夏休みの宿題をやっている時……
「レン君、今大丈夫?」
「ああ、いいぞ」
なのはが部屋に入って来た。
「宿題か?」
「うん、国語が分からなくて」
「なら俺も国語を終わらせるかな」
それからなのはと国語の宿題をやった。
「レン君、ここはどうやるの?」
「ここは、こうして……こうだ」
「あっ分かったの、こっちも同じで……」
しばらくして、国語の宿題を終わらせた。
「やった!終わったの!」
「やっぱりなのはも容量を考えれば頭はいいんだ、この調子で行こう」
「うん!そうだレン君この後暇がある?」
「問題ないが、何をするんだ」
「ケーキバイキングの割引券が今日までなの、だから……一緒に行ってくれないかな?」
「ケーキバイキング?俺よりフェイト達を誘えばいいじゃないか、その方がいいだろうし」
「その……これ男女ペアだけなの……」
それで俺を誘うのか、ここ最近シュークリームもカステラも食べてないしいいか。
「分かった、今から行くのか?」
「うん!すぐに支度するね!」
なのはは勢いよく部屋を飛び出し、自分の部屋に向かった。
手早く着替えを済ませて、家の前でなのはを待つ。
「お待たせなの〜〜」
なのははいつもの着ている服で来たが、あれは小学生の時から来ているのでやはり似合わない。
「それじゃあ、行こっか」
「ああ、その前に寄りたい所があるんだがいいか?」
「うん、いいよ」
なのはと街に向かい、ケーキバイキングのある店の途中にある服屋に入った。
「レン君、お洋服を買うの?」
「いや、なのはの服を買いに来たんだ」
「ええ!どうして⁉︎」
「その服は気に入っていると思うけど、サイズが小さいしなのは自身成長したから似合っていないぞ」
「ううっ………」
それから店員と相談しながら、なのはに似合う服を見繕った。
「どっどうかな?」
「うん、似合っているぞ」
「あっありがとう///」
確かに似合っているが、どこか違和感を感じる。
代金を払い違和感が分からないまま、ケーキバイキングのあるお店に向かう。
「わぁ〜どれも美味しそうなの〜」
ショーケースを埋め尽くす限りの豊富にあるケーキ、さすが女の子なのか早速はしゃいでいた。
「これだけのケーキを見るのは初めてだな」
「レン君〜〜!早くしないとなくなっちゃうよ〜〜!」
「そんな訳ないだろ」
ケーキを皿に乗せてテーブルに座る。なのはの皿の上には結構な量のケーキがある。
「そんなに食べて大丈夫なのか?」
「うん、甘い物は別腹って言うでしょう?」
「そう言う物か?」
よくわからん、そう思いながらショコラケーキを口にする。
「美味しいな」
「にゃ〜〜美味しいの〜♪」
なのはもケーキを食べて頬を緩ませている。
「あっ、レン君のもちょうだい」
「取りに行けばいいだろう」
「全部食べたいけどそれは無理だから、一口だけでも味わいたいの」
「まあいいけど、ほれあーん」
ショコラケーキを一口分フォークに刺して、なのはに差し出す。よくやっているので別段恥ずかしくない。
「あ〜ん……甘〜い♪ほらレン君も」
「俺は別に……ムグッ!」
言い終わる前にフォークを口に入れられた。
「ゴックン!こら、無理やり食べさせるな」
「でも美味しいでしょう?」
「そうだがちゃんと許可をもらえ」
「うん!だから、はいあ〜ん」
なのはがチーズケーキを刺したフォークを差し出す。
「しょうがないな、あーん」
「美味しい……?」
「美味しいよ」
それから何度か食べさせあいをしていた。
ふと視線を感じて周りを見ると、女性の人達がこちらをチラチラと見ていた。て言うか男俺だけじゃん、そりゃ目立つよな。
疑問に思いながらも、なのはの方を見ると差し出したフォークを咥えたまま顔を真っ赤にしている。
「なのは、どうかしたか?」
「なっなんでもないの!」
勢いよく首を横に振り否定するも顔が赤いままだ。
