I remember you   作:春瑠雪

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「おっと、すいませんっ!先輩に元カノ、なんていませんよねっ」

「お前なぁ...言っとくが、俺だってそれなりにモテんだぞ?」

 

再び日向がユイの頭をガシガシと撫でようとした時、ケータイの着信音が鳴った。

ディスプレイを確認すると、ゆりからだった。

珍しい。直感的にそう思い、何かあったのか、とも思った。

それでユイに悪い、と一言だけ言い放ち、後方を向いた。

 

『遅い!』一言目がこれだった。

 

「何だよ、いきなりかけてくる方が悪いだろ!?」

『それは事件がいきなり起きたからよ。電話するってアポとるような人はそんな急用じゃないと思うわよ』

「ああ、まあそうだけどな」

『で、本題入るわよ日向君。簡潔に言うと、火事ね』

「はぁ!?おまっ...何してんだか...」

『ちょっと料理をみんなでしようとしただけよ。ちなみに発端はあたしじゃないわ。わかってると思うけど、アホがやったからね』

 

と、そこで騒がしくなった。換わってくれ、とか何やら聞こえるので、おそらくだがゆりが言う「アホ」たちがいるのではないのだろうか。

 

「あー、わかったよ。今から優しいひなっちさんが行って...」

『自分で優しいとか言っちゃうあたり残念よね。言わなくても残念だけど』

『そんな言い方はないだろ、ゆり』男の声だ。

『そうよ。きっと日向さんは傷ついているわ。でも自分で優しいって言って優しかった人の例はないわ』今度はゆりとは違いふわっとした声がした。

 

だいたいゆりの周りにいるメンツに見当がついた。

 

「そのいいようはひどくないか!?違いますから!何でそんな風に言うんですかね!?」こらえきれず、ツッコミを入れる。

 

『うっ...』

『おい日向、やめてくれ。知らないと思うが、ここにはかなでがいる。今まさに日向の声を聞いて片頭痛を起こしてる』

「っと、ちげーよ!何でそんな風に言うんだ!?」

『かっこいいぞ、日向!』

「thank you!って、んなことしてる場合かよ!?」

『なら日向君急いで来て。あたしの部屋ね』

「ああ。今から行ってやんよ!」

 

日向は電話を終え、ユイの方に向き直った。ユイは首をかしげていた。

 

「わり、ちょっと用事できちまったから今日はこの辺にしとくな」

日向がそう言うと、ユイの顔が若干暗くなったのを見逃さなかった。---最も、日向はアホなのでその表情の変化が意図することがわからなかったが。

 

 

 

***

 

 

「ゆりっぺ!」

「あら、日向君早かったわね」

 

ゆりの家は日向とユイが住んでいるマンションからそう遠くない場所にある。そこまでの道のりを野球で鍛えた体力で全力疾走。当然早く着くわけだ。

そんなことより、日向はゆりの態度がおかしいと思った。

 

何故。火事が起きたというのに。こんなにも冷静でいるのだろうか。

 

「音無君たち、日向君来たわよ」

「結弦、タイムは?」

「16分58秒だ」

「きゃー!あたしの勝ちね!」

 

「...は?」

 

日向が呆然としていると、ゆりの部屋にいた音無結弦が「日向が何分でここに来るのか賭けをしてたんだ」と微笑しながら説明した。

 

「Why!?火事は!?」

「嘘よ」

「そもそも日向、火事にあったなら近所が大パニックになってるはずだぞ」

「しまったぁー!そういえば俺、隣に住んでるおばさんにこんにちはって穏やかに挨拶されて、こんにちは、って返してたぁー!」

「...アホね」

「ゆり、仕方ないわ」

 

日向はため息をつきながら、その辺にあった椅子に腰を下ろした。




お久しぶりです、春瑠雪です。
無事考査に終止符がついたので投稿がやっとの思いでできました。

音無、かなでの登場をさらっと終えましたが、彼らの細かい設定は後程載せていきます。
久しぶりすぎてキャラが掴めず文章もひどいですが、閲覧ありがとうございました。
次話の投稿も頑張りたいです。

そういえば一挙放送ありましたね、直井の日に!
作者は5,6,7話以外はしっかり視聴し、Twitterで暴れてました。
やはりAngel Beats!はいつ見ても感動しますね。一番好きなアニメです。

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