インフィニット・ストラトス〜古の英雄〜   作:ボイスターズ

50 / 65
デート回、後編です。

後半、一夏がブチ切れ&無双します。
一体何事か。

では、どうぞ。


第39話 騎士と疾風の日常《デート》PART 2

Noside

 

次に一夏とシャルロットが向かったのは、ゴーカート。順番が来て乗り込み、エンジンをスタートさせる。

 

「行〜くぜぇぇぇ!!」

 

「ヤッホ〜!!」

 

ゴーカートに乗った2人は、ペダルを踏んで走り始めた。

 

「うぉぉ!!速えぇ!!」

 

「凄い!」

 

一夏とシャルロットの乗った物は、少し走っただけであっという間に速度が上がっていく。

そしてーー

 

《フルスロットォォォル!!!》

 

 

『何処の喋る変身ベルト!?』

 

最高速度に達した途端、某警察ライダーの変身ベルトのような声が響く。

それから2人は大はしゃぎでコースを走り回った。

 

 

ー10分後

 

 

「いや〜楽しかった・・。」

 

「そ、そう・・良かったね(一夏ってば飛ばし過ぎだよ〜落ちるかと思った(^_^;))。」

 

どうやら予想以上に楽しかったのか、一夏はかなり飛ばして走ったそうだ。

続いて2人は、恐竜達が住むジャングルや、未来から来たサイボーグなど、多くのアトラクションを楽しんだ。

 

 

ーPM13:20

 

 

「そろそろ昼飯にするか?」

 

「そうだね・・何だかお腹空いたし。」

 

暫くしてISで時間を確認すると、時刻は現在13時を過ぎており、昼食時と言ったところだろう。

 

 

「よし!じゃあ、あの店で一休みすっか!」

 

「あ・・。」

 

近くに某海賊王のレストランがあったので、一夏はシャルロットの手をとってそこに向かう。

自然に手を握ってきた一夏に、シャルロットは少々驚きながらも、嬉しそうな表情で歩いていった。

 

 

ーその頃、楯無一行は・・・

 

 

「照れもせずに手を握るなんて、よくそんなことできるわよね〜アイツ。」

 

「仕方ありませんわよ・・一夏さんですし。」

 

「あぁ、一夏だからな(−_−;)」

 

時にアトラクションを楽しみ、時に影から追跡しながら、レストランに入っていく2人を見つめていた。

 

「それにしてもお腹が減ったわね、私達も入りましょうか!」

 

「大丈夫なの?大勢で入ったら気付かれる可能性もあるけど・・。」

 

「心配ないわ。あの中はかなり広いみたいだから上手く紛れこめばいいのよ。」

 

簪の指摘に楯無は不敵に笑いながら答える。しかも扇子には"心配無用!"と書かれている。

どういう仕組みなのだろうか・・?

ともかく、楯無達も体力を回復すべくレストランに向かう。

 

 

ー某海賊王レストラン

 

 

「お待たせしましたー!!」

 

「うぉぉ!!?すげぇこの肉!」

 

「大きいねぇ!」

 

2人が注文したのは一つで2人分の大きさの牛肉。しかも食欲をそそる匂いがするため更に美味しそうに見える。

 

「ごゆっくりどうぞ。」

 

「「頂きまーす!!」」

 

それから2人は消耗した身体を回復するべく、肉を美味しく頂く。

余談だが、一夏の方が腹を空かせていたのか、今度はこの肉の1人分を頼んだのでスタッフは大変驚いたそうだ。

 

 

レストランの食事は、鳥肉や牛肉といった肉料理やシーザーサラダ、デザートなどが多く、体力を回復するには打ってつけだった。

 

「太りそう・・って一夏待って!ここは僕が出すよ!?」

 

「いいからいいから。少しはカッコつけさせてくれよ。」

 

「うぅ・・。」

 

全額払おうとする一夏にシャルロットは自分が払おうと慌てるが、結局一夏に押し負けてしまった。

 

 

 

「うぅ・・・苦しい(~_~;)」

 

「くっ・・これ程とは・・。」

 

「も、もうダメ・・。」

 

「もう、なんで同じ物を頼んだのよ・・?」

 

少し離れたところで、楯無達も昼食を取っていたのだが、鈴とラウラと簪が2人と同じ物を頼んだために満腹で動けなくっていた・・。

食べ過ぎには要注意である。

 

 

ーPM6:00

 

 

夜になり、一夏とシャルロットはレストランを夕食をとっていた。

ステーキ、サラダ、デザート・・時間が経つごとに次々と料理が出されてくる。

 

