ーーー ヴェネチア ーーー
多少雲があるももの夜行性動物や吸血鬼以外なら晴れやかに気分にさせる晴天空を今、地中海に長靴型の形で突出している欧州の一国であるロマーニャ公国の空軍の爆撃機群が戦闘編隊を組んで飛んでいた。
更にその爆撃機群の周囲には戦闘機を模した現代の魔女の箒である物を両足に纏った戦乙女達たるウィッチ達…そんな少女達を世界中から選りすぐりを集めて編成された四番目の軍団である第504統合戦闘航空団(504JFW)ことアルダーウィッチーズ(とは言うがロマーニャ空軍の精鋭たる赤ズボン隊がその母体である関係で構成要員の殆どが地元ロマーニャ人であったが…)も各々の得物の銃を携えて飛んでいた。
否、寧ろ本来の南アルプスからの欧州反攻の職務を離れてまで行われている此のトラヤヌス作戦に彼女が最も緊張していて大半の者達が先程から自分の銃の動作確認を仕切りに行っていた。
「……目標視認!! みんな、警戒体制に入って!」
そして彼女達の心情を表すかの様に空が曇って暗くなる中でいよいよ目的である……西暦1939年に突如として現れて欧州を瞬く間に席巻した謎に包まれた全人類の敵ネウロイの巣である巻き貝型の天を貫いていそうな暗雲を504JFWの戦闘隊長(副隊長)にして数少ない非ロマーニャ人の竹井醇子(通称:ジュンジュン)が確認して部下達に警戒を促した。
潤子の指示通りに部下達が一斉に銃を装填した直後にそのネウロイの巣下部からSF作品に出てきそうな未来的な兵器型の姿のではなく、彼女ウィッチに酷似したネウロイが現れた。
「…あれが人型ネウロイ」
元々報告だけでなく戦友にして元部下……先年にブリタニア防衛に成功するだけでなくガリア解放までもを成し遂げた501JFWことストライクウィッチーズの戦闘隊長であった坂本美緒から聞いた存在に潤子は驚いていた。
だがそんな醇子に反して当の人型ネウロイは彼女の所に近付いてきて、人なつっかしく飛び回っていた。
「……報告通り、友好的みたいね…」
部下達は警戒していたが、此れまた報告通り…初会合時に501JFW処か人類連合軍そのものを自爆に近い形で混乱に貶めた人型ネウロイだが、場数を踏んだ醇子が実際確認した処確かに友好的であった上に何より殺気を感じれないでいた。
「……良し、トラヤヌス作戦をやるわよ」
トラヤヌス作戦を…人類側が反攻に転じたと言え未だに苦しい戦況が続いていたが、ネウロイと講和及び共存共栄を狙った作戦が実施可能と判断した醇子は人型ネウロイが自分から展開した多面体の赤い結晶…ネウロイ達の核にして弱点であるコアに恐る恐る触れようとした。
此れもネウロイがコアを通じて自分達の記憶を見せる行為だとの報告を聞いていた。
「…此れが……此れが上手くいけば争いに終止符が…」
正直人型ネウロイが何を見せるかの不安が大いにあったが、事が上手くいけば憎しみが憎しみを呼ぶネウロイとの戦いを終わらせる事が出来る僅かな可能を信じる醇子は恐怖と不安を押さえ込んで必至に手を伸ばしていた。
「…っ!?」
だが潤子がコアに触れる直前、軽い頭痛を感じさせる奇妙な電子音が突然響きだした直後に人型ネウロイが背後から光弾に撃ち抜かれて白い光子となって消えた。
此の攻撃をネウロイの同士討ちかと醇子は疑ったが、そのネウロイの巣から慌てて出てきているリベリオンの試作中と伝え聞くB-35(フライング・ウィング)に酷似した形のネウロイ達を次々に撃ち抜いている光弾がネウロイの物でないと見てとれた。
そしてネウロイの巣を蜂の巣にして消滅させた攻撃の主が上空より降下してきてそれを呆然と見上げている潤子達504JFWの面々に反して慌てふためく様に飛び回っているロマーニャ空軍の爆撃機群への攻撃を開始していた。
『…醇子、どうしたの!?
そっちで何が起こってるの!?』
そんな醇子のインカムに504JFWの司令であるフェデリカ・N・ドッリオが驚き戸惑いながら質問してきた。
「…こちら竹井、フェデリカ…トヤラヌス作戦は破綻したわ」
『破綻!? どう言う事なの!?』
「……円盤よ……超大型円盤がネウロイを殲滅しt…」
自分自身の目を疑いながら報告する醇子が部下達共々円盤から放たれた光が直撃して完全に消滅し、フェデリカの応答を求める怒鳴り声を発しながらインカムが醇子達の銃共々落ちていった…
此の出来事に加えて奇妙な電子音を響かせて南下を始めた円盤を連合軍が完全に知り得るのに時間がかなり掛かるのだが、此れこそが後にミステリアンと名付けられる新たなる敵との初会合である事を誰も知る訳がなかった。
時に西暦1945年…それは501JFWがブリタニア防衛及びガリア解放を成し遂げて解散して僅か一年後の事であった。
感想・御意見お待ちしています。
と言う訳で“ゴジラvsモゲラ”の九話後書きで予告した通り、出鼻を“鋼の錬金術師 紅きエリクシルの悪魔”をヒントに書きました。
美緒
「…(台本を見てる)…何か見た処、此の作品は低予算制作でいく筈だったのに、作者の欲望が暴走しかけてるよな?
ヤマトぶち込む予定辺り言い訳は出来ないぞ」
元々ヤマトはガミラスのキャラをカールスラントの高官として出すのみだったのですが、それがいつの間にか拡大していっちゃって……ほ、ほらゴジラ新平成のGMKだって監督の欲望が良い方向に暴走している名作だって言われていますし…
勿論、ストライクウィッチーズと地球防衛軍の二つを基本にしますが、ミステリアンはかなり設定を弄ってて、変更したのを一つ…原作では核戦争で母星が滅んだミステリアンですけど本作ではキングギドラとの争いで滅んだとしています。
此の為にミステリアンはキングギドラに異常な警戒心と恐怖を持っていますが、キングギドラ本人は直接は出ませんので…
美緒
「…処であらすじで私が退役とか不吉な事が書かれているが、此れも“さらば~”が関係しているのか?(ちょっと怒ってる)
後、501JFWに死者が出たりとかはしないだろうな!?」
うん、その副作用でね……何でそうなったかは本編で書きますので…だからと言って美緒が出ないと言う事はありませんので…烈風丸を抜かないでぇぇー!!!
美緒
「問答無用!!!」
……後、先行情報であらすじの戦艦『アリゾナ』は戦闘面では拡散波動砲とミサイルの無い今年後期の“宇宙戦艦ヤマト2202”にも出る戦艦『アンドロメダ』みたいな超『モンタナ』級としています。
もしかしたら最後でネウロイ化するのは『大和』ではなくて『アリゾナ』かもしれませんよ…って来たぁぁー!!!
美緒
「『烈風斬』!!!」
ぎゃあぁぁー!!!