らくだい魔女と最初のラブレター   作:空実

2 / 27
二章

〜 ???のエピローグ 〜

 

 

 

 

サクッ…サクッ…と雪道を抜け

 

 

ヒューーー……と勢いよく吹く強い風に耐え

 

 

目に入る、砂をこすって落としながら旅を続けた。

 

 

「……もう、死んでるって思ってるよ。あの手紙を読んだとしても。」

 

 

「…まだ生きてるって信じてるかもしれねぇ。その確率も0じゃねーだろ?」

 

 

「それはそうだけど…」

 

 

「だから、いく。匿っててくれて、ありがとな。」

 

 

「うん……」

 

 

「じゃあ、また。」

 

 

ホウキに飛び乗ると国を飛びだした。

 

 

だんだんあの国に近づいていく。

 

 

『ごめん、ごめん、ごめん…』

 

 

何度も何度も心が痛くなった。

 

 

言えるものなら、直にアイツに伝えたかった。

 

 

あの日。オレの運命が決まったあの日から、アイツのことを忘れた日は一度たりともなかった。

 

 

 

『…フウカ……』

 

 

 

これから始まるのは、とある国ととある国の姫と王子のお話……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・1・

〜 Chitose glance 〜

 

 

スタッ…

降り立ったのは、城の前だった。

針のように尖った屋根のある、青の城の前。

警備のおじさんはいなくなり、新しいもう少し若めの人に変わっている。

今まで見たことないから…新入りなのだろう。

はなから、警備の人全員の顔を覚えているわけでもないが。

城に入ろうとすると、止められる。

 

「君。無断立ち入りは禁止されてるんだ。許可書は?」

 

ったく…

許可書なんて、あるわけない。

 

「ないです。」

「じゃあ、さっさと帰ってくれ。」

 

冷たく追っ払われた。

(どうすっかなぁ。他の奴らのいるところで兄さんとか、親父に会うわけいかない…)

門の前をウロついているからか、さっきの門兵から怪しい人物を見るような眼差しを向けられる。

悩んだ挙句、母さんのいる離れに行くことにした。

ホウキに乗って、ちょっとその場を離れてから離れへ向かう。

案の定、離れの母さんのいる部屋は窓が開け放たれていた。

入ると、中には母さんしかいなかった。

母さんはベッドに横になって、熟睡している。

オレは母さんが起きるまで、ベッド脇のイスに腰掛けていることにした。

 

 

しばらくすると、母さんがゆっくり目を開けた。

そして、オレを虚ろな目で見つめる。

 

「チ…トセ…?」

 

オレはゆっくり頷く。

母さんはベッドからガバッと起き上がったが「ゲホッゲホッ」と咳き込んでしまった。

 

「チトセ、どうして正門から入ってこないの?」

「門兵に追っ払われた。」

「そう言われれば、新入りの日だったわね。」

 

母さんがゆっくり微笑む。

 

「ロイドやレイたちを呼ぼうかしら。そうだ、今日はセイラちゃんも来てるのよ。」

 

(その前に…会いに行きたい。)

 

「いいよ、母さん。街を散策してくる。」

 

母さんはビックリした表情をしたが、見送ってくれた。

街を散策とは言ったが、本当は銀の城に行こうとしていた。

(久しぶりに会ったら…どんな顔するんだろうか。)

いろんな気持ちのまま、もう一度ホウキに乗って銀の城に向かって走らせた。

 

 

 

・2・

〜 Fu-ka glance 〜

 

 

「カリン、今日のクッキーも美味しいっ」

 

あたしがクッキーを頬張りながら言うと、カリンは嬉しそうに微笑む。

 

「そう?ありがとぉ〜。」

 

(やっぱ、カリンのクッキーは美味しいなぁ。ずっと変わらない味なのに、いつもちょっとずつ違って…

とにかく、とっても美味しい。

 

「フウカは本当にカリンのクッキーが好きだねぇ。確かに美味しいけどさ。」

 

アリサちゃんが呆れたように言った。

 

「だって、カリンのクッキーは世界一だもん!」

「フウカちゃんったらぁ。言い過ぎよぉ〜。」

 

カリンは顔を赤らめて、首を激しく横にふる。

 

「あ、私そろそろ帰るよ。お母さんに今日は外食だから早く帰ってきてって言われてるの。」

 

アリサちゃんが時計を見ていう。

 

「そっか。またね!」

「うん。」

 

アリサちゃんはホウキに乗って去っていく。

 

「じゃあわたしはトイレ行って来るわね。」

「え?あ、うん。」

 

カリンがトイレに行ったから、あたしは部屋にひとりきり。

さっきと違ってすごく静かになった部屋はなんだか寂しい。

その時だった。

 

ヒューーー…

 

と言う風と共に、カギをかけていなかった窓がキィィ…と静かに開く。

窓をもう一度閉めようと、窓に寄った。

気付いたのは、その時。

 

