チートベル君が行く‼︎   作:ジャガ丸くん

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投稿が長い間滞ってしまい申し訳有りません。

しかも間違えて途中投稿してしまったり、別の作品の新規投稿でやってしまったりとグダグダで、本当にすみません。

これからまたぼちぼち投稿していきますので、優しい目で見守ってください。





???「3話目じゃ」

ぽちゃん、ぽちゃんと天井からしずくが垂れ落ちる音が薄暗い洞窟の中で木霊し、洞窟独特の肌寒さと相まってより一層不気味な雰囲気を醸し出していた。そんな場所を僕とリューさんは足元を濡らしながら歩いていた。普段なら絶対に来ないようなこの洞窟はオラリオの都市から南西50キロに位置している。そんな場所を2人で訪れているのは訳があった。

 

「ここであってるんですよね……」

 

「はい、3枚目に記されていた場所は確かにここでした」

 

僕の不安げな声にリューさんは優しく答えてくれるが、彼女もまた疑問に思っているに違いない。

 

あの日、思わずリューさんの胸で泣いてしまった後、あまりの恥ずかしさに地面に転げまわりながら悶え、その姿を見られてしまったことに今度はorzの形で落ち込んだ僕をリューさんはクスリと笑いながらただ頭を撫でてくれた。そんな一連の流れがあった後、3枚目の…最後の手紙を開けてみればそこに書いてあったのはこの洞窟を指す地図とその下に一文。

 

『この地に、我が友あり』

 

「「それだけ⁉」」

 

思わず叫んでしまった僕らは悪くないと思う。

 

 

 

そんな理由があり後日、というか本日、ここまで来ているのだが、本当にこんな場所にアストレア様の友人がいるのか不安が積もっている。ジメジメしているし、寒いし、何よりも薄暗い。アストレア様のような方の友人ならば、もっとこう…太陽が燦々と降り注ぐ中四方八方を駆け巡る!みたいな方を想像するのだが……

 

「ベルさん」

 

そんな僕の思考を遮るようにリューさんに呼ばれ前を向く。

 

 

 

 

MA ZI DE ⁉

 

 

はいありましたよ。

なんか如何にもそれっぽそうな扉。

なにこれラスボスか何かが出てくるのかってくらい豪華なんですけど。

なんでこんな薄暗い洞窟の中に、物語の最終ボスの部屋へと続くような扉があるんだよ⁉

 

 

「開けますよ?」

 

わぁ…リューさん冷静…

僕が若干というか、とんでもないキャラ崩壊しててもお構いなしに進んでいくよ…

 

 

 

 

そんな僕の心などお構いなし。

リューさんはその大きな扉に手を当てると、力を籠め押し開いていった。

 

 

重そうな扉もlevel4のステータス補正があるリューさんには何のその、開ききったその扉の中に足を踏み入れ僕らは進んでいこうとするが、その歩みはすぐに止められてしまう。

 

「ふむ、別にそれ以上進む必要はないぞ。我はもうここにおるのだからな。」

 

 

 

「ほわぁぁぁぁぁぁぁぁああああ⁉」

 

突如として天井に立っている一人の少女、否。

 

一柱の神によって。

 

 

「かっかっか。中々良い反応をするではないか」

 

その神は緋色の髪を揺らしながら笑っていた。

 

「しかし、ようやく来たか。待ちくたびれたわい」

 

そういって彼女は体を反転させて地面へと着地する。

 

 

 

「あなた様が、アストレア様のご友人でしょうか」

 

驚き尻餅をついてしまった僕とは正反対にリューさんはその神の目を見ながら訪ねると

 

 

「かか、まぁそう慌てるでない、疾風よ。おぬしもベルのような反応をしてくれてもよいだろうに」

 

となぜか残念そうに言ってくる。

 

困惑する中、とりあえず立ち上がり、知りについた汚れを払っていると、まぁよいか、っと小声でつぶやいたのが聞こえた。

 

 

「ふむ、とりあえずは入るといい。話はそれからだ」

 

その瞬間周囲に灯りがともる。

 

