魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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45話

「はああ〜〜〜〜………」

 

テストも終わり、なのは達は意気込みも違かったのでひどい点数にはならなかったが充分ギリギリだった。次の問題としてはあの3人が宿題をちゃんとやるかだが……

 

「ふわああ〜〜〜………」

 

今はぐうたらしていたし、本当に久々の休みだ。

 

ーー〜〜♪

 

その時携帯が鳴り始めた、フェイトからだ。

 

「もしもし、フェイト」

 

「レンヤ……えっと、今は暇?」

 

「ああ、家でゆっくりしているだけだ」

 

「よかった、ちょっと相談したいことがあるんだけど今からデパートの前に来てくれないかな?」

 

「分った」

 

電話を切って、着替えた後デパートに向かう。

 

つくと既に私服姿のフェイトがいた。

 

「あっレンヤ!」

 

「お待たせフェイト、髪型変えたんだな」

 

「うっうん……」

 

フェイトは髪を下ろして腰の下辺りで黒いリボンで結んでいる。

 

「よく似合っているよ」

 

「!、ありがとう///」

 

照れているのか顔が赤くなった。デパートを進みながら目的を聞くと。

 

「服を買いに行く?それなら俺じゃなくてなのは達にでも聞けばいいだろ」

 

「ううん、私のじゃなくて保護した子に。男の子だからレンヤに相談したんだよ」

 

「なるほど、でもあまり参考になるかなぁ。いつも適当に買っているからな」

 

「そんなことないよ、今着ている服も……その、似合っているよ///」

 

普通のジーンズで上は布地の半袖にパーカーだぞ。

 

「まあ、ありがとな。それよりお金の方は大丈夫なのか?俺もそれなりに貰っているから大丈夫だと思うけど」

 

「大丈夫。お金は結構下ろしてきたし、子ども服が豊富なお店もバッチリ調べてきたし!」

 

………何だか将来過保護になるな、親バカだ。もしかしたら未来のラナって子はそんな過保護な人に育てられたんだろう、甘やかしすぎて。

 

「そっそうか……っと、ここか?」

 

そうこうしているうちにお店についた。

 

「うん、ここだよ」

 

確かに普通のお店とは違って子ども服が多いな。

 

早速フェイトが取ってきた服を見たが……

 

「これはどうかな?」

 

「ないな」

 

「レンヤ⁉︎ちょっと酷いよ⁉︎」

 

「男の子なんだろ、そんなの喜ばないぞ」

 

持ってきた服には可愛いらしい猫やうさぎが描かれた服だ。

 

「え?可愛いのに……」

 

「男の子の服に可愛さを求めるな」

 

「それじゃあこのクマとライオンにーーー」

 

「却下」

 

「これも⁉︎カッコいいよ、このライオン⁉︎」

 

「そんな迫力のないライオンはいない」

 

だが迫力があっても困る気が……

 

「他にもあるだろう」

 

「ならこの黒いので……」

 

「ただの黒一色だけは流石にない」

 

まさかここまでセンスがないとは、バリアジャケットを見れば当然か。

 

「じゃあ何がいいの?」

 

「そうだな………あれなんかどうだ?」

 

少し離れた所にある服を手にとり、見せてみる。チェック柄のシャツだ。

 

「これなら喜んでくれるんじゃないか?」

 

「うん、いいかも」

 

それから他の服も選び購入しようとした時……

 

「お客様、現在カップルイベントを実施していまして。よかったらどうですか?」

 

「いえ、大丈夫ーー」

 

「はい!お願いします!」

 

おいフェイト、俺達はカップルではないぞ。

 

それからサイズを測るが……

 

「あぅ……ぅ〜」

 

(ペアルック……ペアルック……まだ付き合っていないのに、こっこれがチャンスなのかな⁉︎)

 

フェイトが後ろを向いて顔を手で隠している、よく見ると耳が赤い。

 

「お客様?」

 

「ああ、測っても大丈夫だと思いますよ」

 

「はぁ……」

 

流石の定員も苦笑い……

 

ちなみに代金はフェイトに気付かれず既に払った。

 

「ふふ、それではこちらを着て下さい」

 

定員が出したのは、同デザインのシャツを渡してきた。

 

正気に戻ったフェイトは慌てて受け取り、その場で着替えようとしたがすぐに更衣室に投げ入れた。

 

その後写真を撮り、そのまま着て行くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

当初の目的も達成し、そのままデパートを回ることになった。

 

「…………/////」

 

さっきからフェイトの顔が真っ赤だ、ペアルックが恥ずかしいのは分かるが、何故着たのだ?

