魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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34話

 

 

その後異界化は勝手に収束し、レンヤ達はギンガ達を無事保護した。

 

クイント、メガーヌに報告して、救急車で中心部にある病院に行方不明者達を搬送してもらった。

 

ギンガ達は目立った怪我はなく、数日で退院できるらしい。

 

「行方不明者全員に怪我はなく、衰弱しているだけでよかったね」

 

「…………………」

 

「やっぱり、フェイトが心配か?」

 

「……うん」

 

「仕方ないわよ、確かにフェイトらしくなかったけど」

 

「考えても仕方がない。すずか、バルディッシュはどうだ?」

 

「ここじゃ無理だね、管理局か私のデバイスルームに行かないとなんとも言えないよ」

 

「管理局には、根掘り葉掘り聞かれたからな」

 

「何とか誤魔化せたよね、クイントさん達がいなかったら危なかったよ」

 

「理由も聞かずに庇ってくれたんだ、必ずこの事件を解決しよう!」

 

「「「ええ(うん)(了解)!」」」

 

「ーーその話し、詳しく聞かせてもらえないかな」

 

病院に入ってきたのは…

 

「ゲンヤさん⁉︎」

 

「はやてちゃん⁉︎」

 

ゲンヤとはやてだった。

 

「どうしてここに?」

 

「娘が入院したんだ、こない方がおかしいだろ。こいつは連れてけって言ってきたからな」

 

「皆!一体何が起こっとるんや⁉︎」

 

「えーと」

 

「場所を変えましょう、ここでは難しいです」

 

「ならば地上本部でいいかな?」

 

「構いません」

 

その後、車に乗り。地上本部に向かった。

 

地上本部の一室、会議室

 

すずかは一旦地球に戻り、バルディッシュを修復している。

 

「異界か……それがこの騒動の原因か」

 

「はい、異界でもさらに特殊な部類に入りますが概ねその通りです」

 

「何で私達も呼ばんかったんや?」

 

「一気にこんな事になるとは思わなかったし、全員予定があったでしょう」

 

「なのはは教導隊に入る為に研修を受けていて、守護騎士達も任務でいない、はやてもそうでしょう」

 

「それは、そうやけど」

 

「フェイトは………」

 

レンヤ達はフェイトの事で暗くなる。

 

「フェイトちゃんがどないしたんや?」

 

「……今回の元凶に連れ去られた」

 

「そんな……!」

 

「フェイトは何であの場にいたんだ?」

 

「この霧の原因解明の為、周囲を調査してたみたい」

 

「あの時の通信か?」

 

「うん」

 

その時、ドアが勢いよく開かれ、なのはが入ってきた。

 

「レン君!フェイトちゃんが……フェイトちゃんが行方不明だって聞いて…」

 

「落ち着けなのは、フェイトは無事だ」

 

「えっそうなの?」

 

「確証はない、でもそう思えるんだ」

 

「そうね、フェイトがそう簡単にやられる訳ないわね」

 

レンヤはなのは、はやて、ゲンヤに視線を向けて

 

「今回の事件は管理局では対処しきれない、ここは俺達に任せてもらいませんか?」

 

「……そうするしかない様だ、だが手伝う事くらいやらせてもらうぞ」

 

「私も手伝うの!」

 

「微力ながら力にならせてもらうで!」

 

「分かった」

 

それから話し合い、後日捜索を開始する事になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聖祥小学校、昼休み、屋上

 

「バルディッシュ、具合はどう?」

 

《問題ありません、すずか様のおかげです》

 

「でも肝心な記録が残っていなかったの、フェイトちゃんの行方は分からないまま」

 

「そう……」

 

「なのは、元気出せ」

 

「………うん!」

 

「ニュースの方も昨日よりひどくなっているよ、あの不気味な声も結構な人が聞いているみたいだし……」

 

「霧の中で妙な化け物を見た、何て言う噂もいくつか出ているわね」

 

「昨日は、そこまで具体的な噂は出てなかったよね?」

 

「濃くなった霧に合わせて現実世界への干渉が強くなっているんだよ」

 

「急ぐ必要があるんやな」

 

なのはとはやてはレンヤ達に向き直り。

 

「昨日も言ったけど、私達も協力するの」

 

「あんまり、役に立たへんけどな」

 

「そんなことない、よろしく頼むよ」

 

「2人共、頑張ろうね!」

 

「とりあえず今日はこのまま早退しましょう、手まわしはコッチでするわ」

 

「あっアリサちゃん……」

 

「さすがお嬢様だね」

 

