熱中症には気をつけましょう。今回は一夏の決意の話ですので戦闘描写はないです。
Noside
ゴルザ・メルバとの戦いを終え、帰還した
一夏達はそれぞれ寮の自室で報告書を打ち込んでいた。そんな中、一夏はスパークレンスを眺めながら戦っている時を思い出していた。
「(俺はあの時、戦い方を知っていた?)」
自分はウルトラマンになったのは初めての筈なのに、何故タイプチェンジといった能力を知っていたのだろうか?
それが気になった一夏は、その日は余り眠れなかった。
ー翌日
一夏達は地下の作戦会議室で昨日の出来事を話し合っていた。
「身長53メートル、体重4万4千トン。
胸のランプが点滅し始めてから、メルバを倒すまで数十秒・・・。
このことから、巨人は約3分間しか地球上で活動することが出来ないと考えられます。」
簪がモニターを映しながら説明する。
「何故そう言い切れる?」
ラウラが確信を持った言い方に疑問を持つ。
「逃走しようとするゴルザを彼は追わなかった・・いえ、正確には追えなかった。」
「限界時間が迫っていたから・・?」
一夏の言葉にその通りと頷く楯無。
「あの時彼には、ゴルザを追うだけの時間がなかったのよ。」
「だからメルバを倒すことを優先したのか。」
箒が納得した表情で呟く。
「この巨人は、戦いの中で姿を変えていました。」
山田先生がそう言いながらモニターに巨人を映し出す。
「最初はこの赤と紫・・仮にマルチタイプとして、パワーとスピードのバランスが良く、あらゆる状況に対応でき、赤一色になったこの姿はパワータイプと呼称し、凄まじい怪力を発揮し、マルチタイプ以上の破壊力を持っていると思われます。」
「なら、最初からこの姿で戦えば良かったんじゃ・・?」
鈴が山田先生に意見する。
「私達も最初はそう思いました。しかし・・・」
そう呟くと山田先生はメルバに避けられた際の映像を出した。
「そう言えばどうして当たらなかったんでしょう?」
「!最初より動きが鈍くなっている!」
セシリアの疑問に一夏が気づいた。
「メルバのような素早い敵にはこの紫一色のスカイタイプが有効で、破壊力こそ低下しますが、その分動きが身軽になるようです。」
「つまりこの巨人は状況に応じて自分の体をコントロールできるということですね。」
一夏の言葉に山田先生がえぇと頷く。
「そしてこのタイムカプセルなんですが・・・」
簪がキーボードを操作してカプセルを起動させ、ユザレを映し出す。
『ーーゴルザとメルバを倒すのです。巨人を蘇らせる方法はただ1つ、一夏が"光"になることです。」
なんと今までノイズだった部分が語られた。
だが・・・
「はぁ・・・この部分だけがどうしても修正できません。」
簪がため息を出しながら呟いた。
一夏side
カプセルのノイズ部分はちゃんと語られたのに、簪は何を言っているんだ?
しかもユザレはまだ目の前にいるのに。
まさか、俺にしか聞こえなかったのか?
「仕方がない。今日はこれにて解散だ、各自自室に戻れ。」
千冬姉の指示で皆は部屋から出て行く。
「俺は、もう少しこれを調べてもいいですか?」
咄嗟に俺は解析続行の意を出した。
「・・・いいだろう。だが、程々にな。」
千冬姉は暫く考えた後、承諾してくれた。
「ありがとうございます。」
全員が部屋から出たのを確認して、俺はユザレと向かい合う。
「あなたは、ホログラムなんじゃないのか?」
俺は驚きは抑えながらユザレに視線を向ける。
『確かにこれはホログラムだけど、このカプセルには私というAIが入っている。だからこうしてあなたと話せる。』
ユザレは俺にそう答えた。そして俺はある疑問をユザレにぶつけた。
「なんで俺だけ聞こえたんだ?」
『それは、あなたがウルトラマンティガだから。』
「どうして俺なんだ?」
俺は一番気になっていたことをユザレに言った。
『あなたの体内には、超古代人の遺伝子と記憶がプログラムされている。そしてそのスパークレンスこそ、あなたがウルトラマンティガであるという何よりの証。』
俺は右手を見ると、スパークレンスが握られていた。
いつの間に出したのか?
「タイムカプセルを作る程の技術と文明がありながら、あなた達は何処へ行ったんだ?」
『ある者は滅び、またある者は他の地へ旅立った。』
俺は衝撃を受けた。あれだけの巨人がいながら文明が滅びたのだから当然だが。
「巨人はティガだけじゃなかったんでしょ?あなた達を守ることはできなかったのか?」
『"ウルトラマン"は人類の選択には干渉しない。何故なら、彼らは"光"だから。でも一夏は違う。あなたは、"光であり、人"でもある・・・』
「なるほどな・・・つまりこの力があれば皆を守れるってことだな?」
俺は笑みを浮かべながら呟いた。
『随分と落ち着いているわね?』
ユザレが少々驚きながら聞いてくる。
「まぁ驚いてはいるけど、これまで色々あってもう慣れてるんだ。」
俺の言葉にユザレはそうと呟いた。
『そろそろ戻らないとまずいんじゃないかしら?』
ユザレはそう言いながら時計を見る。
時計を見ると、あれからすでに1時間半も経っていた。
流石にそろそろ戻るべきか。
「ユザレ、色々教えてくれてありがとな。」
『いいえ、迷う時があったら来るといいわ。力になる。』
俺が礼を言うと、ユザレは優しく微笑んで姿を消した。
「俺は戦う。この力で皆を守る!」
スパークレンスを見つめながら、そう言うと、俺の決意に答えるかのようにそれは力強く輝いていた。
ー学園の森
そこにはフードを被った怪しい女ががいた。
「ティガ・・お前はいずれ私が消し去ってやる。"あのお方"の野望のためにな・・。」
女はそういう呟くと、瞬間移動で姿を消した。
この女・・・一体何者なのか。
ちなみに本作のユザレの姿は、「劇場版ティガ」に登場した高樹零さんverです。