 

「フェイト、恥ずかしいなら俺のパーカーを着るか?」

 

「えっ!あっありがとう……」

 

フェイトはパーカーを着た、何だか嬉しそうだ。

 

「恥ずかしいならやめとけばよかったらのに」

 

「うっううん!大丈夫だよ……!」

 

そう言い、パーカーに顔を埋める。

 

(レンヤの匂いがするよ////)

 

それから色んな所を回った、はしゃいでいるフェイトを見るのは初めてだったので少し驚いた。

 

そして帰りに……

 

「あ!このぬいぐるみ可愛い!」

 

立ち寄ったお店でフェイトは猫のぬいぐるみを気に入ったようだ。

 

(結構高いな)

 

「なら、俺がプレゼントしてやるよ」

 

「ええっ!そんな、悪いよ!今日は私のワガママに付き合ちゃったんだから……」

 

「気にするな、むしろ真面目なフェイトがワガママを言えた記念だ」

 

俺はぬいぐるみを持ってレジに向かう。

 

「もぅ……意外と強引なんだから。ありがとう、レンヤ」

 

帰り道、フェイトを家まで送っている所。

 

「えへへ///」

 

包んでもらったぬいぐるみを抱きしめ、ご機嫌なフェイト。

 

「ありがとう、レンヤ!今日はすごく楽しかったよ!」

 

「そうか、フェイトも誘ってくれてありがとな」

 

「うん!」

 

その時、フェイトが周りを見て顔を青くした。

 

「レレレレレンヤ⁉︎ここは一体……⁉︎」

 

「気付いて無かったのか?ここの公園を通り抜ければすぐに着くから通っていたんだ」

 

どうやら気分が良かったせいで気が付かったようだ。

 

カアァーー、カアァーー

 

「きゃああ!」

 

カラスの鳴き声に驚き、俺に抱きつくフェイト。

 

「フェイトって怖いのダメなのか?」

 

「うっうん……」

 

フェイトが抱きつくせいで大きな胸が当たっているが、何でこう成長が早いんだ!

 

「出ないよね?オバケとか出ないよね⁉︎」

 

「出ない!出ないから!て言うかナハトヴァールだって充分怖かったろ!」

 

「あれはちゃんと触れるからだよ……」

 

怖いものが苦手ではなく、ただ幽霊とかが怖い訳か。

 

「ほら一緒に居てやるから、早く行くぞ」

 

「うん……」

 

若干涙声になりながら俺の腕で顔を隠す。

 

もう少しで抜ける時。

 

ーーガサガサ!

 

茂みから音が聞こえた。

 

「きゃあああああぁぁぁぁ!」

 

「ちょっフェイト、落ち着け」

 

ーーガサガサ!

 

「あれ、なんか近づいてくる」

 

「えぇ⁉︎」

 

音が大きくなるにつれ、フェイトの抱きつく力が強くなって……

 

ーーガサッ‼︎

 

「きゃああああああああぁぁぁぁ‼︎」

 

茂みから出てきたのは。

 

「にゃあぁ」

 

猫だった。

 

「ねっ猫ぉ〜?」

 

緊張が緩んでか、その場に座り込むフェイト。

 

猫はそのまま去って行った。

 

「はは、俺もびっくりしたかな。フェイト、立てるか?」

 

俺はフェイトに手を伸ばすが……

 

「えっと……腰………抜けちゃった」

 

「しょうがないな」

 

フェイトに背を向けてしゃがむ。

 

「ほら、早く乗れ」

 

「えっでも……」

 

「早くしろ、置いて行くぞ」

 

「うっうん」

 

俺はフェイトをおんぶするが、そこで気がついてしまった。

 

(背中に、柔らかいのが……)

 

「レンヤ、重くない?」

 

「あっああ、重くないぞ。全然重くないぞ!」

 

そのままフェイトの家の前まで送っていった。

 

「それじゃあな、フェイト」

 

「うん、今日はありがとう」

 

フェイトと別れ、少ししたらパーカーを渡したままだということに気がついた。

 

まあ、そのうち返してもらえればいいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フェイト、お帰り!」

 

「お帰りなさい、フェイト」

 

「あら、お帰りなさい」

 

アルフとリニスが出迎えてくれた。リンディさんも用事なのか家にいた。

 

「フェイト?何でレンヤにおんぶされて帰ってきたのかなぁ?」

 

「姉さん⁉︎見ていたの⁉︎」

 

「それにそのパーカーレンヤのお気に入りだよ、それに中に何着ているのかなぁ〜〜?」

 

姉さんの迫力に後ずさり、チャックを下げられる。

 

「ペ、ペアルック⁉︎いつの間に⁉︎」

 

「ちゃんと説明するから落ち着いて姉さん!」

 

誤解を解くために何と説明する。

 

「最初に何でおんぶされたのかは……その……公園で色々あって、それで腰が抜けちゃって……」

 

そう言った所で恥ずかしくなって顔を赤くしてしまう……

 

「つまりフェイトちゃんは夜の公園でレンヤ君に足腰立たなくされて、その後ペアルックに着替えたのね?若いわね〜」

 

「リンディさん⁉︎」

 

リンディさんが爆弾発言を落としてしまった。

 

「フェ〜イ〜ト〜〜」

 

「待って姉さん!誤解、誤解だから!」

 

姉さんのバインドに捕まって引きずられていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただいまー、って何の騒ぎ?」

 

「プップレシア……フェイトが……」

 

「リンディ、あまりフェイトを困らせないで下さい」

 

「ふふっごめんなさい、ね〜ユノ♪」

 

「あ〜〜」

 

リンディは抱きかかえた赤ん坊にそう言うのであった。

 


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