リアルが忙しくなってきているため、なるべく早く更新したいとは思っていますが、今後は不明です・・。
「白猫プロジェクト〜光の祈り〜」も投稿しておりますので、そちらもよければご覧ください。
では、どうぞ。
OP【TAKE ME HIGHER(V6&一夏)】
「カレーライスお願ーい!」
「あ、はーい!」
IS学園の食堂にて、1人の若い女性がカレーライスを受け取り口に運んで行く。生徒はまだ授業を受けているため、普通は注文が来ることはない。だが食堂のスタッフ達は注文した人物を知っているので気にしない。
「はい、クロエちゃん。カレーライスよ!」
「ありがとうございます」
注文した人物ーークロエは、それの匂いで笑みを浮かべる。
学園の生徒ではない彼女は、生徒達と遭遇して怪しまれないよう、こうして授業中に食事するのだ。
カレーを渡した女性も丁度休憩時間らしく、一緒に昼食を摂ることに。
「フフ、クロエちゃんは本当にカレーが好きよね〜」
「はい、とても美味しいですから」
女性はスパゲティを食べながら、クロエをまるで妹を見守る姉のような目で見ている。
「それにしても本当にいいの?此処の生徒になればラウラちゃんと一緒に食べられるし、友達を作ることだって・・」
「えぇ。今は束様や我夢さん、藤宮さんのお手伝いをしたいので」
以前クロエは、束に学園の生徒になるのはどうかと尋ねられたことがあった。その際、エターナルの整備や装備の開発に少しでも協力したかったために断ったそうだ。
束としては、人生に一度しかない高校生活を、妹と共に楽しんで欲しいそうだが・・。
「そういえば、リリカさんって此処の生徒に人気ですよね」
「そうなのよね〜この前も、恋愛相談に乗ったこともあるし。まっ、成就したから結果オーライだけどね♪」
紹介が遅れたが、この女性の名前は"須藤梨々香"。
IS学園の食堂で働く21歳。まだ働き始めてから2年だが、姉のような優しさを感じることから、多くの生徒に慕われている他、従業員にも娘のように可愛がられている。
容姿はとある指輪の魔法使いの仲間の刑事によく似ていて、束が「中々かわいい」と認める程の美人。
「しょ、成就させたんですか・・」
「そうよ〜報告に来たぐらいだもん。それで、一夏君はどう?」
この学園の唯一の男子生徒である一夏の恋愛はどうか気になったのだろうが、クロエが首を横に振ったことでため息を吐く。
「えぇ〜・・一夏君、まだ気付いてないんだ・・」
「一応、意識してはいるのでしょうけど、最近は色々あったからか本人は気付く気配がなくて・・。それに、近頃シャルロットさんを気に掛けているらしいです」
「そういえば、前に此処で揉めていたわね。一夏君すごいキレてたし」
この揉め事というのは第41話を参照。
「梨々香さん、ひょっとしなくともコレはーー」
「うん、一夏君は間違いなくシャルちゃんのことが好きってことよ。でも何で気付かないのかしらね〜・・・」
そしたらお祝いパーティーできるのにぃ!と怒る梨々香に苦笑するクロエ。
その後、休暇時間が終わるまで2人は姉妹のように話していた。
「「ハクションッ!?」」
同じ頃、1組ではご本人達が寒気を感じたとか。
◇
「あー疲れた〜・・」
1日の仕事を終えて部屋に戻った梨々香は、首に下げているペンダントを外して開く。そこには、彼女の両親が映った写真が入っている。
「お父さん、お母さん・・もう2年も経つんだね。私が"この星"に来てから・・」
悲しげな表情を浮かべて意味深な言葉を呟いた後、梨々香はペンダントを抱いて眠りに就いた。
「ヴォオオオオオン・・!」
同じ頃、宇宙空間を一体の怪獣が飛んでいた。狼が悪魔になったような姿をした怪獣は、まるで獲物を追い求めるかのように、地球へと向かって行った。
◇
翌日、学園の地下会議室では、束とクロエが朝早くからあるメッセージの解析を行っていた。
どうやら、2年前に銀河の彼方から発信されたものを、学園の衛星がキャッチしたそうだが・・?
「どうだ2人共。例のメッセージは順調か?」
1限目までまだ時間があったため、千冬が様子を見に来た。
「ごめんねちーちゃん。あのメッセージ、少ししか解析できなかった・・」
「解析自体は何とかできたのですが、通信が乱れているために文字が途切れてしまっていて」
「そうか・・」と考え込む千冬だが、少しでも情報を得るべく、束にメッセージを見せてもらうことになった。
そこにはこう書かれている。
『我ら・・・全滅・・・悪魔・・・ルガ・・危険・・・注意』
ーーと。
「・・まるで何かの警告のようだな?」
「うん、この"悪魔"っていうのもどうも気になるんだよね」
メッセージの送り主は一体何を伝えたかったのだろうか?
