魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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48話

 

 

今日はすずかと待ち合わせしている、場所は海鳴臨海公園にある時計台だ。

 

「あれ、すずか。もう来てたのか?」

 

10分前に着いたはずだが、すでにすずかが先にいた。

 

「大丈夫だよレンヤ君、今来たところだから」

 

「………本当に?」

 

「ほっ本当だよ……」

 

俺がすずかを見つけた時やたら時計を気にしていたんだけど。

 

「すずか」

 

「うっ……30分前です」

 

「全く、早く来すぎだ」

 

「でも、待ちきれなかったんだもん」

 

すずかは子どもみたいに言う。

 

「はは、むしろそんなすずかが見られてラッキーだな」

 

「ううっ、言わないでよ〜!」

 

「あはは、それじゃあ行こうか」

 

どうやらリムジンで来たらしく、結構周りから注目されているし視線がうっとうしい。

 

「うん、そうだね!レンヤ君乗って?」

 

「分かった」

 

俺とすずかはリムジンに乗り込み出発する。

 

「そういえば今日はどこに行きんだ?」

 

「動物園だよ」

 

「動物園?そういえばすずか動物が好きだったな」

 

「うん!」

 

それから隣町にある動物園に着き、券を購入して園内入った。

 

「レンヤ君!まずはこっちだよ!」

 

「ちょっとすずか!引っ張るな!」

 

好きな事に夢中になると、何時ものすずかとは考えられないほど強引になるな。

 

「わぁ〜〜!見て見て、レンヤ君!ライオン、ライオンだよ!可愛い!」

 

「分かったから落ち着け」

 

すずかはライオンに釘付けだ、って言うかライオンが可愛いって……そりゃネコ科だけど。

 

「あっ!あっちにはトラが居るよ!行こう、レンヤ君!」

 

「うわぁ!」

 

すずかに引っ張られる。何気に力強いな。

 

「トラも可愛いなぁ〜〜…触れないかな?」

 

「さらっとビックリする事を言うな。流石に無理だろう」

 

「そうだよね……残念だなぁ。あ!」

 

すずかが何かに気がつく。つられて見ると……

 

「期間限定、赤ちゃんとの触れ合いコーナー?」

 

ポスターにそんな事が載っていた、園内にいる動物達に触れ合いるらしい、何ともグットタイミングな事だ。

 

「まあいいか、すずか……って居ない⁉︎」

 

忽然と姿を消したすずか、あの真面目なすずかが一言も言わずに先に行くとは……

 

「猫好き……おっそろしいな」

 

すずかが行った場所は見当がつく、ポスターの載っている場所を確認して向かう。

 

駆け足で向かう途中、人だかりを見つけて見てみるとすずかがいた。近くに見るからに野蛮そうな男2人も一緒に。

 

「ダンスクラブの時もそうだが、悪い男が寄り付きやすいな」

 

男の1人がすずかを掴もうとすると、人だかりを飛び越えすずかと男の間に着地して、男の腕を掴む。

 

「なっ⁉︎」

 

「彼女に手を出さないで下さい」

 

「レンヤ君!」

 

男の腕を離す。

 

「全くすずか、楽しみなのは分かるがもっと周りを見ろ」

 

「ごっごめん……」

 

その時男2人が近づく。

 

「ああん!何だテメエは!」

 

「そっちのお嬢ちゃんとは俺達が遊ぶんだぜぇ!とっととどっか行け!」

 

「彼女は俺の友達です、あなたみたいな野蛮な方に任せられません」

 

敬語で言うが罵倒もしておく。

 

「ガキィ!舐めてんじゃねえよ!」

 

男はキレて、殴りかかってきた。

 

「レンヤ君!」

 

すずかが心配するも、余裕で受け止め力を入れる。

 

「あいたたたたた!」

 

「さっさとお帰り下さい」

 

「クソガキがぁ!」

 

もう1人の男がナイフを取り出してきた。周りも騒がしくなっていく。

 

「やめた方がいいですよ」

 

「うるせい!」

 

男がナイフを振り上げてきた。

 

「はぁ……」

 

掴んでいた手を離し、振り下ろされた腕を掴み男を組み伏せる。

 

「ぐはっ!」

 

「現行犯です、大人しくにお縄についてもらいます」

 

「ヤロウ!」

 

さっきの男が殴りかかってきた。

 

「はっ!」

 

「ぎゃぁ!」

 

組み伏せたまま腕で逆さで立ち上がり、蹴りを入れた。

 

ちょうどその時警備員がきて、男2人を連れて行った。

 

少し事情徴収されて終わった。

 

「ふう、さてすずか。反省したか?」

 

「……うん、ごめんねレンヤ君……」

 

ちゃんと反省しているようだ。

 

「よろしい、ほら行こうか」

 

すずかの手を取る。

 

「っ‼︎」

 

