インフィニット・ストラトス〜古の英雄〜   作:ボイスターズ

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お待たせしました!

文字数が本作で最も多い約8000字に達して非常に驚いていますw
今回はオリキャラの女尊男卑主義者との戦いです。

果たして一夏は勝てるのか!?
ではどうぞ。



第41話 女尊男卑の闇

クロエside

 

私は、今はラボにいる束様に屋上での出来事を全て話した。

 

「うん、わかってるよーークーちゃん・・・プップップ。全く、随分とバカなことを考えたもんだねぇ・・・いっくんが負けるわけないのに。これはたっぷりとお礼をしないとねぇ・・・フフフフフ。」

 

どうやら、屋上のカメラから全て見ていたようです。

監視カメラのことを忘れるなんてバカなんですかね?

 

「(もうあの人達終わりましたね。束様をここまで怒らせるなんて本当に愚かです。)」

 

実際、束様は今までにない程の冷たい表情をしているうえに、怒りのオーラに満ちている。

私は、教師と生徒達を哀れに思った。

 

 

SideEnd

 

 

OP【Believe(玉置成実)】

 

 

Noside

 

 

ーPM13:15

 

 

昼休み・・それは突然やって来た。

 

『はぁ・・。』

 

食堂で昼食を取っていたのだが、いつもの5人と簪は何故か落ち込んでいた。

 

「ん?どうしたんだ皆?ため息なんかついて。」

 

「そうだ、幸せが逃げると聞くぞ?」

 

「多分アレじゃないかな・・?」

 

「うん、アレね。」

 

大地とアスナの言葉に首を傾げる一夏とマドカに、楯無が答える。

 

「もしかして、一夏君のように操縦したくてもできないから悔しいんじゃないかしら?」

 

「あー成る程。」

 

『・・・。』

 

納得するマドカをよそに、楯無の一言に一斉に黙り込む6人。沈黙は肯定である。

そしてそんな彼女達を慰める大地とアスナ。

 

実は先程の2限目に1組と2組、4組合同のIS実習があったのだが、彼女達は一夏のような操縦ー高機動戦闘ーをしようとして何度も失敗して地面に激突、唯一ラウラだけが一度だけ成功したが、それでも以降は落ちてしまい現在に至る。

 

「いやでもなぁ〜何も俺みたいにできなくてもいいだろ・・・。」

 

一夏の操縦は、ハイマットモードの恩恵があってこそ可能なもの。他のISではいかに改修したからといって簡単にできることではない。

 

「あのね、アンタはそうじゃないから楽だろうけど・・私達は代表候補生なのよ?」

 

「そうだよ、一夏と違って僕達には立場があるんだから(−_−;)」

 

「篠ノ之博士に改修していただいた意味がありませんわ・・。」

 

「全くだ・・。」

 

因みに一夏のような操縦ができるとすれば、現時点では精々楯無や千冬、マドカぐらいだろう。

 

「なに、自信を持て!皆は充分強いさ。だだ兄さんがチート過ぎるだけなんだ。」

 

「チート言うな。」

 

「アゥッ・・」

 

マドカの発言にチョップを打つ一夏。

 

「いや、実際アレはチート以外言葉が出ないわ。」

 

「ちょ、アスナさん!?」

 

「それは確かにそうだね・・。」

 

「大地さんも!?」

 

「そもそも、白式が三次移行しているうえで改修しているからというのもあるが、私達が一夏に劣っているというのは明らかだな・・・。」

 

『はぁ・・・。』

 

ラウラの発言にまたため息をつく5人。

 

「なぁ改めて聞くけど、俺ってそんなに凄いのか?」

 

『凄すぎ(ですわよ/よ/だ)!』

 

「アンタ自分がどれだけ凄いか本当にわかってんの!?」

 

「一対多数で勝つなんて普通ありえないんだからね!?」

 

「一体どうしたらアレだけの力を出せるのだ!?」

 

「教えて下さい一夏さん!」

 

「頼む嫁よ!」

 

「お願い!」

 

「えぇーー・・・。」

 