「もう夜か、早いな。」

 

「あっという間だね〜時間が経つの。」

 

夜景を見ながらのんびりとする2人。

そんな中、一夏は一つ疑問に思ったことがあった。

 

 

「そういえばシャル、なんで今日俺を誘ってくれたんだ?」

 

そう聞かれ、えーと・・とシャルロットは顔を赤くしながら答えた。

 

「この前、一夏に助けてもらったから、御礼がしたかったの。それにここ最近元気がなかったから、心配になって・・。」

 

「!」

 

そう。一夏はガクマの一件で、ここ数日思い悩んでいたのだ。"あれで本当によかったのか?"・・と。

 

実は、ティガがガクマにトドメをささずに逃がしたことで一時議論にもなったのだ。

中には"怪獣と同じ"という意見も出ており、世間はそれでもティガを信じたいという賛成派と、否定派に分かれているのだ。

 

 

「そっか・・ごめんな、心配かけて。」

 

一夏は、"しまった"と内心後悔しながら謝った。

 

「ううん、気にしないで!・・でもずっと1人で悩むなんて良くないよ?」

 

「うっ・・すまん。」

 

シャルロットは笑顔で言ってくれたが、それでも目は笑っていないので若干怯みながら謝る一夏。

 

 

「無理に話してとは言わないけど、1人で抱え込むのは辞めてよね!いつだって僕を頼っていいんだから!」

 

「はい・・・。」

 

そんな彼を見ながら微笑むシャルロットに、一夏は思わず見惚れてしまった。

 

 

「(守りたいな・・この笑顔を。)」

 

 

そう思わせる程、シャルロットの笑顔は美しかった。

一夏はフッと笑みを浮かべて一瞬目を閉じた後、彼女を見つめる。

 

「ありがとなシャル。今度からは、ちゃんとお前や、皆に頼るよ。」

 

「うん・・(そこは僕だけにして欲しいんだけどな〜。)約束だよ!」

 

「あぁ、約束だ!」

 

そう言って、2人は小指を絡めて指切りゲンマンをする。

このまま幸せな時が流れればと思うシャルロットだが、闇はそんな彼女の願いを聞いてくれないらしい。

 

 

 

【BGM(立ち上がれ、怒りよ)】

 

 

 

突如、白式とリヴァイヴが何かをキャッチしたのか、"未確認飛行物体接近"という文字と共にハイパーセンサーを起動。

網膜投影で映し出した。

 

「これって、亡国企業!?(ボソッ)」

 

「チッ!この分だと、間違いなく俺狙いだろうな(ボソッ)」

 

「そんな・・!(ボソッ)」

 

映し出されたのは、赤黒い打鉄とリヴァイヴがそれぞれ3機、そして改良を施されたゴーレムが5機いる。

ゴーレムはそれまでのISのフォルムに全機共通で頭部には機関砲を撃つための砲門、両手には荷電粒子砲に猛獣の如く鋭い爪が、両肩にはミサイルポッドがセットされている。

 

リヴァイヴや打鉄も、背中のバックパックにミサイルを積んでいる。

 

驚くとシャルロットの横で、一夏は激しい怒りを露わにしていた。

それも当然である。こんな大勢の客がいるところで戦闘になれば、間違いなくパニックになりかねないからだ。そして、もう一つ理由があるのだが、一夏はそれに気づいていない。

 

 

「シャル、お前は此処にいろ!奴らは俺が倒す!!」

 

「無茶だよ!絶対ダメ!あんな数を1人で相手するなんてっ・・!?一夏、目が・・!」

 

シャルロットは驚愕に包まれた。一夏の目からハイライトが完全に消え、目つきが今までになく鋭くなっていたのだから。

それは彼の中のSEEDが覚醒したことを意味する。

 

「おいっ!なんかISがこっちに飛んで来てるらしいぞ!」

 

「え、ウソだろ!?」

 

「間違いねぇのか!?」

 

「えぇ!」

 

「本当のことだ!さっき観覧車から見えたんだよ!」

 

そうしている間にも、彼方此方で騒ぎになり始めている。最早パニックは避けられなくなってきた。

 

「大丈夫だ・・今の俺ならいける・・!」

 

冷たい声でそう言って外に出た一夏は、右腕に意識を集中し一瞬で白式を展開。シャルロットが止めるのも聞かずハイマットモードに変形させて一気に飛び立った。

 

「一夏!」

 

そんな彼を見つめながら、シャルロットは急いで楯無と千冬に連絡を入れた後、リヴァイヴを展開してあとを追った。

 

