インフィニット・ストラトス〜古の英雄〜   作:ボイスターズ

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今回で、第1章は最終回となります。

しかし第2章のタイトルは何にしようか・・。

では、どうぞ。


第26話 暴君の雄叫び

Noside

 

ーIS学園

 

ここで少し時間を遡る。一夏がスカイタイプにチェンジし、オータムに高速斬撃を食らわせた直後に学園内に警報が鳴り響いた。

 

「なんだ!?」

 

「これは・・上空より巨大な生命反応をキャッチ!此方に向かって来ます!!」

 

「なに!?生徒は直ちにシェルターに避難!教師部隊、全員出撃準備!山田先生、援護をお願いします。」

 

「了解!」

 

真耶は千冬の指示で地下カタパルトへ向かい、自身の愛機である"ラファール・リヴァイヴ・スペシャル"を展開した。

 

『カタパルトオンライン、進路クリア。ラファール・リヴァイヴ・スペシャル、発進、どうぞ。』

 

 

「山田真耶、リヴァイヴ・スペシャル!行きます!」

 

真耶は発進後、教師部隊と合流して飛来した怪獣の攻撃を開始した。

 

 

ー現在

 

そして現在、教師部隊と1体の怪獣が交戦していた。

 

角は竜巻怪獣シーゴラス。

 

耳は異次元宇宙人イカルス星人。

 

胴体は宇宙大怪獣ベムスター。

 

背中は液汁超獣ハンザギラン。

 

両腕は殺し屋超獣バラバ。

 

脚はどくろ怪獣レッドキング。

 

尻尾は大蟹超獣キングクラブ。

 

 

嘗て、ウルトラ兄弟に倒された怪獣達の怨念が集まって誕生した"暴君怪獣タイラント"である。

 

「ギャァァオ!!」

 

タイラントは教師部隊の攻撃を物ともせず耳からアロー光線を発射して後退させる。

 

「何なのよこの怪獣!?」

 

「正に怪物ね・・まるで隙がないわ。」

 

そう。遠距離では今のアロー光線の他にも口からの爆炎放射や、ベムスターの腹からの冷気、バラバの鎖釜。

かと言って近距離ではキングクラブの尾やレッドキングの脚が待っている。

これにより教師部隊は防戦一方であった。

 

「何だあの怪獣!?」

 

「まるで、複数のパーツが集まった様な姿だな。」

 

「なんか・・怖い。」

 

「箒ちゃん、絢爛舞踏を!全員のエネルギーを回復して!」

 

「了解。皆!」

 

そこへ漸く一夏達が到着した。

楯無の指示で箒は、紅椿の単一仕様能力である絢爛舞踏を発動。機体が黄金の光に包まれた。

 

全員のエネルギーが回復した後、教師部隊に変わって一夏達GUTSが立ち向かっていく。

 

「お行きなさいティアーズ!」

 

「ターゲットロック、山嵐発射!」

 

セシリアはブルー・ティアーズを射出してレーザーを、簪は山嵐を頭部に発射し、目眩しする。

 

「零落白夜、発動!喰らえぇぇぇ!!」

 

「ギャァァァオッ!!」

 

「チッ・・!」

 

その隙に一夏は零落白夜・極を発動、個別連続瞬間加速の勢いでタイラントの頭部に剣を振り下ろすが、ビクともせず振り落とされた。

 

「一夏、大丈夫!?」

 

「あぁ。だが・・なんて奴だ。セシリアのレーザー、簪の山嵐、俺の零落白夜を受けても傷一つ付かないなんて・・。」

 

「(今の太刀筋・・まずい、一夏は先の戦いで消耗しきっている。このままでは一夏の体力が保たない・・!)」

 

流石は幼馴染と言ったところか。箒は一夏の太刀筋を見て、真っ先に彼が消耗していることに気づいたのだ。

 

実際一夏はオータムとの戦いでスカイタイプを使用し、高速移動で体力を消耗していた・・。

 

「(くそっまずい、身体が重い・・。)」

 

 

ピコン・ピコン・ピコン・ピコン・・!

