インフィニット・ストラトス〜古の英雄〜   作:ボイスターズ

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第17話 若き最強戦士 PART 3

Noside

 

 

翌日、GUTSと教員達は朝から警戒態勢に入っていた。

生徒達は全員寮の自室で待機している。

 

「一夏、傷は大丈夫なのか?」

 

「安静にした方がいいんじゃない?」

 

「大丈夫だ。これぐらい平気さ。」

 

箒と鈴が心配そうに声をかけるが、一夏は苦笑いしながら答えた。

 

「・・!」

 

一夏は何かを察知し、身体を右に向ける。

 

「どうした、一夏?」

 

不思議に思った箒が声をかける。

 

 

その時・・・!!

 

 

「ガォォォ!!」

 

黒い穴が開き、レッドキングが姿を現した。

 

 

《総員、攻撃開始!!》

 

「了解!」

 

千冬の指示で全員それぞれのISで攻撃を始めた。

 

「ハァァ!」

 

楯無が蛇腹剣で斬りつけるが、見向きもしない。

 

「ならこれよ!」

 

「くらえ!」

 

「てぇぇぇい!!」

 

楯無はランスの先端からマシンガンを、箒は穿千を、ラウラはレールカノンを放つ。

 

「いっけー!!」

 

「くらいなさい!!」

 

「ハッ!!」

 

続けて鈴が衝撃砲を、セシリアがスターライトを、一夏は荷電粒子砲を放つ。

 

「ハァァァ!!」

 

「発射ー!!」

 

シャルロットはマシンガンを、簪は山嵐と荷電粒子砲を放つ。

教員達も自身の武装をレッドキングに放っていく。

 

「ガォォ・・」

 

しかしレッドキングは進撃を止めただけでダメージを受けた様子がなかった。

 

「くっ・・!」

 

「やっぱり効かない!」

 

声を上げる教員達。

 

 

ーモニター室

 

「そんな・・!ISの集中砲火がビクともしないなんて!」

 

「ティガの光線に耐えただけのことはあるか・・」

 

「・・・」

 

モニター室にいる真耶は、驚きを隠せない。

上から真耶、千冬、零である。

 

《隊長!白式のリミッターを解除させてください!》

 

そこに一夏からリミッター解除を求める通信が入った。

 

「織斑君!?」

 

「・・やむをないな。リミッター解除を許可する!だが無茶はするな!」

 

《了解!》

 

 

ー現場

 

「白式、リミッター解除!!」

 

一夏がそう指示すると目の前にディスプレイが表示された。

 

《リミッター解除、確認》

 

「零落白夜、発動!!」

 

《Energy Full Charge》

 

《零落白夜・極 使用可能》

 

「ウォォォ!!!」

 

一夏は零落白夜・極を発動、猛スピードで斬りかかる。

 

「ハァァァ!!!」

 

横一文字に斬る!

 

「ガォォ!?」

 

これは効いたらしく、斬られた脇腹を抑えるレッドキング。

 

「よし!」

 

小さくガッツポーズを取る一夏。

 

「ガォォ!!」

 

怒ったレッドキングは尻尾で地面に叩きつけようとする。

 

「おっと・・!」

 

一夏は素早く避けて直撃を免れる。

 

「ガォォ!」

 

ならばと、レッドキングは岩を次々と投げつける。

 

「キャッ!?」

 

「な、なんて乱暴な・・・」

 

流れ弾が鈴達の方に飛んで来る。

 

「くっ・・やべぇ傷が・・!(こうなった遠距離攻撃で・・!)」

 

一方一夏も、腹の傷が痛みだして防戦一方になっていた。

距離をとって荷電粒子砲を連射する。

 

「ガォォ!!」

 

だがそれはレッドキングを更に怒らせてしまった。腕に炎を纏って岩に触れる。するとそれは忽ち炎の岩になり、一夏に向けて投げ始めた。

 

「マジかよ!?」

 

大急ぎで逃げる一夏。だが、岩が足のスラスターに掠めた。

 

バチ・・バチバチ・・!

 

その熱と衝撃で、スラスターからは火花が散っている。

 

「一夏!?」

 

シャルロットがそれを見て声を上げる。

 

「しまった・・!」

《織斑!速く地上に降りろ!!》

 

「了解・・!白式、もう少しだけ頑張ってくれ!」

 

火花が散る中辛うじて一夏は地上に降りることができた。白式を解除した一夏は、スパークレンスを取り出す。

 

「うっ・・今度は負けねぇ・・!」

 

一夏は痛みに耐えながらスパークレンスを展開し、ウルトラマンティガに変身した。

 

「ティガ・・・」

 

「私達も援護するぞ!」

 

「えぇ!」

 

上からシャルロット、箒、セシリアの順に会話しティガの援護に向かう。

 

「チャッ!」

 

「ガォォ!」

 

ティガとレッドキングは互いに距離をとって睨み合う。

 

「ジュアッ!」

 

飛び蹴りを仕掛けるティガだが、レッドキングはそれを容易く避ける。

 

「ガォォ!」

 

「ウッ!?」

 

レッドキングは無防備な背中に殴りかかり、ティガは吹っ飛ばされてしまった。

レッドキングは追撃しようとするが、GUTSの攻撃で阻止される。

 

「フッ!」

 

その隙に態勢を整えてハンドスラッシュを顔面に放つ。

 

「ガォ!?」

 

レッドキングは命中した箇所を抑える。

 

「ジュアッ!」

 

「ガォォ・・!」

 

再度飛び蹴りを放って今度こそ命中させる。

 

ーーその様子をあの黒いオーラの男がモニターで見つめていた・・・

 

 

「そろそろ遊びは終わりだ・・。」

 

そう呟きながら男は・・・

 

 

カッ!

