インフィニット・ストラトス〜古の英雄〜   作:ボイスターズ

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今回も長いです。

迷いの中にいる一夏に、我夢が語ることとは?
ではどうぞ。


第44話 騎士の答え

OP【TAKE ME HIGHER(V6&一夏)】

 

 

ーエターナル・ブリッジ

 

 

此方でも、一夏が撃墜されるのを確認していた。

 

「一夏君がっ!?」

 

「まさかいっくんが落とされるなんてね・・。」

 

「デュノア!織斑は!?」

 

《大丈夫です、気絶しているだけです!》

 

シャルロットからの通信に、一同は安堵する。

 

「全員、帰投しろ。一旦学園に戻る。」

 

《了解。》

 

「束、大至急レギーラの捜索を!」

 

「もうやってるよ・・。」

 

束は既に空中ディスプレイを出してレギーラの捜索を始めている。

その間にシャルロット達を収容したエターナルは、一旦IS学園に戻って行った。

 

 

ーIS学園病院・病室

 

 

「うっ・・ここは・・学園か?もう夜になってる・・。」

 

見覚えのある天井に、一夏は自身がIS学園の病院にいて、既に夜であることに気づいた。

 

「因みに3.4時間程お前は眠っていた。」

 

「千冬姉・・。」

 

声がした方には、やっと起きたかという顔をした千冬がいた。

 

「織斑先生と呼べ・・まぁいい。身体はどうだ?」

 

「少し痛むけど、大丈夫だ。」

 

「ふっ、ならいい。」

 

千冬はホッとした表情をしたが、すぐに真剣な顔に戻る。

 

「そうだ、レギーラは!?」

 

「逃げられた、現在束が捜索してくれている。」

 

「そうか・・。」

 

「それにしても、先程の戦闘はどういうことだ?接近していることに気づかず、あろうことか命令を無視した結果反撃されるなど・・何かあったのか?」

 

千冬の問いに一夏は複雑そうな顔をして答える。

 

「俺は、迷ってたんだ・・。」

 

「迷う?何にだ?」

 

「実はーー」

 

一夏が語ったのは、怪獣と戦うことへの迷いだった。

 

"怪獣だからという理由で戦って、その命を奪うことが本当に正しいのか?怪獣も、人間と同じ1つの命である筈なのに、それでは人間がやっている差別と同じではないか?戦うことしか、本当に道はないのか?"

 

その迷いが白式にも影響し、思うように力を引き出せなくなってしまったのだ。

 

 

「成る程な・・確かに、我々がやっているのはただの差別でしかないのかもしれない。だがな一夏、だからといって放っておけば犠牲になってしまう人が出る。それを防ぐために私達は戦っているんだ。」

 

「それは、そうかもしれないけど・・だけど・・。」

 

「お前の気持ちはよく解る。だが、我々には"人々を守る"という責務がある。止まる訳にはいかないんだ。」

 

「っ・・・」

 

確かな現実を言われてしまい、俯く一夏。

 

「なに、私とて全て倒そうとは思っていない。人が善悪と分かれているように、怪獣にもきっとそんな者達がいると信じているさ・・。寮に戻る前に少し、頭を冷やしてくるといい。そうすれば、何か浮かぶかもしれんぞ。」

 

そう言うと、千冬は病室を去ろうとするが、あぁそうだと言って振り返りーー

 

「今度は窓から抜けるなんてバカはするなよ。」

 

「いやもうしないから!」

 

「そうかそうか、もししようと思っていたのなら私との時間無制限試合でもやりたかったがな。勿論、私とお前の1対1で。」

 

サラッととんでもないことを言う姉に身震いする一夏。

 

「ちょっそれはマジで勘弁してくれよ・・!?」

 

もしそうなればたとえ一夏でも瞬殺とまではいかずとも数分で倒されるだろう。

 

「フフ、冗談だ。ではな。」

 

そして今度こそ病室を出た。

 

「一夏君、どうでしたか?」

 

「心配するな、アイツは必ず立ち上がる。今は信じて待とう。」

 

「はい!」

 