 

 

それを示す様に、白式のカラータイマーが点滅を始めた。しかも普段より音が高いうえに点滅の速度が早い。

 

「ちょっと一夏!?なんでもう赤になってるのよ!?」

 

鈴が驚愕している間に一夏はバランスを崩して落下しかけたので、慌ててシャルロットが受け止める。

 

「!?一夏!しっかりして!」

 

「くっ、わりぃ・・こんな時に・・!」

 

《織斑!直ちに戦線離脱しろ!その状態でこれ以上の戦闘は危険だ!》

 

「了解・・!」

 

千冬の指示で一夏はシャルロットに支えてもらいながら地上に降りて行った。

 

 

地上に降りた一夏は白式を解除して近くの木にもたれかかる。

 

「ハァ・・ハァ・・悪いシャル・・俺は大丈夫だから早く皆のところに。」

 

「でも・・。」

 

「心配すんなって・・少し休んだらすぐに行くからさ。」

 

「・・わかった。終わったら迎えに来るから、ここで待ってて!動いたらダメだよ!?」

 

一夏が頷いたのを確認して、シャルロットは箒達の元へ飛んで行った。

 

「(ごめんな、シャル・・。)」

 

一夏は心の中で詫びた後、フラつきながらも立ち上がってスパークレンスを真横に展開、ウルトラマンティガに変身した・・。

 

「フッ・・!クソ、身体が・・・!」

 

ファイティングポーズをとるティガだが、一夏の体力が限界に近づいているために肩で息をしている。

 

「ギャァァァオッ!」

 

「だが、やるしかない!!ンンン・・チャッ!!」

 

それでもティガは、拳を握り気合いを込めた叫びをあげて立ち向かっていく。

 

「チャアッ!!」

 

ティガは跳び蹴りを放つが、タイラントに両腕で防がれる。だが構わず右回し蹴りを打ち込み後退させる。

 

《ティガを援護するんだ!》

 

『了解!』

 

箒達や教師部隊はそれぞれの武装で一斉攻撃。ダメージこそ無いが目眩しにはなる。

 

「ハッ!フッ!デェアッ!」

 

その隙にティガは一瞬でパワータイプにチェンジし、チョップやパンチ、キックを次々と打ち込んでいく。

 

「ジュアッ!」

 

「ギャァァァオッ・・!」

 

続けて頭部を抑えてエルボーを2連続した後、ニーキックで蹴り上げ、勢いよく投げ飛ばす。

僅かだが、タイラントには確実にダメージが蓄積されていた。

 

「くっ・・・ハァ・・ハァ・・!」

 

しかし、同時にティガも疲労で動きが鈍ってきている。一刻も早く決着をつけなければ一夏が危険だ。

 

「ギャァァァオッ!!」

 

「っ!ハッ!」

 

だがタイラントは黙ってやられるつもりはない。

ティガのパンチを弾いた後、レッドキングの脚で強烈な蹴りを打ち込み、口から爆炎放射を放って接近を許さない。

ティガはウルトラシールドで防ぐが、少しずつ押されている。

 

「ギャァァァオッ!!」

 

更に腹部にあるベムスターの腹からは冷気まで放って来た。

 

「ウッ、ウウ・・!ジュアッ!」

 

ティガはシールドで必死に抑えるが次第に押されてくる。ならばと上空へ飛び、デラシウム光流のチャージを始める。

シールドに気を取られている間に一気に勝負をつける作戦だ。

 

 

だがーー

 

 

「ギャァァァオッ!!」

 

「!?ウワァァァ!!」

 

なんとタイラントは、左腕の鎖鎌を上空にいるティガの足に巻きつけたのだ。

そのまま勢いよく振り回し、彼を地面に叩きつけた。

更にダメージの蓄積により、パワータイプからマルチタイプに強制解除されてしまった。

 

 

ー司令室

 

 

「鎖鎌だと!?」

 

突然のことに流石の千冬も驚愕する。

 

 

ー亡国企業基地

 

 

ここでは黒いオーラの男とオータム、スコールがモニターでティガとタイラントの戦いを観戦していた。

 

「タイラントは、嘗てウルトラ兄弟に倒された怪獣達の怨念が結集して生まれた怪獣でな、合体したそいつらの能力も使える。」

 

「へぇ〜・・こりゃアイツも終わったな。そんな怪物が相手じゃ勝ち目ねぇだろ。」

 

「分からんぞ?なんせアイツは"ウルトラマン"だからな。例え自分より強くても最後まで戦うだろうぜ。」

 

「それは無謀というのに知らないのかしら?あの子・・。」

 

「まぁアイツに言ったところで無駄なだけだがな。さ、お遊びは終わりだ。」

 

カッ!

