魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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55話

 

 

新暦71年、4月29日ーー

 

ミッドチルダ・首都クラナガン

 

あの護送任務から時も経ち、今日は4月29日……例の小旅行の日だ。

 

準備を整えた俺達は早速ミッドチルダにやって来た。この場に居るのは俺、なのは、フェイト、アリサ、すずか、アリシア、ラーグ、ソエルの6人と2モコナだ。この場にいないはやて、リインは研修中の為現地で合流となる。

 

「取り敢えずこれからどうしようか?」

 

「はやてとの合流まで時間あるし…何処か見て時間潰そうか?」

 

「あっそれなら服を見にいかない?」

 

「いいわね、ちょうど欲しいのもあったし」

 

「そうだね〜フェイトとすずかは下着を買うんだね〜」

 

「「なっ!」」

 

「何?あんた達また大きくなったの!」

 

そんな会話を俺の前でするな。

 

「そういえばすずか下着キツそうにしてたね~?」

 

「なんでソエルちゃんが知っているの⁉︎」

 

「バリアジャケットを新調する時に」

 

「結局のところ、皆買い換えるんだね」

 

(流石に居心地が悪いな)

 

俺は内心益々居心地の悪さを感じていた、少しは俺の目を気にしろよな。

 

「とっ取り敢えず!買い物しようか!」

 

「うっうん!レン君はどうする?」

 

「俺はその辺で時間潰してる。終わったら念話で連絡をくれ、ソエルは預けておく」

 

「うん、分かった!」

 

「レンヤ、また後でね?」

 

「待ったね〜」

 

「はいはい」

 

流石に下着売り場……もとい服屋に行く気にはならず、俺とラーグは少しの間別行動をする事にした。

 

なのは達と別れ俺は一人街中を歩いていた。その際に知り合いに会いまくってトラブルもあったが、その後認識阻害の効果があるメガネをかけて本をなどを見ながらそれなりに楽しく過ごしていた。

 

(ほんとミッドの人達は逞しいな。すぐ側に異界と言う存在があると言うのに知ってなお笑顔でいられるのだから)

 

まあ、それを守るのが異界対策課の仕事なんだけどな。

 

「まだ大分時間があるな。どうしようかな」

 

「そこらへん、ぶらぶらしているか?」

 

「それじゃあ、つまらないだろ」

 

それからゲームでもしようとゲームセンターに向かおうとしたら……

 

「…………やめて下さい………!」

 

離れた場所から女の子の怒った声が聞こえきた。

 

「……俺ってトラブルに巻き込まれるのかなぁ」

 

「どちらかと言うとトラブルに飛びこんでいくん方だな」

 

「だよな」

 

人垣を越えてみると、男性3人が女の4人と対峙していてその間に1人の女の子が挟まれていた。

 

「てめえらオレに喧嘩売ってんのか!」

 

「そうだそうだ!」

 

「リーダーに勝てると思ってるのか!」

 

「リーダーは強いッスよ!」

 

「喧嘩売ってんのはてめえらの方だろ!」

 

「女だからって容赦しねえぞ!」

 

「ガキが舐めてんじゃねえぞ!」

 

「やめなさい!公共の面前でそのような行いは許しません!」

 

どうやら男3人と女子4人が喧嘩しような雰囲気で、もう1人の女の子が仲介しているみたいだ。

 

しょうがないな、休みなのに。少し王様モードでいき……

 

「そこまでだ」

 

決して大きな声で言ってはいないが全体に響き渡り、全員がこちらに向く。

 

「暴力沙汰は黙認しかねるが、一体何があったんだ?」

 

「うるせい!テメエには関係ねえだろう!」

 

「これはオレ達の喧嘩だ、外野はすっこんでいろ!」

 

ずいぶん口の悪い女の子だなぁ。

 

「あなた達いい加減にしないと……」

 

もう1人の黒髪の長髪の女の子が細長い袋に手をかける。

 

「おっと」

 

「きゃあっ!」

 

1人の男がその女の子の後ろに回り、袋を奪ってしまう。

 

「おいおいこりゃ質量兵器じゃねえか?」

 

男が袋の中を取り出し、白鞘に入った刀を取り出す。

 

「ちっ違います!それはデバイスの待機状態です!」

 

「おおっ!確かに抜けねえな」

 

「オレ達を無視するな!」

 

「やっちまいましょう、リーダー!」

 

「来るか?ちょうどいい武器も手に入った事だし相手してやるよ」

 

「やめて下さい!晴嵐を返して!」

 

何だか面倒な事になったな、しょうがないな。

 

「おらぁ!」

 

「ちっ……」

 

「やめて!」

 

男が鞘をしたまま赤髪の女の子に刀を振り下ろすが……

 

「……………あ?」

 

「ん?」

 

「え……」

 

振り下ろされた手の中に刀はなかった。

 

