バカがスケベで召喚獣   作:葬炎

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第二話目

 

第二問

 

問 以下の意味を持つことわざを答えなさい

 

『(1)他人の権勢に頼って威張る小人物のたとえ』

 

『(2)貴重なものも、価値のわからない者には無意味であることのたとえ』

 

 

 

 

姫路瑞希の答え

 

『(1)虎の威を借る狐』

 

『(2)豚に真珠』

 

 

教師のコメント

正解です。(1)なら笠に着るや晏子の御、(2)なら他に猫に小判や犬に論語がありますね。

 

 

 

 

土屋康太の答え

『(1)虎の威を借る豚』

 

教師のコメント

豚が食われる運命しか思い浮かびません。

 

 

 

 

吉井明久の答え

『(2)シロに論語』

 

教師のコメント

シロとは犬の名前でしょうか? 残念ですが間違いです。

 

吉井明久の返答

狼っす。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「ほう? ならさっさと説明しろ」

 

そう言って俺の目の前にどっかりと座り込む悪友。ーーがたいのいい男、坂本雄二。

 

「いや、本当色々事情があったんやで?」

「ほうほう、で?」

「いや、だからその~」

「....まぁ、いい。俺の駒が一つ、とびっきりの切り札を手に入れたとでも思ってやろう」

「あはは......すまん」

 

俺は呆れたように言う悪友の言葉を苦笑いしながら受け取るしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ったく....」

 

今、俺の目の前にいる悪友ーー吉井明久。こいつがなぜFクラスにきたか。....まぁ、こいつは馬鹿だ。3階にある女子更衣室を覗くために学校の壁をロッククライムして登るような馬鹿だ。だいたいなんでこいつがFクラスにきたのか検討がつく。

が、だからこそ問題だ。......お前にとっちゃ、俺は信用できないかね?

その道化師のような仮面はいつになったらーーと、関係ないか。

 

「とりあえず、俺の言うことは聞いてもらうからな。独断専行はーーするな、と言っても聞かないだろうな。だがあまりするなよ?」

「わはははは! わいがそこの見極めを誤るとでも? 独断専行するときはちゃんと全体を考えてからするわ!」

「そんなこと言って、体育の男VS女のドッジボール(当然ハンデあり)で女に軽く甘言されて裏切った(女子にボールを渡した)あげくあっと言うまにアウトになったのはどこのどいつだっけ?」

「あれは仕方なかったんじゃーーーー!」

 

と、血涙を流す馬鹿。

さて、でもこいつがFクラスにきてくれたならーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......」

「....ふぅ」

 

雄二が顎に手を当ててなにか考えだす。

おそらく、俺という戦力が増えたから新しい戦略を考えているのだろう。

まぁ、俺の予想が正しければ、雄二はとある目的のためにAクラスに喧嘩をふっかけるはずだ。だとしたらーー

 

『で、ではっ、今年一年間よろしくお願いしますねっ!』

 

ーーと、どうやら俺と雄二が話してる間に姫路ちゃんの自己紹介が終わったようだ。

みんなに注目されてるのが恥ずかしいのか、少しうつむきながらこっちに歩いてくる。

 

「....はぅー、き、緊張しましたぁ~」

「あはは、お疲れ姫路ちゃん」

「あ、吉井君。酷いですよ~、一人だけさっさと自己紹介して席に行くなんて」

「ごめんごめん」

 

姫路ちゃんは少し涙目になりながら睨んでくる。

その、なんていうか......ちょっと、俺は座ったままで立った姫路ちゃん下から覗くような形になって姫路ちゃんの胸が....なんというか、イイね!

 

「どうかしましたか?」

「うおおぉぉっと!」

 

思わず無意識のうちに姫路ちゃんの胸に向かって伸びてた自分の右腕を左手で思いっきり叩いて撃ち落とす。

すると、本能に支配されてた右腕は衝撃で自分に主導権が戻ってきた。いやー、危なかった危なかった。

 

「......ん? ああ、姫路か」

「はい? ええ、私は姫路ですが....どちら様でしょうか?」

 

と、俺がひたいに浮かんだ汗を拭ってる間に雄二と姫路ちゃんが話し始めたようだ。

 

「あ、ああ悪かったな。俺は坂本雄二。姫路のことはそこの馬鹿から話しをよく聞いててな。どうも初対面って気がしなかったんだ」

「へ、へ~、吉井君からの噂ですか......あの、具体的にはどういうことを言ってましたか?」

「ほほう」

 

姫路ちゃんと馬鹿な雄二がなにか話していた。

人の話しを盗み聞きするのも悪いので、俺はまっすぐ前をーーすんません嘘です。すごい気になってたので聞き耳を立ててました。

しかし姫路ちゃん、その質問は色々とアウトや。お願いやから雄二、変なことはーーそのニヤニヤした顔でこっち見るのやめい!

