果たして、束が語る真実とは?
では、どうぞ
一夏side
暫くして、束さんの事情説明が再開した。
「次は束さんが話す番だね・・。ちーちゃん、この前修学旅行へ行った時に襲撃事件があったのは覚えてるよね?」
「・・あぁ。モノレールに時限爆弾がセットされ、更にハッキングを受けて暴走、あげく亡国企業の襲撃を受けたアレか。」
千冬姉の言葉にマドカは思わずビクッと反応する。無理もない。彼女は当時、俺達を襲った者の一人なのだから。それを察したシャルは、頭を撫でながら大丈夫と言って安心させた。
「それがどうかしたか?」
束さんは深呼吸して落ち着かせた後、静かに語り出した。
「アレは・・・私達がやったことなの。」
『!?』
束さんの発言にマドカを除いた全員が驚愕に包まれた。
「なんだと・・!?」
千冬姉は動揺すると共に怒りで拳を握りしめている。
「どういうことだ!?」
「それはーー」
束さんは当時の計画を語った。
それは要するにこうだ。
まず、俺達が乗る予定の列車にクロエが爆弾を仕掛ける。
列車に千冬姉達が乗ったのを確認し、束さんが列車のシステムをハッキングして制御不能に、同時に爆弾を起動させる。
そしてマドカは俺の殲滅後に列車を破壊、その間オータムは箒とセシリアの足止めをするという物。
他にも、嘗ての無人機事件や福音の暴走も、ワールドパージ事件も全て束さんが仕掛けたことだった。
その理由は、白式や紅椿のデータ収集、箒を華々しくデビューさせるため、千冬姉を楽しませたい、そして千冬姉の専用機『暮桜』に強制解凍プログラムを送るためだった・・。
「束、貴様・・!!」
ーードガッ!!!
怒りが爆発し束さんに殴り掛かろうとする千冬姉。
だが、その前に俺が飛び出し束さんを全力で殴り飛ばした・・・。
なんで無抵抗だったのかはわからない。だけど今は束さんがどうしようもなく憎かった。
「一夏・・!?」
そんな俺の姿を見て驚愕する箒。
「なんで・・なんでそんなことを平気でできるんだよ!?人の命をなんだと思ってる!?あの時の戦いで生徒達がどれだけの恐怖を抱いたと思ってるんだ・・!!」
怒りのあまり気付いたら俺は涙を流しながら叫んでいた。
あの戦いの際、恐怖のあまり震えている生徒達が多くいたという。
あんなことをそんな理由で引き起こすなど、決して許されることではない!
「そうだね・・ホント私ってバカだ・・。」
束さんはそう言ってゆっくり起き上がった。
「束さん・・俺・・」
「良いんだよいっくん。君は間違ってない。寧ろ私の方だから・・。ホント、何が天才だろ・・・、こんなことすら分からないなんて、これじゃあ只の我儘を言ってる子供だね・・。ごめんねいっくん、皆・・辛い思いをさせて・・本当にごめんね・・。」
束さんは涙を流しながら全員に頭を下げた。
「姉さん・・これからどうするんですか?」
「少しずつ償いをしていくよ・・まずは人命救助用のISの製作かな?」
箒にそう言いながら微笑む束さん。
「お前も私も許されない罪を犯した。容易く清算できることではないぞ?」
「わかってるよちーちゃん。罪を背負って生きていく覚悟もできてるから。ちーちゃんもそうでしょ?」
「まぁな。」
千冬姉の言う罪っていうのは、恐らく嘗ての白騎士事件だろうな。臨海学校で2人の会話を聞いて察してはいたが。
それから束さんとクロエは暫く学園に残ることになり、今日は解散することになった。クロエ、篠ノ之姉妹と千冬姉を除いて。
その後に聞いたが、千冬姉によると2人は互いに謝罪すると共に本音をぶつけ合い和解したそうだ。
涙を流しながらも微笑み合う二人からは、過去に失われていた絆を確かに感じたという。
「(落ち着いたら、この案を千冬姉や束さんに見せるか。世界に喧嘩を売ることになるが、今の戦力を考えるとな・・。)」
部屋に戻った俺は、引き出しから一冊のノートを取り出した。
その表紙にはこう書かれている。
『GUTS全専用機改修計画書』と・・・。
SideEnd
Noside
時間は、解散して部屋に戻る頃に遡る。
「どう思う?篠ノ之博士のこと。」
戻る途中、鈴がこんなことを聞いてきた。
「とても責めようとは思えませんわ・・。」
「うん。申し訳ないっていう思いが確かにあったもんね。」
「私も同意見だ。アレだけ反省しているのなら問題ないだろ。」
「同じく。」
「私も。」
「私もよ。償いをしたいって思うのなら、私も協力したいし。(それにしても一夏君、いつになく大人びていたわね・・成長してるのは嬉しいけど、何かあったのかしら?)」
どうやら全員、思うことは一緒らしい。
楯無は何やら気になることがあるようだが。
ちょっと強引な展開だったかもしれません。
(−_−;)
次回予告
久良々島で怪獣の目撃情報を受け、軍のIS部隊は調査に訪れた。作業員によれば、ガクマと呼ばれる神獣の仕業らしいが?
一方、IS学園では専用機の改修が行われようとしていた。
次回、ウルトラマンティガ The Beginning of Legend
【石の神話 PART 1】
お楽しみに!