魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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日常編
29話


後に闇の書事件と呼ばれる騒動から3カ月。

 

俺達は四年生になった。

 

なのは、フェイト、の2人はすでに管理局の正式に入局するため訓練校に行き、すでに卒業して正式に働いている。

 

はやても守護騎士達も頑張っている様だ。負傷者組のレンヤ、アリサ、すずかは2週間の治療の間、嘱託試験の過去問をやったり思ってた以上に時間がかかってしまった。

 

そして試験当日、ミッドチルダにある時空管理局本局にきた。

 

「でかいな」

 

「首が痛くなるわね」

 

「うん、すごいね」

 

「偉い人は高い所に居るものだよ」

 

「来たか」

 

建物の大きさに感想を言っているとクロノがやって来た、相変わらず黒い服装なんだが本当に肩の棘は何?

 

「久しぶりクロノ、忙しいのに悪いな」

 

「よっクロノ!真っ黒いから〜クロノ!」

 

「関係ないだろ!まあいい、こっちだ付いてきてくれ」

 

「レン君、アリサちゃん、すずかちゃん、頑張って!」

 

「皆ならきっと合格するよ」

 

「応援してるで」

 

「私もすぐにそこに行くからね!」

 

なのは達の一旦別れクロノに案内されて入った部屋には試験官らしき人と何人かの同じ嘱託魔導士になる受験生がいた。

 

今回受けるのはAAランクの試験、2人に合わせて受ける事になった。

 

「君達で最後だな。氏名と出身世界を教えてくれ」

 

「地球出身、神崎 蓮也です」

 

「同じく地球出身、アリサ・バニングス」

 

「同じく地球出身、月村 すずかです」

 

「確認した、それにしても地球出身か…あそこの者は能力が高いからな。君達の受ける試験もランクが高い、頑張りたまえ」

 

最近入ったばかりのなのはとはやては有名なのか、そんな事を言われた。

 

その後注意事項を聞いてから筆記試験が開始された、アリサやすずかはもちろんの事レンヤも苦もなく解いていき、30分程度で解き終わった。

 

書き間違えと名前の書き忘れもない事を確認すると、やる事がなくなり外を眺めて時間をつぶした。

 

「そこまで!筆記用具を置き順番に退場するように!」

 

退場する時、他の受験生の表情は色々だった明るいか、暗いか。

 

「皆!どうだった!」

 

レンヤ達に気づいたなのはが声を掛けたきた、他の4人も近寄って来る。

 

「余裕よ!」

 

「ちゃんと勉強したからね」

 

「全部書いたし、大丈夫だろ」

 

「よかった、次は儀式魔法四種だよ?」

 

「大丈夫なんか?アリサちゃんとすずかちゃんは魔力変換資質を持っているからええけど。レンヤ君は持ってへん」

 

「大丈夫、なんとかなるさ」

 

「それで、試験会場は何処よ?」

 

「あぁ…こっちだ。付いてきてくれ」

 

クロノに案内されてついたのは、自然の多い場所だった。

 

「ここでやるのか?」

 

「そうみたいだね」

 

『やっほー、お久しぶりだね3人共。今回の試験の監督をする、エイミィ・リミエッタです!』

 

空中にモニターが展開されエイミィが映った。

 

「そんなノリで監督していいの?」

 

「さすがに不謹慎だと思います」

 

『うぐっ、まっまあそれは置いといて。それじゃあ規則だし受験番号4番、氏名と出身世界をどうぞ』

 

「地球出身、神崎 蓮也」

 

『ほいっと、確認したよ。それじゃあ始めるよ、準備はオッケー?』

 

「いつでも!レゾナンスアーク!」

 

《イエス、マジェスティー》

 

「その呼び方やめろ、セートッ!アープッ!」

 

蒼い魔力光に包まれバリアジャケットを纏う。

 

「お願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

儀式魔法を終えてその後実技試験も行い、今は結果発表待ちだ。

 

「それでは結果ですが…筆記は合格ラインを余裕で上回り、儀式魔法も優秀、戦闘能力もAAAランク相当の結果も出てます。合格は間違えなしです」

 

「「「「やった〜!」」」」

 

リンディさんの言葉に俺達より周りが喜んでいる。

 

「あらあら、それじゃあ…レンヤ君、アリサちゃん、すずかちゃん、これから嘱託魔導師としてよろしくね?」

 

「はい、よろしくお願いします!」

 

「「よろしくお願いします!」」

 

「なのは達繋がりでアースラ勤務になる。飽くまでも非常時のみだ」

 

クライドさんが説明してくれた、クライドさんは管理局に戻っては来れたがやはり降格は免れなかった様だ、そのおかげかリンディさんと一緒にアースラに配属される事になったようだが。

 

「分かりました」

 

「詳しい手続きは後日ね?」

 

話しは終わり、なのは達が近づいてきた。

 

「レン君!これからどうするの?」

 

