魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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52話

 

 

俺達はルーテシアを追いゲートを潜り抜けた。

 

異界の中は遺跡風の迷宮だった。

 

「ここは……」

 

「レンヤ?」

 

「この異界……初めて異界に入ったのと類似している」

 

「そうなんか?」

 

「でも、そんなのは関係ないよ」

 

「ああ」

 

デバイスを起動させ、バリアジャケットを纏う。

 

「類似しているのなら敵は弱い、速攻で行くぞ!」

 

「「「了解!」」」

 

迷宮に入り、攻略を開始した。

 

俺の予想通り敵は弱く、すぐに最奥まで行けた。

 

「いたよ……!」

 

ルーテシアはガリューを召喚して、エルダーグリードと戦っていた。

 

エルダーグリードはやはり最初に戦ったのと同じエルダーグリードだ。

 

「名前は確か……ネメスオーガ」

 

「でも一度倒せらなら……」

 

はやてが先に進もうとすると……

 

「ぶっ!」

 

何かに阻まれて前に進めなかった。

 

「なっ何やこれ⁉︎」

 

「障壁が張られている、これじゃあ助けられない!」

 

「何でこんなものが……!」

 

「ーートーデス・ドルヒ!」

 

ルーテシアが周りに黒いダガーを召喚して、射出した。誘導効果と爆裂効果もありネメスオーガにダメージを与えていた。

 

「皆さんはそこで見ていて!見えていて攻撃できるなら私にも倒せます!行くよガリュー!」

 

「待て!ルーテシア!」

 

静止も聞かず、戦い始めてしまう。

 

「くっ……」

 

「レンヤ、まずは障壁を破壊しよう!」

 

「迅速に、慎重にやるで!」

 

「ブレイカーを使ったらルーテシアちゃんにも被害がいっちゃう、一ヶ所に攻撃を集中して!」

 

何とか障壁を破壊するのを試みる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やあっ!」

 

魔力弾を撃ち込むも大して効いていないね。

 

さっき大口叩いたのはいいけどタフな上に無駄に素早い。

 

さらに決定打がこちらには無い、どうする……

 

「ガリュー、衝撃弾!」

 

ガリューが弾丸状の魔力弾を作り放つが効果は薄い。

 

その時グリードが滑るように突進して来た。

 

「わあっ!……危ないなぁ」

 

何とか避けるも状況は思わしく無い。

 

「どうすれば…………」

 

「ルーテシア!」

 

ラーグの声に顔を上げたらグリードが腕を振り下ろし、攻撃がガリューに当たってしまった。

 

「ガリュー!」

 

「まずいぞ!」

 

グリードは体が光り始め、力を溜め始める。

 

「!、まずい……送還!」

 

ガリューの足元に魔法陣を展開してそばに送還させた。

 

「大丈夫、ガリュー!」

 

回復魔法を使いガリューを癒す。

 

その時グリードの力が解放され、全方向に衝撃が走る。

 

「きゃああああああ!」

 

ガリューに覆い被さり衝撃に耐える、衝撃が収まり顔を上げたらグリードを中心に地面に大きなヒビが走っていた。

 

「こっこれが………グリードの………力?」

 

倒せるはずない、こんなの相手にレンヤさんは何年も……

 

ガリューが立ち上がり、グリードに向かう。

 

「ダメよガリュー!私達じゃ倒せない!ここは耐えて、レンヤさん達を待ちましょう!」

 

ガリューはこちらに向き静かに首を横に振るい、全身の骨格を変化させて身体中に突起物が生えてくる。

 

「武装、解放………やめてガリュー!あなたが死んじゃうわ!」

 

ガリューはグリードに向かい走って行った。

 

「ガリューーーーー!」

 

手を伸ばしたが届かずそのまま手が落ちる。

 

「どうしたら………ラーグ君!何か手は無いの⁉︎」

 

せめてもの希望をラーグ君に聞いてみる。

 

「…………ある」

 

「本当!ならすぐにそれをーー」

 

「ーーだが危険も伴う、最悪ガリューは死ぬ事にもなる」

 

「そっそんな………」

 

リスクを聞き絶望する、ガリューを方を向くと……

 

「………………………」

 

何も語らないガリューが強い意志をこちらに向けてくる。

 

「いいの、ガリュー?あなたが死んじゃうんだよ……」

 

(コクン)

 

私の問いに迷わず頷くガリュー。

 

「…………うん、分かったわ。あなたの意志を信じるわ!ラーグ君!」

 

「本当にいいんだな?」

 

「ええ!」

 

「分かった、受け取れ!」

 

ラーグ君が口から出したのは、紫色の機械的な籠手とカードケースだった。

 

「それを左腕と二の腕につけるんだ!」

 

言われるがまま左手と籠手を取り付け、左の二の腕にカードケースを取り付けた。

 

「手の甲の部分にある大きなボタンを押したらケースからカードが出てくる、それをガントレットに入れろ!」

 

「わっ分かった」

 

えっと大きなボタン……これね!

