インフィニット・ストラトス〜古の英雄〜   作:ボイスターズ

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お待たせしました!
第4話です!
※戦闘描写を少々変更しました。


第4話 地底より来たるもの

Noside

 

数日後、午前の授業を終えて、一夏はいつものメンバーに食事に誘ったのだが、それぞれ用事で遅れるらしく、箒と久々に2人で食堂で昼食を食べていた。

それぞれカツ綴じ定食とミートソースを注文した。

 

「そういえばこうして2人で食べるのって久しぶりだな。」

 

一夏が懐かしそうに言っている。

 

「まぁ、最近はセシリア達と一緒に食べるのが普通だったからな。(ま、まさか一夏と久しぶりに2人で食事できるとはな・・!)」

 

箒はいつもの様にクールに話しているが内心では久しぶりに2人で食事できることに嬉し恥ずかしだった。

 

「箒?ボーッとしてどうした?」

 

一夏は既に食べ終わりかけていた。

 

「い、いや!なんでもない!なんでもないぞ!(い、いかん!手が止まっていた!)」

 

箒はいつの間にか一夏に見惚れて手が止まっているのに気付き食事を再開する。

そんな箒を一夏は不思議そうに見つめていた。

一方、学園の敷地内に怪しいフードの女が、地底にエネルギーを照射した。それにより、地底では2本のムチを持った一体の怪獣が覚醒し、地上に進行し始めた。

 

「フッ・・。」

 

女は不敵に笑い姿を消した。

 

 

ー放課後

 

「あー・・終わったー。」

 

今日の授業を終えた一夏は軽く伸びをして寮に向かっていた。

 

「(明日はIS実習があるんだっけ・・早めに行って休むか・・・)」

 

そう思って足を速めようしたが・・

 

 

ゴゴゴゴ・・・!

 

 

「うぉ・・!?地震!?」

 

突如地面が激しく揺れ始め、一夏は咄嗟に地面にしゃがんで手を付き態勢を整える。

 

「グオォォォ!」

 

「! 」

 

すると何かの雄叫びが聞こえ、一夏はそこに向かった。

 

 

ー食堂

 

 

『緊急事態発生!!緊急事態発生!!生徒の皆さんは直ちにシェルターに避難してください!!』

 

警報が鳴り響き、教員達の誘導の元、生徒達はシェルターへ避難して行く。

 

「山田先生!状況は!?」

 

千冬がモニタールームにやってきた。

 

「生徒の避難は完了しています。教員達が現在交戦していますが、余り効果が見られません!」

 

「なに!?」

 

山田先生がモニターを操作すると、そこには2本のムチを持った巨大な怪物が映し出された。

これぞ、《地底怪獣グドン》である。

 

 

ー避難用シェルター

 

 

「ねぇ何なのアレ!?」

 

「私達どうなっちゃうのかな・・・」

 

「大丈夫、大丈夫だから落ち着いて〜!」

 

教員部隊がグドンと戦闘している頃、シェルターに避難した生徒達は互いに身を寄せ合って落ち着かせながらモニターで様子を見ていた。なかには恐怖で泣き出している者もいる。

 

一夏達のクラスメイトである布仏本音は、そんな生徒達を友人達と落ち着かせようと必死になっている。

 

「おい、一夏はどうした!?」

 

同じく生徒達を落ち着かせていたラウラが一夏がいないことに気づいた。

 

「あれ・・!?見当たらない!」

 

「あいつこの非常時に一体どこへ!?」

 

箒達はシェルターを探し回ったが、結局一夏は見つからなかった。

 

 

 

 

学園外れの森、そこに一夏の姿があった。

 

「・・・」

 

一夏はスパークレンスを取り出し、戦場を見つめている。これから自分が向かうのは普段のISの試合とは違う。シールドバリアーも絶対防御もない、文字通り命を賭けた戦い、負ける訳にはいかない・・覚悟はできているが、緊張からかスパークレンスを握る手に力が入る。

すると、グドンが教員達のISをムチで狙い始めた。

 

「!」

 

一夏は時計回りに両腕を回しスパークレンスを天に掲げる。すると、スパークレンスの先端のパーツが左右に展開し、レンズ部分から放たれた眩い光が一夏を包み込んだ。

 

「くっ・・このままじゃ落とされる!」

 

「いったいどうすれば・・・!」

 

必死に避ける教員達だが、遂に限界を迎え、ムチが真正面に迫ってきた。

 

『キャアァァァッ!!』

 

もはやここまでだと思い、教員達はただ悲鳴を叫ぶ。モニターで見ている箒達も息を呑む。

だがその時、一筋の光が現れグドンを吹き飛ばした。

 

「な、なんだ!?」

 

「なんですの!?」

 

「眩しっ!?」

 

シェルター内のモニターで様子を見ていた箒達は突然現れた光に目を瞑る。

 

「まさか・・・」

 

「あぁ・・"彼"が来てくれたんだ!」

 

千冬と山田先生はその光の正体に確信を持った。

2人の予想通り、眩い光が晴れ、ウルトラマンティガが現れる。

 

「巨人だよ!巨人が来てくれた!」

 

シャルロットが笑顔を浮かべ、それを見てラウラが頷く。生徒達は初めて見たティガの姿に驚きを隠せない。

一方、ティガは教員部隊の安否を確認するべく振り返る。

 

「私達を、守ってくれたのか・・?」

 

教員の1人が呟くと、それを肯定するかのようにティガは頷いた。

 

「グオォォォォォ!」

 

ティガを見て、グドンは先程より力強い雄叫びを上げる。

 

「ッ!チャッ!」

 

ティガは構えると、グドンに突っ込んで行く。

 