「フウカ。久しぶりだな。」

 

その声は変わっていた。

あの頃より、声が低くて…

男の人みたい。

でも、喋り方があのままだった。

いや、あの頃とはちょっと違う。あまり嫌味ったらしくない。

けど……けど……

絶対…【チトセ】……だ…。

確信したのに違う、いやそうかな。なんて自問自答を繰り返す。

あたしはずっと下を向いていた。

 

「フウカ、こっちみろよ。」

 

一瞬ビクッとしたが心を落ち着かせて、ゆっくりを上を向く。

 

 

 

・3・

〜 Fu-ka glance 〜

 

 

「チ…トセ……ッッ!!」

 

チトセの顔はあの頃のままだった。

ちょっとは変わっていたのかもしれないけど………

あの、嫌味ったらしい顔なんてせずに笑っていた。

気味が悪い程ではなく、あのままの笑顔だった。

あたしは、涙が溢れて止まらない。

ポロポロと溢れ出てくる涙を止めることなど出来なかった。

 

「フウカ、泣くなよ。」

 

チトセのその声に何故かさらにポロポロと涙が溢れる。

 

「だって…だって…」

「悪かったって。」

 

頭を撫でられて…なんだか安心して…クゥゥゥ…と唸るようにして涙を止めようとした。

でも、それも出来ない。

歯を噛み締めるほど、涙が出てきて…

つぶったはずの目からじわじわと涙が外に出てくる。

しばらくそうしてるうちに、ドアの向こうからカリンとセシルの話声が聞こえてきた。

 

「…フウカ、オレ、そろそろいく。カリンやセシルさんが来るみたいだし…」

「…もう、行くの?」

「あぁ、でも、もう帰ってきた。また、いつでも会える。今度…いや近いうちに会おうぜ。」

 

チトセはホウキに乗って銀の城を去っていった。

 

ガチャ…

 

「フウカちゃん、お待たせ〜……ってアラ!?泣いているの?どうしたの?」

「大丈夫だよ、カリン」

 

心配するカリン。あたしは目に少しだけ溜まった最後の涙を拭き取った。

 

「嬉し涙だから…」

 

そして、笑いかけた。

 

 

 

・3・ その次の日の話

〜 Fu-ka glance 〜

 

 

その日、あたしはなんだかウキウキしていた。

ウキウキ…というか、心が軽い。

理由は…わかっている。

きっと…きっと…チトセが帰ってきたから。

チトセは約束をいつも守ってくれた。あたしが忘れてても、覚えててくれた。

…今回だって、時期は遅れてもちゃんと守ってくれたの。

嬉しくて、嬉しくて、たまらない。

チトセの好きな人が他の人でもいい。貴方が帰って来てくれただけで、あたしは嬉しいの。ドキドキするの。

 

「フウカちゃん、いきましょぉ〜」

 

また、同じ1日が始まるけれど…

あたしにとっては違う。

誰もが同じだと言っても、あたしは違う。

あたしにとってのこれからの日々は紛れもなく、違うものだから。

 

 

 

・4・

〜 Fu-ka glance 〜

 

 

「やっぱりフウカちゃん、嬉しそうねぇ。本当に、どうしたの?」

 

ホウキに乗ったまま、カリンが不思議そうにこっちをみる。

「秘密っ」

 

「なによぉ」

 

カリンがふんっとよそ見したが、いきなり目を輝かせてあたしを見つめた。

 

「もしかしてぇ、チトセくんのことでなにかあったの!?」

 

ゔ…鋭い…

 

「どんなの!?」

 

あたしは動揺して、

 

「秘密だってばぁ〜!!!」

 

そう言って、学園に向かってスピードを出した。

 

「フウカちゃん、はやぁーい!」

 

カリンも猛スピードで追いかけてくる。

ものすごくホウキが上手になったカリン。あたしと追いかけっこすると、結果的にはあたしが勝つけどほぼ一緒。

そのまま追いかけっこするようにして学園に入った。

ホウキを降りたあたしたち。

その前にアリサちゃんが仁王立ちした。

 

「フウカっ。カリンっ。姫が猛スピードで学園に突っ込むなんて、あっちゃならないでしょーが!」

「うぅ…」

 

アリサちゃんに怒鳴られるとつい小さくなってしまう。

それを、冷ややかに他の生徒が見つめている。

あたしたちをアリサちゃんがいじめてるように見えるのだろうか。

…そんなこと、ないのに。

 

「ん?フウカ、いいことあった?」

 

アリサちゃんにもバレた〜!?

 

「い、いや…」

「あったでしょ?」

 

あたしたちにカリンが割ってはいる。

 

「アリサちゃん、フウカちゃんにいいことあったと思うでしょう?わたしにも教えてくれないのよぉ〜。」

 

カリンがため息を吐いて、あたしを上目遣いでみる。

 

(ゔっ…そんな目で見つめないで…罪悪感に包まれるからぁ!)

