魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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36話

霧の古城に突入したレンヤ達。

 

異界の中は古い城の中の様だった。

 

「…………………」

 

「まさに古城ね」

 

「魔女の古城……雰囲気ありすぎなの」

 

「………カリム、ユーノ君………」

 

「他の人達も心配だね」

 

「ああ、行くぞ」

 

レンヤ達はデバイスを起動しバリアジャケットを纏う

 

「異界も怪異も学院の生徒達には関係ない……さっさと取り戻すぞ、ここの日常を!」

 

「ええ、行きましょう!」

 

レンヤ達は迷宮を進む

 

進むと一気に霧が発生した。

 

「きゃっ……視界が!」

 

「姉さん!何この濃い霧……他の場所と全然違う⁉︎」

 

「っ!危ない!」

 

「きゃああ!」

 

怪異がはやてに攻撃し、レンヤが防ぎそのまま倒した。

 

「集中しろ!敵を見失うな、味方を間違えるな!」

 

「うっうん…」

 

辺りを探し燭台に火を灯しと、霧が晴れた。

 

「なるほどね……こうすれば霧が晴れるわけね」

 

「ええ、カラクリが分かったら何とかなるね」

 

そのまま進み、怪異を退ける。

 

「くっホンマにここが学院なんか……⁉︎」

 

「現実世界の侵食がまさかこれ程のものなんて……」

 

「とにかく進もう……手遅れになる前に」

 

奥へ進み、開けた場所に着く。

 

「ここは……」

 

「茨に覆われた部屋……」

 

「……皆、あれ!」

 

巻き込まれた人達が苦しみながら倒れていた。

 

「大丈夫ですか⁉︎」

 

「しっかりして下さい!」

 

「……意識を失ったいるだけみたい」

 

「ダメ、全然目を覚まさないの」

 

「それにこない苦しんで……」

 

「……どうやら、何らかの呪いが働いているわ」

 

「のっ呪い⁉︎」

 

「魔女型のグリムグリードの力のようだね」

 

「捕らえた虜囚から徐々に生命力を奪い取っているな……」

 

「そっそんな……!」

 

「カリムもおらへん、これで全員という訳にはいかへんな」

 

「はっ早く奥へ……!」

 

「その前に……アリシア」

 

「うん、この部屋に結界をかけておくね。フォーチュンドロップ、お願い」

 

《イエス》

 

アリシアが結界を張った。

 

「……これでしばらくはグリードの侵入を防げるよ」

 

「この人達も、すぐに生命に関わるほどでもないはずだよ」

 

「慎重に、確実に進もう」

 

「わかった……行こう」

 

気絶している人達を気にしながらも、レンヤ達は迷宮を進む。

 

少し行くと角が生えた頭と両手だけのグリードが現れる。

 

「行くわよ!」

 

「はあっ!」

 

アリサとすずかが速攻で斬りつけるが…

 

「効いていない⁉︎」

 

「物理攻撃に耐性があるんだ、撹乱しつつ魔法で攻めるぞ!」

 

レンヤ、アリサ、すずかは挑発する為、弱めの攻撃をする。

 

「わかったよ!」

 

《プラズマバレット》

 

フェイトが魔力弾を発射し、着弾時に放電する。

 

「よーし、私も!」

 

《ディバインシューター》

 

「シュート!」

 

なのはの周りにスフィアが現われ、シューターを発射する。

 

しかしグリードも反撃し、爪を振り回す。

 

「おっと」

 

「当たらないわよ」

 

大振りな為、簡単に躱す。

 

「任せて!」

 

《ピアスロック》

 

グリードの周りに魔法陣が展開され、魔力の杭がグリードに刺さり動きを止める。

 

「はやて!」

 

「全力で、ブラッディダガー!」

 

はやてから幾つもの赤い閃光がはしり、グリードに直撃し爆発する。

 

そのままグリードは消えた

 

