ラブライブ!サンシャイン!! Aqoursの戦国太平記   作:截流

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どうも、截流です!

半年ぶりの最新話です!今回千歌ちゃんたちの出番はありませんが、是非とも楽しんでいただけると幸いです!


それではどうぞお楽しみください!!


37話 氏政の策

 1574(天正2)年3月、千歌たちが氏政の命令で関宿城に派遣される1ヵ月ほど前のこと。氏政の下に1人の使者が駆け込んできた。

 

「―――なるほど、それで成繁の倅どのは我らの援軍が欲しい・・・と」

 

「はい、上杉謙信は無人の野を往くが如く膳、女淵、深沢、山上、五覧田といった我々の城を根こそぎ落とし、金山城を囲った次第でありまして・・・」

 

 氏政の前で平伏しながら話をしているのは上野国(現在の群馬県)の国衆、由良国繁の使者であった。国繁は北条が上杉と結んだ越相同盟の立役者の一人である由良成繁の息子で、去年――1573(天正元)年に父から家督を継いだばかりであった。

 

 卑賎の身分から領主の座に成り上がり、乱世の厳しさをこれでもかと味わって来た成繁は老い、若く独立心が旺盛で上杉や北条から独立した勢力を築こうとしていた。さらにそれに呼応する形で国繁の弟である長尾顕長が、上野国を騒然とさせる行動に出たのだ。

 

 かねてより上杉謙信から館林城代を任されていた広田直繁を暗殺し、館林城を乗っ取ったのだ。独立する気配を見せる国繁に、直属ではないとはいえ謙信の部下を暗殺した顕長、この兄弟を謙信が野放しにするはずなど無かった。

 

 そして1574年3月に上杉謙信は2年ぶりに三国峠を越えて関東に出陣し、由良国繁を攻めた。その過程は使者が氏政に報告したとおりである。

 

 

「ふむ。援軍を送ってやりたいのは山々だが、生憎こちらは関宿を取るための準備で忙しくてな」

 

 氏政は少し気だるそうな声色で扇子を閉じながらそう言うと、

 

「ど、どうか援軍を・・・!国繁さまはそのためならば北条に従う旨を誓書にしたためるのも厭わないと申しております!!どうか・・・!」

 

 使者は再び使者は畳に頭をこすりつけて氏政に懇願した。すると氏政はその言葉を待っていたかのように、

 

「あい分かった、そこまで言うのであれば断れんな。援軍を遣わそう」

 

と、氏政は使者に扇子を向けて援軍の派遣を約束した。

 

「ありがたき幸せ!!では早速金山城に戻って国繁さまにお伝えします!」

 

 使者は歓喜の表情を浮かべ氏政に礼を述べ、頭を下げるとそのまま大広間を出て行った。

 

「いいのか?そう易々と援軍を派遣すると言って」

 

 出て行った使者と入れ違いに、皮肉を言いながら入って来たのは北条綱成の嫡男であり、氏康の死と同時に隠居した綱成から家督を譲られた氏繁であった。その後ろには弟である氏秀がいた。

 

「まぁまぁ兄上。氏政どのにも何か考えがあるのでしょう」

 

「そうだ、だからこそお主たち2人を呼んだ。まぁ座ってくれ」

 

 氏秀の言葉に相づちを打った氏政は氏繁と氏秀に座るように促し、2人もまたそれに応えるように氏政の前に座った。

 

「さて、お主らも聞いていたとは思うが・・・」

 

「上杉が金山城を囲んでいるのだろう?」

 

「由良長尾の兄弟の事ですから降伏すると思っていたのですが、籠城を選ぶとは意外でしたね。」

 

 氏秀は由良国繁・長尾顕長の兄弟が上杉に降伏しなかった事を意外に思っていた。由良や長尾を初めとした北条と上杉の間に領地を持つ国衆たちは常に上杉が関東に来れば上杉、上杉が越後に帰り北条が迫ってくれば北条、といった具合に従属先をひっきりなしに変えるという、一歩間違えれば即滅亡というミスの許されない生き残りを懸けた駆け引きを行なっていた。