 

「何があったか、推理してあげよっか?」

 

あたしは嫌な予感がして、必死に抵抗した。

 

「い…いや、いいっ!」

「もしかして…チトセくんのこと?」

 

…////////…

ゔっ…

 

「どんなっ?」

 

チトセのこと前提になってるっ。

やばいぃ!

バ…バラしていいのっ?チトセぇ!

 

 

・5・

〜 Chitose glance 〜

 

 

 

帰ってきて、何日かたった。

親たちに適当に出迎えられ、また、あの毎日がやってくる。そう…思っていた。

 

「チトセさま〜!」

「チトセさま〜!」

 

気のせいだろうか。

大量の城のメイドたちがオレを追い掛け回しているのは。

……そう、帰ってきてから扱いが変わった。

兄弟の一員として、ちゃんと数えられるし、兄弟としての上下左右はあるものの、それ以上の格差が…ない。

違和感が絶えなかった。

(…あの…この扱い、やめて欲しいんだけど。)

今はまだ城の者、そして城に使える者。そして…フウカだけがオレの存在を知っている。

明日の王族会議で発表するんだとか。

『口外するな』そう言われたが、もう言ってしまったものはしょうがない。

 

「ふぅ…」

 

そう、ため息を吐いた時、上から聞き覚えのある声がした。

 

「チトセ。どうした?ため息なんぞ吐いて。」

「レイ…兄さん…」

 

レイ兄さんが前を立っていた。

前までレイ兄さんの方が全然大きかったのに、もうあまり変わらない。

 

「明日の王族会議だが…チトセとオレも出ることとなった。もちろん、フウカ姫とカリン姫もだ。」

「へ…?」

「明日は平日なのだが…フウカ姫とカリン姫は学校を休むそうだからな。」

 

な…なんでオレも…?

 

 

 

・6・

〜 Fu-ka glance 〜

 

 

「え…?ママ、今なんて…」

 

あたしはママにもう一度確認を取った。

 

「だから何度も言っているだろう。明日の王族会議にフウカも出ろと言っているんだ。」

 

な、な、な、なんであたしも!?

 

「学校は?」

「明日だけだ。休め。」

 

ママのちょっと不安そうな声。

 

「カリンも出席する。学校には連絡済みだ。」

 

んなっ…

カリンも?なんで?ってことは……

あることを期待してしまうあたしに嫌になる。

 

(そんなワケないっ。あいつは十三番目だし…来るとしたらレイ王子だけだよね…?)

 

でも、ドキドキが止まらない。

来ない、来ないって自分に言い聞かせても頭がいうことを聞かない。

 

(そうだ…カリンも来るんだ!)

 

そう考えたらなんだか心が落ち着いた。

何故かカリンがいると安心する。

それは、あの頃から変わらないんだ。

…あいつがいても安心できたっけ……

 

「フウカ、明日は朝早い。」

「う、うん。おやすみ、ママ。」

 

ハァ…とため息をついて窓の外を見る。

するとキラキラと星たちが瞬いていた。

 

 

 

 

〜 Karin glance 〜

 

 

「えぇ〜!?わたしも明日の王族会議に行くのぉ〜?」

 

ママからの申し出に素っ頓狂な声をだしてしまいました。

 

「でもぉ、わたしはまだ高校生よぉ〜?」

「レイアからの申し出よっ。ってことで明日は朝早いからカリンちゃん、早く寝ないとねっ」

 

部屋に戻ろうとするママをわたしは慌てて引き止めた。

 

「えぇっ?レイアさまぁ?…もしかしてぇ…フウカちゃんもなのぉ?」

「もちろんよっ。じゃあね〜」

 

いつもと同じ、能天気なママに少々呆れながらも自分の部屋の植物さんに目を向ける。

 

「ねぇ、みんなぁ。わたしがいっていいのかしらぁ?」

 

と、問いかけると植物さんはわさわさと揺れた。

『カリンちゃんなら大丈夫だよ。』

『頑張ってね。』

そう、植物さんたちに励まされながらその夜は眠った。

 

 

 

 

・7・

〜 Chitose glance 〜

 

 

「チトセさま、こちらを着てくださいな。」

 

メイドが差し出したのは、群青色のタキシード。ボタンは金色に輝いている。

それを着ると同時にレイ兄さんが顔を出した。

 

「似合っているな。」

「あ…ありがとうございます…」

 

大広間にいくと、父さんとじいちゃんがいた。

 

「チトセ…これを付けろ。」

 

じいちゃんに渡されたのは懐中時計…

 

「なんだ?これ。」

「まぁ…いずれお前にもわかるだろう。」

 

(ガチでなんなんだよ、これ…)

乗り込んだ馬車の外にはたくさんの国民が。

そしてオレは顔がバレないように特殊な窓の隣に座らされていた。

(こんなの…求めてねぇ…)

歓声を浴びる親父とレイ兄さんはなんだら誇らしそうで…

全く喜ばないオレとは正反対だった。

 

「そうだ、チトセ。オレの事はレイお兄様。父さんのことはお父様と呼ぶんだぞ。お前はチトセ王子だ。」

 

…はぁ…

だよな。そういうものだ。

てか、オレみたいな王子も王子になんのか?