どうしたことかと一夏が悩んでいると、それはやって来た。

 

 

 

「なに敵におねだりなんてしてるのよ、情けないわね。」

 

『!』

 

声がした方に視線を向けると、緑色の鋭い目付きに首元まである茶髪が特徴の少女がいた。

 

「エレナ・ルージュ・・。」

 

楯無は無表情でその名を呟く。

 

「知り合いですか?」

 

「えぇ。私と同じ2年生で、イタリアの代表候補生よ。」

 

「フッその通りよ、よく知ってるじゃない。因みに最近専用機持ちになったの。それにしても、男に負けてるっていうのに揃ってのんきにお食事とはね・・笑わせてくれるわ。」

 

『!』

 

エレナの発言に怒りを抱く一夏達。大地とアスナはエレナに呆れて何も言わない。

 

「(成る程・・こいつも女尊男卑ってことか。いるとは思っていたが、やはり聞いてるとムカつくな。)おいお前、随分と言ってくれるじゃねぇか!」

 

その中でも、一夏は殺意にまで達していた。声にドスが入り、口調が変わってしまう程に・・。

SEEDも覚醒まで一歩寸前である。

 

「(っ!なにこの男、凄いプレッシャーだわ・・。)何よ、男の癖に歯向かうの?」

 

「はっ、男も女も関係ねぇよ。俺のことは何とでも言えばいいさ、だが他の皆を侮辱するなら黙っておけねぇな!」

 

「フン。楯無やアンタの妹は兎も角、こんなクズ共が代表候補で専用機持ちなんて、同じ立場からしたら恥ずかしいったらないわよ。」

 

「!?」

 

そう言いながら彼女はシャルロットの髪を弄り回す。

シャルロットはビクッと反応するが、エレナのオーラに怯んで反撃できない。

だが・・・!

 

 

 

「てめぇ、シャルに手を出すな!さっさと離せっ!!」

 

 

 

 

『!?』

 

一瞬でビームサーベルを展開して突きつけた一夏に威圧されて、直ぐに手を離した。

更にそのあまりの威圧感に食堂にいる全員が固まってしまった。

 

「・・一夏君、剣を降ろしなさい。」

 

「大丈夫、"殺しは"しませんよ・・"殺しは"ね。」

 

"命までは奪わないがそれなりに痛めつける"・・一夏の発言はそれを意味していた。

 

「くっ・・フン!まぁいいわ。なら、勝負しましょう。」

 

「なに?」

 

「私が負けたら全員に謝罪することを約束するわ。但し、アンタが負けたら学園から消え、同時にISを没収させてもらうわよ。」

 

『!?』

 

「ほぅ・・・」

 

一夏以外の全員がそれに驚いた。

 

「なによそれ!?ふざけんのもいい加減にしなさいよ!!」

 

「そうですわ!第一そんなことができるわけが!」

 

「できるわよ、私ならね。私はIS委員会に知り合いがいてね。この戦いで私が勝ったら、その映像を送ってアンタがどれだけ危険な存在か改めて理解してもらう約束なの。楯無、そうなれば例え生徒会長である貴女でも止められないわよ?」

 

「成る程、考えたわね。」

 

楯無が悔しそうに口を噛み締めるのを、エレナは笑いながら見ていた。

 

「そういうことだけど、どうする?受けるか受けないか、好きな方を選びなさい。」

 

「当然、受けてやる。さっきの言葉を忘れるなよ・・?」

 

「そう言ってくれると思った♩」

 

思った通りと、エレナはニヤリと笑った。その間一夏は、エレナと同様に自身に殺気を向ける者達を感じ取っていた。

 

「返事は確かに聞いたわ。今日の放課後、第一アリーナに来なさい。逃げたら承知しないわよ?」

 

「安心しろ。俺は逃げない、絶対にな。そうお前の仲間達にも伝えておけ!」

 

「ーーOK。あぁ後、これを送っておくから見ときなさい。それじゃあね。」

 

