インフィニット・ストラトス〜古の英雄〜   作:ボイスターズ

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お久しぶりです。

今回も前編と後編に分けました。

ではどうぞ。


第29話 熔鉄の獣 PART 1

Noside

 

授業と片付けを終えて更衣室に戻った箒は、ある疑問を感じていた。

 

「皆、ちょっといいか?」

 

「ん?」

 

「はい?」

 

「なんだ?」

 

「どうしたの?」

 

箒はマドカ、セシリア、ラウラ、シャルロットを集める。

 

「一夏のあの力・・妙だと思わないか?」

 

「そういえばそうですわね・・。」

 

「確かに最近急に強くなったよね・・。いくら三次移行しているからってちょっとおかしいよ。」

 

「ティガと同じ技、能力を使っていたな・・。それにいつ間にあれ程の格闘術を身につけたんだ?」

 

「それも確かに引っかかるな・・(そう思うのも無理ないか・・。IS14機を1人で倒すなど、国家代表もしくはヴァルキリーか、姉さんのブリュンヒルデぐらいの実力でないと無理だろうからな・・)。」

 

内心そう思いながらマドカは敢えて知らない振りをする。現時点で一夏=ティガということを知っているのはIS学園ではマドカのみで、あとは束とクロエぐらいである。

 

※ヴァルキリーとはモンドグロッソ大会の格闘・射撃・近接・飛行など、部門ごとの優勝者の称号。

 

その後鈴と合流して屋上で話すことになり、箒達は更衣室を出た。

 

 

ー屋上

 

 

「では会議を始める。鈴、先ほどの授業の模擬戦のことは聞いているな?」

 

「えぇ。打鉄7機とリヴァイヴ7機の14機相手に勝っちゃった話でしょ?妙よね・・。」

 

「お前もそう思うか。」

 

ラウラの質問に顔をしかめながら応える鈴。彼女も、一夏の異常な強さに疑問を感じていたのだ。

 

「あの性能は第4世代と言ってもいいでしょう・・。しかしその分扱うのは困難な筈です。」

 

「うん。なのに一夏はそれを完全に使いこなしてる・・。」

 

「ひょっとして、ティガと何か関係があるんじゃ?」

 

「まさか、それはないだろう。私はそう思いたいが・・。」

 

「そうだな。」

 

 

そんな中、梅沢市にある山岳部の川辺では若いカップルが水の掛け合いをしていた。

だが、その時女性が異常に気がつく。

 

 

「ねぇ、何か熱くない?」

 

「え?」

 

 直後、川の水が火にかけられたかのように沸騰し始めた。

 

「「熱っ!?」」

 

 2人は凄まじい熱量に川の中にいられず、急いで岸へ避難した。

 

その際、山の向こうで赤い怪光が激しく焚かれたのに2人は気づかなかった。

 

そろそろ授業の時間が迫っていたので、箒達は教室に戻ろうとした。

だが、突如起きた揺れにフラついてしまう。

 

「え、な、なに!?」

 

「地震・・にしては長いぞ!?」

 

「まさか怪獣!?」

 

混乱する鈴と箒に思わずフラグを立ててしまうシャルロット。

 

「山田先生!何が起きている!?」

 

千冬は激しい揺れの中、何とかモニタールームに辿り着いた。

 

「梅沢市の地底を巨大な熱源が移動中!この地震は恐らくその影響かと!!」

 

《ビィー!!ビィー!!》

 

「!梅沢市に怪獣が出現しました!」

 

「出動要請!!」

 

「了解!」

 

ビィーー!!ビィーー!!

 

 

『!?』

 

なり始めた警報に固まる一同。

 

『梅沢市に怪獣出現!GUTS、出動して下さい!!』

 

「「「「「了解!」」」」」

 

真耶の指令を受け、箒達はカタパルトへ向かう。

カタパルトに到着した箒達は一夏、楯無、簪と合流してISを展開する。

 

 

『進路クリア、システムオールグリーン!白式、発進どうぞ!』

 

「織斑一夏、白式!行きます!!」

 

『紅椿、発進どうぞ!』

 

「篠ノ之箒、紅椿、参る!!」

 

『ブルーティアーズ、発進どうぞ!』

 

「セシリア・オルコット、ブルーティアーズ、参りますわ!」

 

『甲龍、発進どうぞ!』

 

「鳳鈴音、甲龍、行くわよ!」

 

『ラファール・リヴァイヴ・カスタムII、発進どうぞ!』

 

「シャルロット・デュノア、リヴァイヴ、行きます!」

 

『シュヴァルツァ・レーゲン、発進どうぞ!』

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ、、シュヴァルツァ・レーゲン、出るぞ!」

 

『ミステリアス・レイディ、発進どうぞ!』

 

「更識楯無、ミステリアス・レイディ、発進します!」

 

