魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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51話

 

 

月日が流れるのは早く、もう中2の秋頃。ようやく資格も全部取り終え、勉強と仕事の両立もできて安定してきた。

 

だがこれだけ経っていても、アギト以降誰も異界対策課に入ってこなかった。

 

しかもここ最近完全に異界とは全く関係の無い依頼まで入ってくる始末。さらに魔導師ランクSSまで取らされ、階級も一等陸尉。はやてと同じ階級になってしまった。これだけ偉くなってもやっている事は便利屋もどき。

 

もう、怒っていいよね。

 

「あの野郎ども、いつか絶対に潰す!一体いつまで有給を溜め込まないといけないんだよ!」

 

「休もうにも大抵却下されるからね〜」

 

「まさしくブラック企業だな」

 

「思ったより黒いんだなぁ、管理局」

 

「よく本局上層部が犯罪に加担しているし」

 

「訴えたら余裕で勝てそうね」

 

「なのは達は休まないだけだけど」

 

「「「「「「「はあ……」」」」」」」

 

全員、かなりお疲れのようだ。

 

「邪魔するぞ」

 

そこにゲンヤさんが入って来た。

 

「なんだ、随分と暗いじゃねえか」

 

「………ゲンヤさん、レジアス中将にも言ってください。冗談抜きで過労死します………」

 

「まあそう言うな、その話しもちょうど先ほどの会議で可決された。今後とも依頼の件数は減るだろう、市民も異界の対処の仕方も分かってきた事もあるし、やはり子どもに頼りっぱなしも不味いからな」

 

「やった〜〜……これで休める〜〜」

 

「本当ね」

 

「それじゃあお前達、取材を受けてくれ」

 

「「「「はい?」」」」

 

「今まで秘匿とかで取材は全部断っていただろ、だがもう異界の情報はミッドチルダ全市民に知れ渡っている。秘匿するものも無くなった訳でこの話しが出てきた訳だ」

 

「楽かもしれないけど……」

 

「結局働くんだね」

 

「まあ、いいんじゃ無いか?」

 

「なのは達もよく雑誌に載っていたし、そろそろ私も雑誌に載りたかったんだ〜」

 

それから担当の記者が来て、長時間根掘り葉掘り聞かれ。結局精神的にかなり疲れたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数日後、高町家自室。

 

「ふわあああ〜〜……」

 

「おはよーレンヤ」

 

「おはようさ〜ん」

 

「ラーグ、ソエル、おはよう」

 

俺はいつもどおりに起きて制服に着替える。部屋を出て洗面所で顔を洗いリビングに行く。

 

「おはよう」

 

「おはようレンヤ」

 

「いつも早起きで何よりだ」

 

お父さんとお母さんがいた、兄さんと姉さんは道場にいるのだろう。

 

「おはよう!お母さん、お父さん、レン君!」

 

「おはよう、なのは」

 

「あら、何もない日に早起きは珍しいわね」

 

「レンヤとの特訓がない日以外はギリギリだからな」

 

「そうそう」

 

「寝ぼけてよくレンヤに連れて行ってもらっているよな」

 

「にゃ!そんなことないよ///」

 

「ーーいや、大体そうだよね」

 

ちょうど兄さんと姉さんがリビングに入って来た。

 

「お前がいつも早起きするのは魔法の練習か、前日に大切な用事がある時か、レンヤと特訓をする時だけだからな」

 

「もう!そんなことないよ!」

 

「ふふ、さあ皆で朝食を食べましょう」

 

それから朝食食べ始めた。

 

「なのはとレンヤは高校にも行くんだよね?聖祥は前まで中等部は男女別々だったけど何かの事情で共学になったけど。高等部はまだ男女別々でしょう、私と同じ風芽丘学園にするの?」

 

「ここから徒歩でも程よく近いしそのつもりだよ」

 

「皆で一緒に入る予定なんだよ」

 

「まあ、レンヤは高校は自分で昼食を買う為に金を貯めているがな」

 

「ちょっラーグ!」

 

「へえ、まだそんなことを考えていたのね〜」

 

お母さん、笑っているけど凄い迫力……

 

「いや〜〜これはせめての恩返しであって……」

 

「やれやれ、どうやらまだ直っていなかったようだな」

 

「ふふっレンヤ、帰ってきたらお話しよ」

 

「ひいいっ!」

 

「あははは……」

 

俺はごはんを速攻で食べる。

 

「ご馳走様!行ってきます!」

 

「あ、待ってよレン君!」

 

俺は駆け足で家を出た。

 

「全く」

 

「ふふ、いいのよ。昼食だけでも」

 

「それがレンヤなりの恩返しなんだろう」

 

「レンヤは変な所で頑固だからな」

 

「それがレンヤの良いところだがな」

 

「そうね〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

逃げる様に聖祥に向かうレンヤ達。

 

「はあ、帰ったらどうしよう」

 

「だから言ったのに、そんなことしたら怒られるって」

 

「だよなぁ、う〜ん弁当にして自分で作るという手もあるけど……」

 

