魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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39話

 

 

レンヤ達は時間の停止を元に戻すため、レムを探し迷宮を進んでいた。

 

「この異界、いつもとかなり雰囲気が違うな……」

 

「鳥居みたいな柱のせいか……厳かな印象を受けるね」

 

「何だか落ち着く感じせえへん?」

 

「そうだね、神々しさを奥から感じるよ」

 

「姉さん、分かるの?」

 

「えっ、あっ勘だけどね〜」

 

どこか厳かで神々しい、今までの異界にはない雰囲気がこの異界にはあった。 そのまま奥に進み最奥までたどり着く。

 

「ここが最奥だね」

 

「鳥居が多いし、随分と長い階段だな」

 

「現実世界の参道と似ているね」

 

「うん、感じるよ。この奥にいる、とてつもない力の主が」

 

「ラスボスちゅうことか」

 

「行くわよ!」

 

階段を駆け上がり、登りきるとかなり開けた場所に出た。洞窟の天井はなく、むしろ空が天井の代わりのようだった。

 

レンヤ達が中央に近づいた瞬間、無数の竜巻が巻き起こる。竜巻が一つになりそこから長大な竜が現れた。

 

名は、一首の神竜。

 

「現れたわね……!」

 

「龍型のエルダーグリード……⁉︎」

 

「ここの祠に祀られている竜かな……?」

 

「……霊格が低い?」

 

「でもどんな相手でもやることわ変わりあらへん!」

 

「幽霊じゃないなら、行けるの!」

 

「ああ、行くぞ皆!」

 

「「「「「「おおっ!」」」」」」

 

掛け声を合図に、一首の神竜は咆哮を上げ突進してきた。

 

「散開しろ!」

 

レンヤの指示で、散開し突進を避けるが衝撃が凄まじかった。

 

「うわっ、すごい衝撃……!」

 

「さすがは祀られていることはあるよ」

 

一首の神竜は体を捻り、噛みつきや尻尾で攻撃してきた。 レンヤ達はそれを避け……

 

「させないよう!」

 

《フープバインド》

 

なのはが口と尻尾をバインドして、動きを止めた。

 

その隙にレンヤ、アリサが接近する。

 

「レゾナンスアーク、ファースト、セカンドギア……ファイア!」

 

《ドライブ》

 

「フレイムアイズ!」

 

《ロードカートリッジ》

 

レンヤとアリサは魔力を上げて、一首の神竜の胴を斬る。

 

「はああああっ!」

 

《ハーケンスラッシュ》

 

フェイトが尻尾を斬り落とそうとするが……

 

「ぐっ、固い……」

 

想像以上に固く、刃が通らない。

 

「フェイト、下がりなさい!」

 

アリシアの指示でフェイトは下がり、2丁拳銃を構え。アリシアの前方に魔法陣が8つ現れる。

 

《ガトリングブリッツ》

 

「乱れ打ち!」

 

2丁拳銃と魔法陣から魔力弾が高速で飛び出し、合計10個の砲門で攻撃する。

 

しかし一首の神竜はバインドを破り、その場で回転して魔力弾を弾き返した。

 

「うそっ?」

 

「なら、これでどうや!」

 

はやては一首の神竜の左右に障壁を作り、挟み込んで回転を遅くする。

 

「すずかちゃん!」

 

「分かったよ!スノーホワイト、サードギア、ファイア!」

 

《ドライブ》

 

魔力が上がった勢いで、回転が少ない頂点を狙い槍を振り下ろした。

 

すずかの一撃で一首の神竜は地面に叩きつけられる。

 

「このまま攻めるぞ!」

 

「!、待って!様子がおかしい……」

 

なにはが一首の神竜の変化に気づく、異界の空が曇りはじめ、雷が鳴っている。

 

「雷……⁉︎」

 

「どうやら、怒らせちまったな」

 

「ここからが本番ね」

 

一首の神竜が吼えると、こちらに向かった雷が降ってきた。

 