「ふう、今のグリード……圧倒的な力だったよ」

 

「眷属でもないのにこの強さ、元凶の力が窺い知れるわね」

 

「敵の強さなんて関係あらへん!とにかくぶっ倒すでえ!」

 

少し進み道が左右に別れていたが、左は茨で塞がれていた。

 

仕方なく右に進んだが行き止まりだった

 

「これ以上進めないね」

 

「どこかに仕掛けがあるはずだ」

 

「あっレン君、スイッチがあったよ」

 

なのはがスイッチを見つけ押そうとする。

 

「なのはストッ……」

 

「えい!」

 

静止も聞かず、押したら道を塞さいでいた茨が消えて……

 

ジャキン!

 

「「「「「「「へっ?」」」」」」」

 

行き止まりだった壁に棘が出てきてこちらに向けて迫って来た。

 

「走れ!」

 

レンヤの言葉に全員がハッとなり、走り出す。

 

「急いで!追いつかれたら終わりよ!」

 

すぐに横の通路に逃げ、壁は反対側にの壁にぶつかり止まった。

 

「はあ、はあ、トラップも…過去最高だね」

 

「ごめん、皆…」

 

「大丈夫だなのは、この位日常茶飯事だ」

 

レンヤはなのはの頭を撫でて慰める。

 

「あっ///」

 

「この先もトラップはある、気をつけて行こう」

 

「うん!」

 

あの後、同じトラップが何度もあったが切り抜けて奥へ進む。

 

そしてまた茨の部屋に着く。

 

「また茨の部屋……」

 

「……見て、皆!」

 

部屋には残りの巻き込まれた人達がいた、レンヤ達は別れて見て回る。

 

「……やっぱ呪いが働いているね」

 

「くっ……一体どれだけの人が巻き込まれたの」

 

「こんなに……」

 

「………ここにもカリムとユーノ君がおらへん」

 

「まだ奥にーー」

 

「レンヤ?」

 

柱の陰から声がして、ユーノと緑の髪をしたクロノ位の男が出てきた。

 

「ユーノ!無事だったんだな」

 

「それに貴方は……」

 

2人はレンヤ達に近づく。

 

「良かった、皆無事だったんだね」

 

「救助に来てもらい助かります」

 

「はい、すみませんがお名前を……」

 

「ああすまない、私はヴェロッサ・アコース。管理局の査察官をしている、お初にお目にかかれて光栄です、聖王」

 

「それは後にしてくれ、2人はどうして無事で……?」

 

「学院にヴェロッサと残っていたら変な声が響いてきてね……とっさに結界を張ったらいつの間にかこんな風になってたんだ」

 

「徘徊する化け物から逃げてここでじっとしていたんだ」

 

「そうなんや……」

 

「この事態は俺達が何としても解決してみせる。それまでの間、この場で何とかしのいでくれ」

 

「……分かった、やってみるよ」

 

「君達も、どうか無事でいてくれ」

 

「はい!」

 

「もちろんよ!」

 

「もう半分を超えた、残りは一気に駆け抜ければいいわ!」

 

「任せておいて!」

 

その後、アリシアとユーノが協力して結界を張り。

 

この場の安全を確認した上で改めて出発した。

 

迷宮を進むと鎌が振り子のように揺れて、行く先を塞いでいた。

 

「あれは……さすがに危険そうだな」

 

「うわー、下はマグマだよ」

 

「バリアジャケットを着ても危険だね」

 

「魔女の城の断罪の刃……何とか避けて進もう」

 

「ううっ、自信ないの……」

 

「私もちょっとあらへんな……」

 

「タイミングが重要なのよ、合わせるから行きましょう」

 

レンヤ達はトラップとグリードを退け進む。

 

そして最奥の手前の部屋に到着する。

 

「あの大きな扉は……」

 

「どうやら……終点に辿り着いたみたいね」

 

「あの向こうに真の元凶がいるって訳か……」

 

