では、どうぞ。
千冬side
ー寮長室
さて、マドカが私と一夏の妹となり、IS学園に入学してからそろそろ2週間経つが、全く手続きが面倒だったな。
学園上層部には亡国企業から保護したIS操縦者であると伝えたが、問題は戸籍だった。
「(全く一夏《あいつ》は勝手に・・。)」
己の強さを教えてやる代わりに妹になれとは、とんでもないことを考えたものだ。
無論、後で出席簿を打ち込んでおいたがな。
マドカは今でこそ他の専用機持ちと仲良くやっているが、最初の頃はまるで転入したばかりの頃のボーデヴィッヒのような、孤高のオオカミだった。
束に日本国籍に偽造してもらったから何とかなったものの、少し尺でもある。
(アイツは"ちーちゃんの頼みならいいよ〜"と引き受けてくれたが)
しかしクローンを作るためだけに一夏を誘拐するとは・・・
「やってくれたな・・!」
今すぐにでもドイツに飛んで行きたいところだが、私には立場があるのでどうにか抑え込んでいる。
束に頼んで調査してもらっているが、まだドイツ政府と亡国企業が繋がっているという証拠は見つかっていない。
だが、いずれ必ず決着をつけてやる。
そのためには・・・
「"アレ"の封印を解くしかないな・・・。」
拳を握りながら、私はある決意を固めた。
Side end
Noside
ー何処かの基地
「MがIS学園に捕まったそうね。しかも今は生徒として通っている。」
「ケッ!捕まるどころか裏切るとは上等じゃねぇか。」
金髪の女性とオレンジの髪の女性が、マドカについて話している。
この2人は亡国企業の幹部で、それぞれ"スコール"、"オータム"と呼ばれている。
「スコール、私に行かせてくれよ。アラクネも直ったし久々に暴れてぇし、アイツをぶん殴ってやりてぇんだ、な?」
「程々にすることを約束してくれるなら、いいわよ。あと、貴女だけでは心配だから彼女達を連れて行きなさい。」
「アイツらな〜。ちゃんと働いてくれんのかよ?」
「心配無用よ。十分実力はあるわ。」
スコールは電話を取り出し、何処かにかけ始めた。
「もしもし、私。えぇ仕事よ、すぐに準備して・・。さて、待ってなさいM。すぐに出してあげるから。」
電話を切った後、スコールは不敵な笑みを浮かべた。
その様子を、黒いオーラを纏った男が見つめていた。
「フッ・・面白くなりそうだな?」
ー数時間後、IS学園
6限目を終えた直後、警報が鳴り響いた。
「なんだ!?」
「怪獣か!?」
丁度そこへ、千冬から通信が入った。
《先ほど所属不明のISが接近しているという連絡が入った!GUTS、全員出撃用意!!》
『了解!』
【オススメBGM、ストライク出撃】
「山田先生、カタパルト起動準備!」
「了解!」
司令室では、千冬の指示で麻耶がタッチパネルを操作して、地下2階に設置されたGUTS専用のカタパルトを起動させる。
地下に到着した一夏達は各自ISを展開し、それぞれカタパルトに脚を固定する。
『カタパルトシステム、オールグリーン。進路クリア、白式、発進どうぞ!』
「織斑一夏、白式!行きます!!」
赤と青紫の光を放ちながら、白式が発進し、その後ろに箒が接続され、セシリア達が並んだ。
「(・・私も言ってみるか?)」
名前と機体名だったなと思いながら、箒はカタパルトに接続する。
『続いて紅椿、発進どうぞ!』
「篠ノ之箒、紅椿!参る!」
己の紅き翼を羽ばたかせ、発進した。
『ブルーティアーズ、発進どうぞ!』
「セシリア・オルコット、ブルーティアーズ、参りますわ!」
ブルーティアーズが優雅に大空へと舞い上がって行く。
『甲龍、発進どうぞ!』
「鳳鈴音、甲龍、行くわよ!」
力強く叫んだ鈴は、甲龍のスラスターを点火して飛び立って行く。
『ラファール・リヴァイヴ・カスタムII、発進どうぞ!』
「シャルロット・デュノア、リヴァイヴ、行きます!」
オレンジの軌跡を残してリヴァイヴが発進。
『シュヴァルツァ・レーゲン、発進どうぞ!』
「ラウラ・ボーデヴィッヒ、シュヴァルツァ・レーゲン、出るぞ!」
ラウラが発進した後、次は楯無がカタパルトに接続する。
『ミステリアス・レイディ、発進どうぞ!』
「更識楯無、ミステリアス・レイディ、発進します!」
次は妹の簪の番である。
『打鉄弐式、発進どうぞ!』
「更識簪、打鉄弐式、行きます!」
そして最後の1人、マドカの番だ。
『黒騎士、発進どうぞ!』
「織斑マドカ、黒騎士、発進する!」
IS学園から飛び立った9つの翼は、学園の平和を守るため、大空を突き進んでいく。
今回のオススメBGMは「機動戦士ガンダムSEED」の
【ストライク出撃】でした。
感想宜しくお願いします。