「来たああぁっ⁉︎」

 

「皆、下がって!」

 

《ディフェンサープラス》

 

フェイトが前に出て雷を受け止めるも徐々にヒビが入ってきている。

 

「ぐうっ……」

 

「フェイトちゃん!」

 

「止めるわよ!」

 

「了解や!」

 

雷を止めるべく、アリサとはやてが動く。

 

「穿て、ブラッディダガー!」

 

「はああぁぁっ!」

 

《エクステンドエッジ》

 

血色の短剣がはやての周りに現れに一首の神竜向けて発射され。アリサは大剣を横に振り、勢いで炎を広範囲に飛ばす。

 

短剣が直撃した瞬間爆発し、炎が一首の神竜を呑み込む。

 

「やった……⁉︎」

 

「煙で分からへんな……」

 

「大丈夫、フェイト」

 

「うん、大丈夫だよ姉さん」

 

アリシアがフェイトに治癒魔法をかける。

 

その時、煙の中で雷がはしる。

 

「来るぞ!構えろ!」

 

「うっうん!」

 

一首の神竜は上空に飛び上がり、雷と共にレンヤ達の中心に落ちて来た。

 

「速い……⁉︎」

 

「避けられへん……⁉︎」

 

「アリシア、合わせろ!」

 

「うん!フォーチュンドロップ!」

 

《ヘキサゴンプロテクション》

 

レンヤがアリシアの手を掴み魔力を流し込み、アリシアが六角形の障壁を正面に展開した。

 

障壁と一首の神竜がぶつかり、周囲に雷が落ちる。

 

「ぐうっ……」

 

「なんて力……」

 

プロテクションを壊されないように魔力を流し続ける。

 

その時、一首の神竜が消えた。

 

「えっ……」

 

「消えーー」

 

瞬間、後ろからもの凄い衝撃に襲われた。

 

「がっ……」

 

「きゃああぁぁっ!」

 

「ぐっ……」

 

どうやらレンヤ達の後ろに回り込み、尻尾で薙ぎ払ったようだ。追撃するようにレンヤ達に雷を落とした。

 

「あああぁぁっ!」

 

「しまった……!」

 

「うっ動けへん……!」

 

「体が、痺れて……」

 

レンヤ達は一首の神竜の雷で体が麻痺してしまった、かろうじてフェイトが動けるがふらふらだ。

 

「うっ……私が、皆を……守らないと……」

 

「フェイト……ちゃん……」

 

「動いて……」

 

「くっそ、どうしたら……」

 

一首の神竜がゆっくり近づき、フェイトに牙を下す。

 

「フェイト!」

 

「逃げて!」

 

「やめろおおおぉぉぉ!」

 

その時、牙がフェイトに当たる瞬間、レンヤから紫の雷を放ちながら何かが出てきて。一首の神竜に当たった。

 

「えっ……」

 

「何が……」

 

物体は弧を描きながら回転して、レンヤの前に突き刺さる。

 

「槍?」

 

「何でそんなものがレン君から……」

 

「……もしかして、あの時か!」

 

なのはを助けるために大怪我をしたあの日最後に見た紫色の雷の正体。

 

「雷の神器⁉︎」

 

「タイミングよすぎや……」

 

「でも、助かったよ」

 

レンヤは雷の神器を掴み、支えながら立ち上がる。

 

「ぶっつけ本番だ、行くぞ!」

 

雷の神器を纏う、白い服装は同じで装飾が紫色だった。槍の形は鋭い矢印の形をしている。

 

「ぐっ凄い力……だ!」

 

抑えきれない力を一首の神竜に向けて放つ、防がれたが効いている。

 

「フェイト!皆を下がらせて」

 

「うっうん、気をつけてレンヤ」

 

フェイトはなのは達を集め、プロテクションを張った。

 

「さあ、行くぞ!」

 

同時に飛び上がり、空中で何度もぶつかり合う。

 

「疾風迅雷!サイバーフィールド!」

 