 

指を鳴らし覚醒への引き金を引いた・・・。

 

 

 

ー直後、学園上空に闇の渦が出現した。

 

 

「(なんだ!?)」

 

ティガとGUTS、教師部隊、モニタールームにいる千冬達は呆然と立ち尽くす。

 

「(この気配・・間違いねぇ!あの時感じたやつだ!)」

 

そんななか零は、あの渦から一夏達の世界に来る前に感じたのと同じ気配を感じた。

 

 

「ガォォォ・・!!!」

 

レッドキングはそこから放たれた紫の光線が命中した瞬間、全身が炎に包まれた。

 

「!?」

 

「なに・・!?」

 

「ガォォォ!!!」

 

雄叫びを上げながら、レッドキングは炎を両腕で振り払った。

だが、その姿は先程とは全く異なっていた・・・。

 

両目が真っ赤に染まり、身体全体がマグマの如く赤と黒に変色。一番の武器である腕は非常に肥大化して鈍器のようになっている。

これぞレッドキングの進化形態

《EXレッドキング》である。

 

「(変わった!?)」

 

 

ーモニタールーム

 

 

「な、なんですかあれは!?」

 

真耶は変わり果てたレッドキングの姿に驚きを隠せない。

 

「EXレッドキング・・。」

 

零が咄嗟に名前を呟く。

 

「知っているのか?」

 

「前に一度戦ったことがあるんだが、コイツはあの時とはまるで殺気が違う!強敵だぞ・・!」

 

零の言葉に真耶は思わず戦慄する。

 

 

ー現場

 

 

「ンンン・・ジュアッ!」

 

ティガはクリスタルを赤く発光させ、パワータイプにチェンジした。

 

「ガォォォ!!!」

 

レッドキングは雄叫びを上げて進撃してくる。

 

「フッ!」

 

ティガもEXレッドキングに突き進む。

 

「ハァッ!」

 

全力で腹にパンチを叩き込むが、怯みもしない。

 

「ガォォォ!!!」

 

逆に巨大な拳で殴られた。

 

「グッ・・!デァッ!ハッ!ジュアッ!」

 

それでも挫けず連続パンチと回し蹴りを放つ。

 

「ティガ!頑張って!!」

 

シャルロットが必死にティガに声援を送る。

 

「ハァァァ・・!デェアッ!」

 

距離をとったティガはデラシウム光流を放つが、EXレッドキングにはまるで効果がない。

 

「ガォォォ!!!」

 

「ウワァァァ!?」

 

EXレッドキングはティガの攻撃を物ともせず、胸に巨大な拳を打ち込んで吹っ飛ばした。

 

「ウウッ・・」

 

「ガォォォ!!!」

 

更に容赦なく両腕を地面に叩きつけて炎を走らせてきた。必殺のフレイムロードである。

 

 

「グァァァ!!」

 

ピコンピコンピコンピコン・・・

 

直撃を受けたティガは、カラータイマーがなると同時に力なく倒れてしまった。

 

 

ーモニタールーム

 

 

「ティガが!?」

 

真耶が涙目でモニターを見つめる。

 

「隊長!」

 

すると零が決意の表情で千冬に声をかける。

 

「・・・行くんだな?」

 

「あぁ。」

 

零は力強く頷き、モニタールームを出て行った。

 

 

ー現場

 

「ウウッ・・!」

 

何とか立ち上がろうとするティガだが、ダメージが大きく力が出ない。

 

 

「ガォォォ・・!!!」

 

EXレッドキングは両腕に力を溜めて、再びフレイムロードを放とうとしている。

 

「まずい!」

 

「また来るぞ!」

 

 

一方、現場に辿り着いた零はーー

 

 

「フッ!」

 

EXレッドキングを睨んだ後、左腕を前に突き出す。

すると、ブレスレットから光が溢れて赤・青・銀の3色の眼鏡状のアイテム、ウルトラゼロアイが出現した。

 

「くらえ!」

 

零はゼロアイを2つに折り畳んでガンモードに変形させ、そこからエメリウムエネルギー光弾を連射した。

 

「ガォォ?」

 

レッドキングは一瞬感じた痛みで動きが止まる。

 

 

「デュワッ!」

 

零はゼロアイを元に戻した後、それを目に装着。眩い光の中で、本来の姿であるウルトラマンゼロに変身した。

 

「ゼロ・・!」

 

ゼロの登場に安堵するティガ。

 

「待たせたな、ティガ。」

 