階段付近にいた楯無と合流した千冬は、自身の仕事をすべく寮へと戻って行った。

 

 

ー病室

 

 

「・・外に行くか。」

 

暫くして、一夏は制服に着替えて病室を"ドアから"出た。どうやら千冬が、目を覚ましたらいつでも出ていいようにしてくれていたらしい。

 

森を抜けて海岸までやってきた一夏は、月の光によって照らされた道を進み、近くにあったベンチに座る。

今夜は空に雲が1つもないため、海は月の光で幻想的に輝いている。

 

「はぁ・・何やってんだ俺。」

 

今日のことを思い出し、思わずため息が出てしまう。あの時は戦場にいたというのに自分は何をやっていたんだと呆れてしまったのだ。

命令無視はするわ戦場で無防備な姿を晒すわ・・これではどんなことになるか、一般人でもわかる。

 

 

BGM【遠き呼び声の彼方へ】

 

 

「こんなところにいたのかい?」

 

「!我夢さん・・。」

 

暫く座り込んでいると、我夢が声を掛けて来た。

 

「そのままだと風邪を引くよ?」

 

そう言ってコーヒーを差し出した我夢は、一夏の隣に座る。

 

「・・その様子だと相当思い詰めてたんだろ?」

 

「え?どうしてわかるんです?」

 

「顔を見ればすぐにわかるさ・・・僕も昔、君と同じように悩んだ経験があるからね。」

 

「我夢さんも?」

 

まさか我夢のような人間が悩むとは思っていなかったのか、意外だという表情をする一夏に、自分だって悩む時はあるさと笑う我夢。

 

「僕も此処とは違う別の世界で、君のようにウルトラマンとして戦って来た。同時にいろんなことに悩んだよ。防衛チームの仲間や藤宮との関係。今でこそ協力し合う仲だけど、最初は何度もぶつかり合った。」

 

我夢が見る方向に視線を向けると、こちらを見て笑みを浮かべる藤宮の姿があった。

 

「勿論、戦うことに悩むこともあった・・君も今は怪獣と戦うことに迷ってるんだろ?」

 

「はいーー」

 

一夏は千冬に語った自身の迷いと、彼女に言われたことを我夢に話した。

 

「・・・。」

 

「我夢さんだったら、こんな時どうするんですか?」

 

「僕だったら、覚悟を決める。」

 

「覚悟、ですか?」

 

「そう、罪を背負うという覚悟だ・・。」

 

そう言って、我夢は悲しげな表情で空を見つめる。

 

元の世界で、我夢達は根源的破滅招来体という、その名の通り破滅を齎す敵が送り込んで来る怪獣と戦った。最初は奴らが作り上げた生物兵器だと思われたが、実際は違った。

 

送り込まれて来る怪獣達は、皆地球で生まれ育った者や、本来の住処である星から強制的に連れてこられ、恐怖のあまりに暴れていた被害者だったのだ。

 

だが、我夢達には怪獣達を止める術はなかった。唯一あるとすれば、戦って殺すことだけ。

だからこそ、2人は覚悟を決めたのだ。

人々を守る為に、怪獣達の命を奪う罪を背負うことを・・。

 

 

「僕達にはレギーラを殺すことでしか、止めることはできない。でも君ならば、彼を別の方法で止められるかもしれない。」

 

「別の方法?」

 

一夏の問いに、我夢は静かに頷いた。

 

 

翌日、束が遂にレギーラを発見し、エターナルは緊急発進した。

場所は風力発電所上空。

 

 

BGM【ガンダム出撃】

 

 

《全機発進、どうぞ!!》

 

『了解!』

 

「織斑一夏、白式、行きます!!」

 

「篠ノ之箒、紅椿、参る!」

 

「セシリア・オルコット、ブルー・ティアーズ、参りますわ!」

 

「鳳鈴音、甲龍、行くわよ!」

 

「シャルロット・デュノア、リヴァイヴ、行きます!」

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ、シュヴァルツァ・レーゲン、出るぞ!」

 

「更織楯無、ミステリアス・クイーン、発進します!」

 

