とあるメイドの学園都市   作:春月 望

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たいっへん長らくお待たせいたしました!
二週間以上ぶりの更新になります、色々変えてたので地味に時間がかかったのは内緒。
気づいた方は気づいたと思いますが、サイドストーリーがトップに移動しました。
これからもよろしくお願いいたします。
また、いつも誤字脱字報告ありがとうございます。


疑問点と、そして始まり

疑問点はいくつかあった。

まずは、火野神作は堕ちてきた『天使』を手に入れているか。

これに関しては、微妙である。本当に火野神作が信じているものは『天使』なのか危うい。

 

「なあ咲夜」

「なに?」

「……知り合いに天人がいるとか言ってたよにゃー?」

「ええ、言ったわ。でも、あれは天人なのであって天使ではないの。意思もきちんとあるし、住んでるのは天界っていう行けなくもない場所よ」

 

行くのは難しいけどね、とは付け足しておく。

 

「……じゃあその、『天人』ってやらが『天使』を名乗っていたりするかもしれないにゃー」

「そうねぇ、ま、可能性としては低いでしょうけど」

 

そして、二つ目。

火野神作は、何かの組織だったり集団に属している可能性について。

これについては、元春が「薄いだろう」と理由とともに述べていた。

 

「いきなり申し訳ないんだけど」

「?」

「私、結構鼻が効くわけ。それこそ、山の中でどことなく獣臭を嗅ぎ分けられる程度には」

 

当麻が襲われた日。

私には、気づいたことがあった。

 

「彼が持っていたナイフに、毒がついてたの。物資までは流石にわからないけど、科学的な学園都市製ではないと思うわ」

 

学園都市製の場合、実は毒かどうかなんて遠くからじゃわからない。

理由は簡単、自然に出来たものじゃないからである。

 

「……ナイフに、毒____」

「本当だったら、入手経路が気になりますね」

 

流石にちょっと謎が多すぎるかもしれない。

もしここが幻想郷(ふるさと)ならば、きっと何も考えずに霊夢に習って飛んで行ったんだろうな、なんて考えながら訪れた沈黙に身を任せた。

こうして考えると、私も割と常識に染まってきた気がする。

 

「ナイフも、でしょ?一般人は簡単に殺人用ナイフなんて手に入れられないんだし……」

 

火野神作の持っていたナイフはキッチンナイフなどではなかった。

私が使っているものよりは質が落ちるものの(まああの魔法使いの錬金術だし当たり前っちゃあ当たり前なのだけど)、あの形は間違いなく生き物を殺すためのもの。

 

「じゃあなんで咲夜はもってるんだよ……」

「それは……お嬢様をお守りするのに必要なわけだし、知り合いに作ってもらってるからに決まってるじゃない。店で買うような真似はしないわよ、こんな質が悪いナイフを買って、生き物を殺せるとでも思ってるの?出血多量で不味さの極みね」

 

本当に出血多量で不味くなるかは知らないけど。

と、不意にテレビのトークがどこかに消え去り、小萌先生が現れた。

……なんと、火野神作が立て篭りを始めたらしい。ふむ、それで臨時ニュース。

その、赤い屋根の家の600m以内に住んでいる人には避難勧告が出ているようで、小萌先生の周辺には幾人か人が見えた。

火野神作は民家に逃げ込んでカーテンや雨戸を閉め、中の様子がわからないようにしてるんだとか。

 

チッ。と元春が舌打ちする。

 

と、画面が切り替わって上空からの映像が映された。

 

「あら、赤ね。可愛らしい色だこと」

 

映し出されたのは、赤い屋根の家。

紅魔館の紅とは全然違う、可愛らしい屋根の色。

私がクスリと笑ってふと当麻を見ると、彼は何かを考えるかのようにしばし呆然としていた。

 

「どうしたの?」

「あ、いや……」

 

言葉を濁す当麻にちょっと疑問に思っていると、

 

「__さてはて困ったことになったぜぃ」

 

なんて、土御門が警察に火野神作が渡ると面倒なことになるといいはじめた。

 

「そうね」

 

外の世界(ここ)では、強い者に捕らわれた弱い者の命が重要らしいのだ。

……そんなの、自力で出ろという話である。

 

「土御門!仮に人質がいた場合、どういった結果を招くかわかっているのですか!?」

 

火織は聖人だけど、こういうのはなんか、優しい。これが優しいというのかいい人というのかはわからないけど。

とはいえ、人里の人間を守る半妖もいるからまあ種族がものをいうのではないのだろう。

……聖人って、種族なのかな?

 

「で、当麻。なに?なんかあったの?」

「あ、いや__見間違いかもしれないんだけど」

「何ですか?」

「……ウチの母さんの趣味のパラグライダーで撮影したっていう近所の上空の写真を入院してる時に見せられた時があってな」

 

 

 

 

『なーんか、見たことある気がするんだよなー……実家の上空で』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、タクシーで行くの?」

「ああ、それが無難だからな」

 

車で20分ほどの場所だというそれほど遠くもない当麻の実家。

……20分もかけていくのか、時を止めて空を飛べばいいものを……あ、でもこの三人は私が飛べるのを知っていたっけ。

 

「__ねぇ、空を飛んで行った方が早いと思わない?」

 

時を止めて、三人のそれぞれの頭を一つずつ叩く。

 

 

 

 

 

「は?」




題名が……

そして、前書きにも書きましたが、本当に身勝手ながら二週間もお休みして本当に申し訳ございませんでした!

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