そう言ってエレナはISコアネットワーク経由で何かを一夏に送信して去っていった。それと同時に、先程から感じていた他の殺気も消えた。

彼女が去ったのを確認すると、シャルロットは一夏にしがみ付いて来た。

余程怖かったのだろう・・かなり震えている。

 

「シャル、大丈夫か?」

 

一夏はそんな彼女を優しく抱きしめる。

 

「う、うん・・//。それより一夏、本気で戦うの?」

 

「あぁ。こうなったらやってやるさ。」

 

「お前、正気か!?」

 

「勿論だ。」

 

箒の問いに堂々と答える一夏。

 

「彼女が正々堂々と戦うとは思えないわよ?」

 

楯無にもーー

 

「アイツのことです。罠があるのは承知してますよ。」

 

「でも、どうして?」

 

簪にもーー

 

「奴は皆を侮辱した、それだけで理由は充分だろ?」

 

「しかし!もし負けたら一夏さんは・・!」

 

セシリアとラウラにもーー

 

「勝てばいいんだよ、必ず勝てば。」

 

「そんな簡単に言うなバカ者・・。」

 

 

「あぁ。今回はボーデヴィッヒに同意だな。」

 

そこへ、千冬と真耶がやって来た。

 

『織斑先生・・。』

 

「いくらお前や白式の力が強いとはいえ、それで油断して負けたら話にもならんぞ?」

 

「わかっています。でも、俺は絶対に油断しません。」

 

「そうか。ならば、誰に喧嘩を売ったか思い知らせてやれ」

 

「はい!あ、そうだ・・。」

 

「ん?」

 

何かを思い出した一夏は、食堂を見渡したあとーー

 

 

「皆、さっきは怖い思いをさせて・・本当に、本当にごめんなさい!!」

 

そう言って一夏は全員に頭を下げた。

 

「皆、僕からもお願いします!一夏を許してあげて下さい!」

 

「私からもですわ!」

 

「この通り!」

 

「頼む!」

 

一夏に続いて、彼の仲間全員が頭を下げた。

それを見て、生徒達は微笑んだ。

 

 

「織斑君、皆も頭を上げて。私達は分かってるから。」

 

代表して静寐が声をかけてきた。

 

「鷹月さん・・?」

 

「織斑君はシャルロットのことが大切だったから、あの人にあんなに怒ったんでしょ?」

 

「あ、あぁ・・シャルがアイツに良いようにされてて凄く腹が立ってさ。」

 

「うぅ//」

 

「だから、そう思ったら怖くなくなったんだ〜。寧ろそんなに大切なんだって納得しちゃったもん。」

 

「そうそう!」

 

「相川さん、谷本さん・・。」

 

清香と同じ1組の谷本癒子がサムズアップしながら話してくる。

 

「あの・・織斑君。」

 

そこへ1人の女子生徒が話しかけてきた。

それは、一夏に挨拶された時に震えていたあの生徒だった。

 

「あ、君はあの時の・・。」

 

「私、間違ってた。織斑君は皆を守りたくて戦っただけなのに、私はそれも解ろうともしないで勝手に怖がって・・。ごめんなさい!」

 

「良いんだ。俺にも責任があるから。分かってくれたなら、それで良い。ありがとう。」

 

「うん・・。」

 

「私達も応援に行くから、絶対勝ってね!」

 

「あんな先輩やっつけちゃえ!」

 

「負けたら承知しないよ〜!」

 

気付けば、食堂にいた生徒の殆どが一夏達のもとに来て、激励していた。

 

「皆、ありがとう!」

 

嬉しさで胸が一杯の一夏は、彼女達に今伝えられる精一杯の言葉を言った。

そして白式もまた、そんな相棒を激励するかの如く清らかな光を発している。

 

クラスメイトや仲間達のためにも、負けるわけにはいかない。

一夏は来たる戦いに備え、精神を落ち着かせるのだった。

 

 

 

ーそして放課後

 

 

第一アリーナの観客席は満員になっていた。昼の出来事が伝言ゲームの如く広まり、そこに新聞部が号外を出したことで更に人が集まったのだ。

勿論、1年1組の生徒達は全員来ている。

 