 

 余談ではあるがもちろん中には一貫として同じ勢力に付き続ける国衆もいないわけではなく、下総の千葉氏や原氏、高城氏は北条に、北武蔵の羽生城を拠点としている木戸忠朝は上杉、といった具合にそれぞれの勢力に従属し続けている。

 

「援軍を出すとは言ったが気が進まんな俺は。はっきり言わせてもらえばあいつらは信用ならん」

 

「氏繁どのの気持ちは分からんでもない。だがわしからすれば、上杉が金山城に目を向けているうちにやる事をやっておきたいと思っているのだ」

 

「なるほど、それで上杉が囲みを解けば由良には恩を売れるというわけか」

 

「かといって由良が滅んでもそこまで痛くはない・・・。上手く行けば一石二鳥を狙えますね」

 

 氏政の言葉に氏繁と氏秀は合点がいったように口を揃えた。だが氏政は、

 

「いやいや、それだけでは済まさんよ。成田にも恩を売り一石三鳥を狙うぞ」

 

と、不敵に笑いながら三本指を立てながら2人に言った。

 

『成田・・・?』

 

 氏繁と氏秀は首を傾げた。今のところ上杉に寝返る気配もなく北条に尽くしている成田にわざわざ恩を売る理由が分からなかったからだ。

 

「ははは、まあいきなり言って別れと言うのも理不尽だな。おい、あの地図を持って参れ」

 

 氏政は自分の言いたい事が分かりかねていた2人の呆気にとられたような顔を見て一笑いすると、小姓に命じて地図を持ってこさせた。

 

「さて、2人ともこれを見てくれ。」

 

 氏政はそう言って小姓に地図を氏繁と氏秀の前に地図を広げさせた。そこには利根川とその周辺にある城が記されていた。

 

「金山城と羽生城はそれぞれ利根川に面しておるだろう?」

 

「金山城の方は利根川より離れてはおりますが・・・」

 

「―――なるほどそういう事か」

 

 氏政の言葉を聞いた氏繁は彼の言わんとしたことが分かったのか膝を叩いて呟いた。

 

「一体どういうことなのです兄上?」

 

 氏秀は氏繁にどういう事かたずねた。

 

「氏政どのは羽生城を囲むつもりなのだ。そうだろう?」

 

「うむ、その通りだ氏繁どの。お主は話が早くて助かる」

 

 氏繁の言葉に氏政は満足げに頷いた。

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 この図を見て頂けばわかる通り、金山城と羽生城は利根川を挟むように位置している。羽生城を囲むという事は即ち利根川の周辺に大軍を展開するという事であり、謙信は金山城から動けなくなる。

 

 それでは由良への援軍にならないと読者の方々は思われるかもしれない。だが上杉謙信には由良への攻撃の他にやる事があった。それは北条家がこれから攻撃しようとしている関宿城への救援だ。謙信としては由良などさっさと片づけて関宿城を助けに行きたいのだが、利根川の対岸にいる北条軍に背を向けることはできないと氏政は踏んでいた。

 

 話は逸れるが、羽生城は忍城を治める成田家にとっては目の上のたん瘤であると同時に喉から手が出るほど欲しい城であった。これを囲み、さらに落城させた暁に成田家に褒美として与えれば氏政の言う通り成田家に恩を売る事ができる。もちろん成田家には当然働いてもらう事にはなるのは言うまでもない事ではあるが。

 

 氏政の言う一石三鳥の策とは、

 

①これから侵攻する関宿城への救援の阻止

②金山城への間接的支援で由良に恩を売る

③羽生城を攻撃することで成田に恩を売る

 

というものであった。

 

 

 関東平野のほぼ中心に位置する交通と通商の要衝たる関宿城と、関東において一途に上杉への忠誠を尽くしたほぼ唯一といってもいい木戸忠朝が籠る羽生城、謙信にとってはどちらも秤にかけることはできない。かと言ってそのどちらかに向かえば金山城から由良・長尾軍が出てきて背後を突かれる。

 