「ジュアッ!」

 

ティガはグドンに飛び蹴りを仕掛けるが余り怯まない。続けて接近しパンチやチョップを放つ。

 

「グオォォ!」

 

グドンが次々とムチを振ってくるが側転とバク転などで避ける。

 

「フッ!ハッ!」

 

ティガもキックやパンチを繰り出してダメージを蓄積させていくが、グドンの強烈なムチに殴り飛ばされる。

 

「グオッ!」

 

追撃しようとするが、そこはティガが足元に蹴りを入れて怯ませる。

その隙に掴みかかるが、グドンは背中を利用してティガを後ろに放り投げた。

 

「ウワッ・・!デェアッ!」

 

ティガは地面に叩きつけられながらも、すぐさま立ち上がりグドンに連続でチョップを叩き込む。

 

「ハァッ!」

 

更にムチを掴んで一本背負いで投げ飛ばし、立ち上がったところに飛び回し蹴りを打ち込む。

 

「グウゥゥ!」

 

態勢を立て直したグドンはティガに猛スピードでムチを打ち込んでいく。彼はまだ本気を出していなかったのだ。

これでは流石のティガでも避けきれない。

 

「グッ・・!」

 

体に走る痛みに苦しむティガ。

グドンはティガの両腕にムチを巻きつけ、恐ろしい怪力を発揮してティガを持ち上げて地面に何度も叩きつけ、最後に遠くに投げ飛ばした。

 

「ウワァァァッ!!」

 

勢いよく地面に体を打ち付けたティガは全身に走る痛みに苦しむ。

 

「グゥゥゥ・・」

 

その間にグドンはなんと学園に向かい始めた。本能で餌の居場所を感知しているのだろうか?

 

「あいつこっちに来るぞ!?」

 

「そんな・・!」

 

箒とシャルロットが驚きと焦りの声を出す。生徒達も再び不安げな表情を浮かべる。

 

「・・!皆!ジュアッ!!」

 

一方ティガもそれに気付き、グドンの正面に上空から回り込んで抑え込む。

 

「グォォ!」

 

グドンも振り払おうと抵抗する。

 

「ハッ!チャアッ!!」

 

だが、ティガはグドンに脇腹に蹴りを入れ、更に回し蹴りで怯ませる。

 

「ジュアッ!」

 

絶対に学園には近づかせないーー決意を胸に学園を背にしながら構えるティガ。

その逞しい姿に生徒達の警戒は薄れ、少しずつ彼に希望を抱き始めた。

 

「ンンンン・・!タァッ!」

 

胸のカラータイマーが点滅し始める。

だがティガは負けない。

額のティガクリスタルを赤く発光させた後、両腕を組んで振り下ろし、赤き姿、パワータイプにチェンジした。

 

「グオォォォ!」

 

グドンがムチを振ってくるがーー

 

「フッ!」

 

ティガは右腕で容易く弾きとばす。

 

「グォォッ!?」

 

まさか弾き飛ばされるとは思っていなかったのか驚きの声をあげる。

その隙にティガはグドンに急接近してキックやパンチ、チョップを打ち込んでいく。

 

「グォッ!?」

 

先程のマルチタイプの時よりも上昇した破壊力にグドンは怯む。

 

「チャアッ!!」

 

最後に顔面にパンチを受けて吹き飛ばされた。

 

「よし!」

 

「いっけー!!」

 

「頑張って!」

 

箒と鈴、シャルロット、生徒達が声援を送る。

 

「フッ!ハァァァッ・・!デェアッ!」

 

ティガは胸の前でエネルギーを光球に変換。必殺のデラシウム光流を放った。

デラシウム光流を受けグドンは木っ端微塵に吹き飛んだ。

 

「やったー!」

 

「やりましたわ!」

 

シャルロット、セシリア、他の生徒達も喜んだ。

 

「ふっ・・」

 

「やりました!」

 

モニタールームの千冬と山田先生も喜んでいた。

 

「ジュアッ!」

 

そしてティガは空に飛び去って行った。

 

「一夏ー!」

 

シェルターから出た箒はこちらに向かって走って来る一夏に手を振っていた。

 

「おーい!皆ー!」

 

「一夏!あんたどこ行ってたのよ!?」

 

鈴が怒鳴りながら聞く。

 

「ごめんごめん。あの戦闘を屋上で見てたんだ。」

 

一夏が笑いながら言った。

 

「お前という奴は・・・」

 

「まったく・・」

 

それを聞いて箒達は呆れるしかなかった。

 

「それにしても、あの巨人が来てくれなかったら危なかったな。」

 

「あぁ・・」

 

「彼がいなければどうなってたことか・・」

 

ラウラの言葉に箒とセシリアは頷いた。

 

「なぁ、あの巨人に名前付けないか?何時までも巨人、巨人って悪い気がするし。」

 

「それもそうね・・・あ、マウンテンガリバーなんてどう?大きいし!」

 

「却下だ。弱そうではないかそれは」

 

鈴の案にラウラが即却下する。鈴はラウラを睨みつけるが彼女はどこ吹く風だ。

 

「それならさ、ティガの巨人だから・・"ウルトラマンティガ"ってどうだ?」

 

一夏が空を見ながら言った。

 

「ウルトラマン・・ティガ・・うん!いいよそれ!」

 

シャルロットが笑顔で答える。

 

「うむ、悪くないな。」

 

「"ティガ"には数字の3の意味がありますし、いいと思いますわ。」

 

「あたしもそれに賛成。」

 

「私もだ。」

 

箒とセシリア・鈴・ラウラも賛成してくれた。

 

こうして、巨人の名前は"ウルトラマンティガ"に決定した。




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