「……‼︎」

 

「はやて?」

 

はやての視線の先には、カリムと司書と思わしき女性がいた。

 

2人の体には茨が巻きついている。

 

「カリム!」

 

レンヤ達は2人に近づく。

 

「………ううう…………」

 

「この人は……図書館の司書の人だね」

 

「こんな奥深くにいたなんてビックリだよ」

 

「大丈夫カリム……⁉︎返事をしぃ!」

 

「……ぅ……うぅ………」

 

その瞬間、茨がカリムに強く巻きつく。

 

「……うあぁっ………!」

 

「カリム……⁉︎」

 

「どっどうしてこんなに苦しんでいるの…⁉︎」

 

「……どうやら他の人達よりも強力な呪いを受けているみたいだね」

 

「わっ私が何とかやってみるよ!」

 

「私も!私も手伝うよ!」

 

「俺もやるぞ」

 

「ありがとう、ソエルちゃん、ラーグ君」

 

アリシアとソエルとラーグが魔法を使い、何とか呪いを和らげる。

 

「…………うう…………」

 

「……ぁ……………はや……て………」

 

「ッ……!待っててえなカリム!必ず助けてあげるからな!」

 

「はやて……」

 

「どうやら……腹をくくる時が来たようね」

 

「皆、この先に待つのは。街一つすら滅ぼしかねない正真正銘の災厄……」

 

「覚悟は出来ているな?」

 

「うん!」

 

「もちろんだよ」

 

「このまま帰れないわよ!」

 

「言われるまでもないよ」

 

「……こっちもオーケーや」

 

「今こそ真なる災厄に立ち向かう時だよ」

 

レンヤが全員の意思を改めて確認する。

 

「…無関係の人々に、ここまでの真似をした魔女に……力を合わせてブチのめすとしようか!」

 

「「「「「「「「おおっ!」」」」」」」」

 

レンヤ達は奥へ進み、巨大な扉を開けて部屋に入る。

 

部屋の周りには茨で囲まれ、天井にはいくつもの照明があり、窓の外には満月が映っていた。

 

「ここが城の最奥……」

 

「あの巨大な扉といい……まるで謁見の間ね」

 

「うん、テーマパークも顔負けだね」

 

アハハハハハ

 

辺りをに響く不気味な声。

 

「この声は……!」

 

「ついにお出ましやな……!」

 

「来るよ、皆!構えて!」

 

部屋の中心に茨が渦巻くように赤いヒビがはしり、赤い半円を二つを浮かばせ、鳥の嘴の様な赤い帽子を被り笑いながら魔女が現れる。

 

「うっううう……!」

 

「うぐっ…!」

 

「なのは、姉さん、しっかりして!」

 

「こっこれが、本物のグリムグリード……!」

 

迷霧ノ魔女(ネブラ=マギア)、脅威度Sランク…まさかこれ程だなんて……!」

 

「正真正銘、間違えなしの化け物や!」

 

「ーー何者だろうが関係ない‼︎」

 

レンヤが全員に叱咤する。

 

すでにレゾナンスアークはバーストモードになり、刀をネブラ=マギア向ける。

 

「いつまでも笑っていられると思うなよ!とっととブチのめしてこの学院を取り戻してやる!」

 

その言葉に、なのは達の顔が引き締まる

 

「うん、行こう!」

 

「執務官として、務めを果します!」

 

「カリムを……皆をたすけなあかんのや!」

 

「もう、後ろにいるのはやめたの!」

 

アハハハハハ

 

笑い声を合図に、ネブラ=マギアとの戦いが始まる。

 

ネブラ=マギアはレンヤ達に黒い茨を撃ち出して来た。

 

「ふっ!」

 

「くっ…」

 

「うわわっ!」

 

「きゃっ!」

 

「スノーホワイト、サードギア……ファイア!」

 

《ドライブ》

 

