魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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35話

カオスレイヴンに挑みかかるレンヤ達。

 

カオスレイヴンは口から追尾型の黒い魔力弾を何発も撃ち出して来た。

 

「やらせない!アクセルシューター」

 

《ロックオン》

 

「シュート!」

 

なのはが魔力弾を全て撃ち落とす。

 

「ブラッティダガー!」

 

短剣をいくつも現れ発射し、爆発によって動きを止める。

 

「せいっ!」

 

《サークルロンド》

 

円を描く様に回転して、カオスレイヴンの足を何度も斬る。

 

「ほらほらコッチだよー」

 

アリシアが2丁拳銃で魔力弾を乱射して挑発する、カオスレイヴンは飛び上がり、アリシアに向けて飛び込んできた。

 

「結界よ」

 

《ハーミットシェル》

 

攻撃を結界で防ぎ、怯ませる。

 

「もらった!」

 

《ヒートコード》

 

アリサが魔力で造った縄で地面に括り付ける。

 

「すずか!」

 

「スノーホワイト!」

 

《クリスタルスラッシュ》

 

すずかが槍を薙ぎ、槍の軌跡にあわせてクリスタルが出現して攻撃する。

 

攻撃の反動で拘束が解け、カオスレイヴンが起き上がり、すずかに嘴を振り下ろした。

 

「きゃあ!」

 

「すずか!」

 

攻撃を防ぐも吹き飛ばされ、レンヤが受け止める。

 

カオスレイヴンが羽ばたき、全体に紫色の竜巻を起こす。

 

「きゃああああ!」

 

「あああっ!」

 

「アリサ、はやて!」

 

「このっ!レストレーション02!」

 

双銃に切り替え、羽を撃ち後退させる。

 

「今だ!」

 

「わかったの!」

 

なのはがカートリッジをロードしてレイジングハートに魔力を溜める。

 

「おい、ちょっと待て…」

 

「ディバイン……」

 

《ディバインバスター》

 

「……バスター!」

 

放たれた砲撃はカオスレイヴンを飲み込み、レンヤ達は砲撃の余波で吹き飛ばされる。

 

「なのはーーーー!」

 

「何で撃ったーーー!」

 

「ごめん!つい……」

 

「「「「「ついじゃない!」」」」」

 

しかし、なのはの砲撃でもカオスレイヴンを倒すまでは行かず、カオスレイヴンは飛び上がる

 

「まだ倒れないの⁉︎」

 

「なっなんて生命力や……!」

 

「さすがに強いね」

 

「ーーレンヤ!」

 

フェイトがレンヤを呼ぶ、フェイトの視線はカオスレイヴンに向けられていた。

 

「ッ……そうか!バルディッシュ!」

 

《イエス》

 

バルディッシュを起動させ、振りかぶり……

 

「受け取れ、フェイト!」

 

バルディッシュをフェイト目掛け投げる、フェイトはバルディッシュを受け取りバリアジャケットを纏い。

 

「バルディッシュ、お願い!」

 

《イエスサー、ザンバーフォーム》

 

「はあああああっ‼︎」

 

バルディッシュを振り回し、鳥篭を壊す。

 

「行くよ、バルディッシュ」

 

《ジェットザンバー》

 

「貫け、雷神!」

 

巨大化した刃を振り下ろし、カオスレイヴンを斬る。

 

そのまま落下し、消えていった。

 

それと同時に異界も収束した。

 

元の場所に戻ったレンヤ達、霧は晴れていた。

 

「もっ戻ってこられたの……?」

 

「うん、そうみたいやな」

 

「……フェイトは?」

 

レンヤ達と少し離れた所にフェイトはいた。

 

「……………………」

 

「フェイト!」

 

「大丈夫?」

 

「それにしてもさすがね」

 

「うん、一撃で倒しちゃうなんて」

 

「すごいよ、フェイトちゃん!」

 

「……………………」

 

一言もしゃべらないフェイト。

 

「フェイト?どこか怪我でもしたんじゃ……」

 

「なんで来たの!」

 

「っ…」

 

「あ…」

 

「あれ位、私だけでも出来た!それなのに、こんな危ない場所まで来て……」

 

自分でも間違っていると分かっているが、フェイトは止まらなかった。

 

「何かあったらどうするの⁉︎」

 

「………………………」

 

「なのはもはやても!嘱託魔導師のレンヤ達まで巻き込むなんて……!」

 

「そっそれは…その……」

 

「えーと……」

 

「………そいつはこっちのセリフだ。お前、どれだけ周りに心配かけたか分かっているのか?」

 

「っ……」

 

やはり分かっていた様だ。

 

 

「私達だけじゃないよ、リンディさん、クロノ君、もちろんアルフやプレシアさんもフェイトちゃんの事を心配してたよ」

 