「お弁当!そっそれなら私が作るよ!……………毎日………」

 

「なのは、最後なんて言った?」

 

「なっ何でもないよ!」

 

疑問に思いながらも歩くと、アリサとすずかいた。

 

「おはよう、アリサ、すずか」

 

「おはよう!アリサちゃん、すずかちゃん!」

 

「おはよう、レンヤ、なのは」

 

「おはよう!レンヤ君になのはちゃんも」

 

二人は手を振りながら挨拶するが……

 

「アリサ、その髪」

 

「ええ、前から切ろうかと思っていたんだけど……どうかしら」

 

アリサは長い髪を切りショートカットにしている。

 

「ああ、似合っているぞ。雰囲気も大人っぽく見えてアリサらしいよ」

 

「そっそう、ありがとう///」

 

ただ左右の側頭部にある長い髪は何故切らなかった。

 

「ふふ、皆髪型もどんどん変わって行くね。変わっていないのは私とはやてちゃんくらいだよ」

 

それもそうだな、俺とアリサが髪を切り、なのはがサイドテールになっているから。

 

「すずかはバリアジャケットを纏っている時ポニーテールじゃない」

 

「普段って意味だよね、すずかちゃん」

 

「うん」

 

「すずかはそのままでも充分に美人になって来ているがな」

 

「レッレンヤ君、恥ずかしいよ///」

 

「コホン!ほら行くわよ!」

 

「遅刻しちゃうよ!」

 

再び歩き始めて、紅葉が多い道を通っている。

 

なのはは紅葉を見上げる。

 

「今年の紅葉も綺麗だね」

 

「ここまで色鮮やかになったのは久しぶりに見たよ」

 

「そうだな」

 

「うん、皆そろそろ急ごう?もうすぐ予鈴が鳴りそうだし」

 

「そうね、急ぎましょうか」

 

「ーーお〜いっ、皆〜!」

 

「おはようレンヤ、なのは、すずか」

 

「おっはようさ〜ん」

 

後ろからアリシア、フェイト、はやてがやって来た。

 

フェイトとアリシアも髪型は変わっており、フェイトはストレートでリボンを腰あたりで結んでいて、アリシアは三つ編みにしている。

 

「おはよう、フェイトちゃんにアリシアちゃんにはやてちゃん」

 

「おはよう3人とも」

 

「おはよう、皆」

 

「なんだ、一緒に来たのか?」

 

「うん、さっきそこではやてと一緒になったの」

 

「そう!これで全員集合だね!」

 

学校に通う魔導師が集まったって事か?

 

「そうや、雑誌見たで〜。私達より後に入ったのに一気に有名人になって、羨ましいな〜」

 

「そうだね、レンヤは彼氏にしたいランキングでも堂々1位だったし」

 

「レン君、人気者だね〜」

 

「………嬉しくないよ、一尉なってもやる事一緒だし。はやてと同じ階級なのにな」

 

「ひどく言えば一尉をパシッているわね」

 

「あはは………」

 

「もうちょっと人員を増やすか、仕事を減らして欲しいよ」

 

「そういえば………一尉の権限で減らせるんじゃね!」

 

「その手があったわね!」

 

「すっかり忘れていたよ!」

 

「皆、大変なんだね」

 

「はやてちゃんからも言えないの?今地上に研修に行っているんだよね?」

 

「そうやな、ゲンヤさんに聞いてみるや」

 

キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン

 

「えっ、予鈴⁉︎」

 

「余裕だったのに〜」

 

「さっさと教室に行くぞ!」

 

全員走りながら学校に入っていく。

 

「コラ!もっと余裕を持って来なさい!」

 

途中先生に怒られながらも。

 

それから午前の授業を受け終わり、今は昼休みの屋上。

 

「それにしても、どんどん月日が流れていく感じがするよね〜」

 

「確かに魔法に関わってからそんな感じはするわね」

 

「うん、大きな休みがある時以外は皆働いているからね」

 

「まあ俺達、異界対策課はともかくなのは達は早退が多いからな。」

 

「「「うっ」」」

 

図星なのか顔を暗くする。

 

「まあ仕方ないよ」

 

「せめて高校卒業まで、こんな時間が続いて欲しいよ」

 

「そうやな」

 

「そういえば、レンヤ達はどうなの?異界で何か変わった事はないの?」

 

「「「「…………………」」」」

 

フェイトの問いに静かになる俺達。

 

「皆?」

 

「何かあったんやな」

 

「……ええ、ここ最近単体のグリムグリードが出現して来ているのよ」

 

「えっ、それって……」

 

「霧の魔女事件の……!」

 

すずかは静かに首を横に振る。

 

「あくまで単体で異界も迷宮もない、グリード自身が現実世界に顕現しているの」

 

「強さも平均C〜AA級までだから、そこまで脅威ではないんだけどね……」

 

「そんな……」

 

「だからいつかなのは達の力が必要になってくる、その時は力を貸してくれないか?」

 

なのは、フェイト、はやては顔を見合わせて頷く。

 

「もちろんだよ!」

 