 

《Gauntlet Activate》

 

大きな紫色のボタンを押すと機械の一部がスライドして出てきた。それと同時にケースから一枚のカードが出てきた。

 

「これは……」

 

確か出てきたカードをガントレットに入れるんだよね、スライドしてきた部分にカードがちょうど収まるようになっている。

 

カードをガントレットに乗せてら中に入り、画面にカードの表紙が映し出され、紫色の光り出す。

 

「その光りをガリューに向けるんだ!」

 

「えっこう?」

 

光りをガリューに浴びせると、ガリューが全身紫色に光り出して渦巻きながら小さくなりこっちに飛んできた。

 

「ガリューが……小っちゃい球になっちゃった⁉︎」

 

手の平の上には指でつまめるサイズの黒い球があった。

 

「ほらグリードもこっちに来ているぞ」

 

ラーグ君に言われて見ると、グリードがこちらに向かってきた。

 

「えええ⁉︎来て、インゼクト!キャプチュード・ネット!」

 

インゼクトを召喚して、太い糸状のバインドでグリードを縛り、インゼクトが鋲のようになりグリードを磔にする。

 

これで少しは時間が稼げる。

 

「ラーグ君、どう言う事!ガリューがこんな球になっちゃったよ⁉︎」

 

「まあ静かに見ていろ」

 

そう言われ、手の平に乗っている球をジッと見ると……

 

パシュッ!

 

「わあああ!」

 

いきなり球が変形して、驚いて投げてしまう。

 

「とっ……危ねえ危ねえ」

 

ラーグ君がキャッチしてくれた。

 

「………ガリュー?」

 

「…………………………」

 

(コクン)

 

ガリューを受け取り、ガリューは自分の体を見回した後頷く……体全体を傾かせてやったが。

 

「ラーグ君、これは一体………」

 

「説明は後、成功したようだし。……来るぞ」

 

ラーグ君に言われてグリードをみるとグリードがバインドを破ろうとしていた。

 

「うわわ、まずいよ!ラーグ君、これでどうするの!逆にピンチになったじゃない!」

 

「まあ落ち着け、ケースに手をかざせ」

 

疑問に思いながらもケースに手をかざしたらカードが出てきた、さっきのとは違う黒いカードだ。

 

「それを地面の中心に向かって投げろ!」

 

「よし、えい!」

 

カードを中心に投げて地面に乗せたら、紫色の波動を地面に流して消えていった。

 

その瞬間グリードがバインドを破った、私はラーグ君を掴み揺らす。

 

「きゃあああ!ラーグ君ラーグ君、次は!」

 

「揺らすな〜〜、ガリューを投げろ〜〜」

 

「えっ!」

 

ラーグ君を落とし、手の平に乗っているガリューを見る。

 

「そりゃあ、投げやすそうだけど……」

 

(ジタバタ)

 

ガリューが慌てている、後ろを見ると……グリードがいた。

 

「きゃあああああ⁉︎」

 

振り下ろされた腕をギリギリで躱す。

 

(ジタバタ)

 

「え!本当にいいのねガリュー?」

 

(コクン)

 

頷くとガリューは変形して球になる。

 

ガリューを握りしめ、グリードに向かって投げる。

 

「いっけーーーー!」

 

球を思いっきり投げ、グリードに当たるが効いていなかった。

 

「何んで⁉︎」

 

球は地面に転がるが、球が展開して地面に立ち上がり……

 

「……………………」

 

紫色の光りを出しながら大きくなったガリューが現れる。

 

「ええええええ⁉︎ガッガリュー⁉︎」

 

(コクン)

 

見上げるほど大きくなったガリューに驚く。

 

ガリューの体の細部が変化しており、機械的なマフラーを巻いている。

 

ガリューはそのままグリードと戦い始めた。

 

「………凄い、凄いわガリュー!力も強くなっているし、勝てるわよ!」

 