「本当に女子の情報網はどうなってるんだ?あっという間に広まったみたいだけど。」

 

「女の子はこういうのが好物だからね・・。」

 

「これを軍でも使いたいものだな。」

 

「いやぁ無理だと思うわよ?第一女子限定だしそれ。」

 

「そうか・・。」

 

一夏達はアリーナのビットでこんなやり取りをしていた。

 

「一夏君!」

 

そこへ、楯無がやって来た。

 

「楯無さん、どうしたんですか?」

 

「どうやらこの戦い、日本を含めた各国の政府関係者、IS委員会、軍に中継されているわ。」

 

「なんですって?」

 

「恐らくエレナの仕業よ。彼女の目的は恐らく、一夏君を学園から追い出すと同時に委員会に貴方と白式を回収、もしくは研究か解体をさせて、その技術を世界に提供することでしょうね。貴方は男性で唯一ISを動かせると同時に、強力なビーム兵器を扱っているから・・。」

 

なるほど、確かに一夏の白式に搭載されているビーム兵器は、他のISのそれを大きく上回っている。それを使いこなす一夏の秘密を、世界は欲しいのだろう。

 

 

《織斑君、開始5分前です。準備してください。》

 

そこへ、真耶の放送が響いた。

 

 

【BGM(翔べ、フリーダム)】

 

 

「時間だな・・それじゃ行ってくる。」

 

「武運を祈っている!」

 

「必ず勝つと信じてますわ!」

 

「頑張ってね。」

 

「私達は見守ることしかできない。だが、最後まで見届けるぞ!」

 

「負けるなよ、兄さん!」

 

「負けたら承知しないわよ!」

 

「気張って行きなさい!」

 

コクリと頷き白式を展開した一夏は、何故かモジモジしているシャルロットに気づく。

 

「シャル?どうした?」

 

「一夏・・気をつけてね。」

 

「おう!」

 

 

それと・・・シャルロットはそう言いながら白式をよじ登り、首を傾げる一夏の頬に口付けをする。

 

 

 

『!?』

 

楯無以外の全員がそれに驚愕した。

 

「あらあら・・大胆♫」

 

「その・・//これはお守りっていうことと、もう一つは僕の想いも一緒にって意味で//」

 

「あ、あぁ。ありがとう!//」

 

そして、ビットのゲートが開き一夏はカタパルトに脚を固定する。

 

 

《カタパルトオンライン!進路クリア!白式、発進どうぞ!!》

 

いつになく気合の入った放送に、一夏も更に気を引き締める。

 

「織斑一夏!白式、行きます!!」

 

「(一夏・・!)」

 

勢いよくアリーナに飛び出していく一夏。

そんな彼の勝利を、シャルロットは、皆は祈っていた。

 

 

 

アリーナに飛びだすと、そこには各部に龍の意匠がある専用機《テンペスタ・ドラゴン》を纏ったエレナの姿があった。

 

「よく来たわね。」

 

「言ったはずだ、俺は逃げないってな。」

 

「フッ、そうだったわね。」

 

《両者、所定の位置について下さい。》

 

一夏とエレナは移動し、睨み合う。

 

 

【BGM(立ち上がれ、怒りよ)】

 

 

《始め!》

 

その瞬間2人は一瞬で接近し、一夏は雪片を、エレナはバスターソードで連続で斬りかかる。

が、互いに当たることはなくダメージはない。

 

「(中々の腕前ね・・でも!)」

 

一夏の剣の腕前に感心するエレナだが、すぐに態勢を立て直す。

 

「まだまだ!」

 

エレナは左手にアサルトライフルを展開して発砲。

だが、ハイマットモードになった一夏には当たらず全て避けられた。

 

「よく避けるじゃない。」

 

「甘く見るなよ?今度はこっちの番だ・・!」

 

一夏は左手の雪羅から荷電粒子砲を放つ。

それをエレナは回避しながらシールドを展開、同時にマシンガンを放つ。

しかし一夏は雪片で全ての弾丸を撃ち落とした。

 

 

「男の癖にやるわね。」

 