「だから暴力沙汰は黙認できないって」

 

刀は俺の手に中にあった。

 

「てめえいつの間に!」

 

「君が正面しか向いていなかったから簡単に取れたよ、無刀取りってヤツだ」

 

「ああ⁉︎何訳の分からないこと言ってんだ!」

 

「先にしばかれてええか⁉︎」

 

「おい!お前達の相手はオレ達だぞ!」

 

「「「そうだそうだ!」」」

 

「うるせい!コイツの後で潰してやるよ!」

 

男3人は俺を取り囲む。

 

「しょうがないな〜」

 

俺は手に持つ刀……デバイスを顔に持っていく。

 

「すまない、少し力を貸してくれ」

 

《……………………………了》

 

「晴嵐⁉︎」

 

「ありがとう」

 

晴嵐を左腰に持って行き、居合いの構えを取る。

 

「やっちまえ!」

 

「「おおっ!」」

 

男3人が襲いかかって来るが……

 

「…………………ふうっ!」

 

「「「「「「「「!」」」」」」」」

 

近くにいる8人は何かを感じ取る、襲いかかって来た3人は一瞬動きが止まり……

 

「せいっ!」

 

「「「ぐはっ!」」」

 

その隙に首筋を鞘で打ち込み気絶させる。

 

「ふう、上手くいったな。ありがとうな」

 

《私は何もしていません》

 

「俺に握らせて、だよ」

 

《了》

 

礼を言った後、女の子に晴嵐を返した。

 

「はいこれ、大丈夫だった?」

 

「はっはい……ありがとうございます」

 

女の子は晴嵐を受け取り立ち上がる。

 

ちょうど管理局員も来て、男達を連れて行った。

 

「君達も来なさい」

 

「リッリーダー……」

 

「くっ………」

 

「待って!」

 

その時、小さい女の子が止めに入った。

 

「お姉ちゃん達は服を汚しちゃった事に怒った怖い人達から守ってくれたの!だから連れて行かないで!」

 

「バカ!出てくるんじゃねえ!」

 

「それは本当かい?」

 

「うん!」

 

そう言えば1人足が汚れていたのがいたな。

 

「分かった、彼女達4人は無実でお願いします」

 

「え? 済みませんがあなたは?」

 

そういえば認識阻害のメガネをかけっぱなしだったな。メガネを外し、IDを提示する。

 

「異界対策課所属、神崎 蓮也です」

 

「はっ………」

 

「え………」

 

「「「「「ええええええっ⁉︎」」」」」

 

ありゃ、そこまで驚くか?

 

「自分の知名度をもっと自覚しろ」

 

「そう言われてもね〜」

 

「もっモコナ・ラーグ・モドキ………」

 

「本物だ………」

 

「わっ分かりました!後はお願いします!」

 

管理局員は慌てて敬礼をし、去って行った。

 

「さてと、君達」

 

「「「「はっはい!」」」」

 

4人に声をかけたら気を付けをしたよ。

 

「これからは喧嘩腰にならないようにな、俺達管理局をもっと頼れ」

 

「はっはい……」

 

「ごめんなさい……」

 

「反省します……」

 

「すいませんでした……」

 

「うん、よろしい」

 

俺は黒髪の子に方を向き。

 

「君も止めようとしてありがとうな」

 

「いっいえ……」

 

「ただ、最後に実力行使しようとしてはいけないよ。状況が悪化するだけだからね」

 

「はい……ごめんなさい……」

 

「よろしい、それじゃあ俺は行くな」

 

「じゃあな〜」

 

メガネをかけて行こうとすると……

 

「待って下さい!」

 

黒髪の子に止められた。

 

「さっきの技は何ですか⁉︎刀を抜いてたと思ったら刀を抜いていなくて……どう言う技何ですか⁉︎」

 

さっきとは打って変わり、すごい勢いで聞いてくる。

 

「待って、説明するから落ち着いて……」

 

「オレも知りたいです!」

 

赤髪の子と他の3人も頷く。

 

「分かった、分かったから落ち着いて」

 

その言葉で落ち着いく。

 

「あれは抜刀術の一種で予備動作や仕草で相手を誘導して、刀を抜いていないのに抜いたように思わせる虚像の剣だ。俺の動きを見ていたから君達にも見えてしまったんだ、誤解させてごめんね」

 

「いえ、大丈夫です!」

 

「そうです、そんなことないです!」

 

「はい!達人の技を見れて感激です!」

 

「流石はオーバーSランク魔導師です!」

 

4人組がはしゃぐ中、黒髪の子が俯き震えていた。

 

「えっと、どうかしたかい?」

 

心配になり声をかけたら……

 

「お願いします!」

 

顔を上げて……

 

「私を………弟子にして下さい‼︎」

 

思いっきり腰を折り、礼をした。

 