「更織簪、打鉄・参式、行きます!」

 

「織斑マドカ、黒騎士、発進する!」

 

 

「皆、今度こそ落とすわよ!」

 

『はい!』

 

楯無が気合を入れさせると共に右腕のスパル砲を放つ。

 

「キュォォォン!」

 

レギーラはそれを光弾を放つことで相殺する。

 

「行くぞシャル!」

 

「うん!」

 

爆煙を突き抜けて来た一夏とシャルロットは、ラケルタビームサーベルとネオ・ブレッドスライサーを抜刀、瞬間加速で勢いよく左右の翼に斬りかかる。

 

「キュォォォン!?」

 

その瞬間一夏が斬った左の翼から大きな火花が散り、切断とまではいかなかったものの、レギーラは痛そうな声を上げる。

一夏の剣は明らかに前日より威力が増していた。

 

「続くぞセシリア!」

 

「はい!」

 

この隙を逃すまいとマドカとセシリアがビットを射出、降り注ぐビームの雨を避けようとするレギーラだが、気合いが入ったことで速度を増したビットからは逃げ切れずにダメージを受ける。

 

「これで・・!」

 

箒は両肩のフラッシュエッジビームブーメランと両膝のミサイルを放ち、レギーラの背中に命中させる。

 

「簪ちゃん、ラウラちゃん、私に合わせて!」

 

「うん!」

 

「あぁ!」

 

楯無がビームライフルとデキサスビーム砲を構えるの見て、簪は右腕にビームライフルを、背部に山嵐を全弾装填し荷電粒子砲を起動、ラウラは右肩のアグニと左肩のレールカノン、右腕のビームライフルを構える。

 

『てえぇぇぇ!!』

 

3人から放たれたビーム5本と、ミサイル96発を受けたレギーラは地上へと落下し、土砂を飛び散らせた。

 

「よし!」

 

「やった!」

 

漸く落とせたことに喜びガッツポーズを取るラウラと簪。

 

 

この戦闘の様子を、ゼットはIS無しで把握していた。

彼自身の能力なのか?

 

「ふっ、あいつら中々やるじゃないか。だが、これからが本番だぞ?レギーラを本気にさせたんだからな・・。」

 

そう言って、ゼットは遺跡の階段に寄りかかるのだった。

 

ー現場

 

 

「キュォォォォン!!」

 

完全に怒ったレギーラは、翼を勢いよく羽ばたかせる。

それにより周囲に激しい突風が吹き、近くにあった風車は猛スピードで回り始め、車は吹き飛ばされて行く。

 

「ぐぅ・・!」

 

「なんて凄まじい風だ!」

 

「皆、飛ばされるんじゃないわよ!」

 

「ウォォォォ!!」

 

全員スラスターを全開にしてどうにか突風に耐える。

 

「キュォォォン・・!」

 

それを見て、これならどうだと言わんばかりに今度は赤い光線を放ち始めた。

 

「そんなヘナチョコな光線なんぞにやられる訳ないでしょうが!」

 

笑う鈴ではあるが、避けた光線がUターンして迫っていることに気づかなかった。

 

「!鈴、危ない!!」

 

「え・・キャアアアア!?」

 

箒の声で漸く気づいたが、既に避けられない距離まで迫っていたため、鈴は直撃を受けて地面に不時着してしまう。

 

「鈴さん・・!あぁ!?」

 

『ウワァァァ!?』

 

「皆が!ウワっ!?」

 

「止まるなマドカ!お前までやられるぞ!」

 

仲間が次々に落とされ唖然とするマドカ。

その隙にビームが命中しそうになるが、間一髪近くにいた一夏がビームシールドで防ぎきり、発破をかける。

 

「クソッ・・邪魔だ!」

 

今すぐ皆のところへ行きたいが、レギーラはそんな機会を与える気などないらしく、赤い光線を連射してくる。マドカは苛立ちながらフェンリルブロウで光線を切断していく。

 

「ウォォォォ!!」

 