「私の力でよければ、力になるよ」

 

「もちろん、シグナム達もきっと力を貸してくれるで!」

 

「皆……ありがとうね!」

 

「うんうん、良かった良かった」

 

それから昼食を済ませて、教室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、俺は変身魔法を使って街を歩いている。

 

そうする理由ははやても言っていた書店にある雑誌のせいだ、多少脚色があるが大半は事実が載っている。チラ見して見ると何も置かれていない棚があった。

 

周りを見ると同じ雑誌を持つ人がチラホラといる、自分が思っていた以上に有名人だった様だ。地球の有名人もこんな心境だったのだろうか、変装方法は違うが。

 

今俺は依頼でメガーヌさんの家に向かっている、管理局員の人が依頼して来るのは初めてだ。

 

「えっと………ここだな」

 

地図と標識を確認して、インターホンを押す。すぐにメガーヌさんが出てきた。

 

「いらっしゃ……どちら様ですか?」

 

「ああ済みません、俺です目立つんで変身魔法を使っているんです」

 

「ああ!確かにそうね。雑誌に載ってからなのはちゃん達以上に有名人になったからね」

 

(むしろもっと目立っている様な………)

 

「メガーヌさん?」

 

「何でもないわ、レンヤ君達も大変ね」

 

「自由に動け無くなるからあんまり嬉しくないんですけど、それで依頼の内容は?」

 

「ええ、ルーテシアちゃんに会ってくれる?」

 

家に入れてもらい、リビングに行くと。疲れきった顔をしたルーテシアと後ろに人型の……召喚獣でいいのか?が立っていた。

 

「ルーテシアちゃんの後ろにいるのがガリュー、ルーテシアちゃんの召喚獣よ」

 

ガリューは腕を前に持って行き、騎士みたいな礼をする。

 

「さて、ルーテシアは一体どうしたんですか?疲れ切っていますけど」

 

「………ここ最近、何かの視線を感じて周りを見ても誰もいないの。しかもその視線が日に日に強くなっていて………自分の後ろに何かいるような………そんな感じというか」

 

「そうか、どうやらグリードに好かれたね」

 

「グリードに……好かれる⁉︎」

 

「グリードにも多少なり感情と好みもある、そのグリードの目的はルーテシアを異界に誘い込むのが目的だ」

 

「そんな…………」

 

「外に出られるという事は、エルダーグリード辺りだろう。ただそいつの居場所が分からない以上対策の仕方は限られる」

 

「それって……どうするの?」

 

「簡単に言えば囮だな、これが1番手っ取り早く終わらせられる。もちろん身の安全をちゃんと確認してね、これを決めるのはルーテシアだ、どうする?」

 

ルーテシアは俯いたまま動かない。

 

「………断ってもいい、方法は他にももちろんある。とりあえずーー」

 

「ーーやります」

 

「ルーテシアちゃん、無理しなくてもいいのよ」

 

「私もこれ以上ストーカーされたくないの、お願いしますレンヤさん」

 

「了解、準備を始めようか」

 

すずかに連絡を入れ、準備を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルーテシアに防御魔法とサーチャーを付けて何事も無いかのように散歩させる。

 

護衛としてラーグを持たせているが、あいつ役に立つのか?

 

「本当に来るのかな?」

 

「レンヤが立てた作戦だから大丈夫だと思うけど」

 

「お手並み拝見やな」

 

「……………お前ら、何でここにいる」

 

何故かなのは、フェイト、はやてがいる。

 

「早速力になりたいの!」

 

「そうそう、小さい所からお手伝いしたいの!」

 

「レンヤ君に鍛えられた結果を見せてやるんよ!」

 

「帰れ」

 

どちらからかと言うとグリムグリードの方を手伝って欲しかったので、にべもなく言い切る。

 

「大丈夫!迷惑はかけないよ!」

 

「今日は他の仕事も無いし!」

 

「せやせや!」

 

「………はあ、しょうがないなぁ。エルダーグリードもそこまで強い訳でもないし、いいかな」

 

「ありがとう、レン君!」

 

その時、ルーテシアが走り出した。

 

「来たみたいやな」

 

「追いかけよう!」

 

ルーテシアを追いかける。

 

「はあ、はあ…………きゃっ!」

 

「ルーテシア!」

 

ルーテシアは急いで走っていた為に転んでしまった。その時後ろに半透明なエルダーグリードが現れる。

 

「……こっこれが……グリード……」

 

ルーテシアに少しずつ近づくエルダーグリード。

 

「……いっいや……来ないで……!」

 

「落ち着つけ、レンヤがきっと……」

 

ビキーン!

 

「⁉︎、えーー」

 

ビキビキ、バキ、ビキ………スー

 

ルーテシアの背後にゲートが現れる。

 

「ルーテシア!」

 

「レンヤさん!」

 

ルーテシアはそのままゲートに飲み込まれて行ってしまった。

 

「レン君、追いかけよう!」

 

「すぐに救出します!」

 

「いくでー!」

 

俺達はルーテシアを追い、ゲートに入っていく。

 

 


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