魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

46 / 198
46話

 

 

次の日、今度ははやてとミッドチルダで待ち合わせをしていた。何でもシグナム達にプレゼントをあげたいらしい。

 

「お待たせや、!レンヤ君!」

 

はやてが軽やかな足取りでやって来た。

 

「大丈夫だ、5分くらい前にちょうど来たとこだから」

 

「そか、ほな行こうか」

 

デパートに入りながら、目的を聞く。

 

「それでシグナム達にプレゼントだっけ、こんな時期にか?」

 

「日頃のお礼と言う意味や」

 

「なるほど、それで誰から決める?」

 

「まずはヴィータからや、新しいゲートボールクラブが欲しい言うてたからな」

 

「ゲートボールクラブって、結構値段が高いぞ」

 

「大丈夫や、この前昇格したし結構な給料を貰ってるんよ」

 

「確か、二尉だっけ。エリート道まっしぐらだな」

 

「そう言うレンヤ君こそ一個下の三尉やんか、私より早いよ」

 

そんな話をしているとゲートボールクラブが売っている店に着く。

 

「どれがええやろうか?」

 

「軽くて丈夫なのがいいじゃないか?」

 

俺は手頃なものをとる。

 

「これなんかどうだ、高いけど」

 

「かまへん、レンヤ君が言うならこれで決定や。次はシグナムや」

 

ゲートボールクラブを購入して、それからどんどん選んでいった。

 

「シグナムは最近おしゃれしていてな、だからアクセサリーをプレゼントしたいんよ」

 

「なら剣を握るのに邪魔にならないペンダントがいいな」

 

「シャマルは帽子がええな」

 

「ベレー帽なら似合うだろう」

 

「ザフィーラはちょっと分かれへんな」

 

「それならこのアンクレットがいいだろう、犬でも人でもつけられる」

 

「リインとリンスは料理を覚えたいから、包丁がええな」

 

「一緒にまな板も買おうか」

 

全員のプレゼントを買い結構な荷物になってしまった。

 

「レンヤ君、私も少し持つんよ」

 

「大丈夫だ、それよりもどこか休める所はないか?」

 

「やっぱり疲れとるやんか、あっちにフードコートがあるんよ行こか」

 

テーブルに座り、一息つく。

 

「私、ちょうどお昼やし何か買ってくるな。レンヤ君は何がええんや?」

 

「それじゃあ……カレーで」

 

「了解や」

 

少し待って、はやてがカレーとスパゲティ持ってきた。

 

「ありがとうはやて、あっそう言えばお金……」

 

「ええよ、一緒に付き合ってくれたお礼や。ありがたく受けっとときい」

 

「………分かったよ」

 

昼食を取りながら、話しをする。

 

「レンヤ君は最近どうや?やっぱり異界で忙しいんか?」

 

「まあな、異界ドラッグは全部処分したけど、ティーダさんがいなくなってからまた市民からの依頼で大忙しだ。アリサが訓練校で異界についての講義や指導をしていて、そのうち後輩もできるかもしれないな。とは言え、入隊希望者が未だに0だけど」

 

「やっぱり危険が伴うからなぁ」

 

「最近は大きな事件がないから他の地上部隊と一緒させてもらっているのが多いな。今は救助隊のお世話になっている」

 

「そうなんや、こっちはそんな変わってないんやけどなぁ」

 

「俺達が特殊なだけだ」

 

「確かになぁ、皆どんどん変わっていくんよ。特にクロノ君、一気に身長伸びてるしなぁ」

 

「遅れての成長期だろ、むしろ俺はリンディさんとクライドさんの赤ん坊が出来てた方が驚きだ」

 

今年、リンディさんが女の子を出産した。名前はルナ、リンディさん似の可愛らしい子だ。

 

「そうやな、あれは1番驚いたなぁ。あっそうだ!レンヤ君、未来に行った時の話ししてくれへん!」

 

「何だよいきなり」

 

「もう一回聞きたいんや、お願い!」

 

「分かったよ、食べ終わってからな」

 

「おおきに、レンヤ君!」

 

それからしばらく雑談をして、また少し周った後帰ることになった。

 

「あっはやて、少し待ってくれ」

 

「?、何か買い忘れたんか?」

 

「ちょっとな……」

 

俺はアクセサリーショップで買い物を済ませて、はやての所に戻る。

 

「お待た………せ?」

 

同じ場所に戻ってきたが、荷物は置いてあってはやてがいなかった。

 

「手洗いかな?」

 

そう思いベンチに座ると、隣の人の話し声が聞こえてきた。

 

「おいどうだった?」

 

「ああ、問題なく成功した。これで復讐ができるぞ」

 

「あの憎っくき闇の書の主め!」

 

それを聞いた瞬間、デバイスを起動させ飛び上がり、男2人の頭を思いっきり踏みつけた。

 

「「ぎゃああ!」」

 

俺は無言で銃を押し付ける。

 

「さっさとはやての居場所を吐け。頭ぶち抜くぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

くっ、しもうた。まさか今こんな事になるなんて!

 

レンヤ君が少し離れている間に後ろから拘束され、身動きが取れへん。

 

「何でこんな真似をするんや!」

 

「それはお前が1番よく知っていることだろう」

 

「ようやく復讐できるぞ、闇の書の主よ」

 

「犯罪者のお前がなぜエリートなんて呼ばれているんだ」

 

「死んで罪を償え」

 

管理局員の憎しみのこもった声が頭に響く。分かっていたが、こうも目の当たりにすれば罪の重さが改めて理解させられる。

 

(これが私への罰なんかな?何やっても許されへんのかな?)

