魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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30話

 

 

あの騒動から1カ月ほど経った。

 

やはり一度バレれば、忘れる事もなく。聖王教会に行くたびに聖王様とか陛下なんて呼ばれる。

 

はやても聖王教会で友だちができたらしいから、本当によかった。

 

それからまた一年、俺達は五年生になった。

 

その間に色々あったがそれはまたの機会に…

 

そして今、俺は無人世界にいた。

 

ここで試したい事があった。

 

「さーて、いよいよだな」

 

「確かに精神の修行をたくさんしたけど…」

 

「コントロールできるのか?」

 

「大丈夫…とは言えないけど頑張ってみるさ」

 

俺はこの前手に入れた氷の神器を纏おうとしていた。 聞くところによると力が強いため、人がいない無人世界で試そうとしている。

 

「他の神器と違って、上位の神器には真名がない。纏うって気持ちがあればいけるぞ」

 

「わかった」

 

氷の神器に魔力を流し、集中する。

 

「はああっ!」

 

氷の神器による神衣化、服装は一緒だが細部の装飾が水色で足に装甲が付いている。

 

「ぐっ!」

 

よろけそうになるが、踏み止まり。力をコントロールする。

 

「………………ふう」

 

「やったねレンヤ!」

 

「周りの被害はすごいがな」

 

「えっ」

 

辺りを見渡すと、一面氷漬けだった。 人がいなくてよかった……

 

「やっちまったな」

 

「これでもいい方だよ」

 

「ああ、もっと酷い時は雪が降るからな」

 

「…………コントロールできてよかったよ」

 

「とりあえず、力を試すか?」

 

「そうだな、よし」

 

近くの氷漬けの木を蹴ろうとした時…

 

《マイ、マジェスティー》

 

「とっと、どうしたレゾナンスアーク」

 

《この地点から東に魔力反応があります、同時に戦闘反応も検出しました》

 

「どう言う事だ?」

 

「ここは無人世界のはずだよ」

 

「行ってみるか」

 

進行方向に氷を走らせて、その上を滑るように進んだ。

 

しばらくして着いたのが…

 

「施設?」

 

何かの施設らしき建物だった。

 

「なんで無人世界にこんなものが」

 

「なんだかキナ臭いね」

 

「もしかしたら違法魔導師のいる研究施設じゃないか?魔力反応と戦闘反応があったのも、この施設で何かが起きているから」

 

「ならとりあえず入ってみようか」

 

「賛成ーー!」

 

施設に侵入して奥に進むと。

 

「これは……!」

 

「惨いな」

 

「酷いよこんなの」

 

施設の通路や部屋には研究者の遺体があった、初めて見る死体に吐きそうになるがなんとか堪える。

 

「うっ」

 

「!大丈夫ですか!」

 

「早く治療を!」

 

「心霊、蘇生!レイズデッド!」

 

局員の傷を治した。

 

「君は……」

 

「早くここから脱出して下さい」

 

レンヤは通路の奥を睨み……

 

「先に進もう」

 

「……うん」

 

一気にスピードを上げて反応がある地点に向かう。

 

そして施設の最奥に来ると、小柄な女の子が血まみれで壁際に倒れている男性に止めをさそうとナイフを振り上げていた。

 

(まずい!)

 

俺は一瞬で近づき、蹴り飛ばした。

 

「なっ⁉︎…ぐあっ!」

 

女の子を蹴り飛ばし、その隙に男性を治療する。

 

「心霊、蘇生!レイズデッド!」

 

男性の傷を塞ぎ、呼吸が安定する。

 

「よかった」

 

「何者だ………子どもだと⁉︎」

 

俺の姿を確認して驚く。

 

「子どもがどうしてこんな所に?」

 

「見た目に騙されるなクアットロ、チンク。こんな所にただの子どもが来るはずない。おそらく管理局の増援だろ」

 

ただの偶然ですはい。 それよりも誰だこの人達? 全員物騒な物を持っているし。

 

「管理局の魔導師か……だがここにいる以上、子どもであろうが見過ごせんな」

 

「………あなた達はここで何を?俺は偶然ここに来ただけです」

 

「それは不幸ね〜、でも見られたからには……」

 

言い終わる前に接近して蹴り飛ばした。

 

「きゃああっ!」

 

クアットロを壁際まで吹き飛ばし、凍らせる。

 

「クアットロ!」

 

「っ! ランドインパルス!」

 

トーレが高速で移動する、それなら…

 

「深雪隆起! スノーウェーブ!」

 

地面を強く踏みつけ、全体に雪崩を起こす。

 

「何⁉︎」

 

「そこだね」

 

