そしてサブタイが浮かばない
(−_−;)
では、どうぞ。
Noside
「え、お2人はISを操縦しないんですか?」
「うん、ちょっと自分には合わないかなって。」
「あたしも同感。戦闘なら生身の方が性に合ってるし。」
一夏は自室で大地やアスナとこれからのことを話していた。2人はISの操縦をするつもりはなく、GUTSの隊員兼整備系の教員を勤めるそうだ。
暫くして大地が"ところで"と話題を変え
た。
「この前の戦いで君が変身したあのティガ。なんだか見てるだけですごい安心感だったよ・・。」
「そうなんですか?」
『あぁ、見ているだけで希望を感じた。"これならいける"とな。』
「色は派手だけどね〜。」
大地やエックス、アスナの賞賛に苦笑いする一夏。
「それにしても一夏君は初めてあの力を使った時、デマーガを浄化してそのまま見逃したね?何故そうしようと思ったんだい?」
真剣な表情で尋ねる大地に、一夏はティガに言われたことを思い出した。
ーー彼も闇の被害者だ。浄化さえすれば、もう戦う必要はない。
倒すことが全てではないってことさーー
「あれは、ティガがそうするように言ったんです。"彼も闇の被害者。浄化さえすれば戦う必要はない。倒すことが全てじゃない"って・・。俺は浄化した後、そのまま倒すつもりでしたがその前に・・。」
ふと思えば、何故グドンやレッドキングとの戦いでは"救う"のではなく"倒す"という判断をしたのか。
レッドキングの時は、まだ闇を浄化する手段がなかったからというのもあるが、グドンはどうだ?
ただ"学園を襲った"という理由で倒した。
「(俺はあの時、何故怪獣が現れたのか考えたか?)」
答えは否。考えていない。いや、考えている場合ではなかった。あの時は、教員部隊が落とされようしていたために自らの意思で変身し、戦った。
この前のデマーガの時もそうだ。街で暴れていたために戦った。
その時も何故現れたのかを考えず、ただ倒すことに意識を向けていた。
何故、あの時トドメをさすのをティガは止めなかっただろうと思ったが、その答えは何となく浮かんだ。
それは、"ティガは自分を試していたのではないか?"ということ。
まだ光を受け継いだ直後であった彼は、自分の力をどう扱うのかを見極めるために。
「(・・なるほどね。)」
一夏の様子から何を考えているのか大地は読み取った。
「一夏君、君は今"自分は怪獣達の事情を理解していたか?"って思っていない?」
「!」
「図星だね・・今の君の話を聞いて俺も考えたけど、君は、いやこの際GUTSの皆もだけど、彼らのことをまるで理解していない。ただ倒すことだけを考えていたでしょ?」
面と向かって言われ、顔を伏せてしまう一夏。それからゆっくり話し始めた。
初めて自らの意思で変身したグドンとの戦い、凶暴化したレッドキングとの戦い、それから暫くして専用機持ち7人を相手に圧倒し、同時に自らの力の強大さを思い知ったことを・・。
「そっか・・。でもそうやって力の危険性を考えられるのは立派だと思うわ。」
「確かに怪獣達によって被害者が出てしまうから、倒そうと思うのも仕方ない。けど、何も知ろうとせずに力を使うのは暴力でしかないんだ。」
「でもそれじゃあ・・なんでティガは俺にこんな力を与えたんでしょうか?」
そう言いながら待機状態の白式を見つめる一夏。嘗てマドカとの戦いで"光"を与えられ三次移行を遂げた白式。
理解しようせずただ倒すことしか考えなかった自分に、何故こんな力を与えたのだろうか?一夏はそれが気になった。
『それはきっと、君に賭けたんじゃないか?』
「俺に・・賭けた?」
『君のような優しく強い意思を持った人間ならば、いずれ成長し、理解できるんじゃないかとな。現に君は自分の力を理解しているだろう?』
同じウルトラマンの言葉だからだろう。
妙に納得できた。
「理解か・・。俺は、ちゃんとできるんでしょうか?」
『君がそうしようという意思があれば、きっとできるさ。』
「難しいことではあるけど、少しずつ考えていけばいいよ。君の戦いはまだこれからなんだから。」
「大地さん、エックス・・ありがとうございます。」
2人からの励ましを受け、一夏は静かに頷く。
そんな様子を、アスナは微笑ましく見つめていた。
ー教員室
一夏達が話してから暫くして、千冬の携帯に一本の電話が入った。その番号を見て、しぶしぶ出ることにした。
「なんだ、今忙しいのだが。」
『まぁまぁ〜そう言わないでよ〜ちーちゃん。折角連絡したんだからさ!』
「お前に連絡されても嬉しくないんだがな。」
『ちょっと待ってそれは酷くない!?』
「事実だ。」
『そんな〜(T . T)』
千冬が話している人物・・篠ノ之束は、電話越しに泣きそうな声を出しているが、千冬に冗談は通じない。
「で、わざわざ連絡してくるなんて一体何の用だ?」
『うん。実は今度そっちに行こうと思ってるんだ。』
「・・・は?」
何を言っているんだコイツは?