体を雷そのもに変え、一首の神竜の周りを飛び回り動きを止める。

 

「落ちろ、轟くは剛電!」

 

槍を振り下ろして同時に雷を落として、一首の神竜を地面に落とす。

 

「神雷、降臨!インディグネイション!」

 

一首の神竜の足元と上に魔法陣を展開し、巨大な紫電を落とした。

 

「一気に終わらせるっ……!」

 

秘力を解放して一首の神竜に狙いを定める。

 

「我が槍は紫苑!連なるは懺悔の雷鳴!ヴォイドエクレール!」

 

一首の神竜を打ち上げ雷の結界に閉じ込める。槍に雷を纏わせ一首の神竜に思いっきり投げる。高速で槍が直撃し、一首の神竜は倒れた。

 

「やっやった……!」

 

「はあはあ……どんなもんや!」

 

「大丈夫か?今治すから……本能刺激、スパークメディカ」

 

「動ける、ありがとうレン君」

 

「これで後はあの女の子だけど……」

 

レンヤ達はデバイスをしまい、辺りを見渡す。

 

「見たところ……ここが終点みたいだね」

 

「レムのやつ……一体どこに行ったのよ?」

 

『ふふ、お見事』

 

シャン……

 

いきなり鈴の音とレムの声が聞こえ、一首の神竜が光り出した。そこから現れたのは竜のお面をかぶったレムだった。

 

レムはお面を取り外し、レンヤ達を見る。

 

「ふええっ⁉︎」

 

「まさかお前が化けていたとはな……」

 

「……そんなことまで可能だなんて……、やっぱり、あなた人間じゃないね」

 

「ふふ、この地に眠る力を少し借りさせてもらっただけさ。君達の力も一応、見させてもらったよ。どうやら選択に見合う資格は持っていそうだね」

 

「ああそうか、だからあんなに霊格が低くかったんだ」

 

「十分強いの……」

 

「ほっ本物はどれだけ強いんや……」

 

アリシアが疑問に思っていたことを納得した。

 

「ーーでも、良かったのかな?果たしてその選択が正しいかどうかは分からないよ?」

 

レムがこの先の結果が分かったように言う。

 

「なっなにを……」

 

「分かったようなことを……」

 

「ーーーああ、確かな」

 

「?」

 

「レン君?」

 

「最初から答えなんて分からない、道を進んで初めて分かるもんだ。迷ってばかりだし立ち止まったりもしている、でも……俺は自分がやりたいことをする。心に従いやりたいことをやる、そうすれば絶対に後悔はしないから」

 

「あっ……」

 

「レンヤ……」

 

「決まったんやな」

 

レンヤは決意を新たにして、前に進むことにした。

 

「ーーふふ、なるほど。なら、その選択がどんな未来を紡ぐのか……これから愉しみに見届けさせてもらうとしよう、健闘を祈るよ、君達」

 

シャン………

 

鈴の音をたて、次の瞬間レムは消え同時に異界は収束していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

目を開けたら、元の祠の前にいた。

 

風の音が聞こえてくる、時間も戻ったようだ。

 

「戻ってこれたの……」

 

「うん、時間も元通りに動いているね」

 

「これなら旅館の皆も無事でしょう」

 

「良かった……」

 

「どうなるかと思ったよ」

 

「でもあのレムって子、見届けるゆってはったな」

 

「……あの子の真意や目的は判らないけど……ひとまず今夜は、一件落着でいいだろう」

 

レンヤはなのは達に向き直り。

 

「なのは、フェイト、はやて、今回のことでようやく自分が見えてきた気がする。俺自身の心を……ミッドチルダも海鳴も、そこにある大切なものを守りたいって言う、嘘いつわりもない気持ちを」

 

「レンヤ君……」

 

「言うようになったじゃないの」

 

レンヤは自分の胸に手を当てる。

 

「間違えるかもしれない、立ち止まるかもしれない、でも自分のここに嘘はつきたくない。だから、受けるよ。これが俺の返事だ」

 

