インフィニット・ストラトス〜古の英雄〜   作:ボイスターズ

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皆さん、遅くなり申し訳ありません!
そしてあけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

今回は改修された白式の初出撃です。そして、白式に変化が・・。
では、どうぞ!




番外編 自由への進化

OP【Believe(玉置成美)】

 

 

「ファ〜ア・・」

 

「どうした兄さん、眠そうだな」

 

「おう・・」

 

1限目を終えた休憩時間、眠気からか欠伸をする俺ー織斑一夏ー。今日は早起きして鍛錬をしたこともあり、身体はまだ眠っていたいのだろう。

 

「ねぇおりむ〜まどっち〜この問題どうすればよかったかな〜?」

 

すると、のほほんさんが困った困った〜と呟きながら尋ねて来た。

彼女の特徴であるのんびりとした喋り方でまた眠くなってくるが、何とか我慢してノートを借りると、そこには高校生で習う数学の中でも少々難しい内容がーー

 

「ん〜?」

 

(ってこれは、先週の内容?復習も大事だよな・・)

 

それにしても字が綺麗だ・・マドカが覗き込んでいる間にそう思いながら、俺は解き方を書いていく。

 

「ーーこうすればいい」

 

「おお〜!さっすがおりむ〜」

 

「やっぱり織斑君の説明は解り易いよ・・」

 

「そうか?別に対したことないだろ」

 

「そんなことないよー!」

 

谷本さんに対しそう尋ねる俺に、彼女は自信たっぷりに頷く。

俺としては普通に書いているだけなんだがな。ま、解り易いのならばそれでいいかと思うが。

 

「そういえばおりむ〜。園田先生との模擬戦でスカイタイプ使ってたけど、今は身体大丈夫なの〜?」

 

「あぁ、あの時は痛くて痛くて大変だったけど、今のところそれはないよ」

 

「本当に辛そうだったもんね〜ご飯も食べにくかったんじゃない?」

 

「ハハハ、まぁな・・」

 

「あの時の兄さん、胸や腕に背中、足にも湿布を貼っていたからな・・」

 

「それ全身じゃない!?」

 

それから色々と世間話をしていると、あっという間に時間が経ち、次の授業の予鈴がなった。

 

「授業を始めるぞ、席につけ」

 

千冬姉の声に反応し、クラスメイト達は駆け足で席に戻っていく。あ、俺も準備しとかないとな。

 

「あ!もう時間か、戻らないと!」

 

「おりむ〜ありがとうね〜」

 

「おう」

 

そう言って、のほほんさん達は自分の席に戻っていった。

・・あれ?そういえば、箒達来なかったな。

 

 

 

 

「さて、今回は先日行った特別授業の後、諸君の端末に送った映像から見つけたであろう、それぞれの課題を発表してもらおう。まず・・そうだな、相川。お前からだ」

 

「はい」

 

まず清香が教壇に立ち、端末からスクリーンに映像を映して説明を始める。

それから出席番号順に課題を発表していき、次に一夏の番になった。

 

「ーーご覧いただいた映像の通り、状況打開の為、タイプチェンジを行ったまでは良かった。しかし元々高機動ができるハイマットモードに、速度特化のスカイタイプは相性が良すぎて逆に制動が困難になり、俺自身の身体にも多大な負担がかかりました・・このことから、今後も使用する場合はスラスターの整備が欠かせません」

 

「ふむ・・整備も確かに大事だが、使うタイミングを見分けられるようにならなければいかんな」

 

「そうですね・・身体への負担を考えると、この姿はあくまでも切り札とするべきです」

 

千冬と真耶の言葉に頷いた一夏は、無事に発表を終えて席に戻った。

 

一方、珍しく会話に加わらなかった箒達(楯無除く)はというとーー

 

「(話すことが何も浮かばなかった(びませんでしたわ)・・!」

 

2組(鈴)と4組(簪)もそうだがどういう訳か一夏と話す会話が浮かばず、結局休憩時間が終わってしまったのだ。

 

「(一体どうしたというのだ!?)」

 

「(今までこのようなことありませんでしたのに・・)」

 

「(あ〜最悪・・)」

 

「(これってひょっとして?)」

 

「(まさかこれは)」

 

「(アレ?)」

 

『(スランプ(か/ですの)!?)』

 

上から箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ、簪である。全員偶然にも同じタイミングで結論が出た。しかし、今は授業中、しかも発表が近い者もいる。

こんなとき1組はどうするかというとーー

 

「何をボーッとしているんだお前達は!?」

 

『あいたっ!?』

 

当然ながら千冬が対応することになる。

今回は5人の頭に出席簿が正確に当たり、フラッシュエッジの如く高速で飛んで千冬のもとに戻った。

全員その威力に頭を抱えている。

 

因みに鈴と簪は、流石に出席簿で叩かれはしなかったものの、注意されて俯いてしまったという。

 

「全く・・後で面倒なことになっても知らないぞ?」

 

