魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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6話

 

あれから2日ーー

 

公園の一角、桜の木の下でレンヤは……

 

「………ひもじい…です…」

 

飢えていた。

 

今の時代お金がないとほとんどなにもできないと言ってもいい。

 

この2日、公園の水でしのいでいた。

 

「大丈夫か?レンヤ」

 

「これが大丈夫に見えるの?」

 

「うるさい、白黒まんじゅう」

 

グーーーーーーー

 

「はうっ」

 

腹の虫がなり、空腹を主張する。

 

「今まで全力で頑張ってきたけど、もう…限界…です」

 

「「レンヤ!」」

 

レンヤはゆっくりと目を閉じた。

 

「お…!だ……ぶか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……ここは?」

 

目を開けた時、見えたにはここ最近見ていなかった天井だった。

 

「俺は一体……」

 

グーーーーーーーー

 

「はぅ……そうだったお腹、空いていたんだった」

 

どうやら気絶している間、どこかに運び込まれたようだ。

 

「おや、目が覚めたかい」

 

扉が開き入ってきたのは、20代後半くらいの男性だった。

 

「あなたが俺を……」

 

「倒れていたからね、家に運ばせてもらったよ」

 

「あっ…ありがとうございま……!」

 

辺りを見回し、ラーグとソエルがいないことに気がついた。

 

「ラーグ⁉︎ソエル⁉︎どこに……」

 

「あの白と黒のぬいぐるみかい?それなら……」

 

「ここにいるはよ」

 

女性がラーグとソエルを抱えて入ってきた。

 

「汚れていたから、洗わせてもらったわ、はいどうぞ」

 

「あっ…ありがとうございます」

 

返してもらったソエルたちはふかふかだった。

 

2モコナともぬいぐるみの真似をして動かない。

 

「さて、どうして倒れていたか聞きたいんだけど…」

 

そう言いレンヤを一瞥すると……

 

「まずは…お風呂に入りなさい」

 

「えっ?」

 

レンヤが思っていた以上に髪がボサボサだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわーー目にしみるーー!」

 

「こら!じっとしてろ」

 

あの後、お風呂に入れさせられた。

 

「しっかし長い髪だな、なんで伸ばしているんだ、男だろ」

 

「ほっといて、関係ないでしょう」

 

「たっく生意気ゆうな!」

 

「うわー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひどい目にあった……」

 

「大げさだな」

 

俺はリボンをまいて元の髪型にする。

 

「髪もそうだがなんでリボンをまく?」

 

「……おでこの痣を隠すためですよ」

 

そう言いながらおでこの痣を見せた。

 

「随分と綺麗な形の痣だな、これは太陽か?」

 

「さあ、目立つからリボンをまいてんです………それ以外にもありますけど………」

 

「何か言ったか?」

 

「なんでもありません、行きましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

戻って来ると、いい匂いがしてきた。

 

「あら、随分とかわいらしくなったはね〜」

 

「かっからかはないでください!」

 

「はは、食事ができている食べていくといい」

 

「えっ!いいんですか⁉︎」

 

「遠慮しないでいいからね」

 

リビングに行くとテーブルにオムライスがあった

 

「ごくりっ」

 

オムライスを目の前に、無言でスプーンを持った。

 

「こらこら」

 

「むぐ」

 

メガネをかけた女性に止められた。

 

「食べる前に言うことがあるでしょう」

 

「あっ、ありがとうございます」

 

「違う、いただきますでしょう」

 

「えっ?あっ、いっいただきます」

 

久しく、口にしてなかったことを言う。

 

「よろしい」

 

許可をもらい、オムライスを食べた。

 

「おいしい!」

 

「ふふ、ありがとう」

 

あっという間に平らげてしまった。

 

「ふう…!コホン、ごちそうさまでした」

 

「ふふ、お粗末さまでした」

 

メガネの女性の視線に気づき、すぐに礼を言った。

 

「さて、落ち着いたところで君について話してもらえないかな」

 

「!はっはい!」

 

(しまったー!落ち着きすぎたー!)

