バカがスケベで召喚獣 作:葬炎
「姫路ちゃん」
「あ、吉井君。なにかご用ですか?」
とりあえず、一番手っ取り早く話しがまとまる姫路ちゃんを呼びにきた。
「あのさ、大切な話しがあるから屋上に来てくれへんかな?」
「はい。.....ええっ!? は、話しが大切で屋上なんですか!?」
「うおっ、どうしたん? そんなに顔を真っ赤にして」
ただ、試召戦争の説明のはずなんやが....なんで姫路ちゃんの顔が真っ赤になったんだろうか?
まぁいいや。他の二人が帰ったらあかんし、姫路ちゃんには悪いけどぱっぱと済ませよう。
「とりあえず、絶対来てな! じゃ!」
「えっ、あ、はい!」
俺はとりあえずその場で、
「ムッツリーニ、お前もだぞ」
「..........わかった」
「きゃっ!」
姫路ちゃんの後方でかがみながらカメラを構えていたムッツリーニにもついでに言う。
さて、次は一番手強い島田さんやな。あの子は気が強いから。あと....
「島田さん、ちょっとええかな?」
「あ! 吉井!」
俺が声をかけると、島田さんはこっちに向かって走ってくる。
あはは、そんなに俺に会いたかったのかな? さぁ、この腕の中に飛び込んでーー
「っんの、馬鹿ーーーー!」
「ぅぐほぉ!!」
両手を広げて『さぁこい!』と胸をはると、島田さんは走っている勢いを乗せた見事な飛び蹴りが胸に飛び込んできた。
そして俺は胸に島田さんの足が突き刺さった状態のまま教室の後ろの黒板まで吹き飛ばされる。くっ、まさかここまでの威力とは.....!
「な・ん・で、今まで私から逃げてたのよおおぉぉ!」
「うっ! ぐっ! がっ! みぞおちを集中攻撃やめっ」
島田さんは俺に馬乗りになり、みぞおちにパンチを繰り出す。顔じゃないのは最後の良心なのだろうか。
あ、ちょっ、これ以上やったら色々なとこからナニか出ちゃうううぅぅ!
「じゃあ説明しなさい。なんでアノ子を私に押し付けてあなたは逃げたのか」
「うっ、それは....それより、あの子は元気なのかい?」
まぁ、島田さんとはなんやかんやあってけっこう昔からの知り合いなんや。いやぁ、始めて会ったのはインドやったなー。
「ええ、元気すぎるくらい元気よ。毎朝『お姉様ーー!』って飛びついてくるくらいには」
「あはは....それはよかったよかったー」
「さ・て、説明してもらうわよ?」
「それより! Aクラスに挑むための作戦会議があるから屋上きてな! じゃ!」
「あ、待ちなさい!」
俺は屋上に向かって走り出した。
それを追って島田さんが追いかけてくる。ひぇ~、別になんにもないんならいいんやけど、あの件があるから少し後ろめたいんだよな。
とりあえず屋上に行く。さすがに話し合いが始まれば止まるやろ。
ーーーーーーーーーー
「よ~し~い~!」
「痛い痛い痛い痛い痛い!」
『さて、こういう場合おいてだが~』
『ふむ、じゃがここから来たらまずくないかのう?』
『あ、あの、吉井君が....』
『ほっとけ。どうせなんか馬鹿やったんだろ』
そんなことを思ってたわいがおりました。しかし現実は厳しかった。
くっ、説明が始まったときはしぶしぶおとなしくなったんやけど、終わった瞬間、気づいたら島田さんが馬乗りになって首しめてたわ。
あの幾多もの修羅場や危険な場所を生き抜いたわいでもあの動きを見切れなかった......
「まぁとにかくAクラスに直接挑むと負けるんだから、色々準備せなあかんつうことだろ?」
『よ~s......あれっ? 座布団?』
「これぞ秘技、変わり身の術!」
「お主は忍者かっ!?」
知り合いがそうだったから教えてもらった技がこんなとこで役立つとは.....
話しは終わったんだし、俺はだいたいの話しを理解してる。だからーー
「じゃあ、俺は先に帰っとるわ! じゃあな!」
『吉井待てっ、きゃーー!』
俺は屋上のフェンスから飛び降りる。
それを見た島田さんから悲鳴が上がる。が、
「ふはははははは!」
俺の背中からなにかが出てきて、それは俺の垂直落下を止めて飛行へと持っていく。
「「「......は?」」」
「わ~、すごいですね~」
みんなの口がぽかんと空く。姫路ちゃんだけずれたことを言っているが......