既にハイマットモードになっている一夏はラケルタビームサーベルで光線を切断、もしくは避けるかビームシールドで防いでレギーラへ接近しようとするが、次第に数を増してくるそれに避けるのが精一杯になってしまう。

 

「アァァァァ!」

 

「ウワァァァァ!?」

 

マドカが落とされ、一夏も胸部に命中して墜落してしまった。

 

「皆が・・!」

 

「まだだよ!まだ希望はある!」

 

エターナルでは、全員が落とされクロエが焦り始めるなか、束はまだ諦めていなかった。

この状況を変える"希望"がいるから。

 

「えぇ!まだ終わってません!」

 

大地も、我夢、藤宮、アスナもそれに賛同した。

 

「(一夏君、見せてくれ!君の答えを!)」

 

我夢は、一夏が下すであろう決断を見届けようとしていた。

 

 

 

 

「・・・。」

 

白式を解除した一夏は、敵を落として満足そうに鳴くレギーラを見つめる。

 

「俺はもう迷ったりしない。迷っている内に仲間が危険に晒されるなら・・多くの人が犠牲になるのなら・・!」

 

そう言ってスパークレンスを見つめる一夏。

 

「戦うことが、罪だっていうのなら・・!その罪は俺が背負う!!」

 

一夏は時計回りに両腕を回してスパークレンスを天に掲げ、戦士の名を叫ぶ。

 

「ティガァァァァァァ!!!」

 

その瞬間、展開されたスパークレンスから放たれた眩い光が一夏の全身を包み込み、ウルトラマンティガへと変身させた。

 

 

BGM【TIGA!】

 

 

「チャッ!」

 

「キュォォォォン!」

 

現れたティガにレギーラは殺気を込めた鳴き声を上げる。

 

「ウルトラマンティガ・・!」

 

「待ってたわよ!」

 

先程まで気を失っていた箒達は、ティガの勇姿に安堵を浮かべる。

 

「フッ!」

 

構えたティガは、レギーラへ勢いよく向かって行く。

 

「キュォォォォン!」

 

レギーラは目から光弾を放って来るが、ティガはウルトラシールドを展開して突撃

する。

 

「デァッ!」

 

ギリギリまで接近したティガはシールドを解除してレギーラの胸部に飛び蹴りを打ち込み、チョップを頭部や首に放つ。最後に顔面にストレートパンチを放った。

 

「キュォォン!」

 

レギーラは右の翼で殴って怯ませた後、そのまま左右の翼を使って殴り続ける。

 

「フッ!ジェアッ!ハッ!」

 

受け止めたティガは腹部にストレートキックと右回し蹴りを打ち込んで距離を離す。

だがそれが間違いだった。

 

「キュォォォォン!」

 

「グアアッ!?」

 

レギーラは翼を羽ばたかせてティガの視界を封じる。その隙に胸部にある穴から爪を出現させて挟み込んだ。

しかも爪から電撃を流し込んでいるために簡単には脱出できない。

 

「ティガを援護する!主砲発射準備!」

 

「了解!」

 

ティガを援護をするべくエターナルはマキシマエンジンから主砲へエネルギーを送る。

すると、砲塔が少し上へ上がる。

 

「てえぇぇぇ!!」

 

エターナルの艦橋前方にある単装エネルギー収束火線砲が発射され、レギーラの頭部に命中した。

 

「キュォォン!?」

 

痛みで苦しんでいる間にバク転で距離を取るティガ。

だが、気を抜いている暇はない。レギーラの頭上に、また闇の渦が現れたのだ。

 

 

「キュオォォォォォン!!!」

 

 

渦から放たれた紫の光は、レギーラの身体を大きく変化させた。まず、口の中にある目は真っ赤に変色し、翼だった部分は退化して腕に、両足も変化しており先端には鋭い5本の爪がある。

代わりに背中に2対の新たな翼が生成され、デマーガの時同様赤黒いオーラを纏っている。

 

その名もーー

"古代怪鳥レギーラバーサーク"。

(以降、レギーラ《BS》)

 

「(・・・。)」

 