『すいません・・』

 

「なにやってんだあいつら?」

 

全員がシュンとなりながら姿勢を正すのを、自身が原因とは知らずに首を傾げるのだった。

 

 

 

 

「あー終わった〜・・」

 

『お疲れ様』

 

第六アリーナでの高機動訓練を終え、更衣室に戻った俺は、椅子に座ってミネラルウォーターを飲む。

 

「ーーにしても随分変わったな、白式」

 

『フフ、そうだね』

 

俺は、右腕にあるガントレットを見る。それには赤と青のラインが走っており、更に剣と盾を持った1人の天使が刻まれている。

 

さっきから誰と会話しているかというと、勿論このガントレット(白式)だ。最も、この待機形態でも話せると解ったのは、最近だが。

普段は声に出しているが、人がいる場所では脳内で会話している。

 

『まだ、私のこと言わないの?皆はともかく、千冬には話した方がいいんじゃないかな?』

 

1人の少女のような明るい声で、話してくる白式に、俺は苦笑いを浮かべる。

 

「そう思ってはいるんだけどなぁ・・」

 

白式が俺と会話できること、言おうと思ってはいるのだが、どうもその気になれないんだよな。最も千冬姉のことだから気付いてると思うけど。

 

『ひょっとしていろいろ言われそうで怖い・・とか?』

 

「多分な」

 

多分って何よ全く・・と白式の呆れる声を聞きながら、俺は"あの日"の出来事を思い出していた。

 

 

 

 

「ーーOK。あ、国には考案したのは束さんだって話しとくね。いっくんが考えたって言ったら騒ぐだろうし」

 

「お願いします」

 

それは、ガクマと戦った日のこと。自分達のISの改修が決まり、千冬が操縦者に、束が各国に連絡を取るなか、寮を出た一夏は、1人整備室に来ていた。

 

理由は、白式の説得である。というのも、白式は装備の追加を兎に角嫌がるからだ。簪の打鉄・参式と同じ開発先である倉持技研は、その我が儘っぷりにお手上げだったとか。

 

「さてと・・」

 

一夏は白式を展開し、専用のハンガーに乗せた後、自身のタブレットと白式をケーブルで繋ぐ。

そして、ネットワーク経由で白式にメッセージを送り始める。

 

「(束さんが、コアにはっきり伝わるとは言ってたけど、本当にそうだ)」

 

束が箒と和解してから今日までの1週間、一夏は彼女に頼んでISに関する知識、技術をある程度頭に叩き込んだ。

結果、ISの簡単な整備なら1人でも行えるようになったのだ。

今彼が行っているのは、束曰く、コアに自身の気持ちを伝えるのに最も適した方法である。

 

「ーーって、やっぱりそう来るよな」

 

画面には当然というべきか「NO」という文字が表示されている。その後何回かたのんでみたが、結果は同じだった。

すると、こんなメッセージが届いた。

 

『今の私は、ウルトラマンの力を得ている。これ以上強化する必要はないんじゃない?』

 

「確かに俺やお前はウルトラマンの力を得て、皆を守れるようになったのかもしれない。でも、この前のオータムとの戦いを覚えているだろ?零落白夜の連続攻撃でも倒しきれなかった。奴のことだ、今度は本気で潰しに来る。それに、ゼットのことも・・・」

 

あの戦いで、オータムは一夏の攻撃がまるで通じておらず、スカイタイプになって有利にはなったが、結局逃げられてしまった。

その時、彼女はまだ力を隠しているように思えたのだ。ゼットに関しても、どれ程の実力者かわからないために不安を感じていた。

 

「頼む、今のままじゃいずれ皆を守りきれなくなる。そんなのは嫌なんだよ・・絶対に!」

 

少しの沈黙の後、再び白式のメッセージが届いた。

 

『ーー今回だけは認める』

 

ただその一言だけだったが、一夏にとってはそれで十分だった。

 

「ありがとな」

 

 

 

 

そして時は流れ、箒達が久良々島に出撃して少し経った頃のこと。

 

「篠ノ之博士、遅いですね・・」

 

「織斑の機体は、第3形態に移行しているからな。他のようにはいかないんだろう。(それにしても"最高の装備を入れる"と言っていたが、何を加えるつもりなんだアイツは・・)」

 

ーーそれから数分後

 

『いっくんお待たせ!白式の改修終わったから、直ぐに地下カタパルトに来て!』

 

「!」

 

束の放送を聞いた一夏達は、直ぐに部屋を飛び出しエレベーターに乗り込んで地下2階へと降りる。

 

「おーいこっちこっち!!」

 

降りてみると、そこには束とクロエが待っていた。

 

「そんなに叫ばなくても聞こえますよ束さん」

 

「えへへ〜そう?」

 

「おい束、白式はどうなんだ?」

 

「問題ナッシングだよちーちゃん!はい、いっくん!」

 

「ありがとうございます」

 