同じ頃、亡国企業にいるゼットも同じようにこのメッセージをキャッチし、解析を行っていた。
「成る程、アイツがこの星に向かって来ているのか。確かかなりの強さを持っていたな・・ティガ、精々頑張ってこの星を守れ。」
ま、できるものならなとゼットは呟き、部屋を後にした。
◇
「それでねーー」
「へぇ♪」
食堂では一夏達と梨々香が朝食を摂っていた。生徒に見えても違和感がないほどに梨々香は溶け込んでいる。
「それにしても大丈夫なんですか?梨々香さん、厨房に行かなくて」
「えぇ。おばちゃん達が今日ぐらいは任せておけって言ってくれたから」
「まぁ、それならいいですけど」
サムズアップしながら答える梨々香に苦笑いする一夏。
「一夏く〜ん?ひょっとして梨々香さんに照れてるの〜?」
いつの間にか後ろの席にいた楯無が、一夏をからかうように頬を突くがーー
「・・・俺にはもう通じませんよ?」
「あら♪」
一夏にはあまり効果がなかった。楯無の扇子には《残念!》と書かれている。どういう仕組みなんだろうか・・。
「・・・・・・」
一方、箒達は嫉妬のあまりギリギリと音がなる程歯を噛み締めていた。
「あー皆、よく分からんがちょっと落ち着け。な?」
一夏に言われて全員渋々と言った感じで食事を再開する。
「一夏君、本当に気付いてないのね・・」
一夏の様子にため息を付きながらスペゲティを食べる梨々香。
「え?何がですか?」
「そういうとこなんだけど・・」
「?ため息ばかりだと幸せが逃げるって言いますよ?」
意味がわからないと首を傾げる一夏に、梨々香はため息を吐くしかなかった。
『(今更だけど、一夏って・・バカなの?)』
「(バカってなんだよバカって!?俺は普通だぞ!)」
自分のISにまで呆れられる一夏なのであった。
《pipipipiーー》
「!」
そこへ、千冬からオープンチャネルで通信が入ってきた。
『全員聞こえているな?たった今入った情報だが、政府の衛星が地球に向かってくる謎の飛行物体を捉えた。映像をそっちに送る』
すると、梨々香を除いた全員の前に小さなモニターが展開され、衛星の映像が映し出される。
「なによ・・これ?」
「怪獣、ですわよね?こんな禍々しい姿を持つ者がいるなんて」
鈴とセシリアが驚きの声を上げる。身体の大きさや、目と思われる部分が見えるため、怪獣であることは間違いないのだろう。
だがその禍々しい姿に、他の者達も声には出していないが顔が驚愕に包まれている。
「(ルガノーガー・・まさか私を追って!?)」
モニターを覗こんでいた梨々香は、その名前が頭に浮かび、怒りを感じる。彼女はこの怪獣を知っているのだろうか?それに、自分を追ってとは?
「(梨々香さん?)」
『このままの方向だと、到達時点はこのIS学園・・奴の飛行速度からして、此処に降り立つまでそう長くはない。これより、直ちに緊急避難要請を出す。お前達はまずその誘導に当たれ!』
「了解!」
一夏達が返事をした瞬間、学園の至るところから警報が鳴り響き、生徒達は教員の指示に従いシェルターに向かう。
箒達もそれに参加する。
「・・・」
一夏も、先ほどの梨々香の表情に違和感を感じつつ、生徒の誘導を行うのだった。
◇
「さぁ皆、落ち着いて避難して!」
迅速な対応もあってか、生徒達は動揺こそすれどパニックにはならず、無事にシェルターに避難した。
「おい一夏、どこに行く?」
「ちょっとな・・」
ふと目を向けると、隅っこで体操座りをして床に座っている梨々香を見つけた一夏は彼女の元へ向かう。それを見つけた箒達5人も、後のことを楯無とマドカ、簪に任せてそれに続いた。
「一夏君?」
「梨々香さん、少し・・いいですか?」
首を傾げた梨々香は、一先ず了承して外に出る。箒達はある意味で最悪の事態を予感したが、一夏の雰囲気からそれはないと察した。
「どうしたの?」
「あの・・さっきのモニターの映像のことで・・」
一夏の言いたいことが何となくわかった梨々香は、「あぁ・・あれか」と声を出す。その様子を、箒達は隠れて見ていた。
「すっごく怖い姿だったよね、まるで悪魔みたいな」
「そうですねーー」
苦笑いする梨々香に、一夏は覚悟を決めて問いかける。