「とりあえずミッドチルダを回ろうと思う、何があるか見て起きたいし」

 

「なら私とフェイトが案内するよ!」

 

「なら早く行きましょう!」

 

それから俺達はミッドチルダを回った。

 

「あんまり地球と変わらないんだね」

 

「細かい部分だと近未来って感じはするけど」

 

「むしろ地球の文化があるのに疑問に思う」

 

俺は目の前にある寿司屋を指差す。

 

「日本の食文化はミッドチルダで人気なんだよ」

 

「たまに間違っていることもあるけど…」

 

「リンディさんやね…」

 

大型のデパートとかにも行き、今は大通りを歩いている。

 

「全6車線、すごいね」

 

「いかにも巨大都市って感じ」

 

「私も驚いたの」

 

「そうだな」

 

その時、俺達の前にリムジンが止まり、執事と思われる人が運転席から出てきた。

 

「!」

 

「レンヤ君?どうしたん?」

 

俺は執事の顔に見覚えがある、夜天の書に見せられた夢で見たあの時の執事。

 

「私は聖王教会からの使者です。聖王の末裔、神崎 蓮也様。夜天の主、八神 はやて様。ご一緒にご足労いただけますか?」

 

いつかは来ると思っていたけど、こんなに早いなんて。

 

「………従者も連れていきたい、よろしいか」

 

「はい、構いません」

 

「はやてはどうする?」

 

「せっかく招待されたんや、私はいくで」

 

俺はなのは達の方を向き。

 

「なのは、フェイト、アリシア、ごめん先に帰っていてくれないか。説明は帰ってからする」

 

「レンヤ…」

 

「……うん、待ってるよ」

 

「頑張ってね、皆」

 

4人はリムジンに乗り込み、ベルカ領に向かって走り出した。

 

たどり着いたのは見覚えのある聖王教会、そしてその裏手にある王族が住む屋敷に車が止まった。

 

「すずかの家よりでっかい家やな〜」

 

「住む人が少ないから、あれでちょうどいいの」

 

「確かにそうね」

 

「いや十分部屋が有り余っているよ」

 

客間に通され呼ばれるまで待つ事になった。

 

「ふむ」

 

「ラーグ、どうした?」

 

入ってそうそうラーグが辺りを見渡した。

 

「ここで間違いないな、レンヤ、そこのスタンドに魔力を流しながら電気をつけてくれ」

 

「一体何が起こるんだよ」

 

言う通りにしてスタンドに魔力を流し電気をつけると隣にある本棚が横に動き金庫が現れた。

 

「何これ!」

 

「隠し金庫?」

 

「えらいけったいなところにあるな」

 

「レンヤ、さっきと同じ感じで開けて」

 

「何が入っているんだ」

 

金庫のパネルに魔力を流すと、金庫が開いた。中に入っていたのは。

 

「俺が使っているのと同じリボン?」

 

「それにこれは……籠手?なのかな」

 

「それと手紙やな」

 

「ラーグ、これはなんなのよ?」

 

「レンヤの両親のものだ、それとこれは籠手じゃなくて足に付ける蹴甲だ」

 

「そして…氷の神器だよ」

 

「これがそうなんか⁉︎」

 

「辺り一面を焦土に変える程の力…」

 

「手紙にはなんて書いてあるのよ?」

 

「それは後で、俺の指示があるまで読まないでくれ」

 

「何か策があるんだな」

 

「もちろん」

 

その時、ドアがノックされ執事が入ってきた。

 

「お待たせしました、どうぞこちらへ」

 

執事に案内されて食堂に通された

 

相変わらず奥に長いテーブルで老人が多く、若い人は1番奥に座っている男性と、その右隣にいる女性だけだ。

 

「よく来てくれた、座ってくれ」

 

そう言われ男性の正面に俺とはやてが座った、アリサとすずかは一応従者なので俺の後ろに立っている。

 

「私はウイント・ゼーゲブレヒト。聖王代理といったところだ」

 

「……神崎 蓮也です」

 

「八神 はやてです、よろしゅうお願いします」

 

「それで………俺達をここに呼んだ理由はなんですか?」

 

「まあそう慌てるな、もう自分が何者なのか知っているんだね」

 

「……俺に…聖王になれとでも?」

 

「もちろん希望すればすぐにでもなれる、今聖王の証を持っているのは君だけなんだから」

 

「………考えさせてもらいます」

 

「結構、それで夜天の主八神 はやてさん。君にも話しがあるんだ」

 

「はっはい!」

 

声をかけられ背筋を伸ばすはやて。

 

「君とも一度話しておきたかった、夜天の書もベルカとは縁がある。できれば今後ともよろしくお願いする」

 

「はい!こちらこそ」

 

「話しは以上ですか、ならこれで…」

 

「いいや、まだだ」

 

席を立とうとしたら、老人の1人が止めた。

 

「お前には必ず聖王になってもらう」

 