「ええっと、君は………」

 

「申し遅れました!私は抜刀術天瞳流第4道場門下生、ミカヤ・シェベルです!」

 

「そうか、ミカヤは大方さっきの技を見て教えを受けたいと思ったのか」

 

「はい!」

 

「うーん、でも流派から外れた技を教えていいものか……君もその天瞳流の者だろう、無闇に他の技術を習っていいと思っているのか?」

 

「そっそれは………」

 

「勢いはいいが、後先を考えないのが欠点だな」

 

「うっ……」

 

「………まあいいさ、答えはすぐに出せない。そのうち君の道場に顔を出させてもらうが、それでいいかな?」

 

「!、はい!よろしくお願いします!」

 

「それじゃあな」

 

今度こそ立ち去り、ゲームセンターに向かおうとしたら……

 

『レン君、お買い物終わったから合流しよう?』

 

結局の遊べずに終わってしまった。

 

『了解、直ぐ行く』

 

なのはに念話を返し、俺はなのは達との合流場所に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミッドチルダ北部・臨海第8空港ーー

 

空港の受け付けには困った顔をした一人の女の子がやって来ていた。

 

女の子の容姿は長い紫の髪に頭の後ろで結んだリボン、襟の辺りで結んだリボンがワンポイントの長袖シャツと膝辺りまでのスカート。手には旅行用のトランク。まだ幼なさがあるものの将来性を伺わせる美少女だ。

 

「はい、お待たせしました。ご用件はなんでしょう?」

 

「あの……迷子の呼び出しをお願いしたいんです」

 

「はい……ではまずお客様のお名前をお願いします。それから出発された場所も……」

 

少女の言葉に受付嬢は笑顔で応対しつつモニターに向き直る。

 

「はいっ。ミッド西部エルセアから来ました、ギンガ・ナカジマです。迷子になったのは私の妹で多分エントランスの辺りではぐれたと思うんですけど……名前はスバル・ナカジマ、年齢は11歳です」

 

記憶を辿りつつ発せられる少女、ギンガの言葉を受付嬢は軽快な動きでキーをタップし打ち込んでいき連絡を行なう。

 

そこから離れた場所に……

 

「んーおねーちゃんここにもいない、じゃあ今度はあっち!捜索開始ー♪」

 

件の迷子、青髪の少女、スバルははぐれた姉を捜しながら元気に言う。この少し後に輸送物資仕分け室にある危険物が原因で大規模な事件に巻き込まれるとも知らずに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラナガン北部ーー

 

なのは達と合流した俺はなのは達が持てない分の荷物を持ってはやて、リインとの合流場所であるホテルを目指していた。

 

「ふえ~…ミッドの地上も首都と北側は結構違うね?」

 

「こっちの方は自然が多いから観光スポット多いよ」

 

「こっちの方は普段すぐに通り過ぎてベルカに行くからゆっくり見た事はないな」

 

「そうだね~」

 

なのは、フェイトは物珍し気に辺りを見渡す。

 

「すずかの手伝いでちょくちょく来るけど良いところよ」

 

「うん、ここの皆にいっぱい良くしてもらっているんだよ!今から行くホテルにも一度依頼があって、オーナーとも知り合いなんだ」

 

「ほっ本当にレンヤ達って凄いね……」

 

改めて異界対策課の人脈に驚くフェイト。

 

「それで、はやてとの待ち合わせのホテルはどこなの?」

 

「向こうだよ」

 

「うん、はやてちゃんもそろそろ来るだろうし行こう!」

 

アリシアに言われすずかがホテルの方角を指差す。俺は荷物を担ぎ直し、なのは達と連れ立って待ち合わせ場所であるホテルへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

管理局武装隊・陸士104部隊ーー

 

ここは、はやてとリインの居る研修先の陸士部隊。

 

「はやてちゃん、レンヤさん達は空港からホテルに向かってるそうです!」

 

「はぁい……じゃ、ちょっと外回ってそのまま休暇に入りまーすっ!」

 

「はいよ、八神一尉。非常回線は開けといて下さい。それとレンヤ達によろしく言っといて下さいよー」

 

部隊長に見送られはやてとリインはレンヤ達との待ち合わせ場所であるホテルに向かった。

 

「それにしてもレンヤ君本当に地上部隊の人達と知り会いなんやな」

 

「やっぱり異界対策課はすごいですぅ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホテル前ーー

 

俺達がホテルに着くと少しして……

 

「みんな~!お待たせや~!」

 

「遅くなりましたですぅ!」

 

荷物を持ったはやてとリインが駆けながらやって来た。息を切らせてない辺りはやての成長が伺える。

 

「気にするな、俺達も今来たばかりだ。それとお疲れ、はやて、リイン」

 

「うん、お疲れ様2人共!」

 

申し訳なさそうにする2人をレンヤ達は気にせず温かく迎える。

 