雪に足を取られ、止まった瞬間両手足に蹴りを入れ、凍らせる。

 

「くそっ!」

 

チンクがナイフを投げてきたが、避けて…

 

「雹玉命中!アイスシュート!」

 

サッカーボールくらいの大きさ氷の塊生成、思いっきり蹴って銀髪の女の子にぶつけた。

 

「がっ!」

 

当たった瞬間、弾けて凍り。 動きを封じた。

 

「よし、ラーグ」

 

「任せておけ」

 

他にも反応があるのでラーグの中に入れてもらうが…

 

「…………………」

 

正直、見たくない。人が丸呑みされるの。

 

「ほら行くぞ」

 

「あ、ああ……」

 

気を取り直し、直ぐに他の反応がある地点に向かう。 面倒くさかったから、壁を芯まで凍らせ、砕いて一直線に進んだ。 そして反応がある地点に着いたら、同じ形をした何かが血まみれで倒れている2人の女性を囲み、止めをさそうとしていた。

 

「またギリギリ……かっ!」

 

一体を蹴り飛ばし、女性達の前に立ち氷の壁を作る。

 

「これは……機械?」

 

「ガジェットだ、こいつらにはAMFって言う魔力結合を阻害する能力がある」

 

「でも神衣には関係ないよ」

 

「なら手抜き不要、容赦無用、殲滅する!」

 

魔力を本気で込めて…

 

「太古、零点!アブソリュート!」

 

地面から巨大な氷山が現れガジェットを串刺しにした。

 

「よし!」

 

ここでは直ぐに治療できず、ラーグにも入れられないので、抱えて脱出する。

 

後ろを振り返るとまだ大量のガジェットが来た。

 

「くっ、氷柱乱舞!フリーズビット!」

 

周りに氷の刃現れ、ガジェットを斬る。

 

「レンヤ!全然減ってないんだよ!」

 

「なら一気に決める!」

 

女性を一旦起き、ガジェットに突っ込む。

 

「我が身は紺碧!白き氷華に擁護せよ!ノーザンケイジ!」

 

ガジェット1体を目にも留まらぬ速さで何度も蹴り、最後に回し蹴りで吹雪を起こした。

 

ガジェットは1体も残らず凍り漬けにした、

 

「ふう、ぶっつけ本番は疲れる」

 

「お疲れ、レンヤ」

 

施設を出て、女性2人を治療する。

 

「心霊、蘇生!レイズデッド!」

 

傷が塞がり顔色も良くなった。

 

「これで大丈夫だ、ラーグ」

 

「ああ」

 

ラーグは助けた男性を出した、やっぱりホラーだ。

 

「ううっ」

 

「目が覚めるみたいだね」

 

「よし、帰ろう」

 

「いいのか?」

 

「ああ、さっき助けた人も近づいている。大丈夫だろ」

 

「わかった、転移するよ」

 

ソエルに転移してもらい、地球に帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれからまた半年が経った。

 

前に助けた局員達は無事だった、顔は見られてなかったから安心した。

 

そして現在ははやての家にいる、なぜなら。

 

「ツヴァイ、待ちなさい」

 

「やーっ」

 

リインフォースがちっこいリインフォースを追いかけていた、ちっこい方は部屋中をふわふわ浮いて逃げ回っていた。からかっている感じはせず、遊んでいると思っているらしい。

 

ちっこいリインフォースの名前は、リインフォース・ツヴァイ。はやてのリンカーコアをコピーして作られたユニゾンデバイスだ。最初にいるリインフォースは名前をつけたし、リインフォース・アインスになった。

 

俺はそのツヴァイの方のお守りをはやてに任されていた。

 

「もふもふですぅ」

 

「わーいわーい」

 

ツヴァイはソエルの頭に乗って遊んでいた。

 

「大変そうだな、リイン……アインス」

 

「そうだな、しかし言いにくかったら別の呼び名で呼んでもいいぞ」

 

「それってあだ名か?うーん…」

 

俺は考える、リインフォース・アインス、リインス、リイス、リンス…

 

「うん、ならリンスって呼ぶな」

 

「ああ、構わん」

 

「ならこっちもツヴァイじゃなくて、うーん…リインでいいだろう」

 

「それはいい、あの子はツヴァイよりも、リインフォースと呼ばれる方がいいからな」

 

そこにちょうどはやて達が帰ってきた。

 

「はやてちゃん!」

 

ツヴァイ…リインは喜んで、その胸に文字通り飛び込んだ。

 

「ただいまリインフォース、いい子にしてたか?」

 

「いてたですぅ」

 

部屋の惨状を見るにとてもそうは見えないが、本人的にいい子にしてたつもりらしい、しかしシグナムは許さなかった。

 