 つまり上杉軍は金山城を囲むつもりが逆に金山城、羽生城、関宿城の三方向から敵に囲まれる形となるのだ。

 

 

 

「なるほど・・・。氏政どののおっしゃることは分かりましたが、それをやろうとすればいくつかの軍勢を用意しなくてはならず、『一石三鳥』にはならないのでは・・・?」

 

 氏秀はそう氏政に反論した。だが氏政はそれすらも織り込み済みと言わんばかりに笑い、

 

「だからこそお主たち兄弟を呼んだのよ。氏繁どのに羽生城を囲んでもらうためにな。」

 

と、氏繁に言った。

 

「つまるところ、俺が率いる羽生城攻略の軍勢が由良への間接支援部隊であり、上杉軍の動きを封じる牽制部隊であり、そして羽生城を攻略することで成田に恩を売る部隊である・・・。そういう事だろう?」

 

「な、なるほど・・・!」

 

「その通りだ。そういう訳で済まんが、頼むぞ氏繁どの」

 

 氏政の意図を代弁してみせた氏繁の言葉に氏秀は驚嘆し、氏政は流石と言わんばかりに頷き、氏繁に出撃を要請した。

 

「なぁに、別に構わんさ。俺は父上が今は先代氏康公の右腕だったように氏政どのの右腕・・・、いやそれは氏照の役目だからせめて左腕くらいではありたい。だから遠慮なく使ってくれ」

 

「ああ、頼りにしているぞ氏繁どの!」

 

「では私は兄上の背後を固めつつ江戸から羽生へ向かいましょう!」

 

 氏繁と氏秀は氏政の期待に応えるべく頭を下げた。

 

「そして成田氏長にも出撃命令を出しておく。此度の戦で武蔵や下総における上杉の影響力を一掃する!心してかかれよ!」

 

『ははっ!!』

 

 氏政の言葉に頭を下げると2人はすぐにそれぞれの居城に戻るべく、部屋を後にした。

 

「いよいよ、本格的に打って出るのですな?」

 

 そう氏政に声を掛けたのは御馬廻衆の筆頭であり、氏政の側近の一人である山角康定であった。

 

「ああ。ここ数年は耐えてばかりだったからな。ようやく、といったところだな」

 

「千歌どのたちもそろそろ戦に出たいとぼやいておりました」

 

 康定は書類仕事や雑務に追われながらぼやく千歌の姿を思い出し、笑いながら氏政に言った。

 

「そうだな、千歌どのたちも内政の仕事にだいぶ慣れて来た事だし戦においても少し先の段階に進んでもらうか」

 

 康定の言葉を聞いた氏政は何かを閃いたかのような表情でそう呟いた。

 

「先の段階に進む、と言いますと?」

 

「千歌どのたちを関宿に送る。氏照の陣に付いて行かせ、そこで戦について更に学んでもらうのだ」

 

「なるほど、確かに氏照さまは家中きっての戦上手。彼女たちの模範にはもってこいですな!」

 

「そういう訳だ、千歌どのたちに伝えておいてくれ」

 

「ははっ」

 

 氏政の指令を伝えるように言われた康定もまた千歌たちの元へ去って行った。

 

 

 

 そして氏政の命により氏照が関宿城に侵攻すると同時に氏繁が羽生城に侵攻し、包囲を開始した。羽生城は北には利根川と通じている広大な蓮池、他の三方も湿地や水田が多くさらに幾重にも堀が張り巡らされている水の城であり、攻め手となる陸地は少ない。

 

 氏繁は陸地側から羽生城を遠巻きに囲むと同時に羽生城から利根川への船が出入りするルートを厳重に封鎖した。ここで成田家の協力が活きることになる。

 

 成田家は源平の時代から利根川の渡し、つまり船着き場として発展してきた要衝の長井郷を領地に持っており、船を数多く動員することができた。もちろん、岩付城代として岩付を支配している氏繁も利根川を封鎖するために船を動員していたが、それでもやはり船が大量に必要なので成田家当主の氏長に協力を仰いだのだ。

 

「氏繁どのの仰った通りに利根川の封鎖は完了しましたぞ!」

 