…なるんだろうな。

 

 

 

〜 Fu-ka glance 〜

 

 

「姫さま!ちゃんとジッとしてくださいっ」

「そっ…そんなこと言ったってぇっ。なんでこんな…」

 

あたしはセシルに無理やり着されてるドレスは銀の城に相応しい、銀色のベールをまとったドレスだった。

(こんなの着たって…この髪の色じゃ…似合わないよ…)

 

「姫さまは銀の城の姫なのですよっ。ちゃんと立ってください!」

 

それにしてもこれがまたキツイ。そこまであたしだって細くないのに、ぴっちりしたドレスだからキツくてたまらない。

 

「次はドレッサーの前に座ってくださいっ」

 

今度は髪をお団子にし始める。

あたしはなにも言わず、その様子を鏡越しに見ていた。

 

「姫さま、あと30分後には出発です。ゆい終わったら馬車にのってください」

 

あたしが小さく、「うん…」と言った時お団子が出来上がった。

 

 

馬車は銀色に輝き、白馬が前についている。

門の外にはたくさんの人、人、人。

(すごい…いつもこんななの?)

 

「フウカ姫さま。どうぞ。」

 

ママの侍女のナツキがドアをサッと開ける。

 

「あ、ありがとう。」

「…そのお言葉、ありがたく受け取らせていただきます。しかし、姫という方ならば私なんぞに…」

 

(挨拶も言っちゃダメなんだっけな。)

 

「私がいいたかっただけよ。」

「かしこまりました。」

 

(…ハァ…これから感謝の言葉とかも言っちゃダメなんだっけ?…あ、でも他の王族にはいいのかな?)

 

 

ママが馬車に乗ると、ゆっくりと進み始めた。

 

「フウカ。姫としてのマナーとして、今からお母様と呼びなさい。もちろん敬語だ。今日のこれからだけだがな。私もフウカ姫と呼ばねばならん。」

「…かしこまりました、お母様。」

 

これが…姫としてのしきたり。

我慢しなければならないの。今日ぐらい…頑張らないと。

…いつもの自分を封印して。

 

 

 

 

〜 Karin glance 〜

 

 

草木のお友達がわたしにワンピースを着せてくれる。

わさわさと揺れるツルたちは、わたしのことをかわいいと褒めてくれた。

 

「カリンちゃ〜ん、そろそろ出れるかしら〜?」

 

のんびりしたママの声を聞くと、なんだか緊張した心がとろけていく。

 

「もう、行けるわぁ〜」

 

わたしが着ているのは、薄緑のワンピース。お花の刺繍が所々に入っていて、全く自然体なのだけど何処か威厳を感じさせるもの。

 

「ママ…」

 

もう、出れるのか聞こうとしたけどママの声に遮られた。

 

「もう、ママではありませーん。今日はこれからお母様って呼びなさい。わたしもカリン姫って呼ぶわ。」

 

…そうよね。ちゃんとした空間でママなんて呼べないもの。

これからの為にも、それぐらい…

 

 

 

 

・8・

〜 Fu-ka glance 〜

 

 

会場は赤の城。

色あせた赤い屋根。それに映える、肌色の壁。

城の周りの壁には勇ましい竜が描かれている。

サヤ様の婚約祝いパーティ以来の赤の城は、あの時より違って見えた。

 

「フウカ姫、行くぞ。」

「はい。お母様。」

 

いつもとちょっと違う会話。

ママの威厳はそのままだけど、あたしは変わる。

元気なあの性格を封印するの。

それは容易いことではないけれど学校で努力してるから、きっと大丈夫。

門兵があたしたちの顔を確認すると門を静かに開けた。

 

「銀の城のレイア女王様。フウカ姫様。どうぞお入りください。」

 

なにも言うことなく、入るママはいつもと違う。

あたしも歩みを進めるが、王族を一目見ようと集まった人々の視線が痛くて冷や汗をかいてしまう。

パシャパシャと切れるシャッター音の中、あたしは一歩一歩城のに近づいて行った。

 

「ようこそいらっしゃいました。銀の城のレイア女王様。フウカ姫様。」

 

道を作るように並んだ侍女たちはみな赤の城の正装に身を包んでいる。

 

「お母様、私は別室にいればよろしいのでしょうか?」

「…赤の王の判断に委ねるが…銀の城の部屋があるだろう。とりあえずそこに居ろ。」

 

