門をぬけるとそこは……
「うっ……、!これは!」
現実とは思えない光景があった、どこか古い遺跡のような場所だ。
「異界化《イクリプス》、それがこの現象の名前だ」
「……相変わらず、説明が少ないな」
「これは後でちゃんと説明する、今は……!くるぞ、かまえろ!」
「ちょっ、なにが……!」
その瞬間、正体不明の化け物が現れた。
「なんだ!、こいつらは!」
「異界に住む敵性存在、怪異《グリード》だ、剣に魔力を流せ!通常の攻撃は通用しないぞ!」
「くっ…速攻でかたをつける!」
レンヤは剣を構え、怪異に向かった。
「はあっ!」
最後の1体を斬りふせ、一息つく。
「ふう…結構疲れるな」
「まだまだ序の口だぞ、この先は迷宮になっている、気をつけて進め」
「わかった」
レンヤとラーグは迷宮を進んで行く。
「あっ…あと罠とギミックがあるから注意しろよ」
「だからちゃんと説明しろって」
罠や怪異を退けながらすすむと開けた場所に出た。
「迷宮は……ここで終わりか?」
「そうらしいな、だとしたら来るぞ」
「来るってなにが」
グオオオオオオオ
「「!」」
獣、いやもっと別の!
「!…いたっ!さっきの男!」
消えた男が、横たわっていた。
次の瞬間、男の目の前から黒いもやが溢れ出し……
グオオオオオオオオオ
巨大な怪異が現れた!
「でかすぎだろう!」
「エルダーグリードーーこの迷宮のヌシだ!あれを倒すことができればこの異界化を収められる!」
「っ……だったらとっととぶっ飛ばすだけだ!」
そのころ、ソエルたちは……
「へえ〜あなたたちは両親を探すために旅をしてるのね」
「そう!正確にはレンヤだけどね」
「でも、それってすごく大変じゃあなかったの?」
ソエルがアリサたちに目的を話していた。
「大変だったけど、すごく楽しかったよ♪」
すっかり意気投合していた。
「へえ〜って、違うわよ!あんたが何者だって聞いてるの!」
「ソエルはモコナ・ソエル・モドキだよ」
「えっとねソエルちゃん名前じゃなくて……」
メキョ!
ソエルの目がいきなり開いた。
「うわあ!ちょと、ビックリしたじゃない!」
「どうしたの?」
「大変!レンヤたちがピンチだよ!」
「それって、この門で⁉︎」
「だったら助けに……」
「ダメ!アリサとすずかが行っても足手まといになるだけ!」
「なら、どうすれば!」
何か案がないか考えるが。
「このまま、待っているしかないの!」
「アリサちゃん……」
「なにか!なにか私にできることはないの⁉︎」
「私だって、黙って見ていることしか……」
そんな考えが頭を巡った。
ーー“力”が欲しいかい?
ピキーーン
「なっ!」
「えっ?」
周りの時が一瞬で止まった。
「そっソエルちゃん⁉︎」
ソエルが石の様に固まり動かない。
アリサたちの前に青いモヤが現れ。
1人の、アリサたちと歳の変わらない少女が現れた。
銀髪の膝まである髪、目は閉じられ古ぼけた服を着ている。
「彼を助ける、“力”が欲しいかい?」
「あんたは、いったい…?」
「っ!」
不可思議めいた雰囲気にアリサたちはたじろぐ。
「“力”を手にすれば彼を助ける、でも覚悟して“力”を手に入れたら後には戻れない、今は家族との因果は交わっているけど、いつかきっと離れ離れになる それだけの覚悟、彼にする気はあるのかな?」
つきつけられた条件、アリサ達は迷う。
「彼の行く道はとても辛い荊の道、今日初めて会った彼にそこまでする理由もない」
少女は彼の運命を語り、さらに迷わせる。
「……わよ」
「……………………」
「覚悟くらい、あるわよ!」
「アリサちゃん⁉︎」
「見ず知らずの私たちを助けただけじゃない!あの男まで助けるお人好しよ!だったら私が面倒を見ないといけないの!」
「……………………」
「私も、私も彼を信じたい。助けたいだけじゃない、彼ならきっと私を認めてくれると信じているから!」
「ふふふ」
少女は見透かしたように笑う。
「試すようでごめんね、確かに家族との因果は離れることになるけど、また交わらないわけでもないんだ」
「あっ!」
「よかった……」
「それともう一つ、僕は君たちに“力”を与えることはできない」
「ちょっと!それどういうことよ!」
「そんな……!」
「ふふ」
少女が手をこちらに向けた瞬間、アリサとすずかの、胸の中心が光りだした。
アリサは炎のような真紅に。
すずかは鮮やかな紫色に。
「“力”は最初から君たちの中にある、後はきっかけだけ」
「暖かい光…」
「綺麗……」
「ふふ、君たちが彼とこれからどんな因果を生むのか」
「「っ!」」
少女が目を開いた、虹でも宝石でも表すことのできない異形の色。
「ーー見届けさせてもらおうーー」
ピキーーン
ーー“力”の使い方はその守護獣に聞くといいよ。
「!、アリサとすずかのリンカーコアが!」
時が動きだし、アリサとすずかの変化にソエルが気づいた。
「なっなにこれ…」
「…………ソエルちゃん、この力の使い方 教えてくれる?」
「すずか⁉︎」
「そう……会ったんだね、異界の子に」
すずかの発言にアリサは驚く。
「この力があれば彼を助けられんだよね!」
「うん!絶対に助けるよ!」
「よくわからないけど、やってやろうじゃないの!」
「デバイスを渡すから、それに聞いて 準備が整い次第ゲートをくぐるよ!」
ソエルが口からデバイスをだし、アリサたちに渡した。
アリサは紅いひし形の宝石。
すずかは中心に紫色の宝石がはめられている十字架。
「アリサのはフレイムアイズ、すずかのはスノーホワイト、起動コードは私が省略させるから2人は大声で、セ〜トッ!・ア〜プッ!って言って!」
「わかったわ」
「うん!」
2人はデバイスをかかげ…。
「フレイムアイズ!」
「スノーホワイト!」
「「セ〜トッ!ア〜プッ!」」
デバイスを起動して、アリサとすずかが光りに包まれてバリアジャケットを身に纏う。
アリサは赤を基調としたバリアジャケットで、武器は刀身が魔力で出来ている銃剣。
すずかの紺を基調としたバリアジャケットで、髪はポニーテール、武器は十字の槍を持っている。
「これが…私?」
「すごい…力が溢れてくる!」
アリサたちは自分たちの変化に驚く、ソエルがすずかの肩に乗り。
「覚悟はいいね、それじゃあ行こう!」
「えぇ!」
「覚悟なら、もうできてる!」
私たちはゲートをくぐりぬけた。
「なに、これ?」
「これが、異界」
私たちは目の前の光景に目を奪われた、日常では絶対に見ることのできない景色が広がっていた。
「他の怪異もいない、このまま最奥部に直行しよう!」
「えぇ!行くわよ!」
「まっ、まって!アリサちゃん!」
待っていなさいよ、必ず助けるんだから!
「アリサ、そっちじゃないよ」
「早く言いなさい!」
やっちまった感がハンパないですはい。
でもくじけない!