次回で第1章は最終回となります。
では、どうぞ。
Noside
全員が発進した後、一夏は千冬の許可を得て白式のリミッターを解除した。
暫く海上を飛んでいると、4機の赤黒い機体が見えてきた。
そしてその後方には、黄色と黒の蜘蛛型のIS、アラクネもいる。
「あれは、打鉄!?」
「リヴァイヴまで!」
「それに、アイツは・・!」
自分達の機体のベースとなった存在が成り果てた禍々しい姿と、因縁の相手がいることに驚愕する簪とシャルロット、一夏。
『来やがったなガキ共。』
エコーが掛かってはいるが、一夏はその声の主を忘れてはいなかった。
「やっぱりお前か、オータム!!」
『フッ・・ちゃんと覚えていてくれて嬉しいぜぇ?』
バイザーに隠れていて見えないが、その中で間違いなく彼女は不気味な笑みを浮かべている。
「ふざけるなっ!今度こそお前を倒す!!」
『ハッ、やってみろよ。見たところ白式は三次移行したみたいだが、だからって勝てると思うなよ?』
「お前こそ、後悔させてやるぜ・・!」
「一夏落ち着いて!感情に任せるのは危険だよ!」
「っ・・すまない。」
今にも突撃しようとしていた一夏をシャルロットは冷静に制止する。
その間にオータムはマドカに視線を移す。
『M・・・どういうつもりだ?何故織斑一夏に味方してやがる?」
「・・私は兄さんの強さの秘密を知りたいんだ。」
『!秘密だと・・?』
まさか兄と呼ぶとは思っていなかったオータムは、驚きながらも尋ねる。
「私達が幾ら追い込んでも、兄さんはその度に立ち上がってきた。私はその力の源を知るために力を貸している。」
それにな・・・とマドカは一呼吸した後、オータムに向けて叫んだ。
「今の私には"友"という守るべきモノがある!亡国企業にいた頃とは違う、私を1人の人間として見てくれた沢山の友がな!私は彼女達を守るために戦う!!今更お前達の所に戻る気などない!!!」
マドカの決意に、その場にいた一夏達や通信越しに聴いていた司令室の千冬達は安堵する。
『フッ、交渉決裂だな。オメェら、殺れ・・。』
オータムの指示で赤黒いリヴァイヴと打鉄が向かっていく。
「オータムは俺が引き受ける!皆は他の奴らを!!」
「おい一夏っ!?」
「兄さん!?」
箒とマドカの制止も聞かず、一夏は雪片を展開し、1人オータムに立ち向かう。
『ハッハッハッハッ!!』
オータムも高笑いしながら8本の装甲脚を展開し、内部の砲門を出現させる。
「デェェェイ!!」
『ウォラァァ!!』
突っ込む一夏にオータムはアラクネから実体弾を連続で放つ。
「くっ!」
一夏も避けながら荷電粒子砲を5連射した後、瞬間加速ですれ違いざまに斬りつけた。
ダメージを与えたと思われたが・・・
『どうした、こんなもんか!?私をもっと・・もっと楽しませろよぉぉぉぉ!!!』
「な、なに・・!?」
殆ど効いていないうえに聞こえてきた狂気染みた言動に一夏は恐怖を感じながらも、カタールを展開して斬りかかってくる彼女を迎え撃つ。
ー司令室
「織斑君の攻撃が効いてない・・!?」
リミッターを解除しているにも拘らずアラクネにはダメージを受けた様子は一切なかった。
「(バカな、今のは確かに・・)」
これには千冬も口には出していないが表情は明らかに動揺している。
ー現場
一方、箒達は其々2人で敵ISと戦っていた。だが2対1でも相手は互角かそれ以上の力をぶつけて来る。
「何なのよこいつらは!」
「くっ、手強い!!」
「早く一夏さんを援護しなければいけませんのに・・!!」
「くそっ、このままでは兄さんが危ない!」
『行かせるか!』
『我らの邪魔はさせん!』
『男の分際でISを動かすなど言語道断!』
『オータム様に殺されるのをその眼にみせつけくれる!』
援護したいが相手に阻まれて出来ないでいた。
「(くそっ!このまま零落白夜を使ってもあの硬さだから恐らく通じない。せめて物凄い速度で攻撃を当てるぐらいしないと・・。?"速度"・・そうだ!)ンンン・・ハッ!」
一夏は額のティガクリスタルに両腕をクロスして振り下ろす。すると機体が一瞬青く発光してスカイタイプにチェンジした。
『ハッ!色が変わったぐらいで!』
オータムは再び装甲脚から実体弾を放つ。
「(見える!)」
一夏はそれを避けると、オータムの周りを高速で動き回り始めた。
『フッ、なにやってんだか知らねぇがこれでも喰らいな!!』
それに構わずオータムは実体弾を放ち、直後弾丸が貫いたかに思われたが・・。
『な、残像・・!?そこか!!』
背後に気配を感じて斬りかかるが、これも残像。その後も何とか白式に攻撃を当てようとするが全て避けられた。
ハイパーセンサーですら捉えきれない速度で動き、幻影を生み出して相手を翻弄する・・。
ティガ・スカイタイプの力を持つ白式だからこそできる特殊技、幻影加速《イリュージョン・ブースト》である。
「フッ!ハッ!デェアッ!」
一夏はオータムの正面に瞬間加速無しで急接近。更に零落白夜・極を発動、1発がダメなら、10発。10発でダメなら100発と、高速で斬りつける。
「ハァァァァ・・!!」
『グッ・・ガァ・・!』
それによりオータムにも次第にダメージが蓄積していく。
「デヤァァァァァ!!」
『グァァァ・・!!』
そして最後の一撃でオータムを吹き飛ばした。だが、シールドエネルギー全てを奪えてはいない。
『フッ・・それでこそ潰しがいがあるぜ。今日のところはこれで引いてやる、じゃあなガキ共っ!!」
オータムはそう叫ぶと、瞬間加速で撤退して行った。
それをリヴァイヴや打鉄も追っていく。
「ハァ・・ハァ・・逃げたか・・。」
「一夏君、大丈夫?」
「楯無さん・・はい。何とか。そちらは?」
「私達も大丈夫ですわ。」
「結構手こずったけどね。」
『全員聞こえるか!?直ちに学園に戻れ!!』
そこへ突然千冬から通信が入った。
「隊長?どうしました?」
『どうしたもこうしたもない!学園に怪獣が現れ、現在教師部隊が交戦中だ!』
「なんだって!?」
「あいつらは囮だったか・・!」
「とにかく、急いで学園に戻ろう!」
「あぁ!」
一夏達は消耗した身体を押して学園に戻って行った。
次回予告に挑戦します。
亡国企業を退けたのもつかの間、怪獣出現の連絡が入った。駆けつけた一夏達が見たのは、嘗てウルトラ兄弟を苦しめた強豪怪獣であった。
次回、ウルトラマンティガ〜The Beginning of Legend〜
「暴君の雄叫び」
お楽しみに!