「あはは」

 

「いいのかな?」

 

「まっまあこの際だ。お言葉に甘えるとしよう」

 

学校を早退し、ミッドチルダの地上本部に向かい捜索許可をゲンヤさんからもらった。

 

「分かった、だが具体的にどうするんだ?」

 

「この霧の主の眷属を探します、フェイトを捕らえているのもそいつでしょう」

 

「そこから主を探すんだね」

 

「そうだ、行こう」

 

玄関前でレンヤが号令をかける。

 

「これより、眷属の捜索を開始する。編成は昨日のチームになのはとはやてを加える、アリサ達になのはを、俺達にはやてを加える。情報を元に北部と南部を調べる、俺達が南、アリサ達が北を調べてくれ。眷属を発見した場合、サーチャーをつけてすぐに連絡をするように、いいな!」

 

「「「「「了解!」」」」」

 

「ほう……」

 

レンヤの統率力にゲンヤは感心して興味を持った。

 

レンヤ達は地上本部を出て、アリサ達にソエルを渡し、南部にある古風な通りで捜索を開始した。

 

周囲の人達から話しを聞き、情報をまとめた。

 

「唸り声……犬の様な息遣い……4本足の影……コイツが眷属で間違いないな」

 

「一体どんなヤツなんやろ」

 

「貴方達、ここで何をしているの」

 

「!、プレシアさん!」

 

「おっお母さん……」

 

通りからプレシアが出てきた。

 

「………ここでは落ち着けないわ、行きつけの店があるの、そこでいいわね」

 

「はっはい!」

 

プレシアに連れられ喫茶店に入る。

 

事情をプレシアに説明して。

 

「そう……でもこの霧が危険なのは分かっているでしょう、フェイトに続いて貴方も消えてしまったら……」

 

「そうならない為に私達が頑張るの、ナハトヴァールの時みたいに黙って見ていられないの……!」

 

「アリシア……」

 

「それよりもプレシアさん、フェイトが独断行動をしていたのですが…何か知っていますか」

 

「!、やっぱりね…」

 

「知っているんやな!」

 

「あの子はこの前ようやく執務官になれた、それが焦りを生んだの。独立した執務官は優秀である、1人でも戦えるってね」

 

「フェイト……」

 

「はあ、似ているとは思っていたけどここまでそっくりなんてな」

 

「なのはちゃんやね」

 

「ああ」

 

「ふふ、だったら答えは分かっているわね」

 

「はい、執務官とは言えど出来ることにも限度がある……協力者を求めてもそれは執務官の技量に含まれる、足りない部分をどう補うか…それも執務官として必要な資質と能力なんです」

 

「ええ、そうよ。でもフェイトは2回落とした事で焦っている、貴方達でフェイトの目を覚ましてもらえるかせら」

 

「プレシアさん…」

 

レンヤはフェイトの顔を思い出す笑っている顔、怒っている顔、泣いている顔、喜んでいる顔を。

 

「はい、任せて下さい!」

 

「私にもフェイトを任せてもらいます!」

 

「妹は、私が守るんだから!」

 

「ふふ、ようやくお願いするわ。レンヤ君にはもっと先までお願いしたいのだけど……」

 

「えっ」

 

「お母さん!」

 

「冗談よ」

 

「じょ、冗談に聞こえへん…」

 

「それと、夕べから今日にかけて化け物が濃霧の中で目撃されているわ。貴方が会った影の手ではなく黒い犬ね」

 

「それって……目撃情報と一致している」

 

「あら、いい情報取集能力じゃない。うちの部署に欲しいくらい」

 

「ええっと、その話しはまた別の機会に。コホン、ともかくそれが眷属である可能性が高い」

 

「手に続き黒い犬……相当強いグリムグリードがいる可能性が高くなったな」

 

「早くフェイトちゃんを助けなあかんな」

 

「それでは俺達はこれで、無事にフェイトを助け出します」

 

「行ってきます、お母さん!」

 

「ご馳走になりました」

 

「じゃあなプレシア」

 

「気をつけるのよ」

 

レンヤ達は喫茶店を出た。

 

「レンヤ君、フェイトちゃんを頼まれてしもうたな」

 

「そうだな」

 

「むう……」

 

「ぷぷっ、この辺りの聞き込みは一段落ついたし次はーーー」

 

グルオオオオオオ

 

「「「「!」」」」

 

辺りに獣の叫び声が響いた。

 

「これは……!」

 

「皆!あそこや!」

 

はやての指した方向を見ると、巨大な黒い犬がいた。

 