ゼロは右手でカラータイマーに手を添えた後、緑色の光を放つ。

その光を受け、ティガのカラータイマーが赤から青に戻った。

 

「力が・・!」

 

「行くぜ、ティガ!」

 

「ーーあぁ!」

 

ティガとゼロは肩を並べてEXレッドキングに向かっていく。

 

「ガォォォ!!!」

 

EXレッドキングも、力強い雄叫びを上げて進撃する。

 

「ハッ!」

 

「デァッ!」

 

ティガとゼロは真正面からEXレッドキングとぶつかり合う。

暫く押しあうが、やはりEXレッドキングの怪力は凄まじく、巨大な拳でそれぞれ殴られた。

 

「シェアッ!」

 

ゼロのハイキックで僅かに態勢を崩した。

 

「チャアッ!」

 

その隙にジャンプパンチを繰り出した後、頭を掴んで投げ倒した。

 

ゼロは左腕のウルティメイト・ブレスレットを発光させて力を解放した。

ゼロスラッガーとボディラインが金色に変わり、上半身が赤、下半身が銀を基調としている。

これぞ、嘗てウルトラマンダイナ、コスモスから授かった"前に進む力"・・・

 

「ストロングコロナゼロッ!!」

 

ゼロが拳を叩くと、エレキギターの音がなる。

 

 

「ゼロも姿が変わった!」

 

「凄い・・!」

 

ゼロのモードチェンジに箒達は驚く。

 

 

「ウォラッ!!」

 

「デァッ!」

 

ゼロとティガは、それぞれ怪力を発揮してEXレッドキングに怒涛の連続攻撃を繰り出していく。

 

「ガォォォ・・!!」

 

流石のEXレッドキングも、怪力戦士2人の攻撃はかなり効いたらしい。

 

「フッ!」

 

「ガルネイトーー」

 

ティガは胸にエネルギーを集めて光球を、ゼロはブレスレットにかざして右手にエネルギーを集中。

 

「バスタアアアアアアアッ!!」

 

「デェアッ!!」

 

ティガは光線版のデラシウム光流を、ゼロはガルネイトバスターを。それぞれの必殺技を放った。

 

EXレッドキングは木っ端微塵に吹き飛んだ。

 

「やったー!」

 

「よし!」

 

「やりましたわ!」

 

 

ーモニタールーム

 

「やりましたー!」

 

「フゥ・・」

 

モニタールームにいる真耶と千冬も喜んだ。

 

 

ー現場

 

 

「ルナミラクルゼロッ!」

 

ゼロは青と銀の姿、ルナミラクルゼロに変身した。ダイナとコスモスから授かった"守るための力"である。

 

ゼロは両手から金色の光線を放った。すると、破壊された緑が忽ち元に戻った。

 

「すげぇ・・」

 

「奇跡だ・・」

 

ティガと箒達はその神秘の光景に見惚れる。

 

「へへッ!」

 

視線に気づいたゼロは、ティガにサムズアップする。

 

「フッ・・」

 

ティガもそれに答えた。

太陽に照らされている2人の巨人は、互いに頷いた後、大空へと飛び去った。

 

 

ー翌日、零と一夏達に別れの時が来た。

 

 

「もう行っちまうのか?」

 

名残惜しそうに尋ねる一夏に、零は真剣な表情で答える。

 

「あぁ。あの闇の渦・・この世界に向かう前にもアレと同じ気配を感じた。それに、光の国からの連絡によれば、どうもこの宇宙では妙な事件が相次いでいるらしい。道理でイージスが反応するだぜ・・」

 

「では、零はこれからその調査に行くということか?」

 

箒に頷いた零は、不安げな表情の一夏の肩を叩く。

 

「心配すんな!何も俺一人でやるわけじゃない。今回は結構ヤバい予感がするから、ちゃんと仲間にも協力を頼むさ!」

 

そうしてくれと呟く一夏に零は苦笑いした後、フゥと息を吐く。

 

「んじゃあ、そろそろ行くか・・。短い間だったが、皆と過ごした時間、なかなか楽しかったぜ。ありがとな」

 

「こちらこそ、本当に助かった。ありがとうな!」

 

2人は笑顔で拳を打ち付ける。その様子を箒達は暖かく見つめる。

 

「いいわね〜これ。」

 

「男の友情だね。」

 

「それにしても、結局零さんを呼んだのは誰だったのでしょうか?」

 

そういえばそうだ・・と皆顔を見合わせる。

 

「誰だっていいさ。お陰で俺達は助かったんだし。」

 

「そうだな。」

 

一夏の言葉に納得する一同。

 

 

そしてーー

 

 

「また会おうぜ、皆!」

 

「あぁ!」

 

「えぇ!」

 

「必ずな!」

 

零は笑顔で頷いた後、光に包まれてウルトラマンゼロに変身。宇宙へと飛び去って行った。

 

「さよなら!」

 

「ありがとう!」

 

「またね〜!」

 

一夏達はゼロが見えなくなるまで笑顔で手を振った。

 

 

"いつかまた会える"と信じて。

 




EXレッドキング出しちゃいました。


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