「ご苦労。しかし壮観だな。岩付からも船を連れて来たがお前が動員した船も中々の数だ。」

 

 氏繁は氏長を労うと同時に彼が動員した船の数に驚いた。

 

「ええ、長井郷の支配を任せている豊嶋長朝に命じて根こそぎ動員しましたゆえ。」

 

「これだけ大量の船があれば上杉軍も迂闊に手は出せまい。」

 

 船が大量にある、という事は対岸に大軍を運ぶことができるということ。補給路の閉鎖だけではなく上杉軍へのプレッシャーとしても役立っていた。

 

「それで、羽生城を落とした暁には・・・。」

 

「ああ、氏政どのはお主にこの城をくれてやると言っていた。励めよ。」

 

 揉み手で戦後の羽生城の処遇についてたずねて来た氏長に対し氏繁が素っ気なくそう言うと氏長は、

 

「ははっ、ありがたき幸せ・・・!ではこの成田下総守氏長、一所懸命に羽生城攻略に取り組ませていただきますぞ!」

 

と答えると、小躍りするような足取りで氏繁の陣から自らの持ち場へ戻っていった。

 

「さて・・・。これで氏政どのの策の大半は整ったが、上杉はどう動く?」

 

 氏繁はそう独り言ちると床几に腰を下ろした。

 

 

 

 

 

 一方、金山城を囲む上杉軍の本陣では―――

 

「氏政め、嫌らしい策を・・・。」

 

 金山城を見上げながら上杉謙信が不機嫌そうな面持ちで呟いていた。金山城は赤城山から関東平野に向けて突き出ている丘陵群の最南端にある金山に築かれた山城である。さらに金山城の北東には渡良瀬川、南には利根川が流れており、城下の平野部にはその両方から派生した小川が無数にある湿地帯があった。

 

 城自身が山を一つ丸ごと要塞化されたものである上に城下には湿地帯と、まさに守りやすく攻めがたい城の典型ともいえる城であった金山城を上杉軍は攻めあぐねていた。

 

 おまけに羽生城や関宿城から矢継ぎ早に救援要請が送られてきているにも関わらず、氏政の策によってどちらにも向かう事ができないでいる事も謙信の機嫌を損ねる原因となっていた。

 

「利根川の増水が収まったと思えば既に羽生城が封鎖されている・・・。我が来ると聞けば及び腰になる割にはこういう手回しだけは早いな」

 

 謙信は氏政の事を侮っている節があった。かつて氏政が下野で佐竹義重に退けられた際に、『加様に東方之衆にさえ出合い、敗軍せしめ候、増して愚の越山に旗を合わすべきか、腹筋に候 』と言う書状を謙信が書き残している。

 

 意味は「このように東方之衆(佐竹ら)にさえ敗れている。それなのに私が越山した時に戦えるものか、腹が捩れる」といった具合であり、佐竹にも勝てない氏政が自分に勝てるものかという自信に満ちたものであった。そんな書状を書くくらいには氏政の事を軽く見ていたことが伺える。

 

 それだけに氏政の策に翻弄されている現状を腹立たしく思っていた。

 

「おい、佐藤筑前守を呼べ。そろそろ羽生に送った補給船が着く頃合いであろう。」

 

 謙信は側にいる家臣にそう命じた。謙信は佐藤筑前守という家臣の進言を受けて、せめてもの持久策として30隻ほどの船に兵糧と弾薬を積んで羽生城に送り込んでおり、それが無事に羽生城までたどり着けたか報告を聞くためであった。

 

「・・・。」

 

 少し経って謙信の前に現れた筑前守の顔色は優れておらず、心なしか目も泳いでいた。

 

「筑前。羽生城への補給はどうだ。もちろん北条の妨害があり全部が無事に辿り着いたとは思っておらん。ありのままに報告せよ」

 

 謙信は筑前守の緊張を和らげるため、つとめて柔らかい声色でたずねた。

 

「そ、それが・・・。羽生城に送った補給船は、ほぼ全て拿捕されてしまいました・・・!」

 