 

管理局員達はデバイスを構えて魔力を収束させる。殺傷設定の砲撃魔法だ。

 

(でも!こんな所で死ぬ訳にはいかへん!まだやる事もある!シグナム、ヴィータ、シャマル、ザフィーラ、リイン、リンス、それになのはちゃん達、それにレンヤ君にもまだ恩返しが返しておらのんや!だからまだ生きないと、生きてレンヤ君達と生きるために!)

 

バインドを抜けようと必死にもがくが、先に砲撃が発射される。

 

「死ねぇ!」

 

目の前に迫ってくる砲撃に思わず目を瞑る。

 

その瞬間、影が目の前に現れ……

 

《スピニングシールド》

 

砲撃を分散させて防いだのはもちろん……

 

「レンヤ君!」

 

「ごめんはやて、怖い思いをさせちゃって。もう大丈夫だから」

 

レンヤ君はバインドを壊して、頭を撫でながらそういう。

 

いつも優しく、辛いときには励まし一緒にいてくれる大切な人。

 

(ああ、そんなレンヤ君だから。私は好きになったんや///)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

男2人からはやての居場所を聞き出し、駆けつけた管理局員に突き出してからすぐに向かった。

 

「俺が離れていなければ……」

 

《マジェスティー……》

 

悔いている暇があったらと、頭を振り足を動かす。

 

はやてがいる廃工場につき、見張りを潰すて入ると魔力の高鳴りを感じる。

 

「まずい!レゾナンスアーク!」

 

《スプリットモード》

 

形態を移行しながら走り抜け、はやてを見つけた時には砲撃が発射されていた。

 

「間に合えっ!」

 

《スピニングシールド》

 

砲撃とはやての間に立ち、砲撃を分散して防いだ。

 

「レンヤ君!」

 

「ごめんはやて、怖い思いをさせちゃって。もう大丈夫だから」

 

バインドを壊し、詫びと安心の意味ではやての頭を撫でる。

 

はやては顔を赤くして、俺は犯人を睨む。

 

「はやてを攫った理由は大体分かるがこれは立派な犯罪だ、管理局員としてあなた達を逮捕します」

 

「ふざけるな!犯罪者はそいつだ!」

 

「はやては償うために管理局にいるんだ、それは分かっているはずだが」

 

「ああ分かっているさ、だがそいつがエリートともてはやされているのが我慢ならんのだ!」

 

「話しにならないな」

 

俺は聖王モードになり、怒りを爆発させる。

 

「なっ何⁉︎」

 

「すこぶる機嫌が悪い。とりあえず、寝てろ」

 

一瞬で斬り伏せ、拘束する。

 

「たっく、面倒な真似を」

 

「レンヤ君、おおきにな」

 

「ごめんはやて!こんな事になるとは思わなくて……」

 

「大丈夫や気にせんでええよ」

 

「ありがとう、それとはやて」

 

「なんや?」

 

俺ははやてを抱きしめた。

 

「レッレンヤ君⁉︎」

 

「はやて、お前は幸せになってもいいんだ」

 

「あっ……」

 

「温泉の時にも言ったが、俺は幸せを守りたいんだ。だからはやても幸せになってくれ、俺が幸せごと守ってやるから」

 

感極まったのか、涙を浮かべ抱きつくはやて。

 

「うん……ありがとう………レンヤ君………」

 

抱きつくはやてを撫でてやり、落ち着いた所でちょうどシグナム達が到着した。

 

「主を守ってくれた事、礼を言う」

 

「いいよそんなの、むしろ俺が離れなければこんな事にはならなかった」

 

「おめえのせいじゃねえぞ」

 

「そうよ、あまり自分を責めないで」

 

「レンヤは主を守ってくれた、それで充分だ」

 

「感謝する、聖王よ」

 

「ありがとうです!レンヤさん!」

 

「あはは、ありがとうございます」

 

それから連中を逮捕して地球に帰った後、シグナム達にプレゼントをあげた。皆、本当に嬉しそうで良かった。

 

「ほんまおおきになレンヤ君、今日は色々とお世話になりっぱなしで」

 

「いいさ、俺は大丈夫だから」

 

「それでもや、それじゃあまたねレンヤ君」

 

「ああ、その前に……」

 

俺はプレゼントの箱をはやてに渡した。

 

「これは……!」

 

「俺からはやてへのプレゼント」

 

「そんな!受け取れへんよ!」

 

「これは日頃の感謝の気持ちだ、それにはやてが幸せにって思って欲しいからね」

 

はやては顔を赤くして、プレゼントを受け取った。

 

「それじゃあまたな、はやて!」

 

俺は家に向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は自分の部屋に行き、レンヤ君からもらったプレゼントを開けた。

 

「これは……綺麗なヘヤピンやな」

 

同じ形で色は黒、灰色、白に分かれた三本のヘヤピンがあった。

 

「日常で使うのは勿体無いし……せや!デバイスに組み込めばええんや!」

 

早速デバイスにヘヤピンのデータを組み込む。これでバリアジャケットと一緒にこのヘヤピンを展開できる。本物のヘヤピンは大切に保管して。

 

「これを付けるんは特別な日やな……今日みたいなデッデートとかに///」

 

レンヤ君はただのお買い物と思っているんやけど、私に……女の子にとって充分デートや。アカン、考えたら顔が熱うなって来た……

 

「そんな、レンヤ君とそんなことまで///」

 

レンヤ君の事を思い出し、思考の渦に飲み込まれる。

 

リンスが呼びに来くるまで妄想は止まる事はなかった……

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。