「皆に相談もしないで、独りで突っ走って。挙句の果てに、あんな鳥篭に閉じ込められる羽目になって……それが執務官のする事なの?」

 

「………っ…………」

 

図星なのか、フェイトは何も言い返さなかった。

 

「私が言うのもアレだけど……少しばかり無謀だった様だね」

 

「ソエル」

 

「ごめん」

 

「……本来なら私1人でも解決しなくてはいけない、この程度の危機すら乗り越えられないならば、私に執務官の資格はない……」

 

「フェイト……」

 

「私がいなくてもクロノ達がいる、この事件もすぐに解決できる。その方が皆にとってもーー」

 

「ーーいいわけないだろう‼︎」

 

レンヤがフェイトに怒鳴る。

 

「っ……」

 

「俺も…ここにいるなのはやはやて、アリサやすずか、アリシアも!皆がいたから事件に巻き込まれても無事にいられたんだ!」

 

「フェイトちゃんが一緒にいて……力を合わせて、立ち向かっていく事で!」

 

「でも……フェイトちゃんが居のうなってもうたら、もう日常に戻れへん」

 

「クロノでも、誰でもない。フェイトじゃなきゃダメなのよ」

 

「どっどうしてーー」

 

「決まっているだろうが!フェイトが仲間として……俺たちの日常の一部になっていつからだ……!」

 

「‼︎」

 

フェイトは気づいた顔をして俯く。

 

「そうや、フェイトがいなかったら。私もここに居らへんかった」

 

「フェイトはフェイトだよ。私の大事な妹の…」

 

「これも(えにし)、簡単に切れるものじゃないわ」

 

「これまでフェイトちゃんが結んできた絆……枷と捉えるか力と捉えるかはあくまでフェイトちゃん次第だよ」

 

フェイトは顔を上げて、優しそうな顔で

 

「……ごめん、本当は分かっていたんだ。でも執務官になって焦ってしまった、皆の力を借りる事を拒んでしまった。でもそれは勘違いだったんだね、私もレンヤや皆にも、私を認めてもらった事に恩返しできていないのに」

 

「ああ、その通りだ」

 

レンヤはフェイトに手を伸ばし。

 

「でもこっちにもその何倍の恩をフェイトに返していない、そう簡単に逃げられると思わない事だな」

 

「ふふっ…」

 

フェイトは手を掴み起き上がる。

 

「えへへ」

 

「よかったね、フェイト」

 

「ドラマの一場面みたいね」

 

「こういうのも、悪くあらへんな」

 

「ふふっ、そうだねーー」

 

その時、一気に周りが霧に包まれた。

 

「こっこれって……」

 

「霧が……また濃くなったんか?」

 

「え……元凶は倒したんじゃないの?」

 

なのは、はやて、アリシアが疑問に思う中。

 

「残念だけど、あの魔鳥は真の元凶ではない」

 

「確かに恐ろしい力を持ったエルダーグリードだけど」

 

その言葉にレンヤ、アリサ、すずか、フェイトを抜いた3人は驚く。

 

「ええっ……⁉︎」

 

「どういう事なの……⁉︎」

 

「あの魔鳥も、黒犬と同じ眷属なんだよ」

 

「うん、そうだよ。私を捕らえた相手は他にいる、不気味な声を響かせ、左右の影の手を操る存在……」

 

「それこそが真の元凶……グリムグリードだな」

 

「そっそんな……」

 

「じゃあ、その真の元凶はどこにいるの⁉︎」

 

ソエルとラーグが答える。

 

「……今まで現れた眷属にヒントがあるかもね」

 

「一見バラバラに見えるが、共通点の様なものがあるからな」

 

「影の手、黒犬、魔鳥……」

 

「まるでそういったものが登場する様な、御伽噺や絵品の物語のようだね」

 

「もしかしてそれが元凶を呼び寄せるキッカケになったんじゃないかしら」

 

レンヤ達が推測を立てるが、その他がまるでついてこれなかった。

 

「全然分からないの」

 

「うん、そうだね」

 

「私は何とか…」

 

「うーーーーーん」

 

はやてが何か思い出していた。

 

「!、まさか、ね」

 

「はやて?」

 

はやてはディスプレイを展開し通信をした。

 

「どうしたの?」

 

「いや、ただの勘違いかも」

 

通信が繋がり、金髪の同い年くらいの女性が映し出された。

 

『はやて、どうかしたの?』

 

「こんばんは、カリム。今どこにおるんや?」

 

『どこって……ザンクト・ヒルデ魔法学院よ。それがどうかしたの?』

 

「なあカリム。最近童話を読んでいたやろ、あれってどういうものなんや?」

 

『え……【THE WITCH OF MISTY CASTLE】のことかしら?』

 

「「「!」」」

 

「へ……何やて?」

 