「なに!?」

 

 筑前守が意を決したように声を絞って告げた報告を聞いた謙信は思わず立ち上がった。

 

「馬鹿な!30隻もあって1隻も辿り着かなかったというのか!!」

 

 普段は冷静沈着な謙信が顔を赤くし、凄まじい剣幕で筑前守に迫った。

 

「い、いえ・・・。全てと言うわけではなく、1隻は羽生城に辿り着いたとのことで・・・」

 

「馬鹿者!!それでは意味が無いではないか!!元はと言えば貴様が問題ないと言うからそれを信じたものの―――」

 

 それから謙信は筑前守に対しこれでもかと言わんばかりに説教をしたという。ちなみにこの羽生城への補給失敗についても謙信は「佐藤ばかものに候」と書き残している。

 

 

 

 

 

―――そして、その一方で羽生城の包囲陣では。

 

 

「上杉軍も早まった真似をしたものだな。わざわざこちらに兵糧弾薬を寄越すようなものだろうに」

 

 上杉が羽生城に派遣した補給船の拿捕が上手く行った氏繁が上機嫌に氏秀に語っていた。

 

「ええ。我々も一応兵糧や弾薬の類は数多くそろえてはいますが、やはりそれが増えるに越したことはありませんね」

 

 氏秀もまた上機嫌でそれに応える。当時の関東における攻城戦は基本的に短期決戦を想定して行われるものが多く。長期戦と言っても三、四ヶ月程度の包囲が基本的なものであった。かつて1560(永禄3)年に上杉謙信が小田原城を包囲した時も3ヶ月に満たない短期間のうちに包囲を解いている。

 

 しかし、この羽生城及び関宿城の包囲は半年以上にわたる長期間の包囲が行われていた。攻城戦において最も重要なのは兵糧であり、それを確保するための兵站線を保てるかが重要であった。もちろんこの時期にそれができる大名は限られていた。

 

 関宿と羽生の二つの城を囲む北条軍は、そこまでの通り道である岩付城や江戸城といった拠点を通じて数多くの物資を確保できたからこそ半年にもわたる長期間の間、城を包囲して兵糧攻めを展開することができたと言える。

 

 対する上杉軍は現在兵站線として確実に確保できている拠点は沼田城と厩橋城の周辺地域だけであり、兵站線が脆弱なのが上杉軍の致命的な弱点であった。ただでさえ兵糧の確保が大変なのにもかかわらず、羽生城が持ちこたえられるように自分たちの予備の兵糧を運び込もうとしたのがほとんど全部取られてしまったとなるともはや打つ手が無くなったも同然であった。

 

 

 

 そして1574(天正2)年5月、上杉謙信は金山城を引き払い越後へ帰国した。

 

「そうか・・・」

 

「残念そうですね、兄上」

 

 謙信撤退の報告を聞いてため息を吐く氏繁に氏秀が声を掛けた。

 

「まぁな。氏政どのの策では奴の動きを封じ撤退に追い込むのが目的で、それを達成することができたのは喜ぶべき事だろう」

 

「ですが、兄上は謙信と交戦するおつもりだったのでしょう?」

 

「やはり俺も地黄八幡の息子だからな、こういう睨み合いよりも直接干戈を交えて勝敗を決したかったよ」

 

 氏繁は自嘲するように笑いながら氏秀に自分の胸中を語った。実際に氏繁は5月4日に奥州の白河義綱に対して、今の発言と同じような内容を書き記した書状を送っている。

 

 

 千歌たちの知らぬところで氏政の策が動いている一方で、関宿城を巡る戦況が少しずつ動いていた。




いかがでしたでしょうか?

今回は関宿城の包囲と並行する形で行われていた羽生城包囲とそこに派遣された氏繁氏秀兄弟の話でした!何とか35話の氏繁のセリフの回収ができてよかった・・・。


次回は関宿城包囲とそれに関する上杉や、佐竹ら北関東組の動きがメインになる予定です!千歌ちゃんたちの出番はちゃんと確保しますぞ・・・w


それでは次回もまたお楽しみください!!

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