「あっあれは⁉︎」

 

黒犬(ブラックドック)!」

 

「きゃああああ!」

 

その時女の子が叫び、黒犬が女の子の方を向き近づく。

 

「まずい!」

 

レンヤが駆け出し、黒犬に蹴りを入れて吹き飛ばす。

 

黒犬はそのまま背を向けて走り出す。

 

「大丈夫⁉︎」

 

「はっはい!大丈夫です」

 

「放っては置けない、ラーグ!この子を連れてプレシアさんの元へ!」

 

「了解だ!」

 

「俺達は黒犬を追いかけるぞ!」

 

「「了解(や)!」」

 

レンヤ達は黒犬を追いかける、追いかけた先にはゲートがあった。

 

「異界に逃げ込んだよ!」

 

「アリサ達を呼んでいる暇はない………行くぞ!」

 

レンヤ達はゲートの中に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迷宮の中は全体が緋色に染まっていた。

 

「ここは……この間の異界とは大分違うね」

 

「眷属はそれぞれエルダーグリードと同等の力を持っている。だからこそ正体が掴みづらく被害が拡大しやすい側面がある、グリムグリードが最大の脅威とされる由縁の一つだ」

 

「どこまでも厄介な奴やな」

 

レンヤとアリシアはデバイスを起動する。

 

「シュベルトクロイツ、セートッ!アープッ!」

 

はやてがデバイスを起動させ、バリアジャケット…騎士甲冑を纏う。

 

「それがはやての……」

 

「そうや、マリエルさんに手伝ってもらったんや」

 

「準備はいいな、行くぞ!」

 

レンヤ達は迷宮を進んでいく、途中瘴気があったがアリシアの結界で何とか進む事ができた。

 

そして最奥に着く。

 

「はあ、はあ、はあ」

 

「はやて、大丈夫か?」

 

「だっ大丈夫やあらへん…」

 

「いきなりこれはさすがにキツイよね」

 

「時間がない、気張れよはやて」

 

階段を越えると黒犬がいた、こちらに振り向き吠える。

 

「アビスハウンド……!」

 

「見つけたで!」

 

「フェイトは……いないみたい」

 

「予定通り無力化してサーチャーをつける」

 

「了解!いっくよーー!」

 

すぐにアビスハウンドが飛びかかり、散開して避ける

 

「やあ、せい、はっ!」

 

レンヤが連続で斬り付ける。

 

「刃を以って、血に染めよ。穿て、ブラッディダガー!」

 

はやての周りに血の色をした短剣が現れ発射する、アビスハウンドは避けるが短剣が曲がり背中に直撃した瞬間爆発した。

 

「やるねはやて…ってうわ!」

 

アリシアに向かいアビスハウンドが何度も頭突きをしてきた。

 

「うわー、とっ、よっ」

 

アリシアは苦もなく避けながら魔力弾を連射する。

 

すぐにアビスハウンドは炎を集める

 

「それならこれや!仄白き雪のーー」

 

「やめろ!こんな狭いところで広域魔法を使うな!」

 

「あっ」

 

はやてが一瞬止まった隙にアビスハウンドが炎弾を吐き出し、はやてに迫る。

 

「はやて!」

 

「きゃっ!」

 

レンヤはとっさにはやてを抱きしめ横に飛んだ。

 

「レンヤ、はやて!」

 

アビスハウンドがもう一度炎弾を撃とうとする。

 

「させないよ!」

 

《リフレクションエリア》

 

アリシアが結界でアビスハウンドを囲う、そのまま炎弾が放たれたが結界内で跳ね返されアビスハウンドに当たる。

 

「レンヤ!」

 

「任せとけ!」

 

レンヤはアビスハウンドを倒さないよう魔力で体を強化して蹴りを入れて弱らせる。

 

「せいっ!」

 

頭に踵落としを入れて倒れるアビスハウンド、すぐに起き上がり突如開いたゲートに逃げ込もうとする。

 

「アリシア!」

 

「了解!」

 

アリシアが銃をアビスハウンドに向けて、サーチャーを撃ちつけた。

 

アビスハウンドがゲートに入った瞬間、異界が消えて元の場所に戻った。

 

「戻ったね」

 

「…………………」

 

「はやて、気にするな。説明してなかった俺のミスだ」

 

「せやけど……」

 

レンヤは慰めるようにはやての頭を撫でる。

 

「無事でよかった」

 

「あっ///」

 

「むう、フォーチュンドロップ!サーチャーの反応は!」

 