「これならはぐれないだろう」

 

「レッレンヤ君⁉︎」

 

「ほら、行こうか」

 

「うっうん……!」

 

(こっこれって恋人握り⁉︎はっ恥ずかしいよ〜〜///)

 

頷くすずか。この時は大人しくなっていたが、触れ合いコーナーのライオンの赤ちゃんを見ると……

 

「わぁ〜〜可愛い〜〜♪」

 

元のテンションに戻ってしまった。他の動物に目もくれずライオンの赤ちゃんにまっしぐらだ。

 

「レンヤ君!レンヤ君!見て見て、可愛いよ!」

 

「はいはい、分かったから」

 

うさぎの赤ちゃんを抱きながら答える。

 

「可愛いな〜持って帰っちゃダメかな〜〜」

 

「やめなさい」

 

すずかの顔が今まで見た事ない程緩みきっている、至福の時って感じだな。

 

俺もうさぎを愛でる、耳が長いだけでもこうも違うのか。

 

それからすずかのライオンへのもふもふ行為はしばらく続いた。

 

その時、ライオンの赤ちゃんが暴れ出した。

 

「あっ!落ち着いて!」

 

「わわわっ!」

 

「すずか!」

 

ライオンの赤ちゃんがすずかの手から飛び出て俺に向かって飛んできた。

 

「へぶっ!」

 

「きゃあ!」

 

頭を踏み飛び越えるライオンの赤ちゃん、そこにすずかが倒れこんできた。

 

チュッーーー

 

「⁉︎」

 

「てって……すずか、大丈夫か?」

 

うさぎを真上に抱えたまますずかの無事を確認する。頬に何か当たったが、特何もなかった。

 

「だだだ大丈夫だよ!///」

 

にしては顔を真っ赤にして慌てているが。

 

うさぎを前に持ってきて確認すると、ヒクヒクと鼻を動かしていた。無事なようだ。

 

その後、他の動物ーー主にネコ科ーーを見て回った後にお土産屋に向かった。

 

「あ!この子可愛い!」

 

早速ライオンのぬいぐるみを手に取る。

 

「いいんじゃないか?」

 

「うん!じゃあ買ってくるね」

 

「ああ、俺が出すよ」

 

「ええっ!悪いよそんな」

 

「一緒に来た記念だ、ありがたく受け取っておけ」

 

「あっ、もう強引なんだから。……ありがとう、レンヤ君」

 

それから、動物園を出てリムジンに乗ろうとした時……

 

「ん?何だ……」

 

変な気配を感じて周りを見ると、動物園の看板の上に何かいた。

 

「ーーーみししっ♪」

 

影は動物園の中に消えていった。

 

「レンヤ君、どうかしたの?」

 

「いや……何でもない」

 

リムジンに乗り込み、家まで送って貰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………………」

 

レンヤ君を送ってから家に帰って部屋で今日の事を思い出す。

 

色々と迷惑をかけちゃったけど、特にレンヤ君に…………きききキスをしてしまった事で。

 

「ど、どうしよう」

 

無意識に口に手を伸ばし、唇をなぞる。

 

「あうううう…………」

 

恥ずかしいすぎて顔から火が出ちゃいそうだよ。

 

「でも…………」

 

恥ずかしさより頬でもキスができた事に嬉しく思う自分がいる。

 

「あううううう………」

 

また恥ずかしい気持ちが出てきた、それを延々と繰り返していた……

 

「ーーーーーふうぅ」

 

「ひゃああああああああ!」

 

耳に息を吹きかけられ、悲鳴をあげながら振り返ると。

 

「あはははは!今日はお楽しみだった感じかな〜?」

 

「おっお姉ちゃん!一体何時からそこに⁉︎」

 

お姉ちゃんはイタズラ成功した顔をしていて、悪い顔しながらニヤつく。

 

「ん〜〜どうしようって言った時かな」

 

「ほぼ最初っからだよね⁉︎」

 

「それにしてもキスね〜〜、乙女の顔をして唇をなぞって。このこの〜〜」

 

改めて聞かされると思い出してしまい顔が一気に赤くなっていく。

 

「ふっふっふ、そのまま口にいちゃえばよかったのに〜〜♪」

 

「お姉ちゃん!」

 

その後、ノエルが呼びに来るまで私はお姉ちゃんに弄られ続けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻って動物園ーー

 

「みっしぃ、どこに行っていたのですか」

 

「みししっ♪」

 

水色の髪をした少女が不思議生物に話しかけていた。

 

「ドクターの依頼も完了しました。行きましょう……クローネ」

 

ピィーーー

 

一匹の隼が少女の肩に止まり、少女は左腕に付いている装置にカードを挿し入れた。

 

《Ability Card、Set》

 

デバイスとは違う機会音声が聞こえ、魔法陣が足元に展開され転移して行った。

 

 

 


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