レンヤとフェイトは接近しながら避け横を通りながら斬りつける、アリシアとなのははギリギリで避け、すずかが3つ目のギアを回転させる。

 

ネブラ=マギアは二つ半円を足下におき、円にして回転させ迫ってきた。

 

「飛んで!」

 

「はあぁ!」

 

すずかの声で飛んで避けて、アリサは無防備な上半身を攻撃する。

 

「シュート!」

 

「えいっ!」

 

なのはの魔力弾とすずかの魔力刃がネブラ=マギアに当たる。

 

ネブラ=マギアの周囲に黒い剣が現れ放たれる

 

「させないよ!」

 

《スフィアプロテクション》

 

アリシアが球状の防御魔法を展開し、黒い剣を防ぐ。

 

「せいっ!」

 

レンヤが右から接近し、ネブラ=マギアの肩を斬る。

 

しかしネブラ=マギアは怯まず周りに大きな炎の球3つ現れ、ネブラ=マギア周囲を回転しながら広がっていく。

 

「やあっ!」

 

「効かないわよ!」

 

「はあっ!」

 

炎の球をすずか、アリサ、フェイトが切り裂く。

 

次の瞬間、ネブラ=マギアからオレンジの波動が放たれ、辺りを色を変える。

 

「なっ何……⁉︎」

 

「皆、気をつけて!」

 

ネブラ=マギアは回転しながら赤い玉をばら撒く。

 

「何これ?」

 

「アリシア!無用心に近づくな!」

 

レンヤがアリシアを抱え、玉から引き離す。その後すぐに赤い玉が爆ぜ、半球状の茨の檻を発生させる。連鎖する様に次々と玉は爆ぜる。

 

「きゃあっ!」

 

「危なっ……⁉︎」

 

フェイトが直撃し、はやてが辛うじて避ける。

 

「フェイト!」

 

「大丈夫、はやてちゃん⁉︎」

 

その隙をネブラ=マギアは逃さず、二つの半円を足下におき、一つだけ回転させ全方向に黒い短剣を発射する。

 

「くっ…!」

 

「プロテクション!」

 

レンヤはフェイトを抱えて飛び、なのははプロテクションで防ぐが……

 

「なのは!二撃目が来るぞ!」

 

「えっ……」

 

「なのは!」

 

ネブラ=マギアがもう一つの半円を回転させ、また短剣を発射する。

 

「きゃあぁ!」

 

「なのはちゃん!」

 

今度は防ぎきれず、飛ばされるなのはをすずかが受け止める。

 

「なのはちゃん……!このっ……!」

 

はやてがネブラ=マギアの足下にベルカ式の魔法陣を展開して、頂点から魔力が飛び出し正四面体を形成し拘束する。

 

「レンヤ君、アリサちゃん!」

 

「任せて!」

 

《ブラストエッジ》

 

「了解!」

 

《ソニックソー》

 

アリサは魔力の刃を大きくし、峰の部分から炎を噴射してネブラ=マギアに突っ込む。

 

レンヤは刃に魔力を流し、魔力を薄く尖がらせネブラ=マギアに目掛けて振るう。

 

だがネブラ=マギアは地面に手を当て、周囲に巨大な魔法を放つ。

 

「きゃああぁ!」

 

「うわあっ!」

 

はやての拘束をうち破り、魔法がレンヤとアリサに直撃する。

 

「アリサちゃん!」

 

「大丈夫、レンヤ!」

 

「ううっ……」

 

「油断した……」

 

怯むレンヤだが、ネブラ=マギアは攻撃の手を休めない。

 

ネブラ=マギアが舞い踊り、部屋に霧を発生させる。

 

「霧……⁉︎」

 

「しまった!」

 

「何も見えないよ……!」

 

全員が動けない中、ネブラ=マギアが回転しながら突っ込んできた。

 

「ぐっ…!」

 

「レンヤ⁉︎」

 

「「「「「きゃああぁぁっ!」」」」」

 

