とあるメイドの学園都市   作:春月 望

55 / 65
サブタイは美琴とインデックスだけど、ちゃんと黒子も風斬さんもいます。


御坂美琴とインデックスと。

黒子曰く、この学園都市に何者かが進入したらしい。

それが学園都市に被害を及ぼす可能性があるとかなんとか。

っということで、私たちは警備室へと足を踏み入れていた。

 

「……こんなところ初めて入ったわ」

「まあ、一般人をいれるところではございませんから」

 

質素な灰色によく似た壁には、防犯カメラの映像が鮮明に映し出されている。

どうやらこの防犯カメラたちは全て地下街に設置されているものらしく、先ほど発令された避難警報の一種、特別警戒宣言(コードレッド)を受けて避難している映像が流れていた。

 

「……ん?」

「どうしたの?美琴」

「……咲夜、これってあのバカじゃないかしら」

 

その映像の向こうには、上条当麻とインデックス、そして見知らぬ誰かがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「閉まりましたわね」

「灯も消えてるわ」

 

あれからしばらく。

地下街を歩いていると、全ての照明が同時に消え、地下街を封鎖するシャッターが全て降りた。

そのテロリストが動いたとみて妥当だろう。

最初は黒子も私と美琴にはこの地下街から出ていってもらおうと考えていたようだが、私はこんな面白そうなことを無視するわけにはいかないし、美琴は美琴で当麻が気になっているようだった。つまり、黒子は私たちを逃がすのを諦めたのである。

だけれどこちらには黒子がいる。いざとなったら黒子のテレポートでここから出ればいい話で、彼女もその予定でここに残ったようだった。

美琴も私も完全な邪魔ものであるが、私は自分の能力で透明な鎧のようなものを着れるようになったところだし、美琴だってレベル5である。簡単にやられるほどやわではない。

 

「……ねぇ、猫の鳴き声が聞こえない?」

「は?猫?」

 

私は人差し指を密かに口元に当てると、今度は先ほどより大きく猫の鳴き声が聞こえた。

 

「本当ですわね。そういえば……お姉様は猫に興味がおありのようですが、咲夜も?」

「そういう黒子はなさそうね。そうねぇ……別に好きってわけじゃないわよ?けど、嫌いってわけでもないし……」

「つまり中途半端ってこと?っていうか黒子!私は興味なんか……」

 

と、曲がり角を曲がったとき、まさかここでみるとは思わなかった人影を発見した。

 

「あら」

 

なぜかインデックスに押し倒される当麻の姿がそこにはあった。

 

「アンタ、こんなとこで女の子に押し倒されてなにやってるわけ?」

「こんな時間から大胆ですこと」

 

美琴は青白い火花を微妙に散らせ、黒子は妙に冷たい態度である。

そういえば、二人はインデックスとは初対面だったかもしれない。

対してインデックスは当麻からはどきもせずに

 

「咲夜、久しぶり。ねえ、この品のない女達は一体だれなの。当麻の知り合い?まさか咲夜の知り合いなの?」

「どっちも正解よ、インデックス。挑発はやめなさい」

 

インデックスも美琴も当麻のことが大好きだものね、なんて呑気に考えていると、いつの間にか二人からピリピリした空気が消え去っていく。

 

「まさか当麻が命の恩人だったりする?」

「頼んでもないのに助けに来てくれたり?」

 

私は「ああ、そんなこともあったっけ」と思考を巡らせる。

 

「咲夜!咲夜って全部知ってたりしないの!?」

「え?私?」

「そうよ!コイツになんかしてた!?」

 

どうやらどちらの知り合いでもある私に聞くことにしたらしい。

ふむ、と私は考えて口を開く。

 

「本人に聞いてみたら?」

「へ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当麻と美琴とインデックスのじゃれあいがひと段落ついたところで、ここからいかにして出るかの話になった。

 

と、その前に先ほどの映像にいた誰か、は「風斬氷華」という少女らしい。内気な以外は特に目立つこともないし、話しかけるとビクビク震えるので気にするのをやめる。

人間らしくない雰囲気を醸し出しているが、あの分だと自分が何かもわかっていないようである。もしあれで、ただ能力のおかげで人らしくないと言われてしまえばそれまでだし、わかっていないようならただ困惑させるだけだ。

挨拶をするだけすると、礼儀は正しいらしく日本人らしい会釈が帰ってきた。

 

地下街から出る方法は今の所一つ。黒子の能力を使用することのみで、最高でも自分と一緒となると二人しか移動させられないと黒子は言う。

 

「じゃあ、俺が時間を稼ぐ間に白井が避難させてくれ……ぐはっ」

「アンタが真っ先に逃げるの。一番狙われてる人間をこの場に残してどーすんのよ」

 

インデックスと美琴はもちろん黒子まで当麻にタックルをかました。

風斬は驚いておどおどしているが、誰も気にも止めない。

 

「咲夜もなんか言ってやって!」

「……そうね、まあそれに関しては善人として全くの同意見だけど……」

 

ちらり、と当麻の右手を見る。

 

「その右手、どうするの?」

「あ」

 

それに、なんだかんだ言って彼は簡単に死にはしないだろう。

もしあのシャッターが魔術や魔法、能力で特殊コーティングが施されていて、それによって強度を増しているとかそんなものだったらいいが、あいにくそんな簡単なものではない。

 

「それに。当麻がこの地下街から逃げたとして、なんとしてでも探すとしたら……そこらへんの建物をなぎ倒してしまうかもね。避難が完了しそうな地下街よりも、甚大な被害を及ぼすかもしれないわ」

 

もちろんこれは勝手な憶測だし、当麻が本当に狙われているのか確信もないが。

 

「そ、それもそうですわね。と、なりますと……この四人……」

「あー……そだな、この中だとやっぱり風斬とインデックス……」

「とうま、それはつまりこの短髪と残るってこと?」

「……じゃ風斬と美琴!」

「ほう。アンタはこのちっこいのと残ると」

「ああちくしょう!じゃあ風斬と咲夜!……あれ!?咲夜!?」

 

彼が振り返った先には、既に彼女はいなかった。




咲夜さん逃げる。




もうすぐテストです。
一応週一更新は保っていけたらと考えているので、それなりに執筆には励みます。
……流石に受験生になったら無理かもですけど。

そういえば、もう受験シーズンですね。来年の私もこうなっているのでしょうか。
受験生の皆さん、お疲れ様です!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。