「レン君……」

 

「……分かったよ」

 

「ほんまおおきにな、レンヤ君」

 

レンヤに続くように、他の皆も名乗り出る。

 

「私も参加するわよ。ここで逃げたらバニングスの名折れよ」

 

「同じく参加するよ。私の微力な力でも皆のために使いたい」

 

「私も!異界の謎を解いていきたいもん!」

 

アリサ、すずか、アリシアは迷いなく参加を決意する。

 

「アリサちゃん、すずかちゃん、アリシアちゃんまで……」

 

「……ありがとう。皆の力、貸してくれて感謝するよ」

 

「クロノ君達にも伝えないとあかんな」

 

その後、俺達は旅館の戻り。何事もなかったように皆と一夜を過ごした。

 

後日ーー

 

レンヤ達が話しを受けることをリンディ達に伝えた、もの凄く喜ばれた。

 

その後帰る準備をして、後は車に乗り込むだけだった。

 

「いや〜楽しかったね〜」

 

「また行きたいよ〜」

 

「それはまた来年だな」

 

「休みもまだあるし、別の場所に行くのもいいわね」

 

「はいはい!行きます行きまーーす!」

 

「ファリン、落ち着きなさい」

 

美由希とエイミィはすっかり意気投合し、恭弥と忍、ノエルとファリンも楽しかったようだ。

 

「皆も楽しめたんか?」

 

「はい、温泉がよかったです」

 

「また行きてえな」

 

「近いんだし、またの機会にね」

 

「まあ、悪くないな」

 

「ふふ、騎士達の喜ぶ顔が見られる日が来るとはな」

 

「皆と嬉しそうですぅ」

 

八神家も大変満足したようだ。

 

「フェイトも楽しめた?」

 

「うん、皆と一緒で楽しめたよ」

 

「よかったわ」

 

「はい」

 

テスタロッサ家も同じようだ。

 

「それじゃあ皆、そろそろ行こうか」

 

「行きと同じでいいわよね?」

 

「はーい、レン君と隣がいいの〜」

 

「お願いします」

 

次々と車に乗り込む中、レンヤ達異界組とリンディ達が残っていた。

 

「ーーそうそう、異界対策部隊の件だけど。週明けから大々的な発表をしてから立ち上げる段取りになっているから。詳細は追って連絡するわね」

 

「ちょっ、聞いていないんだけど!」

 

「恥ずかしいです……」

 

「大丈夫、堂々としてればいいんだよ!」

 

「あはは、そういえば隊長とかどうするんだ?」

 

子どもだけの部隊はさすがに問題がある。

 

「一応責任者としてゲンヤ・ナカジマ三佐が請け負うが、異界に関しての最終決定権は君達の中から隊長を選ぶことになり、その人が持つことになった」

 

「えっそれっていいの?」

 

「異界のことを何も知らないのに権限を持っていても君達の邪魔になるだけだ。上層部も了承している、君達はいつも通りに自由に動ける。簡単に言えば異界限定の独立部隊ってことだよ」

 

「それでもたまに異界とは別の要請が来るかもしれないから、そこは了承してね」

 

「まあ、当然よね」

 

「それで隊長は……」

 

「やっぱりレンヤだね」

 

「えっ俺⁉︎」

 

「そうそう、君がいつも仕切っているからね」

 

「よろしく頼むぞ」

 

「従者が上というのも、可笑しいからね」

 

「今更変えるのも面倒だし」

 

「それが本音かアリサ……!」

 

「レンヤ、頑張れ!」

 

「あなたならできるわよ」

 

「期待しているぞ」

 

全員に推薦され逃げ道をなくすレンヤ。

 

「ああもう分かったよ!やるよ、やりますよ!」

 

「それでこそレンヤよ」

 

「私もフォローするからね」

 

「やってやるぞ〜〜!」

 

こうして、レンヤ達は異界対策部隊。正式名称、異界対策課【Different Wold Measures Section】を立ち上げることになった。

 

 


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