レンヤがアリシアを抱えて何とか防ぐことができるが、残りは弾き飛ばされてしまった。

 

「皆!大丈夫⁉︎」

 

「くうっ……」

 

「はあ、はあ……」

 

「これはあかん……」

 

「強い……!」

 

「どうにかしないと……」

 

追い打ちをかける様に、ネブラ=マギアが青い波動を放ち部屋を元に戻すが同時に一瞬消えて、分身を作り出す。

 

「そんな……!」

 

「騙されないで、片方は偽物よ!」

 

「うん、きっと攻撃は来ない!」

 

フェイトは2体を薙ぎ払おうとする。

 

「待って!フェイト!」

 

アリシアが異変を感じて止め様とするが間に合わない。

 

「えっ……」

 

攻撃は当たったが、2体とも感触があった事に驚く。その隙に2体のネブラ=マギアはフェイトを挟みこんで黒い茨を撃ち出した。

 

「フェイト!」

 

《ムーブポイント》

 

とっさにアリシアが転移魔法を発動させ、アリシアの隣にフェイトを転移させる。

 

「大丈夫、怪我はない⁉︎」

 

回復魔法を使いながら心配するアリシア。

 

「うっうん、ありがとう姉さん」

 

「それにしても実体のある分身か……」

 

「所詮分身よ、本物よりも弱いわ」

 

「偽物を区別している暇はない、2体同時に狙いぞ!」

 

「わかったよ、レン君!」

 

レンヤ、アリサ、すずか、フェイトが近接戦闘で2体を足止めし。なのは、アリシアが回復などの援護。はやては広域魔法の準備をする。

 

「仄白き雪の王、銀の翼を以って眼下の大地を白銀に染めよ。来よ……」

 

はやての周囲に4個の立方体が現れる。

 

「皆!準備できたで!」

 

「わかった、アリシア!」

 

「うん、絢爛たる光よ、惨禍を和らぐ壁となれ……」

 

レンヤ達は2体を中心に集め、バインドで拘束させ後退し……

 

「撃て、はやて!」

 

氷結の息吹(アーデム・デス・アイセス)!」

 

「煌めけ!」

 

《フォースフィールド》

 

はやてとアリシアの魔法が同時に発動した。

 

はやての周囲の立方体から魔力弾が放たれ、2体を氷漬けにして。アリシアの魔法攻撃を無力化するが結界が全員を包み込み魔法の被害から守った。

 

辺りは凍りつき分身は黒い靄を放ちながら消え、本物は氷漬けにされ動けないでいる。

 

「今や!」

 

「アリサ、なのは!」

 

「任せなさい!」

 

「了解なの!」

 

なのははカートリッジを一発使い、周囲の魔力を一点に集め始めた。

 

「ここでスターライトブレイカー⁉︎」

 

「なのはちゃん、さすがに……」

 

「うん、だから手伝って!アリシアちゃん!」

 

「!、そうか……!フォーチュンドロップ!」

 

《ミラーデバイス、セットオン》

 

フォーチュンドロップから鏡型のビットが飛び出し、ネブラ=マギアの周りを回る。

 

「行くよ、レイジングハート!」

 

《チャージ完了、撃てます》

 

「スターライト・ブレイカー‼︎」

 

放たれた桜色の閃光はネブラ=マギアを飲み込んだ、飛び散った魔力はミラーデバイスが反射して周りに被害を出さないが、衝撃で氷にヒビがはしる。

 

「力を貸しなさい、フレイムアイズ!」

 

《ロードカートリッジ、バーニングストライク》

 

アリサはカートリッジを三発使い、魔力の刃に炎を纏わせ一気にネブラ=マギアに接近しる。

 

「せいっ、やっ、たあっ!」

 

連続で切り込み、右手に炎を纏わせ……

 

「ぶっ飛べ!」

 

当たった瞬間、炎を正面に爆発させネブラ=マギアを吹き飛ばす。

 