 

後悔しても後の祭り。

 

「とりあえず、名前を教えてくれない」

 

(それぐらいなら)

 

「神崎 蓮也です」

 

「「神崎 蓮也⁉︎」」

 

「うわっ、どうしたの?お父さん、恭ちゃん」

 

「レンヤ君、君はアリサ・バニングスと月村 すずかを知っているかい?」

 

「っ!」

 

(やっべ!あいつらの関係者⁉︎どうにかしないと)

 

「すいません、手洗いに…」

 

「待ちなさい」

 

「……はい」

 

無駄な抵抗だった、見た感じ男性2名から逃げられる気がしない。

 

「それでは改めてまして、私は父親の高町 士郎だ、こっちが」

 

「母の桃子です。よろしく」

 

「えっ!若っ!」

 

「あら、ありがとう」

 

「コホン、俺は高町 恭也だ」

 

「私は高町 美由希、よろしくね」

 

「よろしくお願いします、みなさん」

 

「さて君は何者だい、親はどうしたんだい?」

 

「っ!…………はい、実は」

 

それから魔法関係以外のことを話した、両親のこと、孤児院のこと、出て行った理由、少女と出会ったこと、旅のこと、一昨日のこと、自分のことを全部話した。

 

「ぐすっ、大変だったんだね」

 

「いえ、ただあの孤児院にいたくなかっただけです」

 

「でも、そう簡単にできることじゃないよ」

 

「両親の目印があったからです、この子たちとこのリボンが、それが無かったら諦めていました」

 

「そうか、君はこれからどうするんだい?」

 

「当初の目的通り、海鳴に滞在します。両親の情報が無かったらまた旅に出ます」

 

「なら、レンヤ君家で暮らさないかい?」

 

「えっ?」

 

突然の提案に驚いた。

 

「私はこれでも顔が広い、もしかしたら君の両親の情報が入るかもしれない」

 

「でっでもご迷惑です!今会ったばかりの子どもにそこまでしなくても…」

 

「あら、迷惑だなんて思わないわ。それになのはのことを救ってくれた子よ、十分 信用できるわ」

 

「すずかたちから話は聞いている、自分のことを顧みない阿呆だが嫌いじゃない」

 

「私も大歓迎だよ、弟が欲しかったんだ!」

 

「えっと、でも、だけど、えーとっ、えーとっ」

 

なんとか断わるために言葉を探す。

 

桃子が無言でレンヤを抱きしめた。

 

「はっ離して、離してください!」

 

暴れるも、その力は弱々しい。

 

「いいのよ、強がらなくたってここにあなたを否定する人はここにはいない」

 

「はなして……ください」

 

抱きしめる力を強められる。

 

「お…かあ……さん」

 

レンヤは母親の温もりを感じながら眠ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「寝ちゃったね」

 

「なのはにはどう説明する」

 

「ありのままを伝えればいいの」

 

「ああ、そうだな」

 

士郎はレンヤを抱え、部屋に連れて行った。

 

「ここに住むことを、納得してくれたらいいんだけど」

 

「大丈夫だよ、きっとね」

 

ガチャ

 

「ただいまー!」

 

「帰ってきたみたいね」

 

「やれやれ、噂をすればなんとやらだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー!」

 

学校から帰ってきた私は店がお休みになっていたので、家の方に帰ってきたました。

 

「なのは」

 

「お母さん!」

 

この時間、お母さんが家にいるのは珍しいの。

 

「何かあったの?」

 

「ふふ…なのは、このぬいぐるみに見覚えない?」

 

見せてきたのは、あの時の男の子が持っていた白と黒のぬいぐるみでした。

 

「そのぬいぐるみは!あの男の子が来ているの!」

 

「ええ、今は部屋で寝ているから自己紹介はまた明日ね」

 

それは残念なの。

 

「なのは、このぬいぐるみたちを彼の部屋に運んでくれる?開き部屋にいるから」

 

「わかったの!」

 

ぬいぐるみを抱えて部屋に向かいました。

 

開き部屋の前に立って、深呼吸する。

 

(やっと、会えるの)

 

私は意を決して扉を開けた。

 

開き部屋なので殺風景な部屋、彼は窓際で寝ていた。

 

「………うわあ、綺麗な髪………」

 

長い髪が陽の光に反射し夜のような色を出している。

 

(寝ているよね)

 

顔をよく見るために近づく。

 

(すごく、かっこいい///)

 

私は彼に見惚れていた。

 

「う……ん」

 

「にゃあぁ!」

 

起きたのだと思い声をあげてしまった、慌てて手で口を押さえる。

 

(起きていないよね)

 

一安心して、白と黒のぬいぐるみを彼のそばに置き。

 

(これくらいはいいよね)

 

チュッ

 

私は顔を真っ赤にしながら部屋を出た。

 

「初々しいですね〜ラーグさんや」

 

「そうですね〜ソエルさんや」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「にゃ〜〜〜……///」

 

「あらどうしたのなのは、顔を真っ赤にして……まさか寝ている彼にキスでもしちゃったの♪」

 

「にゃっ、にゃんのこと!」

 

「相変わらず嘘が下手ね」

 

 

 


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