とあるメイドの学園都市   作:春月 望

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サブタイトルってネタ切れがくる。


始まりの朝

朝起きると私はメイド服に着替えて常盤台のレポートを適当に書いていた。

先ほど朝日が昇り始めたところである。

窓は開けはなたれているため、気持ちの良い潮風が吹いてきた。

 

カリカリ……

 

とボールペンが紙の上を走る音がする。

ちなみにこれらは今、常盤台の女子寮からとってきた。相部屋なのに相手がいないとこれだけ楽なのである。

 

『おにーちゃーん!』

 

不意に聞こえてくる、女の子の声。

私はここに他の家族もいたっけかと頭を悩ませながら部屋を出た。

そして、声のした部屋を開ける。

 

「……は?」

 

そこには、可愛らしい御坂美琴が上条当麻をおにーちゃんと呼ぶ光景。

あれ、美琴?と一瞬思考回路が停止する。

 

「な、え?」

「ぐぇっ!?なんですかこのドッキリ!咲夜も唖然しないで止めてくれーっ」

 

いや、止めてくれと言われても、私にどうにか出来ることじゃ……本当にドッキリなら、台無しにするだけだろうし。

私は当麻を見捨て、階段をトントンと降りた。

すると、扉をガチャリと開いて当麻の父親が顔を出す。

 

「おお、十六夜さん」

「おはようございます、刀夜さん」

「メイド服……?」

「ええ、私は学生であると同時に今はお休みをいただいておりますがメイドのお仕事をさせていただいているので」

「あら咲夜さん、うちの当麻さんは?」

 

……ん?

私が刀夜から目線を下げると、そこにはインデックスがいた。

 

「……え?」

「どうしたの?私の顔に何かついてるかしら?」

__そうじゃなくて……

あまりよく状況が飲み込めないうちに、バタバタと美琴が階段を駆け下りていく。

その後ろを当麻が納得行かなそうな顔で下りてきた。

 

「んあ?インデックス?」

「……よね、どう考えても」

「おいおい、二人して何変なことを言ってるんだ」

 

呆れるような刀夜の声が響き、私はそろそろ本当に困惑する。

 

「ナニ、コレ……」

 

 

 

インデックスは当麻のクラスメイトらしい青髪ピアス?になっていたし(本名不明)、海の家『わだつみ』のおじさんはステイルで、その娘は量産型シスターズ・ミサカだった。

……そう、色んな人達がごっちゃになっていたのだ。

なんだろうこのファンタジーランド。幻想郷にも勝るかもしれない不思議空間である。

 

 

海水浴中でも、それは変わらない。

 

「咲夜は泳がないのか?」

「……水着が寮にはあるけど今はないからね。あと、海水浴ってしたことないし」

「今時珍しいなそれ。どこ出身なんだよ」

「山よ、山。その前はヨーロッパだけど。私って日本人じゃないし……」

 

一応日本国籍は八雲紫の手配によって取れてはいるが、元はヨーロッパ出身である。

そこでスカーレット家、すなわち吸血鬼の一族を知って殺しにかかったが惨敗。能力を見出され、お嬢様のメイドとなって幻想入りしたのだ。

 

「あ、なんとなく聞かなかったけどやっぱりそうなのか」

「この見た目で日本人って方がおかしいでしょう。この東洋風の名前はお嬢様がつけてくれたものなのよ」

「ほーう」

 

そんなたわいもない話をして、ビーチバレーで遊ぶ三人に目をやる。

インデックスの水着が少々奇抜過ぎて目のやり場に困っているのだが、突っ込んでも意味がないので諦めた。

そして美琴はスクール水着だ。常盤台の校則で決められたものでないのは確かなのだが、当麻の妹を名乗る今の彼女にその質問をしても意味を成さない。なぜなら、御坂美琴としての記憶を持たないからである。

 

「カーミーやーん!」

 

不意に声がして振り向くと、そこには高校生ぐらいの男子。

当麻曰く、隣人で記憶喪失の彼も詳しくは知らないのだがクラスメイトらしい。

 

「おおっ?そのお隣のメイドさんは?」

「メイドさん……そういや今ってメイド服だったっけか」

「そうよ。外に出てまで常盤台の制服着る必要ないでしょう?」

「にゃんと!常盤台のお嬢様なのかにゃー。なら尚更なぜメイド服なんだぜぃ?」

 

