にわかるわけもないんだけど。

 

「……で、助け出すのが仕事、と」

「うん、一応ね」

 

インデックスも身を守る術くらい持っている。私には特に仕事もないと思うが、八雲紫がせっかく外出許可書を取ったのだ。

私もすこしくらいゲームに参加しようと、そう考えた。

 

「あ、咲夜、睡眠は数時間しかとれないって」

「安心して。それくらい、能力でどうとでもなるわ」

「咲夜だもんね」

 

 

 

 

 

 

 

____________しばらくして。

となりがガサゴソとうるさいので目を開けると、インデックスが寝床から出た音だった。

 

「インデックス?どこにいくの?」

「ん〜……」

 

インデックスは寝ぼけているようだが、テントを器用に抜けると、当麻たちのテントへと向かっていった。

……インデックスは夢遊病かなにかなのだろうか。

 

そのすぐあと。

よく聞こえないが、そちらのテントから、なにか言い訳する言葉が聞こえ、そして、絶叫が聞こえてきた。

私は思わずクスリと笑ってから、両耳をふさいだのだった。




本当にお久しぶりです!
風邪をひいてしまいまして、こんなに遅くなってしまいました。
次は5月か6月か。5月中にできたらいいけど、多分無理だろうな……あ、ちなみにテスト近いです。



そして、本日でとあるメイドの学園都市連載一年突破です!ありがとうございます!これからもとあるメイドの学園都市をよろしくお願いいたします!

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