 

ーIS学園

 

 

「何!?あぁ、わかった。お前も直ぐに追え!くれぐれも気をつけろ!」

 

「織斑先生、どうしました?」

 

「デュノアからの緊急連絡だ!遊園地近くの上空に亡国企業のISが現れ、現在織斑が交戦している!」

 

「何ですって!?」

 

学園では、シャルロットから事の詳細を伝えられ、千冬と真耶は直ぐさまモニター室に向かった。

 

「(一夏、お前に一体何が起きている!?)」

 

ー遊園地

 

 

一夏が上空に飛んでいくのを複数の他の客達が目撃しており、彼を応援する者、混乱する者と、分かれていた。

 

「一夏君、私達も直ぐにそっちに『必要ありません。』なっ!?」

 

一夏からの返答に驚く楯無。

 

「ちょっとアンタどうしちゃったのよ!?必要ないなんて・・。」

 

『奴らの狙いは俺です。俺が奴らを引きつけますから、その間に他の客を避難させて下さい!』

 

「何を言っているんだバカ者!いくら何でもあの数を1人で戦うのは無茶だ!」

 

『心配するなよ箒、何ならそこから見ててくれ。』

 

それを最後に一夏は通信を切った。

 

「お、おい!一夏!?一夏!!」

 

箒は何度も呼びかけるが、一夏が答えることはなかった。

 

「(一夏君・・一体どうしちゃったの!?)とにかく、急いで追いましょう!」

 

『はい!』

 

楯無達はISを展開し、一夏が戦っているであろう空を、必死に飛んで行った。

 

 

ー遊園地上空

 

 

怒りに燃える一夏は白式のリミッターを解除、ハイマットモードのまま、敵部隊に向かっていく。

 

『っ!ほう・・ターゲットを確認。これより任務を開始、排除に入る・・落ちろ異物っ!!』

 

一夏の姿を確認した打鉄のパイロットは、自分から向かってきた一夏に感心しながらも、激情を露わにしてライフルで攻撃を開始する。

 

「っ!」

 

「なに!?」

 

だが、一夏はそれを余裕で避けた後、左腰のラケルタビームサーベルを抜刀。すれ違いざまに斬り裂き、シールドエネルギーを0にさせる。

 

「このおぉぉぉ!」

 

「・・・。」

 

他の打鉄やリヴァイヴ、ゴーレムが撃ち落そうとするが、一夏は顔色一つ変えずに敵機をロックオン、ハイマット・フルバーストを放つ。

数機が落とされ、それを辛うじて避けて来た者はビームサーベルで攻撃、もしくは腰のクスィフィスレール砲を放って撃ち落とす。

 

「くっ!何なのよコイツ!」

 

展開する武装の交換で動きが止まる一瞬の隙に、一夏はラケルタビームサーベルを再び抜刀し、高速で接近して両腕や両脚を破壊。

更に、正面にいた打鉄やリヴァイヴに向けて荷電粒子砲を発射。

 

「ウアァァァァ!!?」

 

「アアアアっ!!」

 

打鉄やリヴァイヴが落ちる中、残ったゴーレムが荷電粒子砲を撃ってくるが、ビームサーベルに斬り落とされ、残った両脚はプラズマ収束ビーム砲で破壊された。

 

「ば、馬鹿なっ!こんなことがあってたまるか!!」

 

最後に残った隊長機は背中のミサイルを放ってくるが、それも左手に持った雪片の斬撃で全て破壊した。

 

「これで終わりだ・・!」

 

一夏の冷たい声と共に右手のビームサーベルを振るわれ、隊長機も撃墜された。

 

『・・・』

 

その圧倒的な力に、IS学園や遊園地の人々、駆けつけた楯無達は言葉を失ってしまった。

 

「・・・。」

 

「一夏・・。」

 

シャルロットが不安げに見つめる中、落下していく隊長機を、SEEDが解けた一夏は悲しげな眼差しで見つめていた・・・。

 

ED【Reason(玉置成実)】

 




今回の戦闘シーンは、「機動戦士ガンダムSEED DESTINY」を基にしています。

一夏がこれ程までに怒りを露わにした理由は、次回明かされます。彼は一体何を思ったのだろうか・・。

次回予告

凄まじい力で亡国企業を退けた一夏。だがそんな中、IS学園では彼を危険視して、排除しようとする者が動き出していた・・。

次回、ウルトラマンティガ〜The Beginning of Legend〜
【SEEDを持つ者】
お楽しみに!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。