「ありがとう!それじゃあ早速チェックインをーー」

 

はやてが笑顔でそう言った次の瞬間……

 

ドオォンッ‼

 

「「「「「「きゃあぁ‼」」」」」」

 

爆音が轟き地面が揺れ、突然の事になのは達も驚き悲鳴を上げる。

 

「あそこだ!」

 

レンヤは辺りを見回し空港方面を見て原因を見つける。

 

「あ、あれは⁉」

 

「まさか……火事⁉」

 

なのは達も同じ方角を見てそれに気づき驚きの声を上げる。

 

「はやてちゃん大変です!臨海第8空港で原因不明の火災が発生した模様です!」

 

通信で事態の報せを受けたリインが報告する。

 

「仕方ないな、休暇を返上や!みんな行けるな?」

 

「もちろんだよ!」

 

「うん!」

 

「リインもです~!」

 

「ほんと、トラブルが後を絶たないわね」

 

「あはは……」

 

「いっくよ〜〜!」

 

「頑張ろ〜〜!」

 

「緊張感まるでないな」

 

「ビビるよりマシさ」

 

はやての指示になのは達はバリアジャケットを展開しつつ応える。

 

レンヤはバリアジャケットを纏いながら考える。

 

「あれ?皆バリアジャケットのデザイン変えた?」

 

「ああ、そこまで変わってないがな」

 

「機能と性能が変わっただけよ」

 

レンヤとアリサとすずかとアリシアのバリアジャケットは変わっており。

 

レンヤのバリアジャケットは黒いロングコートとズボンにシャツ、ところどころに白い線が入っており左二の腕にレンヤのリボンが8の字状に交差するように巻かれている、武器は双剣双銃ではなく左腰に刀がある。名前はホライゾンモード。

 

アリサのバリアジャケットは左右側頭部にある一部分長い髪に髪留めが付いて、腰の部分にはリボンではなくマントが付いており胸元には甲冑が付けられている。名前はグローリーフォルム。

 

すずかのバリアジャケットは髪型はポニーテールに白いカチューシャ、服の細部が変わって足に装甲が付いており、頭にヘッドフォンを付けておりヘッドフォンの繋がっている部分は後頭部にある。名前はエンペラーフォーム。

 

アリシアのバリアジャケットは髪型は長い三つ編みで緑のリボンで止めており、長袖のセーラー服のような上着を着て、ロングブーツを履いており左右の太ももに銃を入れるホルスターが付いてる。名前はイノセンススタイル。

 

(明らかな人為的な火災だろうな、一体誰が何の為に?)

 

レンヤは思考を巡らしながらはやてへと視線を向ける。

 

「はやては指揮を頼んだぞ」

 

「了解や!任せとき!」

 

内心レンヤはあらゆる可能性を想定しつつはやてに指示を出す。

 

(空港内に入る以上、指揮まではやってられないからな)

 

レンヤ達は飛翔し火災現場へと向かった。

 

火災現場・臨海第8空港ーー

 

「それじゃあ、また後で」

 

「うん、レン君も気をつけてね!」

 

「何かあったら連絡してね!」

 

「必ず駆けつけるわよ」

 

「レンヤ君、無茶しないでね」

 

「また後でね」

 

それだけ言い合いレンヤ達は散開し、なのは、フェイト、アリサ、すずか、アリシアとはそれぞれ違うポイントから空港内へと向かう。

 

「改めて見ると酷いもんだな、さてと行くか」

 

レンヤは消火活動をしながら空港内に入って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第8空港内部・エントランスホールーー

 

「うっ…ぐすっ……」

 

私は1人で今、空港内を歩いている。最初ははぐれたお姉ちゃんを探していただけだったのに、大きな音が聞こえたと思ったら周りが火に包まれていた。

 

「お父さん…お母さん…お姉ちゃん…」

 

周りには誰もおらず、ただ宛ても無くお姉ちゃんを探して歩き続ける。

 

ドオオオォォォォォンンンッッッッ!!!!

 

「きゃあああぁぁぁぁぁっっっっ!!!」

 

突然横の壁が爆発し、私は爆風で吹き飛ばされる。

 

「う…痛いよ……暑いよ……こんなのヤだよ……帰りたいよ……」

 

どうしてこんな目に遭わないといけないの?

 

ミシミシ……

 

「助けて……」

 

ミシミシ……

 

「誰か……助けてよ……」

 

ミシミシ……バキッ!