 

男はそう言って指を鳴らした。

それと同時にタイラントに変化が起きた。

 

 

ー現場

 

 

「ギャァァァオッ!!」

 

タイラントが雄叫びを挙げた瞬間、身体全体が一瞬紫の炎に包まれた。

 

「!今のは、レッドキングの時と同じ現象・・となるとやばいな」

 

『(この気配・・やはりそうか)一夏!』

 

「ティガ・・?」

 

レッドキングの時と同じ現象がタイラントにも起きた。

驚く一夏と、戦いを見物していたティガは何かに気づいたらしく、一夏に語りかける。

 

『一夏、よく聞け。今タイラントから別の気配を感じた』

 

「別の気配だと!?」

 

『恐らく、黒幕の物だろう』

 

「何!?」

 

一夏はGUTSや教師部隊と交戦しているタイラントを見る。すると僅かであるため意識を集中させなければわからないが、確かにタイラントからは別の"闇"の気配を感じる。

 

「チッ・・何処かにコイツを操ってる奴がいるってことか・・!?」

 

「ガゥゥゥゥ・・!」

 

カラータイマーが点滅しているティガはフラつきながらも立ち上がる。

それを見てタイラントは再び鎖鎌を放とうとしている。

 

「ーーさねぇ・・」

 

「ギャァァァァオッ!!」

 

「絶対にゆるさねぇっ!!ジュアッ!!」

 

怒りの叫びをあげる一夏。その瞬間脳裏で何かが弾け飛び、ティガの全身が一瞬黄金の炎に包まれた。

飛んできた鎖鎌をティガは片手で受け止める。

 

《攻撃を鎖鎌に集中するんだ!!》

 

『了解!』

 

「ンンン・・ジュアッ!!」

 

GUTSや教師部隊はタイラントの鎖鎌に攻撃を集中させる。

ティガも、右手にエネルギーを集中させて放つ"ウルトラブレーンチョップ"を打ち込み、遂に破壊に成功した。

 

「ギャァァオッ!?」

 

武器を破壊された衝撃でバランスを崩すタイラント。その隙をティガは見逃さなかった。

 

「いっけぇぇ!!チャアッ!!」

 

ティガはタイラントの鎖鎌を光の槍、ウルトラランスに変えて投げつけた。

 

「ギャァァァオ・・!」

 

胸に突き刺さり苦しむタイラント。

 

『今だぁぁぁぁ!!』

 

「フッ!ハァァァァ・・デュワッ!!」

 

皆の叫びに応える様に、ティガは最後の力を振り絞りゼペリオン光線を発射。

タイラントはウルトラランスのダメージで動けず直撃を受け、爆散した。

 

「ハァ・・ハァ・・」

 

体力を使い果たしたティガは、ゆっくりと地面に倒れ消えていった。

 

 

 

 

ティガが消えた後、箒達はISを解除し、シャルロットの案内で一夏がいるであろう場所へ向かっていた。

 

「確かこのあたりだった筈だけど・・あっいた!一夏ー!」

 

暫くして木にもたれ掛かっている一夏を見つけた。

 

「シャル、皆・・。」

 

「一夏さん、お身体は大丈夫ですの!?」

 

「あぁ、何とかな・・。」

 

「全く心配させるなバカ者。」

 

箒に軽く頭を叩かれて苦笑いする一夏。

 

「ごめん箒。とりあえず学園に帰ろうぜ?」

 

「そうね〜もうクタクタだわ・・。一夏君おんぶしてよ〜。」

 

「だめですよ楯無さん!一夏が一番疲れてるんですからっ!!」

 

「ハハハ・・ごめんごめん。」

 

一夏におんぶを頼んだ楯無ではあったが、シャルロットに即却下された。

 

「(タイラントから感じた闇の気配・・あれは一体?それに・・)」

 

「一夏?どうしたの怖い顔して。」

 

「ん?いや何でもない。」

 

「そう?あんまり無理しないでね?」

 

「解ってるって。(それに、頭が突然クリアになった様なあの感覚はなんだったんだ?)」

 

 

引っかかる点があるが一先ず休もうと思い、一夏達は千冬に報告した後、寮へと戻って行った。

 

 

 

ーーだが彼らはこの時知らなかった・・。これまでの戦いは、この先起こる更に激しい戦いの序章に過ぎなかったことを・・・。

 

 




最近は「機動戦士ガンダムSEED」や続編の「DESTINY」にハマっています。

フリーダムがカッコよすぎる・・・。

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