「リインフォース、お前は最後の夜天の王、主はやての誇り高き子だ……あまり我がままを言ってはいけない」

 

「はい………です………」

 

シグナムのお叱りを受けて、リインはしょんぼりと頭を垂れた。

 

「将………そんなに厳しく言わなくとも……」

 

「お前のは甘やかしと言うのだ」

 

「うっ………」

 

「あはは」

 

容赦なく嗜められて、リンスは言葉もない。地味どころか確実にダメージを受けた。

 

そもそもこの2人は不器用だ、だから飴と鞭に役割分担しているのだ。しかしこの家には飴が多い。

 

「ほ〜ら、リインちゃん、お姉ちゃんと遊びましょう」

 

「あっ、シャマルずりい、あたしも遊ぶ!」

 

とても叱る比率が低そうである、ザフィーラも尻尾をもふもふされてるのも黙認しているからな。

 

「この年でお母さんか………大変だな」

 

「そうでもあらへんよ、楽しいし」

 

「て言うか父親って、誰?」

 

「考えてもなかったなぁ、ならレンヤ君がやってみる?」

 

「………それも悪くないかな」

 

「えっ」

 

はやてが驚き、顔みるみる赤くした。

 

(そっそれって、プロポーズ!私遠回りにプロポーズされたんか?)

 

「はやて?」

 

「はっはい!なんでしょう、あなた!」

 

「あなた?」

 

「ごっごめん!……」

 

「まだ気がはやいよ」

 

はやては顔から煙を出した。

 

「うわあああ!」

 

叫びながら部屋を出て行ってしまった。

 

「どうしたんだろ?」

 

「レンヤ……」

 

「いつもの事ながら、呆れるな」

 

「ん?リインとおままごとをする時の役だろ?」

 

「「はぁ」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして1カ月後。

 

聖祥小学校、屋上。

 

フェイトが執務官試験を受けたが見事に落ちた。

 

「………………」

 

「えっと、フェイトちゃん?」

 

「べっ別にこれが最後じゃないんだから、また次を頑張れ。応援しているぞ!」

 

「お姉ちゃんも応援しているぞ!」

 

落ち込むフェイトを皆で励ます。

 

「そうだ、皆でお買い物に行こうよ」

 

「そうね、いい気晴らしになるわよ」

 

「それはええな」

 

「いいか?フェイト」

 

「……うん、ありがとう」

 

放課後

 

「気晴らしと言えば、ゲームセンターや!」

 

「まあ妥当ね」

 

「ほら行こう、フェイトちゃん」

 

「うっうん」

 

皆がゲームセンターに入り思い思いに遊び始めた。

 

「お前は遊ばないのか?」

 

俺はベンチに座っていた。

 

「そう……だな、今まで一度も来たことがなかったからな」

 

「もう、いい加減自分に優しくしなさい!」

 

「そうだな」

 

とりあえず中を回ってみることにした。

 

「あっレンヤ!あれいいんじゃない」

 

ソエルが差したのはシューティングゲームだ。

 

「確かに面白そうだ」

 

「わかった、やってみるよ」

 

100円を入れてゲームを開始した。

 

それからしばらく

 

「これで………終わり!」

 

最終ボスを倒し、クリアした。

 

「結構、反射神経使うな、動体視力も鍛えられる」

 

銃を元に戻し、なのは達を探す。

 

「あっレン君!」

 

「今までどこにいたのよ」

 

「始めてのゲームセンターだから、何をやるか迷っていた」

 

「えっレンヤ君、ゲームセンター初めてやったの?」

 

「自由に出来るほど、余裕がなかったからね」

 

「あっ」

 

なのはは理由を知っている為、声を漏らす。

 

「ほらほら、暗い顔しない。最後にあのプリクラってやつをやろうぜ」

 

「えっいいの!」

 

「写真を撮るだけだろ」

 

「なら早く行こう!」

 

「ちょっすずか!引っ張るな!」

 

それからプリクラをやり、解散となった。

 

「それじゃあ皆、また明日」

 

「皆、さようなら」

 

「また明日ね」

 

「バイバーイ」

 

「私はこれから買い物やけどな」

 

「またねー皆ー」

 

「じゃあな」

 

皆と別れてなのはと家に帰る。

 

「ねえレン君」

 

「なんだ、なのは」

 

「もう、自分に厳しくしない?」

 

「そうだな、厳しくしないとなのはが宿題を溜め込むからな」

 

「にゃ!それは関係ないでしょう!」

 

「あはは」

 

「まてーー!」

 

俺達は走って家に向かった。

 

 


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