一撃男と最強問題児が箱庭を玩具にするそうですよ?   作:ワンパンマンとクロスオーバー!

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第3話

「あ、あり得ない。あり得ないのですよ。まさか話を聞いてもらうために小一時間も消費してしまうとは。学級崩壊とはきっとこのような状況を言うに違いないのデス」

 

「「いいからさっさと進めろ」」

 

 サイタマと十六夜の声が被る。大ダメージを食らいつつも黒ウサギは気を取り直して咳払いをし、心を強く保つ。

 

「それではいいですか、皆様。箱庭について今から言いますよ?言いますよ?」

 

 サイタマと十六夜は少し力を引き締める。

 

「ようこそ箱庭の世界へ!我々は皆様にギフトを与えられた者達だけが参加できる『ギフトゲーム』への参加資格をプレゼンさせていただこうかと召喚いたしました!」

 

四人は『ギフトゲーム』という言葉に頭にはてな文字を浮かべる。

 

「既に気づいていらっしゃるでしょうが、皆様は、普通の人間ではございません!その特異な力は様々な修羅神仏から、悪魔から、精霊から、星から与えられた恩恵なのでございます。」

 

 サイタマはその言葉に不満を覚え抗議したくなる。逸れもそのはずだ、サイタマの力は恩恵として与えられたものではないと思っている。毎日努力し、自分を追い込み続けて仕舞いには頭が禿げる程に自分を鍛えこんだのだ。

 

 

 

“自分で変われるのが人間の強さだ”

 

 

 

 サイタマが出したこの言葉は彼の答でもあり、信じたい事であった。

 その答えをこの箱庭に来て否定され、サイタマは不満と感じたわけだが、講義した後が面倒くさいであり、同時に恩恵として手にしたアイツらが嫌に思うだろう何も無かったの如く大人しく話を聞くことにした。

 

「『ギフトゲーム』はその恩恵を用いて競い合う為のゲーム。そしてこの箱庭の世界は強大な力を持つギフト保持者がオモシロオカシク生活できる為に造られたステージなのでございますよ!」

 

 

 

「さて、皆さんの召喚を依頼した黒ウサギには、箱庭の世界における全ての質問に答える義務がございます。が、それら全てを語るには時間がかかると思いますのでここから先は我らのコミュニティでお話しさせていただきたいのですが……よろしいですか?」

 

「ちょっと待ってくれ」

 

 サイタマが手を挙げる。

 

「質問ですか?サイタマさん」

 

「あぁ、そうだ」

 

 サイタマは一つ間を空けて言う。それも割と真剣な顔で。黒ウサギは少し身構えたが、

 

「話が長くてよく分からん。要点は何だ?簡単にまとめろ」

 

「今、説明しましたよ!?」

 

 簡単に説明した黒ウサギに更に簡単にしろと求めるサイタマ。

当の黒ウサギには無理であったが十六夜は別だった。

 

 

「まあ、簡単に言うならば──箱庭で生活するにあたって数多とある“コミュニティ”に属さねばならないが一つ目だ。『ギフトゲーム』の勝者は“主催者ホスト”が提示した賞品をゲットできる。ゲームの特徴は様々。賭けるチップについても様々が二つ目。強盗や窃盗は禁止、金品による物々交換も存在する。ギフトを用いた犯罪などは全て処罰するこれが三つ目だ。分かったか?」

 

 先程の説明の要約を受けたサイタマは、まだ少し分からないようだったが、納得はした様で、満足そうな顔をして元の場所に座った。

 

「次は俺が質問していいか?」

 

十六夜が声を上げて立つ。彼は何もかもを見下すような視線でこう言った。

 

「この世界は……面白いか?」

 

その質問に黒ウサギは笑顔で答える。

 

「YES。『ギフトゲーム』は人を超えた者たちだけが参加できる神魔の遊戯。箱庭の世界は外界より格段に面白いですよ♪」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジン坊っちゃーん!新しい方を連れてきましたよー!」

 

 ダボダボのローブに跳ねた髪の毛が特徴的な少年、ジンは声が聞こえて顔を上げる。

 

「お帰り、黒ウサギ。そちらの女性二人が?」

 

「はい、こちらの四人様が────ってあれ?もう二人いませんでしたっけ?全身から“俺問題児!”ってオーラを放っている方と頭が禿げて……頭から眩しい輝きを放っている方が」

 

「隠せて無いわよ黒ウサギ」

 

「そ、そんなことより御二方はどこへいったのですか?」

 

「十六夜君なら"ちょっと世界の果てを見てくるぜ!"と言ってサイタマさんは"じゃあ、俺も行くわ"と言って二人とも駆け出して行ったわ」

 

「なんで止めなかったんですか!」

 

「“止めるなよ”と言われたもの」

 

「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったんですか!?」

 

「“黒ウサギには言うなよ”と言われたから」

 

「絶対嘘です!実は面倒くさかっただけでしょう御二人さん!」

 

「「うん」」

 

ガクリ、と力が抜けたように倒れる。そんな黒ウサギとは別にジンが蒼白になって叫ぶ。

 

「た、大変です!“世界の果て”にはギフトゲームのため野放しにされている幻獣が」

 

「幻獣?そんなのがいるの?」

 

「は、はい。ギフトを持った獣で、中には強力なギフトを持っているものがいます。出くわせば最後、とても人間では太刀打ち出来ません!」

 

「あら、それじゃ、もう彼らはゲームオーバー?」

 

「始まる前にゲームオーバー?斬新?」

 

「冗談を言っている場合ではありません!」

 

黒ウサギはため息をつきながら、

 

「ジン坊っちゃん、御二人様のご案内をお願いします。黒ウサギは御二方を捕まえに参りますので。」

 

黒ウサギは黒い髪を淡い緋色に染めて、

 

「一刻程で戻ります!皆さんは箱庭ライフをご堪能くださいませ!」

 

全力で跳んだ黒ウサギは、あっという間に三人の視界から消えた。

 

「それじゃあ、私達は黒ウサギのお言葉に甘えて箱庭を堪能するとしましょうか」


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