 

起き上がろうとした際に音が聞こえたので振り返ると。

 

「っ!!」

 

広間に建っていた巨像が私に向かって倒れて来ていた。私は咄嗟に目を瞑り、ここで死んじゃうんだ…と思っていた。

 

「………………???」

 

 しかし一向に痛みも何も感じないので、ゆっくり目を開けると。

 

「間に合った…」

 

私の大好きなお兄ちゃんがそこにいた。お兄ちゃんは魔法で巨像が倒れてくるのを防いでくれていた。ゆっくりと私の傍に寄って来るお兄ちゃん。

 

「スバル、大丈夫か?」

 

「う…うう……お兄ちゃ~ん!」

 

私は起き上がってたまらずお兄ちゃんにしがみつく。

 

「1人で怖かったよな?けど、もう大丈夫だから」

 

お兄ちゃんはそんな私の頭を優しく撫でてくれる。温かくて優しさを感じるお兄ちゃんの手。

 

「あのねお兄ちゃん。私お姉ちゃんとはぐれたからお姉ちゃんを探してたの」

 

「そっか。ギンガもこの空港に来ているんだな?」

 

「うん」

 

「じゃあギンガも探さないと」

 

お兄ちゃんは私の頭を撫でるのを止めて言う。

 

「そこの人、無事ですか!?」

 

今度は別の人の声が聞こえてきた。

 

「助けに来ました……って、レン君⁉︎」

 

「なのはか、丁度良かった。悪いがこの子を頼む。俺がお世話になった人の娘さんなんだ」

 

「ふぁ?」

 

私は抱き上げられてお姉さんに預けられる。

 

「私も救助しに来たからその子を預かるのは良いんだけど、レン君はどうするの?」

 

「この子…スバルのお姉さんのギンガを探しに行こうと思ってな。スバルを連れて探しには行けないから」

 

お兄ちゃんと知らないお姉さんが話している様子を見る。あ、でもよく見たらあのお姉さん、テレビとかで見た事ある様な……

 

「スバル」

 

思い出そうとしていたらお兄ちゃんに声を掛けられる。

 

「これから俺はギンガを探しに行くから、このお姉さんに安全な場所まで運んで貰うんだよ」

 

「うん」

 

私は素直に頷く。お兄ちゃんならお姉ちゃんも見つけてきっと助けてくれる。そんな気がしたから。じゃあ、後任せた、と言って別の場所へ行きながら連絡しているお兄ちゃんの背中を見送る。

 

「じゃあ私達も行こうか。もう大丈夫だからね。安全な場所まで一直線だから」

 

お姉さんはデバイスの杖を上方に向け、足元に魔法陣を展開させる。

 

「一撃で地上まで抜くよ、レイジングハート」

 

《了解。上方の安全は確認済みです。カートリッジロード》

 

デバイスから何かが2つ吐き出されると、デバイスの先端に魔力が集まる。

 

「ディバイーーン…バスターーーー!!!」

 

ドゴオオオオォォォォッッッッ!!!!!

 

桃色の光線が真っ直ぐに伸び、天井を突き破る。

 

「ふわぁ…」

 

私はその桃色の光線に目を奪われる。光線が消えた後には穴が開いた天井の部分から夜空が見えていた。

 

「よし、しっかり掴まっていてね?」

 

「はっはい!」

 

こうして私はお姉さんに抱き抱えられ、救助隊の元にまで運ばれた。そして私もお兄ちゃんやこのお姉さんの様に、誰かを助けられるぐらい強くなる。もう泣いてるだけで何も出来ない自分を変えるんだ!、という想いを胸に秘めたのだった………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空港外・指揮車両

 

「203、405東側に展開して下さい!魔導師陣で防壁張って燃料タンクの防御を!」

 

「はやてちゃん、ダメです!まるっきり人手が足りないではすよぉ!」

 

「そやけど首都からの航空支援が来るまで持ち堪えるしかないんよ!頑張ろ?」

 

「はいっ!」

 

レンヤ達が空港内で救助活動をする中、はやてとリインは救助の為少ない人員をやりくりしながら指揮を取っていた。

 

「そのまま南へ!」

 

「はやてちゃん、応援部隊の指揮官さん到着です!」

 

「すまんな、遅くなった」

 

リインの報告通りに中年くらいの男性と二十代の女性がやって来た。

 

「いえ!陸士部隊で研修中の本局特別捜査官・八神はやて一等陸尉です!臨時で応援部隊の指揮を任されてます!」

 

「陸上警備隊108部隊のゲンヤ・ナカジマ三佐だ」

 

「同じく、クイント・ナカジマ陸尉です」

 

互いに敬礼をしつつ簡略的に名乗り……

 

「はい、ナカジマ三佐。部隊指揮をお願いしてよろしいでしょうか?」

 

はやては自身も空に上がる事を決める。

 

「ああ、お前さんも魔導師か?」

 

「広域型なんです、空から消火の手伝いを!」

 

ゲンヤの疑問にはやては剣十字のペンダントを取り出しながら答える。

 

