切った、というか持ち越しですが、中途半端にホットドッグの部分が入るよりかはいいかと。
夏休みの最終日。
八月三十一日。
いつもとあまり変わらないこの日は、いつもと同じように朝日が昇り始めて、目が覚めて、___
「……長い一日になりそうね」
時刻は午前4時。きっとまだ寮監でさえも寝ていることだろう。幻想郷で培われた夜明けと共に起きる人間の生活習慣はそう簡単に目覚ましと共に起きる学園都市の生活習慣に馴染んだりしない。
ぼそりとそう呟いて私は一つ伸びをした。
「今日で夏休みも終わりか……別に悲しくもなんともないわけだけど。っていうか、夏休みの終わりを悲しむ人なんているのかしらね?」
少なくとも、この常磐台中学にはいない気がする。
それから私は、起床時間までの二時間をのんびり読書をしながら過ごして、またいつものように朝食をとったところで部屋に戻った。
「……なんでいるのよ」
部屋に戻ったら、八雲紫がいた。
「ちょっとあなたにレミリアから」
「お嬢様が?」
彼女がスキマから取り出したのは___
美琴side
朝食をとって、今日は立ち読みでもしようかと学生寮を出た。
最近は黒子の他に咲夜とも立ち読みにいくことがあったが、今日は一人で十分である。
「__美琴?」
と、思って居たのだが。
外に出たら、目の前に懐中時計を手にした咲夜の姿。
「咲夜。それ、どうしたの?」
「昔から持ってたんだけど、お嬢様が綺麗にしてくれたの。これがあると、またちょっと能力が使いやすくなるのよ」
嬉しそうに笑う咲夜は、なんだかいつもと違うようである。
笑う、と言っても彼女の変化は微々たるもので、わかるものなど限られているのだけど。
「美琴はどこへ?」
「あー、立ち読みよ立ち読み。咲夜も一緒にくる?」
「遠慮しとくわ。ちょっとこれから当麻のところへ行こうと思ってるし」
「……」
私もつい最近知ったのだが___いや、彼女と知り合ったのがそもそも最近なのだけど___どうやら彼女はツンツン頭、つまり上条当麻と仲がいいらしい。
それについて私はどうこう言う立場ではないのだが、こうも真っ向から言われるとちょっと気になる。
「私も、ついて行っていい?」
つい、こんな言葉が口から出てしまった私は悪くない。だって、なんとなく気になるし。
咲夜side
角を通りかかったら、いた。
元春と、そしてなんか青い髪とピアスの人と……戯れていた。
戯れているのはその二人の方で、当麻の方は眠そうな目でちょっと迷惑に思ってるっぽいのだが、概ね間違いはない。
と、三人がこちらの存在に気づく。
「ねぇ、ちょっと聞いていい?」
私は聞きたかったことをそのまま口にだした。
「夏休みの終わりって、寂しいもの?」
さぁっと現実を思い出したかのように、当麻の顔が真っ青になる。
「……さく、や?」
「お久しぶりね、二人とも。で?そちらはどちら様?」
そう聞いた瞬間、青い髪にピアスの人が駆け寄ってきて片足立ちをし、私の手を握ってきた。
……すっごいスピードだけど、この人はスピードが上がる的な能力でも持っているのだろうか。
「いやぁ、まさか常盤台中学の生徒さんに会えるとはなぁ。僕は(ry」
長くなりそうな挨拶の途中、元春の蹴りが飛んで、名前が聞けなかった。
「えっと、お名前を」
「僕は「こいつは青髪ピアス!青髪ピアスだにゃー!」」
よくわからないので美琴の方に振り返るが、よくわからないとばかりに手をあげている。
「あ、青髪ピアス?長くて呼びにくいわよ」
「なら青ピでいいにゃー!」
「そ、そう……私は十六夜咲夜で、こちらが御坂美琴」
美琴がぺこりと会釈をしたところで、なぜか話題はレベル5であるはずの美琴ではなくメイドをしているだけの私になった。
「な、なんだってー!こ、この十六夜咲夜さんはメイドなのかー!」
「そうなんだにゃー!それも、腕のたつメイドだって舞夏も言ってたんだにゃー!」
「え、なに、あのグラサンの人って土御門のお兄さんなわけ?」
「私も知らなかったけど」
「舞夏は義妹だにゃー!」
「へぇ」
需要のない事実が発覚しつつある中、私はあれ?と首をかしげる。
「どうしたの?」
「……当麻は?」
どこにもいない。
「美琴、なんか面白そうじゃない?」
「面白いって咲夜のそういうとこ、よくわからないわ」
目の前で二人で討論を始める元春と青ピを置いて、私は時を止めて美琴とともにその場を後にした。
後日、当麻から聞いた話だが、二人には私たちが瞬間移動したように見えたそうな。
書きながら改めて思うけど、これってSSみたいだよね。