久々の投稿で文と文の間が広かったり狭かったりする可能性がありますのでご了承ください。
それではどうぞ。
Noside
「ハァ・・」
あの模擬戦の後、ピットに戻った一夏は深いため息をついていた・・。理由は単に疲労したからだけではない。
「まさかここまで強くなってるなんてな・・」
一夏は複雑な表情になりながら、ガントレッドになっている白式を見つめる。
そこには新たに赤と青紫のラインが刻まれている。
一夏の悩み事、それは"自身の持つ強大な力"だった。あの模擬戦で、一夏は自身の力の重大さに気付いた・・いや、やっと気づいたというべきだろう。
「(皆を守るという想いは変わらない。でも・・・)」
自分はいつか、この力に溺れて仲間を傷つけてしまうのではないか?今の一夏はそれが不安でたまらなかったのだ。
更衣室を出て寮に戻る最中も、一夏はそのことで考え続けていた。
ー回想
「巨人はティガだけじゃなかったんでしょ?あなた達を守ることはできなかったのか?」
『"ウルトラマン"は人類の選択には干渉しない。何故なら、彼らは"光"だから。でも一夏は違う。あなたは、"光であり、人"でもある・・・』
「なるほどな・・・つまりこの力があれば皆を守れるってことだな?」
ー回想終了
「(あの時、俺は力が手に入ったことへの喜びに捉われて、自分がどれだけ強い力を持ったのかという重大さに気付けていなかった・・)情けないもんだな・・。」
一夏はスパークレンスを取り出す。夕陽を受けて輝く金色のアイテムは、神秘に満ちていた。
「俺なんかがこんな力を持ってて、本当にいいのか・・?」
思い悩む一夏。
そこへー
「一夏!」
シャルロットが駆け寄ってきた。
どうやら1人先に抜けてきたらしい。
「!シャル。他の皆は?」
それを見て慌ててスパークレンスをしまう。
「まだ更衣室。来るにはもう少し掛かるんじゃないかな。それにしてもどうしたの?ボーッとしちゃって。」
不思議に思い顔を覗き込むシャルロット。
中立的な顔立ちである彼女の顔は、思わず見とれてしまう。
「・・なぉシャル。相談したいことがあるんだけどいいか?」
このまま1人で悩むのは辛い、誰かに聞いて欲しい、そう思った一夏は、皆を待つ間シャルロットに話すことにしたのだ。
「うん!僕でよければ力になるよ!」
彼女は笑顔で承諾してくれた。
「じゃあ・・」
一夏はベンチに座った後、今自分が抱く悩みを明かした。勿論ウルトラマンであることは内緒で。
「・・・」
隣に座っていたシャルロットは、真剣な表情で彼の話を聞き続けた。
「俺、怖いんだ・・嘗て箒がしてしまった様に、力に溺れて守るんじゃなくただ敵を倒すことに捉われるんじゃないかって・・そして皆まで傷つけてしまうんじゃないかって。そう思うと・・怖くて堪らないんだ・・!」
頭を抱えて怯えるように話す一夏。そんな彼を、シャルロットは優しく抱き締めた。
「シャル・・?」
「大丈夫、一夏なら大丈夫だよ。あの時僕や皆を守ってくれた一夏なら、力に溺れるなんてこと絶対にない。それにもしそうなったしても・・・その時は僕が止めるから!」
「・・ありがとう。」
いつ間にか涙を流していた一夏は、ホッとした表情でシャルロットの手を掴む。それは柔らかく暖かかった・・。
その様子を箒達は物陰から見ていた。
「一夏の涙を見たのは初めてだ。」
「うん・・。」
「余程思い詰めてらしたのですね・・。」
「今回ばかりは、シャルロットに任せるしかないな。」
「ま、しょうがないか・・。」
「でもシャルロットちゃんは1つ間違えてるわ。」
「えぇ。」
上から箒、簪、セシリア、ラウラ、鈴、楯無、再び箒である。
"その時は私達も一緒に止める"
全員の想いが1つになった瞬間であった。
その後、一夏とシャルロットは箒達と合流し、寮へと帰って行った。
後に生徒達は、その時の一夏の表情はいつもより明るかったと語っている。
そんな彼らを激励するかのように、IS達やスパークレンスには静かに"光"が灯っていた・・・。
今回は"力"を持つ故に苦しむ一夏の心情をお送りしました。
"ウルトラマン"という強大な力を手に入れたことで、最初こそ喜んでいた一夏ではありますが、前回の模擬戦をきっかけに漸く自覚したようです。
"力"は結局は使う者によって"光"にも"闇"にもなる中立なものでしかありません。
皆様にご質問しますが、もし自分が望まずに"ウルトラマン"の力を得たしとたら、受け入れられますか?