『はやて、指示のあった女の子一名無事に救出。名前はスバル・ナカジマ、さっきなのはに頼んで救護隊に引き渡したんだがお姉さんのギンガがまだ中に居るらしい。引き続き救出を続ける、ゲンヤ・ナカジマかクイント・ナカジマに直ぐに連絡してくれ』

 

レンヤ君から通信が入りはやての前にディスプレイが表示される。

 

「了解!私も直ぐに空に上がるよ!」

 

『了解、頼りにしているぞ』

 

「ナカジマ?」

 

報告を受け取りはやては通信を切る。レンヤの報告にあった名前を聞きリインが首を傾げる。

 

「うちの娘だ」

 

「「⁉」」

 

「2人で部隊に遊びに来る予定だったの……」

 

ゲンヤとクイントは悔いる様にリインの疑問に答え、それを聞いた2人は驚く。

 

「ではナカジマ三佐、後の指揮をお願いします!リインしっかりな、説明が終わったら上で私と合流や!」

 

「はいです!」

 

それだけ告げるとはやては駆け出し途中光に包まれ騎士服に換装し騎士杖を携え翼を広げ上空に上がる。

 

(みんなで頑張って空港内に取り残された人達を待ってる人の元へ帰してあげなアカンよね!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

簡易治療場ーー

 

「ううっ……痛いよ……」

 

「大丈夫、すぐに良くなるから!」

 

「アリシア!急患よ!」

 

「アリシアちゃん!コッチも!」

 

アリシアは治癒魔法で怪我人を治して行っているが、怪我人が多すぎて対応が追いつかない。

 

「アリシア!これを使って!」

 

ソエルが取り出したのは光の神器だった。

 

「了解!」

 

アリシアすぐに光の神器を纏う。

 

「光輝、広域!リザレクション!」

 

広範囲に魔法陣が展開されて怪我を治して行く。

 

「よし!これで……」

 

ドカアアアアアンッッッッ‼︎

 

一際大きな爆発が起きる。

 

「まずい!破片がコッチに来るよ!」

 

「フレイムアイズ!」

 

《バーニングウォール》

 

目の前に炎の壁が現れ、瓦礫や破片から身を守る。

 

「すずか!」

 

「分かったよ!」

 

《目標付近に生体反応なし。スナイプフォーム、アブソリュートコア》

 

長銃を構え、サッカーボールサイズの魔力弾を発射して。直撃したら弾けて凍らせ火を消した。

 

「ふう、こんな事ならアギトをシグナムに預けなきゃよかったわ」

 

「しょうがないよアリシアちゃん、まだ行ける?」

 

「大丈夫だよ!」

 

アリシアは治癒に専念して、アリサとすずかは警戒しつつ治癒の補助をしていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第8空港内部ーー

 

「スバルー!!スバル、どこー!?」

 

ドオオオォォォォォンンンッッッッ!!!!

 

「きゃああっっっ!!!」

 

先程から色んな所で爆発する音が聞こえ、私の足元が振動で揺れる。立って歩くのが難しいので手すりをしっかり握りながらゆっくり前へと進む。

 

「スバル…スバル、返事をして。お姉ちゃんが、すぐ助けに行くから」

 

今頃、何処かで泣いているかもしれない妹の姿を私は探す。あの子は私の大切な妹だ!絶対に助けなきゃ!

 

「そこの子!ジッとしてて!今助けに行くから!!」

 

突如聞こえた誰かの声。振り向き、上の階の方を見るとバリアジャケットを纏った金髪の女性が私に呼び掛けていた。

 

バキバキ…バキイッ!!!

 

「ああっ!!?」

 

だけど、その瞬間に足元が崩れ、私の身体は宙に投げ出される。

 

「きゃあああぁぁぁぁぁっっっっ!!!」

 

そのまま重力に引かれ、下の階に落ちていく。

 

ズズズズズズンンン!!!

 

崩れた足場は最下層に落ち、大きな粉塵を巻き起こす。私自身は……落ちていなかった。

 

「危なかった…」

 

私のすぐ側で聞こえる先程の人の声。いつの間にか私はその人に抱き抱えられていた。

 

「ゴメンね…遅くなって。もう大丈夫だよ」

 

「ぁ……」

 

助かった…。私、助かったんだ。

 

「この辺に反応が……いた、フェイト!ギンガ!」

 

「「え?」」

 

咄嗟に自分の名前を呼ばれたので反応する。私とフェイトって呼ばれたお姉さんの向いた先には……

 

「良かった……無事だったか」

 

「レンヤさん!」

 

「レンヤ!」

 

私達ナカジマ家と仲の良い知り合いの人の姿があった。

 

「レンヤ、そっちは大丈夫?」

 

「ああ、問題ない」

 

レンヤさんとこの人は知り合いなのかな?って…

 

「レンヤさん!!スバルが!スバルがまだ空港の何処かにいるんです!!早く見つけてあげないと!!」

 

私はレンヤさんに説明しようとする。今日はスバルと一緒にお父さんとお母さんの部隊先に遊びに来ていた事、そして空港にいた際、スバルとはぐれた時にこの火災に巻き込まれた事を。

 

「ギンガ、大丈夫だ。そのスバルだけどさっき助けた所だから」

 

「え?」

 

スバルはもう助かってるの?