「どうかな、ガリューはあの姿になったばかりで動きにくそうだ。まだ勝てないな」

 

「ならどうすればいいの⁉︎」

 

「ケースからカードを取り出してガントレットに入れろ」

 

「まだ何かあるの?」

 

ケースに手をかざしたら、カードが出てきた。今度は青いカードだ。

 

「ええっとこれをガントレットにーー」

 

《Ability Card、Set》

 

「きゃあ!」

 

意思に反応して機械音がなり、またガントレットがスライドして驚く。

 

「ビックリした〜〜」

 

「いちいち驚くな」

 

「仕方ないじゃないの!もう、これを入れるのね」

 

カードの裏面も見てみると……

 

「あっ説明が書いてある。ダーイン……スレイヴ?」

 

よくわかりけど、やってみる!

 

カードを台座に乗せてガントレットに入れる、するとカードが光り出しガリューに呼応する。

 

「……………………」

 

手が紫色の光り出して両手剣を作り出し、グリードを攻撃する。

 

「やったー!凄いねこれ!」

 

「当然だ、使い魔及び召喚獣支援システム。バーストボールシステム(仮)だ」

 

「(仮)って何?」

 

「まだまだ試作段階なんだよ、ほら決めちまえ!」

 

「了解!」

 

流れる動作でカードを取り出しガントレットに入れる。

 

《Ability Card、Set》

 

「アビリティー発動!ナイトエクスプローラ!」

 

ガリューが紫色の竜巻を起こし、身に纏いグリードを吹き飛ばす。

 

「いっけーーー!ガリューーー!」

 

吹き飛ばしたグリードを追いかけ、両手剣で切り裂いた。

 

グリードが光り出しながら消えていった。

 

「やっ………たーーーーー!」

 

迷宮が光り出し、異界が消えていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何あれ……」

 

「ラーグの奴、また何かしたな」

 

障壁を攻撃し続けてもヒビ1つ入らない中、巨大になったガリューがグリードを倒すのを見る。

 

「凄いね」

 

「驚きで何も言えへん」

 

エルダーグリードが消えた事により、異界が収束していった。

 

元の場所に戻るとすっかり夜で、ルーテシアがへたり込んでいる。

 

「ルーテシアちゃん!」

 

「大丈夫⁉︎」

 

「すまない、助けに行けなくて」

 

「あっいえ、大丈夫ですけど………」

 

「けど?」

 

「ガリューが元に戻りません……!」

 

ルーテシアは手の平を出すと黒い球が乗っていた。

 

「これが……ガリュー?」

 

「障壁壊すんのにいっぱいでよう見てへんかったなぁ」

 

「ラーグ、どう言う事なの?」

 

「ここじゃなんだ、異界対策課に行こうぜ」

 

「分かった、ルーテシア立てるか?」

 

「はい、大丈夫です」

 

「一応検査もしておこうね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

異界対策課でルーテシアとガリューを検査した後、会議室に向かった。

 

「それでラーグ、ガリューはどういう状態なんだ?」

 

「システムの影響が残っているだけだ、1日したら元に戻るさ」

 

「そう、良かったねガリュー」

 

(コクン)

 

球が開き、ガリューが頷く。

 

「しっかし不思議やなぁ、どんな原理何や?」

 

「まだ試作段階だから名前は決まっていないが、使い魔及び召喚獣に仮のまたは別の戦える姿に変えて、主の支援を受け取れやすくするシステムだ」

 

「それで何で球になるのよ」

 

「いきなり戦闘形態になったらそれに身体がついてこれないんだ、それで一旦球にするんだ。投げられるから奇襲に便利だぞ」

 

「確かに、あんなのがいきなり出たら驚くよね」

 

「て事は、完成したらラーグとソエルも戦えるって事!」

 

「そうだよ、もう役立たずとは言わせないぞ〜〜!」

 

「別に思っていないぞ」

 

「そうだよ、ラーグ君とソエルちゃんは書類整理とか依頼の選別とかで頑張っているじゃない」

 

「そうそう、頑張っているよ」

 

褒められて2モコナは照れる。

 

「まあそれは置いといて、これで事件は解決だね」

 

「はい!ありがとうございます!」

 

(コクン)

 

「どういたしまして」

 

「それとルーテシアとガリューにはテスターになって貰いたいんだが、いいか?」

 

「うん、いいよ」

 

(コクン)

 

その後ルーテシアを家に送り、メガーヌさんにも感謝されて、今回はルーテシアの手によって事件は解決した。

 

 


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