一夏は束から受け取ったガントレットを見てみると、ある変化に気付いた。赤と青のラインの他にも、新たに剣と盾を持った天使が刻まれているのだ。

 

「ところで篠ノ之博士、白式はどれ程の進化をしたんですか?」

 

そう尋ねる真耶に対し、束の目がキラリと光った。

 

「フフフ、それは見てのお楽しみ!さぁいっくん、展開して!」

 

「はい!」

 

一夏は千冬達が離れたのを確認して、白式を展開する。

 

 

【BGM(翔べ、フリーダム)】

 

 

「うわぁぁぁ・・!」

 

「ほう、随分と変わったな」

 

その姿に真耶が興奮するなか、千冬はあっさりとした感想を述べる。

 

新たな白式は背部中央に2基のメインスラスターが追加され、カスタムウイングが5対10枚になっている。

 

武装はそれぞれ、右手にMA-M20《ルプスビームライフル》。

両腰にはスラスターにもなるMMI-M15《クスィフィアスレール砲》、その上部にMA-MO1《ラケルタビームサーベル》。

左腕に実体盾の《ラミネートアンチビームシールド》、両翼のなかには特に高威力なM100《バラエーナプラズマ収束ビーム砲》がある。

 

「(おいおい、これってフリー○ムの武装だよな!?)ネオパワーエクステンダー・・動力は、マキシマエンジン?聞いたことないな。あの束さん、コレはーー」

 

武装と動力を確認した一夏は、驚いて束に尋ねる。

 

「へへ〜驚いた?」

 

「詳しい説明は後ほど。一夏さんは皆を助けに行って下さい」

 

「あ、あぁ!」

 

「さぁさぁ!ちーちゃんにまーちゃん、クーちゃん、行くよ!」

 

「ちょ、押さないで下さーい!?」

 

「いっくーん!頑張ってねー!!あ、白式とも仲良くねー!」

 

一夏が返事をして直ぐ、束は真耶を押しながらモニタールームに千冬とクロエを連れて行った。

 

「白式と仲良くって・・どういう意味だ?」

 

『こういうこと!』

 

「・・え?」

 

聞き覚えのある声がしたと思ったら、空中ディスプレイに白い服と帽子の少女が映っていた。

 

「白式!?お前、会話できるのか!?」

 

『うん。多分、お母さんが改修したから出来るようになったんだと思う』

 

「マジかよ・・」

 

『それより早く皆のところへ行こう!さっきリヴァイヴちゃんから急いで来てって言われたの!!』

 

「っ!わかった!」

 

現場の状況を察した一夏は、カタパルトに足を接続する。

 

 

【BGM(ガンダム出撃)】

 

 

《白式、発進どうぞ!》

 

「織斑一夏、白式、行きます!!」

 

IS学園を飛び出した一夏は、より速く飛ぶために、翼を広げて高機動形態(ハイマットモード)となる。

 

「(す、すごい・・まるで二連加速(ダブルイグニッション)しているみたいだ!これならーー)いける!!」

 

生まれ変わった白式の速度に驚愕するものの、確信を得た一夏はスラスターを全開にして飛び立っていった。

 

 

 

 

「あの時は本当に驚いたぜ・・」

 

『私からしたらいきなり一斉射撃ができた一夏に驚いたよ?いくらティガと一体化して身体能力が上がってきてるからってさ・・』

 

「やっぱり上がってるのか?」

 

『うん。初めて変身した時と比べると、少しずつだけど上昇してる』

 

「・・はぁ。このことは皆に内緒だな。よしっ!腹も減ったし帰るか?」

 

『うん、帰ろう!』

 

着替えを終えた一夏は、白式と共に今日の夕食のことを話しながら、寮へと戻って行った。

 

 

ED【BEAUTIFUL SKY(インフィニットヒロインズ)】

 

 




『マキシマエンジン』

束が開発した新型エンジンの試作型。
陽子と反陽子をぶつけて光を推進力に変換することで、既存のロケットエンジンを超える性能を発揮することができる。
搭載の結果、GUTSのISはシールドエネルギーが増加し、活動時間の延長に成功している。また、専用運用艦であるエターナルにも同様の物が搭載されている。

『パワーエクステンダー』

GUTSのIS活動時間増加のため、束とクロエが新開発した大容量エネルギーパック。
箒・セシリア・鈴・シャルロット・ラウラ・楯無・簪・マドカのISに搭載した。
一夏はこれの上位版の『ネオパワーエクステンダー』を搭載、結果GUTSのISはシールドエネルギーが大幅に増加した。


次回予告

IS学園の食堂で働く女性「リリカ」。多くの生徒が彼女に支えられるなか、宇宙の彼方より一匹の凶獣が飛来する。その狙いは、なんとリリカ!?果たしてGUTSは、そしてウルトラマンティガは、彼女を守れるのか!?

次回、ウルトラマンティガ〜The Beginning of Legend〜

『宇宙(そら)の悪魔』

お楽しみに!

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