『だから〜今度学園に行こうと思ってるの。久しぶりにちーちゃんやいっくん、箒ちゃん、あとマドっちに会いたいし。』
「なん・・だと・・?」
マドっちとはマドカのことだろうが、それよりも篠ノ之束がIS学園に来る・・それは非常にマズイ。何故なら彼女は467個目となる最後のISコアを製造した後行方不明になってしまった。しかもコアは彼女にしか作れないため、世界各国から身柄を狙われている。
最近は臨海学校の時に再会したが、その時も箒に紅椿を専用機として渡して千冬は頭が痛くなった。
そんな彼女が来たら学園上層部やIS委員会は大騒ぎだろう。
『それに、この前ちーちゃんが話してただダイくんやアスちゃんのこととか。』
「大空と山瀬のことか。」
『そそ。その2人にも会ってみたいんだよね〜。』
束には2人は別次元の地球から来たことを伝えている。しかも大地は男性でありながらISの適正があったのだから、それで興味を持ったしても仕方ないか・・。最も2人はISの適正こそあったが、実際に操縦する気はないらしく、2人とも整備課を希望しているが。
「はぁ・・わかった、だが穏便に頼むぞ?」
『オーケ〜。で、ここからが本番なんだけどね。』
今までの子供のような口調から、真剣なものに変わった。
それを感じた千冬も、表情を変える。
『ちーちゃんって、怪獣が現れたら先ず何を考える?』
「なに・・?」
何を考えるか・・千冬の中では既に出ていた。
「勿論、如何に犠牲者を出さずに倒すかだが?」
『あちゃ〜ちーちゃんはやっぱりそういう考えか〜。』
「やっぱりとはどういうことだ?倒すのは当然ではないのか?」
千冬の言葉に、束はうーん・・と唸りながら本題を話す。
『ちーちゃんってさ、怪獣達の都合って考えたことある?』
「?どういうことだ?」
『ちーちゃん達は何度か怪獣と戦って来たでしょ?例えばその時、何故現れたのかとか考えたことはないでしょ?」
「それは・・。」
言われてみれば、今までそんなこと考えたこともなかった。
唯現れたから倒すという考えを持っていたから。
それを束に話すと・・・
『ちーちゃん・・その考えは改めた方がいいよ。怪獣達が現れるのは単なる破壊衝動からじゃない。私達人間が原因でもあるの。』
「人間が・・原因・・?」
若干怒気を含んだ声が帰ってきた。
『うん。亡国企業が操っているのもいるけど、主に環境破壊かな?発展のために自然を破壊したり、廃棄物を川や海に捨てたり・・それらが蓄積したことで、怪獣達が目覚めてしまったの。』
電話の向こう側で、束は破壊された森や汚れた川が映った画面を見ている。
「待て、亡国企業が操っているというのはどういうことだ?」
『あーそれ?この前のオータムとか言う奴の襲撃時から超小型のスパイ衛生で追跡して調べた。結局壊されたけどね。』
さらっとトンデモないことを言う天災に頭を抱える千冬。
「では・・我々はどうすればいいんだ?」
『倒すなとは言わない。でも、理解することを忘れないで欲しいな。何で現れたのか、何で暴れるのか・・次に戦う時によく考えて。』
「GUTS全員の課題と言ってもいいかもな・・。しかし、お前が相手を理解しろと言うとはな。何かあったのか?」
『まぁ色々とね〜。それじゃ今度会ったらゆっくり話そう!』
「あぁ、ではな。」
その言葉を最後に束は通信を切った。
「はぁ・・。」
これはまた大変なことになりそうだ・・千冬はあまりの頭の痛さに鎮痛剤を取り出し、水で飲み込んだ。
「フゥ・・。」
「織斑先生、此方をお願いします・・あら?どうしました?」
「あぁいや、なんでもない。(理解・・簡単なようで難しいことだが、やらない訳にはいかないか。)」
真耶から書類を受け取り、千冬は作業に入った。
この時、"相手を理解する心"を試される時がいずれ来ることを、千冬は感じていた・・・。
次回予告 千冬ver
IS学園に巨大なニンジンが降ってきた。その中から現れたのは、私の友人、篠ノ之束だった・・。全く、突然やって来るとは何を考えているんだ・・!
しかも、ボーデヴィッヒに似た銀髪の少女まで連れて。今度は何をする気なんだ?
な、なにっ!?束の娘だと!?
次回、ウルトラマンティガ The Beginning of Legend
『天災の来訪』
次回もよろしく頼むぞ。