 

 『こちら通信本部。スバル・ナカジマ、11歳の女の子。既に救出されています。救出者は神崎三等陸佐と高町教導官です。大きな怪我はありません』

 

「な?」

 

通信先の局員さんがスバルの無事を知らせてくれる。

 

「スバル…良かった……」

 

私は安堵する。

 

「レンヤさん、ありがとうございます」

 

「いやいや、気にするな。……フェイト」

 

「何?」

 

「ギンガの事頼む。俺はまだ要救助者がいないか探すから」

 

「分かったよ。レンヤも気を付けてね」

 

「了解、そっちも気を付けてな」

 

レンヤさんが別のエリアへと向かう。

 

「じゃあ、私達もここから出るよ。ギンガ…だったよね?」

 

「あっ…はい。ギンガ…ギンガ・ナカジマ。陸士候補生13歳です」

 

「候補生か。未来の同僚だ」

 

「きょ…恐縮です」

 

レンヤさんがさっき言ってたこの人の名前……フェイトと呼ばれていたのを聞いて思い出した。フェイト・テスタロッサ執務官。本局所属の高ランク魔導師……エースの1人だ。レンヤさん、そんな人と知り合いなんだ。

 

それからすぐに建物の中から脱出し、私はスバルと無事再会した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

指揮車・車内ーー

 

「補給は?」

 

「後十八分で液剤補給車が七台到着します!首都航空部隊も1時間以内には主力出動の予定だそうです!」

 

リインとゲンヤは車内で情報を見ながら指揮を行っていた。クイントはその補佐だ。

 

「遅えなっ!要救助者は?」

 

「あと20名程……魔導師さん達が頑張ってまし先程アリサさんとすずかさんが救助に加わりましたから…なんとか」

 

「最悪の事態は回避できそう?」

 

「はいですっ!」

 

「よし、おチビの空曹さんももういいぞ。自分の上司の所に合流してやんな」

 

「よろしくお願いね」

 

報告を受けまだ気は抜けないが、一先ず最悪の事態を避けられた事にネクタイを緩めホッと一息を吐く。

 

「はい!よろしくお願いです!」

 

リインははやての元に向かった。

 

「八神一尉。指定ブロックの局員全員、避難完了です。お願いします」

 

 消火作業に当たっていた局員さんからの報告を聞く。

 

「了解。リイン、準備はええか?」

 

「はいです!」

 

「「ユニゾン……イン!」」

 

はやてはリインとユニゾンを終え、呪文を詠唱する。

 

灰白(ほのしろ)き雪の王、銀の翼()て、眼下の大地を白銀に染めよ!」

 

左手に持つ夜天の書のページを開くと古代ベルカ式の魔法陣が足元に現れ、わたしの周囲に圧縮した気化の立方体が4個浮かび上がる。

 

()よ、氷結の息吹(アーテム・デス・アイセス)‼︎」

 

シュベルトクロイツの先端を眼下に向けて振り下ろし、圧縮した立方体型氷結弾を全て空港に撃ち込む。

 

パキパキパキパキパキ!

 

着弾点から徐々に氷結し、火災を抑えていく。

 

「おっし♪」

 

指定ブロックの消火はこれで完了や。リインの制御のおかげで魔法の余波を局員の皆さんに浴びせる事も無かったし。

 

「すっげ……」

 

「これが、オーバーSランク魔導師の力……」

 

他の局員さん達が驚く中……

 

「悪いけど次のブロックに向かうからここら辺の事は任せてええかー?」

 

はやては声を掛ける。

 

「あ、はい」

 

返事を聞いて次のブロックへ向かおうとすると……

 

「では次の凍結可能ブロックを……っ⁉八神一尉!燃料タンクに引火!凍結をお願いしますっ!」

 

「な、なんやてっ!」

 

(アカン!私の魔法じゃ間に合わへん!)

 

あわや大爆発を引き起こすかと思われた瞬間!