(そうだよ、普通男女があ〜ん何てし合わないの!何時ものようにしちゃっていたけど、これって周りから見れば………カッカップルってことだよね⁉︎)
何だか顔を手で押さえているんだけど、まあそのうち元に戻るだろう。
そう思いケーキを食べる。
「なのは、あんなに食べて大丈夫なのか?」
「うん、大丈夫だよ」
ケーキバイキングを出たあと運動がてら散歩をしている。
元に戻った後、なのははそれなりの量を食べた。
「将来が大変な事になるぞ?」
「うぅ……でも仕事で体をいっぱい動かすからね、それで落とすの!」
落とすんだったら最初から大量にとるな。
少しして、街が一望できる高台に来た。
「こうしてみると、昔より変わった感じがするの」
「街が変わるのもそうだが、俺達の視線が上がったからだろう」
「ふふ、そうだね」
初めて会った時からの月日を感じる。
「それじゃあ、帰ろっか」
「あっそうだ、なのは」
レンヤはなのはの後ろに立つ。
「レン君?」
「ちょっと動かないで」
なのはリボンを解き、髪を纏め、リボンで結んだ。
「うん………やっぱりコッチの方が似合うな」
「え……?」
なのはは手鏡を取り出し、自分を見る。今のなのはの髪型はサイドポニー、片側に髪を纏めて結んでいる。
「服は似合っていたけど、違和感があったからな。こうすれば雰囲気も変わるし違和感もない」
「……何だか、私じゃないみたい」
なのはは驚いた顔から一転して笑顔になる。
「レン君、ありがとう!」
「どういたしまして」
その時、なのははレンヤが持っているリボンを見た。さっきまで結んでいたリボンが2つある、リボンを顔まで持っていくと……レンヤのリボンだった。
「レッレン君!このリボンは……!」
「いいだ、なのはが貰ってくれ。もう1つあるし、なのはだから譲る事ができるんだ」
「レン君……なら私もそのリボンをあげるの!」
「あはは、あの時のなのはとフェイトみたいだな」
「あ、そうだね!」
それから家に帰り、桃子達がなのはの髪型を変わった事に驚き、似合っていると褒めた。
「今日は楽しかったな〜〜」
レン君を誘うために前から持っていたケーキバイキングの割引券、いざ使おうとしても迷って最終日の今日まで来てしまったが……何とか誘えたの。
私は鏡の前に立ち、自分の姿を見る。
「服も髪型もレン君が決めてもらって、本当に良かったの♪」
鏡の前でクルクル回り、何度も自分の姿を見る。
「〜〜〜♪………はっ!」
そこで気がついてしまった。
(レン君に決めてもらった……コーディネートされちゃった……と言う事は、この格好ってレン君の好みの格好⁉︎レン君色に染められているの⁉︎……にゃあぁ〜〜〜///)
事実そうかもしれない、レン君がそう言う事を考えていない事は分かっている。無自覚で選んでこそのレン君の好みなの。
「それに……」
優しく髪を結んであるリボンに触れる。
(レン君の匂いがするよ〜〜それにレン君に守られている感じもするよ///)
そう思ったら顔が熱くなる、思考が止まらなくなるよ〜。
《マスター》
「はっ!ご、ごめんねレイジングハート……!」
《いえ、それよりお母様が見ていらっしゃいます》
「へ……?」
ゆっくりドアの方を見ると、少し開いた隙間にお母さんがいた。
「お、おっお母さん!何時からそこに……⁉︎」
「うーん、なのはがクルクル回った所かしら?」
ほぼ最初から……!
「ふふ、レンヤと同じで髪型が変わったら一気に美人になったわね〜。でもまだダメよ、これから先化粧を覚えないとすぐに負けるわよ」
「!、お母さん、お化粧の仕方教えて!」
レン君に意識してもらうために、頑張るの!
「何だか騒がしいな」
「まあまあ、女の子は何時も忙しいんだよ」
「そうなのか」
「ほら余所見するな、フォースだぜ!」
「あっズル!ならボルトだ!」