《表示します、現在西部にある記念公園に向かっています》

 

「そこに本命をがいるはずだな」

 

「可能性は高いね」

 

「アリサちゃん達に連絡して合流しようか」

 

はやてがアリサ達に連絡し、ラーグを回収してから俺達は記念公園に向かう。

 

女の子は兄と会えた様だった。

 

「ここも霧が濃いなぁ」

 

「サーチャーの反応はそこの森林にあるよ」

 

「行ってみよう」

 

記念公園を進み森林の入り口まで来た。

 

「この先だね」

 

「それじゃあ奥に行こう」

 

レンヤ達は森に入り奥に進むと、ゲートがあった。

 

「またゲートなんか!」

 

「さっきの黒犬もここに逃げ込んだ様だね」

 

「念のためゲンヤさんに連絡するよ」

 

レンヤはディスプレイを展開しゲンヤと連絡を取った。

 

「…………………」

 

アリシアはじっとゲートを見る。

 

(もしかしたらここに………)

 

「ーーレン君、はやてちゃん、アリシアちゃん!」

 

入り口からなのは達がやってきた。

 

「ごめん、遅れちゃった!」

 

「ゲートが開いているじゃない!」

 

「あはは、おかげさまでな」

 

ちょうどレンヤが通信を終了した。

 

「お待たせ、バックアップはこれで万全だ。早速突入するぞ……!」

 

レンヤ達はゲートに突入した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迷宮の中は回廊風でまるで鳥篭の中だ。

 

「これが異界……綺麗だけど……不気味なの」

 

グギャアアアア

 

その時、鳥の鳴き声が響いた。

 

「きゃあ!」

 

「なのは、大丈夫だ」

 

「黒犬じゃあらへんな……?」

 

《サー!》

 

バルディッシュがいきなり反応した。

 

「バルディッシュ⁉︎そうかこの先にいるのか!」

 

「フェイト……!」

 

「よかった…」

 

「でもここからが本番よ」

 

「うん、おそらく今回の元凶たるグリムグリードーー」

 

「クラナガンを霧で包み、フェイトを捕らえた難敵がいる可能性が高いな」

 

「ちょうどいい、ここまで来たからには何としてもフェイトを解放して……説教しないとな!」

 

「うん!ちゃんとお話しするよ!」

 

「……穏便にやりなさいよ」

 

「やる気は十分やな!」

 

「そうみたいだね」

 

「ふふ……それじゃあ行こうか」

 

レンヤ達がデバイスを起動する。

 

レンヤは待機状態のバルディッシュを握りしめ…

 

(待っていろよ、フェイト。絶対にコイツをお前に届けてやるからな!)

 

レンヤ達は迷宮に入っていった。

 

その間になのはとはやてに迷宮での戦い方をレクチャーした

 

最奥まで着くと目の前にアビスハウンドがおり。

 

「皆…………⁉︎」

 

フェイトの声が聞こえて上を見るとフェイトが鳥篭の中にいた。

 

「フェイト!」

 

「フェイトちゃん!」

 

「さっきのアビスハウンドもいるね」

 

「なのはにはやてまで……」

 

「フェイトちゃんが心配やからよ、まあできることはお手伝いやけどな」

 

「フェイトちゃん、今そこから出してあげるね!」

 

「もう少し辛抱してなさい!」

 

レンヤ達はアビスハウンドに向きなおり

 

「まずはワンチャンに躾をしないとね」

 

「待っていてね、フェイト」

 

「皆………‼︎、いけないーー下がって!」

 

その瞬間、上空から黒い靄が現れ……巨大な鳥が現れた。

 

そのままアビスハウンドを押し退けて着地する、アビスハウンドはそのまま消えてしまった。

 

「ッーーコイツは!」

 

魔鳥(レイヴン)のグリード!」

 

「カオスレイヴン!」

 

「ーー早く逃げて!、とても強いの、皆が敵う相手じゃない!私は自分で何とかするから……」

 

「「「「「「うるさい!」」」」」」

 

「っ……⁉︎」

 

フェイトの言葉に全員が怒鳴る。

 

「静かにしてそこで見てなさい!」

 

「私達がフェイトちゃんの……皆の仲間である事を」

 

「あの時の恩返し、まだ返せへんかったなぁ」

 

「お姉ちゃんも、ただ妹に護られるだけじゃないの!」

 

「フェイトちゃんが、皆がいてくれたから私がここにいるの」

 

「それを、コイツを倒して証明してやるよ!」

 

レンヤ達はカオスレイヴンに突っ込んだ。

 

 


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