 

「太古、零点!アブソリュート!」

 

ギャアァァァンッ‼

 

巨大な氷山が燃料タンクに直撃し一瞬で完全に凍結させる。

 

「レンヤ君!」

 

「大丈夫だったかはやて?」

 

「うん、お陰様でな~!」

 

(やっぱりレンヤ君はナイト様や♪)

 

レンヤがはやてに聞くと笑顔で上機嫌に答える。レンヤはこの様子なら問題ないなと判断する。それとレンヤはナイトではなくどちらかと言うと王様だ。

 

「凄え、あれが異界対策課隊長にして聖王、神崎 蓮也……」

 

「さて…首都航空部隊は遅すぎるな。はやて、全員を空港内から避難させる。はやての広域魔法で空港を完全凍結してくれ。要救助者は全員救出済みだ、遠慮はいらない。この空港ももう使えないだろうし」

 

「了解や!」

 

レンヤは氷の神器をはやてに渡し、はやては氷の神器を纏う。

 

『全魔導師に通達!これから八神一尉の広域魔法が放たれる。凍りつきたくなければ直ちにその場から退避しろ!』

 

レンヤの念話を聞いた魔導師達は慌てて空港を飛び出し避難する。

 

「……よし、全員の避難を確認、はやて頼んだぞ」

 

レゾナンスアークに空港内に生体反応がない事を確認したレンヤははやてに指示を出す。

 

「はいな!……氷の神器の力を合わせてーー」

 

魔力を溜めて、はやてが騎士杖を振り上げ……

 

銀世界(シルバー)‼」

 

一気に振り下ろす。はやての騎士杖から凄まじい冷気が放たれ瞬く間に空港は凍てつき、あれだけ燃え盛っていた炎でさえ完全に凍結する。

 

「流石だ、また一段と腕を上げたな、はやて」

 

「ありがとう♪」

 

その威力を見たレンヤははやてに賞賛を送る。レンヤに褒められたはやては嬉しさから笑顔を浮かべる。こうして空港火災は完全に鎮火された。

 

余談だが、あの後首都航空部隊が来たが事態は既に終わっていたのでレンヤ達からしてみれば今更何しに来たって感じだったが、といった感じだった。

 

だが折角来たんだしと、事後処理を任せレンヤ達はホテルに引き上げたが、そこで問題が発生する。

 

「えっ!俺が取っていた部屋が使えない⁉︎」

 

「はい、先程の火災で帰宅出来ない方に部屋を提供していましたが……誤認で先程のご家族があなたが予約していた部屋を提供してしまいまいた。誠に申し訳ございません」

 

「大変失礼しました!」

 

オーナーと間違えたであろう女性が頭を下げる。

 

「……どうしようかな?」

 

「仕方ない。異界対策課で寝るさ、ソエルをよろしくな」

 

「でもレンヤ……」

 

「そうだ!だったらレン君も私達の部屋で寝ればいいんだよ!」

 

なのはがとんでもないことを言ってきた。

 

「なのは?もう俺達中3だぞ、流石に無理あるって」

 

「わっ私は……いいよ///」

 

「フェイト⁉︎」

 

「私もかまへんよ///」

 

「私も大丈夫よ///」

 

「はやてにアリサまで……」

 

「6人部屋出し大丈夫だよ、それにレンヤ君だったら……///」

 

「は〜い!私もレンヤと寝た〜い!」

 

「いや、俺は異界対策課でーー」

 

「つべこべ言わずに来なさい!」

 

「うわっ!」

 

「まずはごはんだね」

 

「その後は温泉だ〜!」

 

アリサに引っ張られてそのまま食堂にに向かう。

 

「はあ、しょうがないな」

 

「それでいいのよ」

 

「アッアリサちゃん……いつまで腕を組んでいるの?」

 

「ちょおっとくっ付き過ぎやなあ?」

 

「あらいいじゃない」

 

アリサが腕に力を入れてくる。

 

「うっ……///」

 

前はそこまで意識していなかったが、今のアリサにやられると恥ずかしい感じがする。

 

「むう、レン君デレデレしている〜」

 

「しっしてないって!」

 

「本当かなぁ」

 

「私達、襲われへんかなぁ」

 

「俺を何だと思っている!」

 

「冗談冗談、も〜照れちゃって〜」

 

「本気でしばくぞ、アリシア」

 

それから食事を摂った後、温泉に入り。火災の事を話し合った後、部屋に向かった。

 

「じゃあ俺はソファーで寝るから」

 

「ええっ!ダメだよ、そんなことしたら疲れが取れないよ!」

 

「そうや!レンヤ君は私と……」

 

「ずるいよはやて!レンヤは私と一緒に///」

 

「フェイトも何抜け駆けしているのよ!」

 

「そうだよ!レンヤは私と夜を過ごすの!」

 

「「「「アリシア(ちゃん)(姉さん)⁉︎」」」」

 

騒ぐ5人をほおっておいて、ソファーに行こうとすると……

 

「レンヤ君、私のベットを使って。私はアリサちゃんのベットで寝るから」

 

「えっ!ああ、すまないな」

 

「ううん、おやすみレンヤ君」

 

「おやすみすずか」

 

レンヤはすずかが指差したベットに向かい、上着を脱いだら倒れこんでそのまま寝てしまった。

 

「ふふふ」

 

その時レンヤは気が付かなかった、すずかが忍に似た顔をしている事に。

 

 


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