「どうも。」

 

 

ー管制室

 

 

「アイツ、中々できるわね。」

 

「あぁ。」

 

管制室で箒達は一夏とエレナの戦闘を見ていた。

 

「しかし織斑君、なんでビーム兵器を使わないんでしょう?確か昨日の戦闘では使ってましたよね?」

 

「あぁ。だが今回は何があるかわからないからな。なるべく消耗を抑えて戦いたいんだろう。」

 

一夏とエレナは激しさを増していた。

だが、未だに両者ともダメージを受けていない。

 

「「(コイツ・・まだ本気じゃない/わね)」」

 

互いに力を抑えていることに気付いたようだ。

 

「貴方・・何故ビーム兵器を使わないの?データを取られたくないから?もしそうなら馬鹿らしいわね。」

 

「お前こそまだ手を隠してるだろ。いい加減出したらどうだ?とっくにアリーナに出てるんだろ?お前の仲間が。」

 

「フッ、気付いてたのね。なら話は早いわ!」

 

エレナが指を鳴らした瞬間、何もないところから突如複数のISが現れた。

中には打鉄やリヴァイヴ、そしてドイツの機体である《シュヴァルツァ・ピストーレ》という黒と銀のISがいる。

 

「光学迷彩か。」

 

「そう、イタリアが開発した試作品。中々の物でしょ?」

 

「そうだな・・」

 

一夏が光学迷彩の性能に感心していると、打鉄に乗った教師が話しかけてきた。

 

「織斑一夏、エレナが送ったあの映像は見たかしら?」

 

「映像?あぁ、アレか。ちゃんと見たぞ。全くバカげたやつだったな。」

 

教師と一夏の会話に生徒達は首を傾げる。

 

「皆、見なさい!コイツの罪を!!」

 

教師の叫びと共にアリーナのスクリーンにある映像が映された。

 

「こ、これは!?」

 

「ウソ・・でしょ?」

 

それには、生徒達は勿論管制室にいる千冬達も驚愕した。

スクリーンに映ったもの、それは、路地裏で不気味に笑いながら雪片を展開し、不良達を斬殺する一夏の姿だった。

 

「これが私達がコイツを学園から消そうとしている本当の理由よ!こんな危険な奴を学園に置いといたら、危ないと思わない?」

 

教師の言葉に生徒達は動揺してしまう。一夏がこんなことをするとは思えないからだ。

 

 

ー管制室

 

 

「アイツ、あんな物を用意していたとはな・・!!」

 

「ひぃぃぃ!!?」

 

千冬は怒りのあまり机を殴る。

その拍子に机に亀裂が走ったため、悲鳴をあげる真耶。

 

「ちょっと、アレどういうことよ!?」

 

「私にはわかりませんわよ!」

 

「お前達!観客席に行って生徒達を落ち着かせて来い!!疑っている奴がいたら意地でも説得しろ!!!」

 

『は、はい!』

 

箒達は慌てて歓客席に向かった。

 

 

ー第一アリーナ

 

 

「「ハァァァ!」」

観客席がざわめく中、リヴァイヴに乗った女子生徒2人がブレッドスライサーで斬りかかって来る。

 

「チッ!」

 

一夏はそれを避けて荷電粒子砲でダメージを与える。

 

「このぉぉぉぉ!」

 

「シェアッ!」

 

後ろから来た打鉄には、振り向きざまに飛び回し蹴りを打ち込む。

 

「くっ、やぁぁぁ!」

 

「フッ!」

 

なおも格闘戦を仕掛ける女子生徒に応戦する一夏。今度はストレートパンチで吹き飛ばした。

 

「!?」

 

すると、3人はニヤリと笑い急上昇する。

驚く一夏は正面を見ると、エレナと教師や他の生徒達がアサルトライフルやロケットランチャー、マシンガンを構え、一斉に放ってきた。

 

「(チッ!)」

 

内心で舌打ちした一夏は上空に逃げようとするが、上からも一斉射撃して来たために完全に逃げ場を失くしてしまった。

 

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!」

 

