らくだい魔女と最初のラブレター   作:空実

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視点:チトセ→フウカ→カリン


・4・

この場所に帰ってきて、何日かたった。

親父には変わらず適当に出迎えられ、兄の命令を聞いて過ごす、あの毎日またやってくる。そう……思っていた。

オレが兄の命令を聞かないとならないのは、オレが十三人もいる王子の末っ子だからで。青の城では、兄の命令を弟は必ず聞かないとならないルールがある。もちろんオレにはなんの得もない。

だからなのか、オレの身の回りの世話係はオレよりも兄たちを優先していたし、慣れていたから別にそんなもんだと思っていた……のだが。

 

「チトセさま〜っ、どちらにいかれたのですかー?」

 

気のせいだろうか。

大量の城のメイドたちがオレを追い掛け回しているのは。

……そう、帰ってきてから扱いが変わった。

兄弟の一員として、ちゃんと数えられるし、兄弟としての上下左右はあるものの、それ以上の格差が……ないと言ってもいい。

半ば放任されて育てられたオレには違和感が絶えなかった。

(……この扱い、やめて欲しいんだけど)

オレの存在は城の者、そして城に使える者。そして、フウカだけがしっているのだが、使える者たちはなぜかオレにつきまとう。

親父曰く、明日から出発する王族会議でオレのことを発表するらしい。また国が混乱に見舞われても、慌てるなよ。と。慌てていたのはそちらのくせに。

 

「ふぅ……」

 

そう、ため息を吐いた時、上から聞き覚えのある声がした。

 

「チトセ。どうした?ため息なんぞ吐いて」

「レイ、兄さん……?」

 

レイ兄さんが目の前に立っていた。

前までレイ兄さんの方が全然大きかったのに、今ではもうほとんど変わらない。時の流れというのは、時に残酷だ。

 

「明日の王族会議だが、チトセも出ることとなった。もちろん、フウカ姫とカリン姫もだ」

「へ……?レイ兄さんが出るとは聞いていましたが、なぜ第十三王子の……」

「本人がいた方がいいのだろう。それから、明日は平日なのだが……フウカ姫とカリン姫は学校を休むそうだからな」

 

……レイ兄さんのことは尊敬してるし、まあいいんだけど。

最後の情報いるか?なんて、ふと思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え、ママ、今なんて……」

 

あたしはママにもう一度確認を取った。

 

「だから何度も言っているだろう。明日出発する王族会議にフウカも出ろと言っているんだ」

 

久しぶりにママが帰ってきたからと、ウキウキで出迎えたら「ついてこい」と大広間。ママは何食わぬ顔で、そんなことを言った。

 

「えっとぉ、学校は?」

「なんのためにあの学校に入ったんだ……休みの連絡くらい入れている」

 

当たり前だろう?とママが言う。

確かにハリーシエルは王族学級のあるような、だからこそかなり融通の利く学校だけど。

 

「ちなみに、カリンも出席する」

 

あからさまに嫌そうな顔をしたあたしに、ママが最後の切り札を切り出した。

カリンがいくなら、というあたしの思考回路をよく理解してくれている。

けど。今はそれ以上に、あることを期待してしまうあたしに嫌になる。

 

(そんなワケないっ。あいつは十三番目だし…来るとしたら一番上のレイ王子だけだよ……)

 

来ない、来ないって自分に言い聞かせても頭がいうことを聞かない。

 

(そうだよ、カリンも来るんだからっ(

 

そう考えたらなんだか心が落ち着いた。

何故かカリンがいると安心する。

それは、あの頃からずっと変わらないんだ。

 

「フウカ、明日は朝早い」

「う、うん。おやすみ、ママ」

 

ハァ……とため息をついて窓の外を見る。

するとキラキラと星たちが瞬いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「えぇ〜!?わたしも明日の王族会議に行くのぉ〜?」

 

ママからの申し出に素っ頓狂な声をだしてしまいまった。

 

「でもぉ、わたしはまだ高校生よぉ?れ

「レイアからの申し出なのっ。ってことで明日は朝早いからカリンちゃん、早く寝ないとねっ」

 

部屋に戻ろうとするママをわたしは慌てて引き止めた。

 

「えぇっ?レイアさまぁ?……じゃあ、ひょっとしてぇ、フウカちゃんもなのぉ?」

「もちろんよっ。じゃあね〜」

 

いつもと同じ、能天気なママに少々呆れながらも自分の部屋の植物さんに目を向ける。

 

「ねぇ、みんなぁ。わたしがいっていいのかしらぁ?」

 

と、問いかけると植物さんはわさわさと揺れた。

『カリンちゃんなら大丈夫だよ。』

『頑張ってね。』

そう、植物さんたちに励まされながらその夜は眠った。

 




ぐちゃぐちゃごめんなさい……

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