「白式超強化」ついに始動・・。
一夏side
ドクン・・ドクン・・ドクン・・
「白式が、脈打っている・・?」
俺は何かの鼓動が聞こえて目をさますと、右腕にある白式が光に包まれて脈打っていた。すると、白いガントレットが銀に変わり、赤と青紫のラインが加わった。
「!?」
俺は咄嗟に目をこすってもう一度見てみると、ガントレットは何時ものと同じ白だった。
「今のは・・・?」
寝ぼけていたのだろうか?俺は顔を洗って着替え、食堂に向かった。
その後ーー
「(とりあえず調子を見てみるか・・)鈴、久しぶりに模擬戦しないか?」
「いいわよ。相手になってあげる!」
鈴は不敵な笑みを浮かべて答えた。
今朝のことが引っかかる一夏は、白式の調子を見るため、鈴に模擬戦を頼んだのだ。
2人は第一アリーナに向かい、それぞれ白式と甲龍を展開する。
「それじゃ・・」
「行くわよ!」
互いに雪片弍型と双天牙月を展開して近接戦闘を行う。
甲龍は白式を上回るパワーを持っているため、鍔迫り合いが長引くと押し切られる。
ならば、スピードで撹乱すればいいのだが・・・
ドクン・・ドクン・・ドクン・・
「(またか・・!)」
白式がまた脈打ち始めた。
それと同時にスラスターの出力が急上昇した。
「ウォッ!?」
思わず声を上げる一夏だが、すぐに平静に戻る。そして甲龍の周りを高速で飛んで撹乱し始めた。
「くぅ、ちょこまかと・・!」
鈴は青龍刀とぶん投げ、更に龍砲を撃つが今の白式には当たらない。
クラス対抗戦の時と似た状況だが、違うのは白式があの時以上の速度で動き回っていることだ。
「そこだあぁぁぁ!!!」
一夏は連続瞬間加速《リボルバー・イグニッション・ブースト》をぶっつけ本番で発動して急接近し、零落白夜で一刀両断した。
「そんなぁぁぁ!?」
身軽な鈴もこれには反応できず、甲龍のシールドエネルギーはあっという間に0になった。
そう、"0になった"のだ。
「何なのあの速さは!?」
「わからない。白式が脈打ったと思ったら急に出力が上がって・・・」
鈴は今まで勝っていた相手に負けて悔しく仕方がない。だが俺は、白式に起きた異変に唖然とするしかなかった。
「甲龍のエネルギーは全然余裕が有ったのに一気に0になるなんて・・いくら零落白夜でもおかしいわ・・」
更に鈴はこんなことも言ってきた。
「零落白夜を発動した時の白式・・・何だか、色が変わってたわよ?」
「!どんな色だった?」
「確か、赤と紫だったわね・・」
おいおい・・それじゃまるでティガじゃねぇか?
「白式が三次移行しようとしてるのか・・?」
俺はガントレットを見ながらそう呟く。
「もしかしたらそうかもしれないわ・・」
「「・・・」」
暫し静寂が俺達を包む。
「・・とりあえずサンキューな。俺上がるわ。」
「うん・・・」
黙っていても仕方がないので俺達は解散して寮に帰った。
ーーだが、その様子をフードを被ったあの謎の女が見つめていた。
「決着をつける時は近いな・・織斑一夏・・。」