一夏は爆煙に飲み込まれ、姿が見えなくなってしまった。

 

 

ー観客席

 

 

「一夏っ!!」

 

「あんなの卑怯よ!」

 

「山田先生、今すぐ中止にして下さい!」

 

「無理よ!」

 

箒は真耶に通信で中止するよう伝えるが、楯無はそれを否定する。

 

「彼女は既に委員会にこのことを報告している筈よ!そうでなければこんな戦いはしないわ!」

 

《その通りよ楯無。》

 

「エレナ!」

 

《どう貴女達、愛しい男がボロボロにされてどんな気分かしら?》

 

「貴様・・!」

 

箒は怒りで口を噛み締める。

 

《でも、私も鬼じゃないわ。チャンスをあげる。》

 

「チャンスですって?」

 

《簡単よ、貴女達が負けを認めること。そうすれば少しは手加減してあげるわ。》

 

『はぁ!?』

 

エレナの発言に観客席の生徒全員が驚き、ブーイングを起こす。

 

「そんなのできるわけないじゃない!」

 

「ふざけるなー!」

 

「卑怯者!」

 

「最低!」

 

「悪魔!」

 

《そう、それなら仕方ないわね・・。》

 

エレナは止めをさすべくバスターソードを展開し、構える。

だが、突如爆炎の中から光が溢れると同時に突風が起き、炎を吹き飛ばした。

 

「・・・。」

 

そこには、全く無傷の一夏の姿だった。

爆炎に包まれる直前に全身にウルトラシールドを展開して身を守ったのだ。

 

「へぇ。あれで無傷なんてやるわね。」

 

一夏は暫し無言だったが、ドスの入った声で話し始めた。

 

「てめぇら、いい加減にしろよ・・!!」

 

「ひっ・・!?(ウソ、私が恐怖するなんて!?)」

 

《本当、いい加減にして欲しいよね〜。》

 

そこへ、聞き覚えのある声が響き、アリーナのスクリーンの右側に声の主・・篠ノ之束が現れた。

 

 

 

『篠ノ之博士!』

 

「姉さん!?」

 

「バカな!学園を去ったのではなかったのか・・!?」

 

どうやら暫く姿を見せなかったために学園を去ったと思われていたらしい。

 

《皆〜こんな奴らに騙されちゃダメだよ。いっくんは無実なんだから。》

 

束の言葉にホッとする生徒達。

 

「だ、だがあの映像が!」

 

《こんなの唯の子供騙しだよ。CGで作ったいっくんを重ねただけなんだから。》

 

束はそう言って空中ディスプレイを操作する。すると、CGの一夏が消えて代わりに剣を持った教師の姿が現れた。

 

「!?そんな・・」

 

《いっくんが勝っても負けてもコレを公開するつもりだったらしいけど、残念だったね〜。》

 

自身の計画がバレてしまい、エレナは膝をついてしまった。

 

「〜〜!!」

 

エレナは悔しさで地面を何度も殴る。

このままではいずれ自分は捕まり、専用機は没収となる。それならばーー

 

「こうなったら・・。」

 

一夏を倒して逃げるしかない。

 

「せめて奴を倒す・・!」

 

バスターソードを構えるエレナ、他の教師や生徒達も構える。そんな姿に、一夏は異常な執念を感じた。

 

 

 

【BGM(ミーティア)】

 

 

 

「一夏!頑張って!!」

 

『頑張れー!!』

 

シャルロットに続き、1組だけでなく他の組の生徒達も声援を送る。

 

「シャルや皆のために・・俺は、負ける訳にはいかないんだ!」

 

一夏の脳裏で種が弾ける。

彼はなんと自らの意思でSEEDを覚醒させたのだ。

 

「いけぇぇ!!」

 

一夏は全機をマルチロックオン、右手のルプスビームライフル、腰のクスィフィスレール砲、翼にあるバラエーナ・プラズマ収束ビーム砲、そして左手の荷電粒子砲を加えたハイマットフルバーストを放つ。

 

一斉射撃によってエレナ達の装備していた武装を破壊、スラスターを損傷させた。

 