「ーーけど、本当にそれだけですか?」
「え?」
その言葉で、全員の視線が一夏に向けられる。
「食堂で貴女を見た時、ただ怖いと思っているにしては妙に違和感を感じたんです。まるで憎い相手を見ているような、そんな顔でしたから」
そう言われた梨々香は顔を逸らすが、一夏は構わず続ける。
「梨々香さん、貴女はあの怪獣のことを知ってるんじゃないですか?それもずっと前から・・」
箒達が驚愕するなか、やがて観念したかのように梨々香は口を開いた。
「ーーその鋭さを、少しは他の女の子に向けなさい」
「・・・」
「聞いて、私のこと」
それから梨々香は語り出した。自分はこの地球の人間ではないこと、嘗てルガノーガーという怪獣によって家族や友人、故郷を失い地球に逃げて来たこと、そして地球人の愚かさと優しさを知ったことを・・。
「っ・・・嫌いにならなかったんですか?地球のことーー」
一夏や箒達は、身体の内側からルガノーガーに対する怒りが溢れそうなのを必死に抑える。
「まさか。寧ろ私達と変わらないって思った。地球人だろうがそうでなかろうが、必ず裏と表があるんだって納得したもの。お願い一夏君、ルガノーガーを倒して皆の仇をとって・・!」
「勿論です。皆もいいよな?」
一夏は後ろに声をかけると、箒達が出て来た。
「当然だ!」
「必ずやアイツを倒しますわ!」
「だから安心しなさい!」
「梨々香さんも、地球も!この学園の皆も、必ず守ってみせます!」
「大船に乗ったつもりでいるがいい」
全員の気持ちは、聞くまでもなく1つだった。
「皆、ありがとうーー!?」
「梨々香さん?」
「来る・・ルガノーガーが・・!」
気配を感じた梨々香は怒りの表情で空を睨む。彼女の目には、此方へ向かってくるルガノーガーの姿がはっきりと見えていた。
「ルガノーガーって、ひょっとしてさっき映像で見たアレ!?」
「えぇ。恐るべき怪獣で、緑豊かな惑星を滅ぼして来た宇宙の悪魔。私の故郷も、アイツに滅ぼされた・・・アイツは獲物を確実に仕留めるまで追い求める習性があるの。だからーー」
「自分を狙っているのではないかと?」
一夏の問いに頷く梨々香に、鈴は叫んだ。
「だったら尚更アイツを倒さないとダメじゃない!こうしちゃいられないわ、急いでISを展開してーー」
「ねぇ待って!一夏は!?」
みると、いつの間にか一夏の姿がなくなっている。
「こんな時にどこに行ったのだアイツは!?」
「仕方がありませんわ、私達だけで行きましょう!梨々香さんはシェルターに戻って下さい!」
箒達は自分のISを展開し、空へと飛び立った。
「(頑張ってね・・皆。そして、ウルトラマンティガ)」
シェルターに戻りながら、梨々香は戦士達を思った。
◇
「ヴォオオオオンッ!」
それから間もなく、一体の怪獣が地上に降り立った。全体的に身体の色は灰色だが、胸は銀色になっていて光を反射している。両肩に赤いクリスタルを1つずつ持ち、両手は顔のような形で鋭い牙まである。尻尾は、先端が鋭く尖っており、全てを貫く針のようだ。
これぞ、"狂獣ルガノーガー"である。
梨々香曰く「宇宙の悪魔」。
「行くぞっ・・・!!」
怒りに燃える一夏は、スパークレンスを天に掲げて展開。ウルトラマンティガへと変身した。
「・・・!!」
「ヴォオオンッ!」
拳を握り締めて睨みつけるティガに対し、ルガノーガーは敵対心剥き出しで雄叫びを上げる。
「フッ!!ハァアアアアアアッ!」
構えたティガは、梨々香の願いを叶えるべく、ルガノーガーに突撃して行った。
ED【Brave Love Tiga(インフィニットヒロインズ)】
※今作のルガノーガーに、狙った獲物を仕留めるまで追い求めるというオリジナルの設定を追加しました。
次回予告(一夏ver)
遂にルガノーガーとの決戦が始まった!流石に宇宙の悪魔って呼ばれるだけあって、かなりの強さを持っている・・。けど梨々香さんのために、地球を守るために、俺達は負ける訳にはいかない!その想いが、炎となってティガを包み込む!!
次回、ウルトラマンティガ〜The Beginning of Legend〜
『熱き炎』
お楽しみに!