それを見て、ティガの中にいる一夏は、昨夜に言われた我夢の言葉を思い出していた。

 

 

ー昨夜

 

 

「君は以前、エックスから光を受け継いだね?」

 

「えぇ・・俺にはその資格があるって。」

 

「次にレギーラと戦う時、その力を使えば、レギーラを止めることができるかもしれない。」

 

デマーガとの戦いで、一夏はエックスから光を受け継いだ。そのため、彼の力を使うこともできるのではないかと、我夢は考えたのだ。

 

「でも、どうすれば使えるんでしょうか・・もし失敗したら・・。」

 

「それは僕にも分からない。賭けと言ってもいい。でも、君が信じればきっと上手くいくと思うんだ。但し、それを使えば怪獣達の自由を封じることにもなる。その罪を背負う覚悟はあるかい?」

 

俯いてしまう一夏ではあったが、少しして顔を上げる。

 

「・・やります。それで怪獣の命も、皆の命も両方守れるのなら、俺は幾らでも罪を背負ってみせる!」

 

決意が宿った一夏の目を見て、我夢は彼の思いが本物であると確信したのだった。

 

 

ー現場

 

 

「(よし・・行くぜっ!)

ンンンン・・ジェアッ!!」

 

決意を決めた一夏は、自身の潜在能力であるSEEDを覚醒させる。

それに合わせて、ティガもカラータイマーの前で腕を組んで勢いよく振り下ろす。

 

すると、身体が光に包まれ、ティガクリスタルは金色へ、両腕両足、胸、背中には金色のラインが走り、全身に同色のオーラを纏った。

シャイニングタイプへの変身に成功したのだ。

(以降、ティガ《S》)

 

 

「レギーラを浄化して見逃すか、そのまま倒すか、一体どっちを選ぶんだろうな・・。」

 

メキシコの遺跡にいるゼットは、ティガがどんな選択をするのか興味津々だった。

 

 

 

BGM【光を継ぐもの】

 

 

「ハァァァッ!」

 

「キュォォォォォン!!!」

 

ウルトラマンティガとレギーラ、互いに進化を遂げた2人は、標的に向かって突進する。

 

「キュォォォォン!!!/チャアッ!!」

 

激突した瞬間、周囲に土砂が舞う。

 

「ンンンン・・!」

 

ティガ《S》はレギーラ《BS》を押す。それと共に土砂も舞っていく。

 

「デァッ!!」

 

腕を振り払ったティガ《S》は、その勢いで右回し蹴りを打ち込み、ヘッドロックで抑えつける。

 

「キュォォン!!!」

 

それから逃れたレギーラは、両手にある鋭い爪で斬りかかるが、ティガにそれを受け止められ腹に蹴りを受ける。

 

「ジェアッ!!」

 

頭突きを止めたティガは、レギーラ《BS》の頭部に2連続でチョップを叩きつけ、更に顔面にパンチを打ち込むが、勢いをつけた頭突きは止めきれず後退させられる。

 

「キュォォォォォン!!!」

 

レギーラ《BS》は目から赤黒い光弾と光線を放つ。それはティガ《S》が上空に避けてもしつこく追ってくる。

しかも連射して来るのだから更に厄介である。

 

「フッ!!ハッ!!シュワッ!!」

 

ティガ《S》は金色となったハンドスラッシュを連射して光弾を撃ち落とし、光線は高速移動で全て避ける。

 

「キュォォォォォォン!!」

 

それを見たレギーラ《BS》は背中の翼を広げて空へ飛び立ち、光弾を連射しながら両手の爪を構える。

 

「キュォォォォォン!!」

 

「ッ!」

 

レギーラ《BS》の接近に気付いたティガ《S》は、自身に迫る爪を左へ避ける。次の瞬間、爪から赤黒い斬撃が放たれティガの背後にあった雲を消し飛ばした。

 

「なんて威力だ・・!」

 

地上で見守る箒はその威力に驚愕する。他の者達も声に出してはいないが唖然としている。

 

「デアッ・・!!」

 

アレをまともに受ければただでは済まない。そう判断したティガ《S》はスパークレンスカリバーを出現させる。

 