 

「そうだな、明久はーー世界で一番可愛い(妹として)とか、好きだ(妹として)とか言ってたな」

「......///」

 

ぷしゅー....

 

くっ、雄二め。なんて勘違いしそうな部分だけ抜き取って話してんだ!

言ったのは事実やけど一番重要な部分が抜けてるわ!

うぐぐ、しかし止めようにも、この雰囲気の中(姫路ちゃんがとてつもなく恥ずかしそうに前髪で顔を隠しながら赤くなってる)に特攻する勇気は俺にはない。くっ、こんなときのために女子風呂や女子更衣室とかに覗きに行って精神を鍛えたんや....! その修行の成果を今発揮しないでいつ発揮するんやーーーー! 動け! 動くんやわいの足! 逃げる(主に警察から)ことによって鍛えたその脚力で、雄二の頭にでかい一発を叩き込むんやーー!

 

『坂本君、君が自己紹介の最後の一人ですよ』

「了解」

 

と、そんなことを考えてるうちに雄二は先生に呼ばれて教壇に向かう。

くっ、さすがにこの状況じゃ手を出せへん....! 放課後は覚えとケヨ!

 

『坂本君はクラス代表でしたね』

 

どうやら、雄二はFクラスの代表だったようだ。

代表というのそのクラスで一番頭がいい者が強制的にやらされるもの。まぁFクラスの代表なんてほとんど意味ないようなものだが。

 

『Fクラス代表の坂本雄二だ。俺のことは坂本でも代表でも好きなように呼んでくれ』

「....じゃあクックル先生で」

 

某2chの筋肉ムキムキの擬人化したにわとりな先生だ。いやー、アイツは強かった。

野性的(笑)な髪型といい、色といい、体格といい、似てるやろ?

 

『....まぁいいだろう。そんな馬鹿な呼び方をするのはお前以外にはいまい。さて、みんなに一つ聞きたい』

 

雄二がゆっくり全員の目を見るようにして告げる。

間の取り方がうまいのか、みんなの目線は雄二に集まった。それを確認した雄二は目線を教室内の各所に移す。

 

 

 

 

カビ臭い教室

 

 

 

 

古く汚れた座布団

 

 

 

 

薄汚れているちゃぶ台

 

 

 

 

雄二の目線につられて、みんなもそれらの備品を一つずつ眺めていった。

 

『Aクラスは冷暖房完備で、座席リクライニングシートらしいがーー』

 

一呼吸おいて、静かに告げる。

 

『ーー不満はないか?』

「『『『『大ありじゃあ!!』』』』」

 

 

はっ、現状のあまりの酷さに叫ぶクラス全員と混じりわいも一緒に叫んでしまった。

冷静に、冷静になるんや俺。この調子だと雄二の言葉の落とし穴に気づけなくなってまう。

 

『だろう? 俺だって現状は大いに不満だ。代表として問題意識も抱いている』

『そうだそうだ!』

『いくら学費が安いからと言って、この設備はふざけてる!』

『Aクラスも同じ学費なんだろ? 掲示板でも作るか。[文月学園の実態]と』

 

雄二の言葉に騒ぎ出すFクラス。

はぁ、確かに酷すぎるんやけど、このクラスになった一番の理由は勉強しなかった自分のせいだということに気づいてないんやろうか?

あと最後のやつ。それは最悪この文月学園が解体される可能性だってあるんだぞ? ただでさえ現状のFクラス問題のせいで、PTAやら周りの学校やらから色々言われてるんやから。

PTAからは設備の悪さに、近隣の学校からはFクラスのやつらが起こす問題(些細なことで喧嘩や馬鹿騒ぎしてるやつなど)について言及されてるらしい。

 

『みんなの意見はもっともだ。そこでーー』

 

クラスの反応に満足したのか、自身に溢れた顔の口角を吊り上げて、ニヤリと笑う。

 

『これは代表としての提案だがーー』

 

雄二は、まだヒートアップしてるクラス全員を、またゆっくりと一回見渡してから、はっきりそう言う。

 

『ーーFクラスはAクラスに試召戦争を仕掛けようと思う』

 

そう言い切った雄二の顔は、どこか決意のようなものが混じっていた......

 




あと第三、第四で終わりです。

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