そう。各城には、部屋がある。

銀の城もそう。

青の城の部屋、緑の城の部屋、黄の城の部屋、赤の城の部屋、水の城の部屋、白の城の部屋。

そして開かずの扉となった、古代都市、カンドラの部屋と…

…黒の城の部屋。

黒の城の王は、王族会議に参加しない。

古代都市、カンドラは数多の昔、消えたという。

それぞれの部屋はそれぞれの城をモチーフにしていて…

銀の部屋はちょっと現代風。

緑の部屋は植物だらけ。

青の部屋は時計がいっぱい。

と、他の部屋も似たような感じ。

 

「かしこまりました、お母様。」

 

あたしが返事をすると同時に赤の城の侍女が頭を下げた。

 

「わたくしが部屋へご案内いたします。」

 

初めて入る、赤の城の銀の部屋はなんだか違和感があった。

銀の部屋には大きな窓があり、そこから風を感じられるようになっている。

そこから下を見ると、不安そうにあたりを見渡す、カリンの姿があった。

 

 

 

 

 

・9・

〜 Karin glance 〜

 

 

わたしはついた赤の城の前でたち尽くしていた。

だって…外壁に魔獣は描かれているし、門のそばにはたくさんの人たちがわたしたちにフラッシュを焚いてるんだもの。

 

「マ…あ、お母様〜。えっ…とわたしは…」

「あぁ、カリン姫は緑の部屋に居てね。」

 

緑の部屋…かぁ。赤の城のはどんなだろう。

フラッシュの中、わたしとママは城の中に歩んで行った。

その時だったの。

本当は、馬車は門の外に停められるハズなのに、中まで入ってくる濃い、青色の馬車。

わたしはなんだか気になってその馬車を目で追った。

ガチャ。とドアが開いて、召使いに隠されながら裏口から入っていくコがいたの。

その子を見ようとして、つま先立ちをした時、言葉を失った。

 

(チ……チトセ…くん………?)

 

あの、深い、深い、群青色の髪と瞳。

 

(う……そ…)

 

フウカちゃんに知らせなきゃ!っと思ったけど、別の思いが頭の中を駆け巡った。

 

(もしかして…あの時の…)

 

わたしはこの前のフウカちゃんを思い浮かべた。

あの、銀の城での涙。

どうもよそよそしかったあの態度。

 

(きっと、フウカちゃんは、知っているんだわ…)

 

その後すぐ、私はママに呼ばれてついていった。

 

 

 

 

 

・10・

〜 Chitose glance 〜

 

 

 

赤の城の付く間際、緑色のツルが巻き付いた馬車を見た。

それを見たとき、直ぐにわかった。

『カリン…だ。』

と。

その、緑の馬車が門の前に馬車を停めていたのに対して、オレたちの乗った、青い馬車は門の中まで入っていく。

すると直ぐ、城でよく見る服を着た召使いたちが漆黒のシートを持ってやってきた。

ドアが開けられ、オレが降りたと同時にその召使いたちに姿を隠されてしまった。

 

(は…?)

 

最初はイマイチよくわからなかったが、だんだん状況が掴めてくる。

きっとまだオレのことを世界に発表してないからバレぬようにオレを隠しているのだと。

 

「チトセさま。チトセさまは青の部屋にいらしてくださいませ。決して部屋を出てはなりませぬ。」

 

オレはシートの中でゆっくり頷いた。

…もう直ぐ隠れる生活も終わるだろう。王族会議が終われば…

自由に生活できるはず。

赤の城に入った時、シートの外で声がした。

 

「サ…サヤさまっ。おっ…お久しぶりです。」

 

そんなカリンの声と、

 

「いいんですよ。ようこそいらっしゃいました、カリン姫。」

 

あの、ハキハキとした凛とした声。

…そう、サヤ王女ーーー…

 

「そちらは?召使いの服からして青の城の者でしょう。」

 

…バレてるじゃねーか。

 

「間違いないようですよ、サヤさま。靴が青ですし…わたしも先程あの漆黒のシートの中を見てしまいましたから…」

 

カリンには見えてるしよ…

意味あんのか?コレ。

 

「カリン姫、サヤ王女。この事は決して口外なさらぬよう、よろしくお願いいたします。」

 

隣で小さく頭を下げているのを感じた。

 

「貴女たちがそうおっしゃるのならおっしゃられた通りにいたしますが…」

「ええ。」

 

召使いたちは心底ホッとしたように、シートが縦に若干揺れた。

 

「カリン姫、緑の部屋にお邪魔しても…?」

「もちろんです。」

 

そんな会話をしながらふたりは去っていった。

青の部屋は時計だらけだ。

何処の城の部屋でもこんなだと親父に聞いた。

静かな部屋の中にチクタクと時計が時を進める音がする。

…さすがの青の城でもここまでうるさくない。

ここまで来ると、イライラする。

 

「チトセさま。お茶でございます。」

 