なぜなら、俺が飛び降りたと同時に背中から翼を広げるようにカイトが出てきたのだ。
いやー、前世でのGS時代と違って霊能が馴染みない世界やから、貯まりに貯まった文殊で飛/翔とか使ったらあかん言われてんだよ。誰からとは言えないけど。
「ふははは! サラバダー!」
俺はそのまま自分の家に向けて飛んでいく。これなら曲がりくねった住宅街を通る必要がないから帰宅時間の短縮になるのだっ!
あ、自転車が置きっ放しだ。明日どうしよ......
「......あいつはなにから逃げてんだ....?」
それは誰の預かりも知らないことであった。
ーーーーーーーーーー
「さ~て、と」
島田さんから無事逃げきった俺は、夕飯のための材料を買いに商店街にきていた。
いやー、前世の貧乏性が出てな。前はエロ本とか買ってばっかで金がなかったんやけど、今はそんなに買ってないし。いや、わいも大人になったもんや。
え? いや、決して今世の姉が怖いわけやないで? ただわいが前世を含めて精神が大人になってきてそういうことに興味がなくなってきただけやで?
いやー、姉さんが俺の買ってきたエロ本読むと、そこに書いてあることを実行しようとーーいや、アレは気のせいや。わいのベットの上に四つん這いになっていてあともう少しで顔がぶつかりそうだったアレはただわいを起こそうとしただけなんや。
「..........さて、まずは肉やなー」
なんやかんやあって俺は料理ができる。
実はというと、おとんから教えてもらったんや。おかんは......おとんから教えてもらったってとこで察してほしいわ。
あ、その前に本屋に行ってーー
「んーと....あ、あれは....」
『..........この黒魔術の本を使えば雄二を』
俺は見てはいけないものを見てしまったようだ。
これは無視しよう....しょうがない、本当に食材を買いに行くわ。
「えーと、スーパーは、と......あれ?」
『えーと、えーと』
あれは....姫路ちゃん?
あれ? 俺はみんなのいる屋上からまっすぐここまで来たのに、なぜ彼女はもうここにいるのだろうか......? まさか、妹とかーー
『からあげ作るのには材料は......小麦粉と、からあげ用のお肉と、塩酸でしょうか?』
ーー前言撤回。あれは間違いなく姫路ちゃんや。
そしてあきらかにヤヴァイことを言っとる。くっ、小学校のころのトラウマが.....! なぜからあげの材料の中に塩酸が入るんや!
相変わらず料理に化学物質を入れようとするのは俺には理解できない。これが典型的な天才=頭がいいというわけではない例か......
しかし、これは言わないけない。おじさんたちからも『もうあれは食いたくない....』て頼まれてるし。
「姫路ちゃん姫路ちゃん」
「あ、吉井君」
俺の言葉に反応して振り向く姫路ちゃん。その手には硝酸と書かれたボトルがーー
「ちょぉっと待とうか姫路ちゃん!」
「はい?」
いやそこで可愛く首をかしげられても....!
「塩酸と硝酸を使ってなにを....?」
「なにって、お料理ですが....?」
それはおかしい。
そう思いながらも、俺は化学物質を料理に入れることをやめさせる方法を考える。......駄目や、わいの脳みそがどんな言い方をしても姫路ちゃんが泣く未来しか映さない.....
「とにかく、その硝酸はあった場所に戻そ。な?」
「あの、隠し味に使おうと思ってるのですが.....」
「いいから、な?」
「......はい」
いまいち納得できない顔で硝酸を棚に置く。そこにはいろんな科学物がずらりとーーこのスーパー大丈夫なんか?
「....今度、料理教えてたるわ」
「.........ええっ!?」
スーパー内に姫路ちゃんの声は響き渡る。そんなに嫌なんか....?
「いや、嫌やったんならええんやけど」
「いえっ、その.......急な話しでしたので。あの....それでは、どこで練習しますか? それと二人でですか?」
なにやら顔をずいとこちらに近づけて聞いてくる姫路ちゃん。
自分でも酷いことがわこうてるんかな?
「そうやな、場所はうちでも姫路ちゃん家でもいいで。二人きりでやるのが嫌なら島田さんとか呼ぼうか?」
「い、いえ! 二人きりが嫌というか、むしろ嬉しいというか......」
どうやら姫路ちゃんの中で練習することが決まってしまったようなので日取りと場所を決める。
これでマシになればいいんやけどーー
一応、料理回は考えてるけど書いたほうがいいでしょうか....?
当然ですが、ただ姫路ちゃんと二人でのほのぼのなんかにはなりません。
あと、前世は両親をお袋・親父と言って今世はおかん・おとんと言ってるのは仕様です。気にしないでください。
これでOTRで投稿していた分が投稿し終わりました。
これからは亀更新となります。おそらく一ヶ月に一回くらいでしょう。忙しくて余裕がなければもっと長引くかもしれません。それでもいいという心の広い方がいればお付き合いをお願いします。
感想・批判・要望・アドバイスをくださると嬉しいです。
葬炎でした。