『これは地球の英語っていう言語だそうよ、訳すと霧の城の魔女かしら?大まかな内容は……黒犬とか大鴉を操る影の手を持つ魔女が出てくるのよ』

 

「「「「‼︎」」」」

 

『中世が舞台で、不気味なんだけど綺麗で幻想的な情景が浮かんで……勉強の為に読んだんだけど童話としても完成度が高くて面白いのよ。あっでも……本を返しに行ったら司書の方に“こんな本あったかな?”なんて言われてね』

 

話しを聞くたびに、レンヤ達は確信していく。

 

『不思議よね……ーーーあれ?ーーーやて………聞こえーー………』

 

「カリム⁉︎どないしたん⁉︎」

 

ディスプレイが乱れ通信が切れかかる。

 

アハハハハ

 

不気味な笑い声を最後に通信が切れた。

 

「ぁーーーー」

 

「はやて……」

 

「ちょっと、今の声は……!」

 

「はやて、ザンクト・ヒルデ魔法学院はどこにある?」

 

「みっミッドチルダの郊外や!」

 

「急いで行くよ!」

 

レンヤ達は走り出した

 

「そういうことか……!」

 

走りながらゲンヤに連絡を取り、車をまわしてもらった。

 

「レンヤ!早く乗れ!」

 

「ゲンヤさん!」

 

すぐに車にかけ乗り、ザンクト・ヒルデ魔法学院に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えたぞ!」

 

車で移動しながら窓から学院が見えた。

 

「これは……!」

 

「遅かったみたいね……!」

 

レンヤ達は本来の学院の姿は分からないが、これが違うというのもすぐにわかった。

 

外見は城の様なの影で全体に霧がかかっており、正面にいつもと形の違うゲートがあった。

 

城の周囲では学院の関係者や管理局員、聖王教会の者や住民の方がいた。

 

正面に到着して、レンヤ達は車から飛び出す。

 

「まさか、あれが学院なの……⁉︎」

 

「一体何が起きているの⁉︎」

 

「フェイト!」

 

横からプレシアとアルフが来て、プレシアはフェイトを抱きしめる。

 

「フェイト、よかった……よかったよ」

 

「無事でよかったわ、フェイト」

 

「母さん……心配をかけてごめんなさい」

 

「いいのよ、それに乗り越えたみたいね」

 

「うん、皆の…仲間達の力を貸してもらって」

 

ゲンヤが局員の話しを聞きまわる。

 

はやてがディスプレイを展開してカリムと連絡を取ろうとする。

 

「陛下!」

 

「皆!」

 

呼ばれて振り返るとクロノと赤髪のショートヘアーのシスターが近づく。

 

「お疲れみたいだな、フェイトも無事に戻ってこられた様だな」

 

「迷惑をかけちゃったね」

 

「シャッハ、状況の報告を」

 

「はい、つい先ほど学院がいきなりこの様な変貌を遂げました。理由は不明です、管理局の協力のもと周囲の封鎖をしています」

 

「だが近隣の住民の方のこの騒ぎによる詳細提示がうるさくてね」

 

「あはは…」

 

「それに、まだ下校していなかった一部の生徒や学院関係者が数人巻き込まれてしまいました」

 

その言葉に全員が驚く。

 

「その様やな、カリムに繋がらへん……!」

 

「ちなみにユーノもいる、出張でここに来ていたようだ」

 

「ユーノ君も………⁉︎」

 

「起きてしまった様だね」

 

「ああ、グリムグリードによる、現実世界にそのものへの侵食(イクリプス)が」

 

「カリムさんが借りた童話こそが特異点だった……過去の資料に旧い魔導書が異界化を引き起こした例もあるらしいけど……」

 

「なっ何でそんなものが学院にあるの⁉︎」

 

「何か裏がありそうね……でも考えるのは後回しよ」

 

「ああ、巻き込まれた人達を一刻も早く助けないと……」

 

「しかし、あのゲートには誰も入れなかったぞ!」

 

「魔法で攻撃しても、効果はありませんでした……」

 

「私達なら、通れる!」

 

「うん、そうだね」

 

「ーーなら、バックアップは任せとけ」

 

ゲンヤが戻ってきた

 

「話しは通しておいた…お前達の活躍、見せてもらうぞ」

 

「……はいっ!」

 

「まっかせとけ〜!」

 

レンヤ達は、駆けつけてくたリニスや守護騎士達に事情を話し。クロノ達にその場を任せて霧の古城へと突入するのだった。

 

レンヤはなのは達に向き直り…

 

「チーム・ザナドゥ及び管理局員協力者、これより霧の古城と化したザンクト・ヒルデ魔法学院に突入する。皆、全力で挑んでくれ!」

 

「「「「「「了解!」」」」」」

 

人々が見守る中、レンヤ達は異質なゲートに入っていった。

 

 


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