『打鉄弐式、発進どうぞ!』

 

「更識簪、打鉄弐式、行きます!」

 

『黒騎士、発進どうぞ!」

 

「織斑マドカ、黒騎士、発進する!」

 

ここで少し時間を戻そう。

授業を終えた一夏はというと・・・

一夏side

 

 

「大分慣れてきたな・・あとはどっちが有利かもう少し早く見極められるようになればいいか。」

 

俺はロッカーでシールドエネルギーの補給と先程の戦闘の録画を見ながら反省点を見つけていた。

だが突如学園が揺れ始めた。

 

「うわっ!なんだ!?」

 

《ビィー!!ビィー!!》

 

『梅沢市に怪獣出現!GUTS、出動して下さい!!』

 

「了解っ!(くそっ!まだエネルギーは満タンじゃないってのに!)」」

 

山田先生の指令で急いでカタパルトに向かった俺は、楯無さん、簪、箒達と合流し白式を展開して飛翔する。

 

 

「織斑一夏、白式、行きます!!」

 

 

Side end

 

Noside

 

そして時間は現在へーー

 

 

「(チッ・・さっきの模擬戦で大分エネルギーを使っちまった。零落白夜は精々3回ってところか・・・。)」

 

空中ディスプレイを見てみると、白式のエネルギーは残り60%を切っている。瞬間加速の使用も考えると、使えるのは恐らく2〜3回だろう。

 

先程の模擬戦で技を多く使ったのが裏目に出てしまった。

 

「ガァァァ!!」

 

梅沢市に現れたその怪獣は、恐竜のような姿をしており、身体の79%が溶けた鉄で構成されていて頭部には一本の黄色い角が生えている。

その名も"熔鉄怪獣デマーガ"である。

 

「あそこだ!!」

 

《攻撃開始!》

 

「了解!」

 

全員装備を展開して戦闘態勢に入る。

 

「ガァァァ!!」

 

それを見て危険を察知したのかデマーガも赤色の熔鉄光線を撃ってきた。

 

「ハッ!!」

 

素早く反応した一夏は、全員の前に出てウルトラシールドを展開する。

 

「くぅぅぅ・・!!」

 

その衝撃と熱に一夏は態勢を崩しそうになるも、スラスターを全開にして防ぎきった。

 

「一夏、大丈夫!?」

 

「あぁ、行くぞ!」

 

荷電粒子砲を連射する一夏に続いて、シャルロット達もアサルトライフル、穿千、スターライト、衝撃砲、レールカノン、マシンガン、山嵐、ランサービットで攻撃を開始した。

 

「ガァァァ!!」

 

デマーガは喉や背の皮膚を赤く発光させて火炎弾を放ちそれらを迎撃する。

 

「デァァア!」

 

その火炎弾を避けた一夏がデマーガの顔面へ瞬間加速の勢いを利用した飛び蹴りを放った。

 

「ガァァ!」

 

「うわっ!?」

 

だが当たりはしたものの直ぐに弾かれてしまい、危うく地面に落ちそうになったが、すぐにスラスターで安定させる。

 

「危ねぇ・・!」

 

「「「ハァァァ!!」」」

 

「ガァァァ・・!」

 

楯無とラウラが蒼流旋とプラズマブレードでそれぞれ左右の首(人間でいう頸動脈のあたり)を、マドカがフェンリル・ブロウで腹を斬りつけると、僅かだがダメージが入った。

 

その隙を逃さず一夏とシャルロット、簪、セシリア、鈴が荷電粒子砲、マシンガン、山嵐、レーザー、衝撃砲で少しずつダメージを与えていく。

 

「!?」

 

何かに気づいた一夏は、ハイパーセンサーで近くの交差点をアップする。

 

「うわぁぁぁん!ママァァァァ!!」

 

そこにはなんと6歳ぐらいの女の子が泣きながら歩いていたのだ。

このままでは巻き込まれる、そう思った一夏は、すぐさま彼女の元へ向かう。

 

「一夏君!?どうしたの!?」

 

「近くに女の子がいるんです!このままじゃ巻き込まれる!!」

 

「なんですって!?皆攻撃中止!!」

 

楯無の通信で全員慌てて攻撃を止める。

 

「ガァァァ!!」

 

デマーガはそれを見て、どうした、どうした!?と言わんばかりの雄叫びを上げた後、火炎弾を無差別に放ち始めた。

 

「くっ!」

 

「ちっ!此方が攻撃できないのをいいことに・・・!!」

下手に攻撃すれば女の子や一夏が巻き込まれてしまうため、GUTSは自分達に向かってくる火炎弾を撃ち落とすのが精一杯であった。

 




楯無達に怪獣を任せ、1人女の子の救出に向かう一夏。

頼む、間に合ってくれ・・・!!


後編に続くーー。

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