「ぐぅ!!」

 

一夏の猛攻は止まらない。右腰のラケルタビームサーベルを抜刀、雪片と二刀流ですれ違いざまに斬り裂いてシールドエネルギーを0にする。

 

逃げようとする者はルプスビームライフルでスラスターを破壊して撃ち落とす。

正面からミサイルを撃てばラミネートアンチビームシールドで防ぐ。

 

後ろから盾殺しを展開して殴りかかってくる者も、逆にそれを踏み台にして避ける。

 

「ハァァ・・!」

 

アリーナのシールドバリアにぶつかるギリギリまで上昇してUターン、そこからバレルロールしてレール砲を発射。

 

「落ちろ!」

 

「断る!」

 

リヴァイヴに乗っている生徒がレイン・オブ・サタデイを放つが、一夏は余裕で避けて逆さまになり、プラズマ収束ビーム砲で両脚を撃ち抜く。

 

「だぁぁぁぁ!!」

 

シュヴァルツァ・ピストーレに乗った生徒は両腕と両脚にあるプラズマ刀で斬りかかって来るがーー

 

「太刀筋が丸見えだ!」

 

相手の攻撃を真半身でかわし、そのまま零落白夜・極を発動、回転しながら相手の背後に回り込んで背中を斬り裂いた。

 

「くそっ!!」

 

エレンはヤケクソにロケットランチャーを撃つが、狙いが定まっていない砲弾が当たる筈もなく全て避けられるかビームライフルで撃たれる。

 

「だぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

「ハッ!デェアッ!!」

 

バスターソードで突きを放ってくるが、その勢いで展開しておいたラミネートアンチビームシールドに乗せ、勢いよく放り投げた。

 

「あぁぁぁぁ!?」

 

地面に叩きつけられたエレナは尚も立ち上がりライフルを撃とうとするが、その前に一夏がビームライフルで腕ごと破壊。続けて左腕、左脚、右脚を撃ち抜き、今度こそ彼女は立てなくなった。

同時に今のでシールドエネルギーが尽きたので、ISが強制解除された。

 

 

《試合終了。勝者、織斑一夏》

 

 

『・・・』

 

改めて見た一夏の力に一同は何も言えないが、中には"勝ったわね"と納得している生徒もいる。

 

「そんな・・これ程の力があるなんて・・。」

 

SEEDを解除した一夏は、倒れ伏すエレナを憐れみに見る。

 

「お前は確かに強かった。だが、それを理由に慢心した結果がこれだ。女だから、代表候補生だからっていう考えを持っていたから、お前は俺に勝てなかったんだ。」

 

「っ・・。」

 

「自身を持つのは良い。だが、持ちすぎると逆に毒になるだけだ・・。今回のことは教訓として忘れるな、そして自分の何が間違っていたのか、よく考えろ。」

 

そう言い残して一夏はビットに戻って行った。

 

「はぁ・・もう終わったんだ・・何もかも。」

 

残されたエレナと教師、生徒達はその後やってきた教師部隊に取り押さえられるまで、ピクリとも動かなかった。

 

因みにビットに戻った一夏は、その後GUTSの仲間やクラスメイト達に大歓声で迎えられた。

そして勝利を祝って食堂でパーティを開いたとか。

 

 

ED【SUPER∞STREAM(インフィニットヒロインズ)】




最後まで読んでいただきありがとうございます。

今回で一夏は自分の意思でSEEDを覚醒できるようになりました。これから彼とシャルロットの関係はどうなっていくのか、見守っていただけると有難いです。

いずれ、改修された白式を受け取るエピソードも投稿したいと思っています。
次回は一夏の勝利を祝うパーティを投稿予定です。
それでは、また次回!

次回予告

エレン・ルージュに勝利した一夏。
クラスはそんな彼を祝うべく、食堂でパーティを開くことに。だがそこでセシリアが自分も料理を作ると言い出し・・!?

次回、ウルトラマンティガ〜The Beginning of Legend〜
第42話【勝利のお祝い】
お楽しみに!

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