私は怪訝に目の前の彼を見つめる。まあ、当麻の隣人でそれなりに付き合いがある人ならいっか、ととりあえず信用することにして、軽く友好的に接した。

 

「私は十六夜咲夜よ。常盤台の学生だけど、この服からわかるようにメイドのお仕事もさせていただいているわ」

土御門元春(つちみがど もとはる)だにゃー」

「そう、元春ね。覚えたわ」

 

元春は一瞬驚いたように眉をあげる。

 

「も、もとはる?」

「じゃあ土御門とよべばいいかしら」

「い、いやいいにゃー!そ、それより二人にはオレが土御門元春に見えてるぜよ?」

 

?と二人で顔を見合わせた。

私は元春と今まで面識がなかったのでこれが彼以外である可能性もある。が、当麻の方はちゃんと何度か見たことがあるらしい。彼も、『何言ってるんだコイツ』とでも言いたげだ。

 

「はぁ?なに言ってんだお前。つかなんでお前は外に__」

「となると……いや、まさかにゃー。とにかくここから逃げるぜよっ!なにが危ないってこれから怒りに我を忘れたねーちんが来襲してくる辺りが激ヤバぜよ!」

 

ね、ねーちんが来襲?

わけがわからない元春の言動に首を傾げていたが、やがてあることに気づく。

 

(……魔力……?)

 

彼から随分と前に使った魔力の気配がしているのだ。私は魔法使いでも魔術師でもないのだけど霊力、魔力、妖力などの力には生まれつき敏感なのである。

流石にお嬢様やパチュリー様といった方々には負けるけど、霊夢よりは鋭いだろうと思う。もっとも、霊夢にいたっては勘で見抜いてしまうので私より正確かもしれないが。

 

「ねぇ、質問してもいい?」

「な、なんだにゃー?」

「……みんなが入れ替わったようなこの魔法……いえ、魔術かしら。これは一体、誰の仕業なの?」

「!」

「こんなこと、科学じゃ出来ないわよ」

 

なぜ知っているんだ、とその目は訴えてくる。

彼がゴクリと息を飲んだとき、ゆらりととんでもない聖人の気配が身を掠めた。

 

「……神裂、火織……?」

「見つけました、上条当麻!そして十六夜咲夜!一緒にいるということは、共犯……ッ!」

 

軽い殺気を放ち、彼女が現れる。

 

「最初は上条当麻が元凶だと思っていましたが……、十六夜咲夜がこの場におり、また彼女も変化していないということは、まさか本当にあなたがパチュリー・ノーレッジの一番弟子……ッ!」

「はぃ?」

 

とりあえず、色々と独自解釈を入れたところでこの魔術を行ったのが私だと思っているらしい。まあそれだけならわかる。疑うのはその人の勝手なのだから。

しかし、これはどういうことだ?

 

「……パチュリー・ノーレッジ?」

 

当麻がステイルかインデックスあたりに聞いたのだろうか、ボソリと名を繰り返す。

 

「ええ、そうなのでしょう!正直に吐きなさいッ」

「いや、正直もなにも私はこんな魔術を展開していないし、パチュリー様の弟子でもないわよ。パチュリー様はあくまでお客様だもの」

 

とはいえ、私もパチュリー様の弟子に心辺りがない。

パチュリー様以外の魔法使いといえば、魔理沙とアリスと妹様、そして白蓮だが……

魔理沙とパチュリー様の初対面は異変のはずだし、アリスに関してはいつも平等に魔法について話していた。妹様はわからないが、年齢的に妹様の方が上だし、最後の白蓮も、封印されていたのでない気がする。

 

「お客様……?」

「あ、これって言っちゃダメだったのかしら。……まあいいや。

 

 

 

 

 

 

 

パチュリー様、つまりパチュリー・ノーレッジは私の仕えるお嬢様のお友達で、お客様なのよ。__私は彼女よりも優れた魔法使いを見たことがないわ」




長くなった。
昨日出さなかった分、長くなった。
明日は出せないと思います、ここ何日かは偶数の日にだしていましたがこれからは奇数の日になると思います。
幻想郷出身・十六夜咲夜はやってしまったことを悔やみません。いや、ものにもよるかもしれませんが。

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