オレはなにも言わず、受け取った。

 

 

 

 

・11・

〜 Fu-ka glance 〜

 

あたしはもっと外を見ていたい気がした。

なにか…大切なものに出会える気がしたから。

でも、そんなの全く叶わなくて…

 

「フウカ姫さま。サヤ王女でございます…」

 

と、サヤ王女が部屋に遊びに来てしまった。

 

「ご機嫌よう、フウカ姫…」

「随分お会いしてませんでしたね。」

 

…これが礼儀なのだろう。

王女としての。姫としての。

サヤ王女が羨ましい。何故こんなに優しく居られるの。礼儀正しく居られるの。

そして……

なんで大切な人といつも一緒なの…

レグルスという人と、二度と会えない運命だと言うことは知ってる。

けど…けど…ユリシスさまがいるじゃない。

心から信頼できて、サヤ王女のことを誰よりも心配してくれる、そんな人が。

なんで…なんで…

あたしは…チトセと当たり前のように一緒にいた。

けど、いきなり消えた。

帰ってきてくれたけど、あれきり会えてない。

再会のあの日を…今では夢のように感じてしまう。

帰ってきてくれたって、会えなければ意味はない。

心のつっかえ棒になってくれただけで、大きな柱にはなってくれない。

 

気がつけば、サヤさまは銀の部屋を出ていかれていた。

 

 

 

 

 

・12・

〜 Karin glance 〜

 

 

サヤさまとの座談も終わって緑の部屋の植物さんとお話をしていながらあることを考えていた。

チトセくん……

…それからフウカちゃんのことを。

 

(フウカちゃん…なんで秘密にしてたのかな?)

 

普段なら怒っちゃう。

けど、そんな感情は何故か起こらない。

チトセくんとフウカちゃんだって色々考えて誰にも教えなかったんだと思うし…

色んな事情があったんだと思うから。

わたしは嬉しいの。チトセくんが帰って来てくれて。

そのおかげで、フウカちゃんの本当の笑顔が増えた気がするの。

大好きなフウカちゃんの大好きな人が帰ってきてくれたらわたしまで嬉しくなっちゃうよ。

『カリンちゃん、どうしたの?』

黙りこくってしまったわたしを心配したのか、ツタがさわさわ揺れた。

 

「ちょっと考えごとよぉ〜」

 

ツタは、それ以上なにも聞かずに壁に再び張り付いた。

 

…わたし、チトセくんが好きだったなぁ…

でも、チトセくんが居なくなっても平気な自分が居て…

フウカちゃんより、哀しまない自分が居て…

自然に諦めてしまった。

フウカちゃんを心配して慰めた。

涙がとまらないフウカちゃんを見て、わたしも涙がポロポロ溢れた。

あの時のあの涙の意味は今でもわからない。

次の日にはフウカちゃんはものすごく元気だった。

けど、わたしには分かっていた。

 

《あれは嘘の元気…》

 

と、言うことを。

毎日、その元気を振る舞うフウカちゃんでも帰り道のふたりきりの道では元気が無かった。

何も出来ないわたしが嫌だった。哀しむフウカちゃんを見てられなかった。

 

(…チトセくん、フウカちゃんをどうして置いていったのよ!)

 

そう夜ベッドの上で嘆いたこともあった。

 

あの日、それは変わったのだけれど。

トイレから戻ったらフウカちゃんが泣いていた。

その時は咄嗟にあの手紙をまた読んだのだと思ったの。

だけど、違った。

きっとあの時、チトセくんが現れたのだと今は思う。

 

《フウカちゃん、もう、泣かないよね?

チトセくん、もう、居なくならないよね?》

 

ふたりの輝く笑顔をいつでも見ていたいよ……!

 

 

 

 

 

・13・

〜 Karin glance 〜

 

 

召使いさんに部屋を出され、ママと合流し、大きな扉の前に来た。

 

「女王様がカリン姫に会いたいと言ったの。ちゃんと礼儀正しくしてね。」

 

わたしは黙って頷くと、ママと一緒に部屋に入った。

そこには、よく知る赤の女王様がいて、ちょっと感動してしまう。

 

「おはようございます。女王様。緑の城のカリンでございます。」

 

深々と頭を下げて挨拶をすると、一歩後ろに下がった。

 

「まぁ、カレンのように華やかな子ね。こんなにじっくり見るのは初めてだわ。」

 

女王様にジーッと見つめられてドキドキしてしまう。

 

「そう?まぁ、そうかも知れないわねぇ〜。カリンちゃんが生まれた時以来かしら。」

「そのぐらいになるわね。カリン姫は頭のいい子と聞くけれど…」

 

頭がいい子だなんてっ。

 

「学校の先生に褒めてもらえるわ。カリンちゃんはとって優しいって」

 

ママまでぇ〜!