「さぁ、まずは何から始めようか…」

 

 

黒い天幕をバックと怪しくともる灯りが彼女の不気味さを引き立たせながら、彼女は妖艶に笑っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《人称変え》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてさて、まずは自己紹介からがよいか」

 

そういう我は珍しくも笑っていた。

 

 

「まぁ、我はおぬし達のことを知っておるから良いがおぬしらは知らんからの」

 

 

その言葉にうなずく2人にを見ながら、久しく名乗っていなかった自身の名を述べる。

 

 

「我はシヴァ。破壊を司りし神であり正義を司りし女神であるアストレアの悪友じゃよ」

 

そんな我の言葉に今度はベルだけでなくリューまでも目を丸くしている。

 

かか、相変わらず面白いのぅ。

 

「悪友ですか」

 

「かかか、そうじゃよベル。我らは悪友じゃ。司るものは正反対。性格も違う。合えば口喧嘩が当たり前の仲じゃ。それでも我らは友なんじゃよ。普段は互いの理にならないことばかりなのに、いざとなったとき、最も頼りになる。悪友なんてそんなもんじゃよ」

 

 

今回もな

と我が続けると2人は何かを察したのか雰囲気がわずかにだが変わった。

 

「私たちに託された手紙にはここの場所が「みなまで言わんでいい」」

 

 

 

変わった雰囲気の中リューが話そうとするがそれを止める。

 

「すべてわかっておる。だからこそ、そうしておるのだ。アストレアについて、そしてあやつから託されたものについても、主らに教えることは可能だ」

 

 

「「では「しかしのぅ」」」

 

「主らには覚悟はあるのか?」

 

 

その瞬間我は自身の神威を解き放つ。アストレアのように、厳しくも芯はあたたかな神威ではない。

 

禍々しく、普通の子ならばそれだけで死んでしまうやもしれない、そんな破壊の神が出す神威だ。

 

「「っつ⁉」」

 

 

思わぬものに2人の体が少しだけ沈む。

目の前にあるものに対する恐怖、我が発する破壊にオーラに思わず膝を落としそうなほど、震えている。

 

 

「ほぅ……」

 

 

思わず関心の声が漏れてしまった。

我が感心するなんてそれこそ数千年、あるいは数万年ぶりかもしれない。

 

「ありますよ」

 

そう、目の前の少年から突如として震えが消えたのだ。

 

 

「ベルよ、恐れはないのか?我に対してだけではない。知るということは、何かを得るということは同時に何かを失うというリスクを背負うことなのだぞ?」

 

 

だからこそ、感心したからこそ少し意地悪な聞き方になってしまう。

 

 

「怖いですよ。怖くないわけがない。この状態になっても失うことに対しての恐怖なんて消えるわけがない。でも、それで歩みを止めたら何かが変わるんですか⁉リスクを嫌がり逃げたら何かが好転するんですか⁉しない。僕はそれで変わったためしなんてない。だから立つんです。過去でもない、未来でもない、立って、立ち向かって、自分が変えられる今を変えるんです」

 

 

そういう彼の背後に懐かしい2人の漢が見えた気がした。

 

方や全能とまで言われた最高の一柱と方や暴獣とまで言われたかつての最強の一人が、その少年の背後に立っていた。

 

 

(ふぅん。やはりおぬしらの忘れ形見は凄まじいの。我の神威に耐えるだけではなく、よもやこちらに対して威圧を返してくるとは)

 

 

今は人の世から姿をくらませた2人も悪くない仕事をする。

何よりもこの少年を我に託したアストレアには感謝してやってもよいくらいだろう。こんな面白い子供は、こんなに我を楽しませてくれる子供たちは初めてなのだから。

 

そう思いながら、増えた我に対する威圧のほうへと視線を移す。

 

「私もあります。昔の私はただ逃げていました。でももう逃げません。逃げるわけにはいかないんです。私のためにも、アストレア様のためにも、そしてベルのためにも。私だけが逃げるわけにはいかないんです。過去は変えられないし、未来なんて不確定なものに頼ることはできない。だからこそ私も今を生きる。そして今を生きるために聞かなければならない。その結果さらに苦しむことになろうと、私は受け止めます」