「キュォォォォォン!!」

 

「ハァッ!!」

 

互いに武器を構えた2人は素早く接近し互いに武器を激突させる。接近と離脱が空中で何度も繰り返えされ、そのたびに剣と爪が振るわれて黄金の光と赤黒い闇の斬撃が激突し火花が生じる。

 

『・・・』

 

その激しい攻防を一同は固唾を飲んで見守る。

 

「デェアッ!!」

 

「キュォォォン!?」

 

やがてティガ《S》の斬撃がレギーラ《BS》の左手の爪を粉砕した。レギーラ《BS》が動揺している隙にティガ《S》は更に高空へと飛ぶ。

 

「チャアァァァァ!!」

 

右足に金色のエネルギーを纏い、上空から落下速度を上乗せした急降下キックを放つ。

 

「キュォォォォォォォン!?」

 

レギーラが地面に叩きつけられてダウンしている間にティガ《S》は地上に着地。同時にカラータイマーが点滅を始めるが、構わずスパークレンスカリバーのトリガーを1回引く。レンズに手をかざした後、空に掲げて刀身に力を溜める。

 

「デァッ!!」

 

そして浄化技、シャイニングヒーリングを放ちレギーラ《BS》を元の姿に戻した。

だがまだどうやってレギーラを止めるかという問題が残っている。

ティガ《S》は両腕を腰まで引き力を溜め始めた。

 

「フッ!!ハアァァァァ・・!!

ジェアッ!!」

 

両腕を前方で交差させて左右に大きく広げエネルギーを集約し、L字に腕を組んで白に金が加わった新技、シャイニングゼペリオン光線を放った。

 

「キュォォォン・・!」

 

レギーラに命中、ティガ《S》の両足が光線の反動に押されて道をめくれさせているが、それでも光線の発射を止めない。

光線の発射がピークに達した時、レギーラは遂に爆発を起こしたが、すぐに飛び散った光が爆心地に戻ってきて凝縮されていく。

そこには、人形《スパークドールズ》へと変化したレギーラが落ちている・・。

 

「怪獣が人形になってる!?」

 

「これがティガの新しい能力ですのね・・。」

 

すっかり小さくなったレギーラに驚く箒達であった。

 

 

 

「フッ、スパークドールズに封印ときたか。面白いことを考えたものだ・・さて、俺はこの遺跡の調査の続きでもするか。」

 

そう言ってゼットは退屈しのぎに遺跡の調査を行うのだった。

 

 

「(待っていてくれ。今はこうやって人形に変えてるけど、それでもーー)デュワッ!!」

 

箒達を見て頷いたティガ《S》は、空へと去って行った。

 

「今のってーー」

 

「あぁ、俺達のザナディウム光線と同じだよ!」

 

『私達の光は、彼らにしっかりと受け継がれていたんだな・・。』

 

自分達と同じ能力を使ったティガ《S》に、大地とエックスは感銘を受ける。

 

「(それが君の答えなんだね・・一夏君。)」

 

ふと隣にいる藤宮を見てみると、彼も我夢に気付いて頷き、我夢もそれを返した。

 

「任務完了だ!今拾いに行くから全員そこで待っていろ!」

 

「皆が乗ったら、学園に帰って休もう〜!」

 

『了解!』

 

一夏と合流して喜ぶ箒達の元へ、エターナルは着陸するべく車輪を出して降りて行った。

 

 

ED【Brave Love Tiga(インフィニットヒロインズ)】

 

 

 

(ーーいつか共に生きていける世界になったら、必ず元に戻してやるからな。)

 




※今回の一夏の台詞は、携帯電話で変身するヒーローの言葉を参考にしています。

次回予告 BGM【ガンダム出撃】

レギーラを封印し、束達はエターナルの調整と武装の開発に着手するなか、一夏はこれからの戦いに備え、仲間と共に今まで以上に自身を鍛え始める。

次回、ウルトラマンティガ〜The Beginning of Legend〜
【強くなるために】

俺は、もっと強くなる!

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