 

「でしょうね。優しい顔をしてるもの。」

「あぁ、そうだわぁ。今日の会議にカリンちゃんは…」

「出てもらうわ。ちゃんと、席も用意しておくからね。」

 

出るのぉ?

出ないものだと思っていたわぁ〜。

 

「わかったわ。カリンちゃん、行きましょう。」

「わかりました。お母様。」

 

わたしがドアと出た時、床を見ながらレイア様の後ろを歩くフウカちゃんを見たとき、わたしはなんだか嬉しかった。

 

 

〜 Fu-ka glance 〜

 

 

「フウカ姫。赤の王女がお呼びだ。出て来なさい。」

「はい、お母様。」

 

あたしはママに呼ばれて部屋を出た。

ガチャ…と扉を開けると、たくさんの侍女が道をズラーッと作っていたので飛びのいてしまった。

 

「付いて来い。」

 

ママがクルッと背中を向けて、その道を歩き始めた。

その、歩き方からあたしを心配してくれているのだと…何故か思ってしまう。

後ろ姿なのにね。

 

ついた先には大きなドアがあって、そこには魔獣が描かれている。

 

「これはレイア女王様。フウカ姫様。どうぞお入りくださいませ。女王様がお待ちでございます。」

 

丸いメガネに灰色のヒゲ。黒のタキシードを着た、いかにも執事らしいその人はゆっくりとその大きなドアを開けた。

 

「女王様。レイア女王様とフウカ姫でございます…」

「入れて良い。」

 

その人は頭を下げたまま、その部屋から出るとママとあたしを入れた。

まず、あたしは頭をぺこりとさげ、

 

「女王様、銀の城のフウカと申します。」

 

と、言ってゆっくり頭を上げた。

女王様は赤の髪をゆったりと肩におろし、少し垂れた目からは優しみが溢れている。

これが、赤の城の女王様。

そして、サヤ様のお母さんなんだ。

その、女王様はママを見てからゆっくりとあたしの目を向けた。

 

「レイアが言っているほどやんちゃにはないけど…」

「今日だけだ。普段はまぁ…やんちゃ過ぎるのが悩みの種なのだ。」

「そう…でも、レイアに似て綺麗で可愛らしいじゃない。」

 

えっ!?

綺麗なんて、初めて言われた…

それに可愛らしいなんて、無縁よっ。

お世辞よね、きっと。

 

「最近は勉強を真面目にするようになったとは思うが…そんなに変わったか?」

「ええ、とても。サヤの婚約パーティーの時から比べたらとてもね。落ち着いた瞳をしてるじゃないの。」

…あたしはどんな反応をすればいいのー!!

「そうか……ああ、そうだ。今日の会議にフウカは…」

「出席してもらうわ。ちゃんと席も用意しておくわよ。」

 

嘘ー!出るの!?

 

「わかった。では、失礼する。…フウカ、行くぞ。」

「はい、お母様。」

 

あたしはドキドキする胸を押さえながらママと共に部屋を後にした。

 

もう直ぐ部屋という時、黒いシートが見えた。

 

(ん?なんだろ、これ…)

 

その方向を見ていると、レイ王子がチラッと見えて一瞬ドキッとしてしまう。

 

(ままま…まさかねぇ〜…)

 

そう思いながら期待してしまい、ずっとシートを見つめながら歩く。

ふとその足元を見たときだった。

 

(あの…青の靴…)

 

チトセの物だと思った。

何故なら、それはチトセが前に履いてあたしの家に来たから。

 

(…チトセ…?)

 

違うと言い聞かせたくてもココロが言うことを聞かない。

もっと見ていたいのに、部屋についてしまった。

 

 

 

 

 

・14・

〜 Chitose glance 〜

 

 

レイ兄さんがオレをドアの向こうから呼んだ。

 

「チトセ、ちょっと来い。」

 

オレは黙ってドアの前に立つと慎重にドアを開けた。

バッ…

と、また漆黒のシーツで姿を隠された。

 

オレはレイ兄さんに連れられ、大広間に着いた。

大広間には女王がいて、オレの包まれた漆黒のシートに厳しい視線を送っているのを痛いほど感じた。

…そりゃそうだ。

オレのことなど何も知らされず、得体の知れない黒い布がいきなり現れたのだから。

 

「女王様。弟のチトセです。」

「チトセ…?…ああ、時の壁の使い手か。前に死んだはずだが。」

「いえ。チトセは死んでなどおりません。あれは誤報でございます。」

 

レイ兄さんの声に更に空気がピン。と詰める。

 

「…誤報?」

 

いかにも不機嫌そうな声に一緒ビクついてしまう。

 

「…まぁよい。姿を見せよ。」

 

オレを囲んでいた布が取れ、明るい赤の景色が広がる。

 

「チトセ王子よ。」

「はい。」

「今回のこと、お主はどう思ったか。それだけが聞きたい。」

 

少し、オレは迷いがあった。

なんとも言えない、世界中を騙していたという罪悪感。

知らぬ間に死んだことにされていたからオレは悪くないと思う気持ち。

どちらかと言えば、オレは悪くないという気持ちの方が強かった。

でも、世界のためには罪悪感を選ぶ方がいい。

そう思い、口を開こうとした。

口を半分ぐらい開けた時、オレはハッとした。

これは…ふさわしい事なのか?