 

強い意志がそこにはあった。

か弱く、あとは消えていくだけだったそのわずかな火種が、ベルという外部からもたらされた奇跡によって、再び強く燃える業火となったのだ。

 

 

(アストレア、お前は大した奴じゃ)

 

彼女の言葉は正しかった。

 

かつて我は人の子などに興味はなかった。

 

あのように脆弱で、歪み、醜く、地を這いまわる種に興味などかけらもわかなかった。しかしそんな自分に彼女は言った。

 

『人の子の可能性は無限大なんだよ。ただそれが正にも負にも無限なだけなんだ』

 

 

この時の彼女の言葉を我は鼻で笑った。

ついにその目も曇ったかと……

 

 

 

(曇っておったのは我のほうだったか)

 

あやつめ、と心の中でどこかうれし気に悪友を小突く。

 

 

「その覚悟やよし」

 

 

そういって神威を解くとふぅ、と2人が息を漏らした。

 

 

「ならば、まずはこれを見せねばなるまいな」

 

 

そういって一つの貝殻を取り出しそのとんがった先を押すと一つの映像が流れ始めた。

 

 

「「なっ⁉」」

 

 

そこには2人が慕う、正義の女神アストレアの姿が鮮明に映し出される。

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~

 

 

ねぇ、これ映ってるの?

 

ー映っておるわ!いいからさっさと話さんか

 

え?もう映ってたのね…んん。

久しぶり?ベル、リュー。

これを見てるってことは私のあの手紙に気が付いたってことね。

一体何年たってるかわからないけど、ベルが来た頃だろうから、4~7年くらいかしら?本当は2人に直に会いたかったんだけど、これを見てるってことは、それは叶わなかったみたいね。

 

手紙は見ただろうからここでは多くは語りません

 

 

 

 

 

 

 

でも

 

ーじゃあなんでわざわざ撮ってるんじゃ

 

 

ちょっと、シヴァは黙ってて!

 

ふぅ。

でもあなた達に一つだけ、どうしても言葉で伝えたいことがあったのでここに残します。ベル、リュー。あなたたちは私にとって最高の家族です。たとえ眷属でなかったとしても、たとえ復讐に走ったとしても。私にとって大切な家族であること。これは未来永劫変わらないし、あなたたちがほかのファミリアに行っても変わりません。だからこそ、あなたたちの思うように生きてください。もし困ったことがあればシヴァに頼めばいいですし

 

ーおい、勝手に何を言ってる

 

彼女なら何でも協力してくれます

 

ー無視かこの……

 

 

だから、頑張ってベル、リュー。

いつの日かあなた達の名がそちらだけでなく、天界にも響き渡ることを楽しみにしています。現代に生まれし英雄ここにありと。

 

 

またね、ベル、リュー。

あなた達の幸福を祈っています。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~

~~~~~~~~~~

 

 

そう締めくくり、映像はプツリと消えていった。

 





ベル「リューざん、ざんわめおわぢゃいまじだ」

リュー「とりあえず顔を拭きなさいベル」

ベル「だっで」

シヴァ「かかか、おぬし我の神威に抗った時とは雲泥の差じゃのう。面白いやつめ」


ベル・リュー「⁉」

シヴァ「ん?どうした鳩がファイアボルトを食らったような顔をして」


ベル・リュー「いや、それオーバーキルっていうかなんでいるんですか」

シヴァ「なんじゃ、つれないのう。我とて今後メインキャラになってゆくのだからここに登場してもよいじゃろう」


ベル・リュー「荒らされる。このあとがきが……」


シヴァ「まぁよい。次回からあとがきでも我が活躍するから期待しておるのじゃぞ?」


ベル「あとがきが……」

リュー(ベルとの2人の時間が……)

シヴァ「さてさて、次回第4話”掲げる御旗”ここから我らの眷属物語が始まる!」

ベル・リュー(僕・私たちの仕事が……………)






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