「続くよ、スノーホワイト!」

 

《レイピアフォーム、サイレントレクイエム》

 

スノーホワイトを細長いレイピアに変形させ、連続で斬り付ける。

 

「ふっ……」

 

斬り付けた後、レイピアを構え直し目にも留まらぬ速さで連続で突き……

 

「はああっ!」

 

渾身の突きをネブラ=マギアの体に突き入れ、思いっきり引き抜く。

 

「終わりです」

 

攻撃しながらネブラ=マギアに溜めていた魔力を爆発させる。

 

「決めて、レンヤ!」

 

「了解、はああっ!」

 

聖王の力を解放して、刀を鞘に収め構える。

 

《シャイニングソード》

 

「せいやあぁっ‼︎」

 

一瞬で近づき、居合い斬りをネブラ=マギアに撃ち込み傷口が光り輝く。

 

ネブラ=マギアが天井を見上げて断末魔を上げながら、弾けて消えていった。

 

辺りが白い光りを出しながら揺らぎ、異界が収束していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーくん……!」

 

「レンヤ、起きて!」

 

「ーーはっ……!」

 

レンヤが目を覚まし辺りを見回す。

 

空には幻想的な月が見え、近くにはなのは達が心配そうな顔で見ていた。

 

「なのは、フェイト……アリサ、すずか、ラーグ、ソエル……」

 

「レン君!」

 

「良かった……」

 

「大丈夫みたいね」

 

「レンヤ君……!本当に良かったよ……!」

 

「全く、心配させんな」

 

「痛いところは無い?」

 

「………ここは?」

 

状況が飲み込めず、聞いてみる。

 

「ザンクト・ヒルデ魔法学院の屋上だよ」

 

「異界化は、無事に収束したわよ」

 

「もうすっかり夜だけど、霧は全部晴れたよ」

 

「……本当だ……星までちゃんと見える……」

 

そこでレンヤは巻き込まれた人達の事を思い出した。

 

「そっそれよりも巻き込まれた人達わどうなった⁉︎」

 

「ーー心配ないんよ」

 

「うん」

 

後ろからはやてとアリシアの声が聞こえ振り向く、そこにはカリムと司書の方が眠っていた。

 

「大丈夫、なのか……?」

 

「うん、呪いの影響も完全に消えているよ。2、3日もしたら完全に体力も元に戻るよ」

 

「クロノから連絡が来たよ、校内における事後処理を開始したみたい」

 

「ここの生徒の皆さんや、先生……ユーノ君とヴェロッサさんも無事に保護されたの」

 

「そうか……皆無事なのか……」

 

レンヤは緊張が解けてその場に座り込む。

 

「…はああああ〜……」

 

「レンヤ君……」

 

「さすがに気が抜けたのね」

 

「皆、頑張ったもんね!」

 

「ふふ、そうだね。グリムグリードをこれだけの少人数で倒すことができたんだから」

 

「確かに、返り討ちに遭ってもおかしくあらへんな」

 

「もう二度と相手にしたく無いかな」

 

「フェイトにしては弱気だな、でも俺達だから勝てたんだろう」

 

「そうだね、皆の絆の力だよ!」

 

「うん!」

 

フェイトはレンヤに向き直り

 

「ーーありがとう、レンヤ。レンヤや皆に出会えて本当に良かったと思えるよ」

 

「……はは、どういたしまして」

 

フェイトが差し出した手を、レンヤはしっかりと掴んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして、霧の災厄をめぐる一連の事件は幕を閉じ……

 

その夜のうちに事後処理を行われる事になった。

 

昏睡していた生徒や職員に今回の事件の短期間の隠蔽を契約させた。

 

ラーグが記憶を消し、無かった事にもできるが、すでにミッドチルダ全域に情報が流れ意味をなさなかった。

 

「はい、はい、わかりました。よろしくお願いします」

 

クロノが通信を切り、ため息をつく。

 

