ご了承ください。
Noside
鈴と模擬戦をして数日経ったが、白式には今の所変化はない。先日、簪と整備した際にビームブレードの威力も向上していることが分かったこと以外、特に以上は見当たらなかった。だが、それでも一夏の不安が消えることはなかった。
ある日、一夏とシャルロットは1日の授業を終えて第2アリーナで久々に模擬戦をすることにした。
「それじゃシャル、相手頼む。」
「ok、手加減しないよ!」
「あぁ、行くぜ!!」
一夏とシャルロットはそれぞれのISを展開して戦闘に移行する。
シャルロットは瞬間加速を発動、マシンガンを乱射しながら向かってくる。
「雪羅、シールドモードへ移行!」
一夏の指示で、雪羅は変形して零落白夜のシールドが展開される。
「!?」
弾丸を防ぐ一夏だが、空中ディスプレイを見て驚愕した。
白式のエネルギーが余り減っていないのだ。
「余所見してる暇はないよ!」
「!」
シャルロットはラピッドスイッチでライフルに切り替えて狙ってくる。
一夏は出来るだけ少ない動きで避けるが、2、3発命中してしまう。
「(やっぱりエネルギーの減りが少ない。でも、なんで三次移行しないんだ?)」
消費エネルギーの少なさ、攻撃力と機動力が少しずつだが上昇している気はしていた。だが、未だに三次移行しようとしない白式に、疑問を感じていた。
「ハァァァ!!」
シャルロットは近接ブレード、ブレッド・スライサーを展開して向かってくる。
一夏は雪片弐型で受け止める。何度もお互いの剣の刃が激突し、鍔迫り合いになる。
「フッ!」
至近距離から荷電粒子砲を発射してダメージを与え、斬撃を何発も放ち、連続パンチ、更に腕を掴んで投げとばす。
「うわぁぁ!?」
以前の一夏なら兎も角、現在の一夏はウルトラマンとしての戦闘経験により、格闘もある程度できるようになっていた。
「やるね一夏!」
態勢を整えたシャルロットは連装ショットガン、レイン・オブ・サタデイを打ちながら褒める。
「シャルも流石だな!」
一夏は荷電粒子砲を連射して弾丸を打ち落とし、更に零落白夜を発動して雪片弐型を蹴り飛ばす。
「うわっ!?」
シャルロットは飛んできた雪片弐型を咄嗟に避けるが・・・
「もらったぁぁぁ!!」
その隙を突いて目の前に一夏が連続瞬間加速《リボルバー・イグニッション・ブースト》で接近してきた。一夏はシャルロットが剣を避けるその瞬間を狙ったのだ。
「デァァァ!」
雪羅のビームブレードで切り掛かる。
「くっ!」
ぎりぎりでシールドをかざすが、純正エネルギーの塊であるこの剣を防ぐことは出来ず溶断され、リヴァイヴのシールドエネルギーは絶対防御を発動して0になった。
「あ〜負けちゃった・・・凄いよ一夏。ここまで強くなってるなんて。」
地上に降りたシャルロットは悔しそうに呟きながらも褒める。
「そんなのことないって。俺なんかまだまだだ。」
ちなみに連続瞬間加速は成功率が40%しかなく、下手すれば墜落する可能性もあるのだが、それを成功させている一夏は才能があるのかもしれない。
「それにしてもさっきのパンチや投げ・・・一夏って格闘できたっけ?」
「あー・・それは・・」
一夏は引きつった表情で呟く。
まさか、ウルトラマンだからなんて言えるわけがない。
「?まぁいいや。どう?白式は。」
「やっぱり進化しようとしてる。雪羅のシールドを使った時もエネルギーの減りが少なかったからな。まだ三次移行しないのが引っかかるけど。」
「そっか・・」
この後、2人は反省会や雑談をしながら寮に戻っていった。
途中ガントレットが一瞬輝いたのを2人が気づくことはなかった。
白式が新たな進化をする時は、刻一刻と近づいている。