 

『オレは悪くない。』

 

それは違うような気がして。

オレだって城の者。

オレじゃなくたって、同じ城の者が言ったことなんだ。

それにオレは真実を知っても、ウソだと言うことを世界に知らせなかった。

それじゃあ…

 

『同罪』

 

なんだ。

フウカにも、カリンにも。

そして、クラスの奴らを傷つけたことには変わりない。

 

「…罪悪感があります。」

「どうしてだ。」

「…世界中の人々に嘘をついていたから…です。」

 

オレは重々しくいい、ゆっくりと女王の顔をみた。

女王はしかめていた顔を緩めている。

 

「よく言った。大体は嘘をつき、いいイメージを持たせたいと思ったり、正直に言い過ぎることがある。」

 

女王はにっこりを微笑み、優しい声でいった。

 

「でも…貴方はそれがなかった。誇りに思っていいですよ。」

 

 

 

 

 

・15・

〜 Fu-ka glance 〜

 

 

 

 

金色のドーナツ型のテーブル。黄金に輝くアンティーク椅子に紅のクッション。

そして、肌色の壁に描かれた魔獣はとても勇ましく、威厳に満ちている。

 

「これから第××回、王族会議を始める。」

 

そう話す赤の女王と隣よサヤ様は清楚な身なりでいかにも「王族」というふいんきを漂わせていた。

あたしは今、ママの隣にちょこんと座っている。いや、ちょこんととは違うかもしれない。

銀色の流れるような服はこの金色の髪には到底似合わない。でも、そんな服を着ているからちょこんととは言えないのだ。

右隣のカリンは顔が引きつり、緊張気味の様子。

カリンは黄緑色の女王とお揃いのワンピースを着ていた。

ライトグリーンの髪と瞳によく似合っていて、なんだか落ち込む。

…左隣にはレイ王子がいて、その隣に黒い布で隠された人がいるのだった。

 

「ではまず、この春に高校へと進学した王女がふたりいる。銀の城の王女、フウカ姫と緑の城の王女、カリン姫だ。」

 

あたしとカリンは立ち上がって一礼する。すると他の王族が拍手をしてくれた。

 

「ご存知のように、フウカ姫は銀の城。カリン姫は緑の城の王位継承者であり、学業の方もよく、フウカ姫に関しては運動神経が抜群であります。」

 

その言葉を聞きながらまた席につく…

ホントにもう、お世辞はやめてください…女王様…

 

「そしてこのふたりは高校卒業後に王位即位を予定している。」

 

…はぁ…

ママたちみたいな女王になる日も近いってワケね。

実は、ここ3年、お見合いを数え切れない程している。

チトセを忘れられないあたしを見て、ママが考えてくれたことだとは思ってる。

…でも、チトセより大切な人は居なかった。

だから、まだ独身。

普通だったら独身はあたりまえだけど、サヤさまなどの王族に比べたら、「まだ」。

ママも遅かったから気にしなくていいとは言われたけど、正直なところチトセとり大切な人が見つかるか自身が無かった。

 

「そしてもう一つ。重大発表がある。」

 

女王さまは深刻な顔をして、そう言ったのだった。

 

 

 

 

 

・16・

〜 Fu-ka glance 〜

 

 

 

(重大…発表…?)

 

あたしの胸がざわつき始める。

周りの王族たちは眉間にしわをよせ、心なしか、隣のレイ王子の顔が固まっていた。

 

「青の城の王子のことだ。」

 

…っ!!

カリンもピクリと反応する。

 

(ま、まさか…だよね?)

 

壁中にいた召使いたちは窓を閉め、サッとカーテンで覆うとドアから出て行った。

それを確認するかのように部屋中を見渡すと、重々しく口を開いた。

さっきまで吹いていた風も小鳥のさえずりも日の光も一切入らない部屋の中。

その中で、カチコチと大きな振り時計が時を刻んでいた。

 

「青の城の王子は今、12人だ。末の第13王子は既に亡くなっている。…このことについて、レイ王子からあるそうだ。」

 

レイ王子の首筋からは一筋の汗が流れている。

他の王族の目線も、あたしの目線も、みんなレイ王子に注がれる。

 

「青の城の第13王子は……

 

 

 

 

 

生きています。」

 

(!)

 

「では、何処にいるのだ。」

 

黄の城の王様が質問する。

レイ王子は隣の黒い布を指した。

 

「…ここです。」

 

 

さっきのは…見間違いじゃ…無かったんだね…チトセ…

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。