「はあ〜」

 

「クロノ」

 

名前を呼ばれ振り向くとヴェロッサがいた。

 

「お疲れ様、差し入れのコーヒーだ」

 

「ああ、ありがとう」

 

コーヒーを受け取り、早速飲む。

 

「大変そうだね」

 

「そうだな、今回管理局は完全に出遅れた。知ってはいたが異界の対処法は聞いてなかったし、聞いたとしてもこれだけの規模を1人でやるのは自殺行為だ」

 

コーヒーを飲み干し、そう言う。

 

「管理局は異界に対する力がない、レンヤ達に頼る他無かった…」

 

「それで、どうする気だい?」

 

「……異界に対する部署を作りたいが、彼らの協力なくしては実現できないか……」

 

「確か…前に君に聞いたんだが、君とリンディさんは時空の守護獣達との契約で彼を管理局に入れられるはずだと思うけど……」

 

「所詮口約束だ、僕も母さんも忘れているさ。でも出来るだけ説得してみせるさ」

 

その言葉にヴェロッサは驚いた。

 

「……何だその顔は?」

 

「いや、以前の君なら何が何でも入れようと思っていたから……意外だなぁって」

 

「ほっほとけ!」

 

落ち着き、クロノは保健室にいるレンヤ達を見た。

 

「この先、何があってもきっと大丈夫。彼らを見ているとそう思えるんだ。」

 

保健室では…

 

「ううっ、痛いの」

 

「ここまでハードだなんて…」

 

「レンヤ君達、すごいなぁ」

 

管理局組は疲労でダウンしていた。

 

「これも経験の違いよ」

 

「慣れ……かな?」

 

「体を鍛えればそこまではならないだろう」

 

「私はちょっとキツイかな」

 

異界組は1人を除き、平気そうだ。

 

「フェイト、アリシア、無事でよかったよ」

 

「たいした怪我もなくて安心したわ」

 

アルフとプレシアが保健室に入ってきた

 

「陛下!ご無事ですか!」

 

「ああ、大丈夫。シャッハは教会側の処理をお願いするよ」

 

「はっ!」

 

シャッハが保健室を飛び出たすぐ……

 

「レンヤ」

 

保健室にラーグとソエルが戻ってきた。

 

「どうだった?」

 

「ダメだったよ」

 

「図書館にあったという童話だが跡形も無くなっていた」

 

「やっぱりか」

 

「第三者の介入ね」

 

「しょうがないよ」

 

「うん、今はゆっくり休もう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後ーー

 

ここは、カオスレイヴンがいた記念公園。

 

そこに一台の車が来た、出てきたのは薄い紫色の髪をした女性だ。

 

「ーー回収してきたのだろうな?」

 

女性が振り返ると、白装束で顔を隠した者がいた、声は変声しているようだが男だ。

 

「ええーーとても役にたったわ」

 

女性は白装束に一冊の本を渡す、題名は

霧の城の魔女(THE WITCH OF MISTY CASTLE)

 

「ーー確かに」

 

「おかげでいい実験結果を得られた、ドクターの野望にもまた一歩近づいたわ。お礼を言っておくわね、刻印の騎士どの」

 

「……そちらが裏で何を企てようが興味はない。せいぜい足元を掬われぬようにすることだ」

 

「ふふ、手厳しいわね、それでは失礼するわ。またよろしく頼むわね」

 

女性は車に乗り込み、行ってしまう。

 

白装束は見送った後、手に持つ本を燃やした。

 

「………………………」

 

「ーーたいした俗物ぶりだね」

 

白装束の後ろからマントで顔を隠した男性がやって来た。

 

「多少の騒動があったがーーそれに見合う収穫はあったのかな?」

 

「……はい、絞り込めてきましたが……手掛かりが足りませんね」

 

白装束は空を見上げ……

 

「彼らにはもう少し、動いてもらおうーー」

 

そう呟くのであった。

 

 


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