「議員、その話しは……」

 

「黙っておれ!」

 

老人がウイントさんを黙らせる。

 

「随分と強制なんですね」

 

「元々そこの守護獣は聖王家のもの、それを貴様が勝手に持っているにすぎん」

 

「………母と、何があったんですか」

 

「あやつは聖王でありながらその地位を捨て、逃げ出した。正当後継者であるお前を連れて」

 

「お前と従者にはふさわしい教育を受けさせる、決定事項だ」

 

他の老人も上から目線で言う、どうやらウイントさんは反対しているみたいだ。

 

「………………」

 

夢で見た内容通りだ、教育という名の…洗脳。

 

(て事はあの人たちが、本当の両親の姿…)

 

夢であっても偽物ではなかったらしい。

 

「話になりません、俺達はこれで失礼します」

 

席を立ち部屋から出ようとすると……

 

リリリリリリン!

 

老人の1人が鈴を鳴らした。

 

次の瞬間、扉が乱暴に開けられ騎士達が入ってきた。

 

「議員!これはどう言う事ですか!」

 

「知れた事、言う事を聞かない子どもに教育してやるのだ」

 

「はやて!後ろに!」

 

「うっうん!」

 

戦う術を持たないはやての前に立ち、デバイスを起動させるが……

 

「!、これは!」

 

「起動しない!」

 

「スーノーホワイト!返事をして!」

 

「無駄だここら一帯にデバイスを強制停止させる結界を張った」

 

「動かないのはお前達だけだ」

 

「大人しくするのだな」

 

少しずつ近づく騎士達。

 

「思っている以上に真っ黒だね」

 

「一部の人だけだ、ソフィーさんは優しい」

 

「わかっているよ」

 

「この騒動だけで、聖王教会を嫌わないわよ」

 

「でもどないするねん」

 

「レンヤ、これを!」

 

ソエルが取り出したのは……神器。

 

「それだ!」

 

3人は自分の神器をとり、纏った。

 

「ハクディム=ユーバ!」

 

「フォエス=メイマ!」

 

「ルズローシヴ=レレイ!」

 

騎士達は俺達の変化に驚いた。

 

「何⁉︎」

 

「デバイスは使えないんじゃなかったのか!」

 

「いや、あれは…」

 

その隙に一掃する。

 

「土流の碑文!」

 

「映ゆる煉獄!」

 

「巻くは渦潮!」

 

レンヤはアームで地面を掴み、石版を引っ張りだし前方の騎士達を一掃した。

 

アリサは炎に包まれた巨大な剣を叩きつけ騎士達を炎の嵐に巻き込む。

 

すずかは巨大な弓を構え、撃った直後に水流が渦巻き騎士達のぶつける。

 

「よし、これで……!」

 

「嘘……」

 

「こんなに弱いはずは……」

 

レンヤ達は一撃で終わる騎士達に驚く。

 

「今までグリード相手に使っていたけど」

 

「今のお前達は力は強すぎるんだ、本来神衣化は魔に属する者に使っていた」

 

「とっとにかく!」

 

レンヤは老人の1人にアームを近づけ……

 

「こんな馬鹿な真似はやめてもらいます、できないのであれば……」

 

レンヤの髪が金髪になり瞳が翠と赤のオッドアイになる。

 

「俺自身で聖王教会を潰す!」

 

「ひいいい!」

 

「待ってレンヤ!手紙を読んで」

 

「………今からか?」

 

「レンヤ、こいつらは私達が見張るわ」

 

アリサに言われ神衣化を解き、懐から手紙をだし読んだ。

 

「うっわ、何これ。貴方達の不正の数々が山程載っているよ」

 

レンヤはウイントさんに手紙を渡した。

 

「これは……一体どう言う事ですかな議員方。これ程の事をしでかすとは、姉が逃げたのも頷けます」

 

「えっ、嘘」

 

「ああ言ってなかったね、一応叔父にあたるかな。コホン、あなた方を拘束させていただきます」

 

「くっ」

 

「これまでか……!」

 

その後議員達とそれに加担していた騎士達は逮捕され管理局に連行された。

 

「すまない、私の不手際で君達を危険な目に合わせてしまった」

 

ウイントさんがそう言い頭を下げる。

 

「いえ!大丈夫です、ウイントさんは何も悪くありません」

 

「そうよ、悪いのはあいつらよ」

 

「あまり気にせんといてください」

 

「ウイントさんは頑張っています、自信を持って下さい!」

 

「ありがとう」

 

「それで、これからどうなるんですか?」

 

「なんとかやってみるさ、自分の力で」

 

「それなら手伝います!両親がやろうとした事やり遂げてみせます!あっ聖王にはなりませんよ」

 

「ははっ、構わないさ。むしろお願いしたいくらいさ」

 

レンヤとウイントは握手をする

 

「もちろん、私達も手伝うわよ」

 

「できる限り頑張ります!」

 

「私もやるで!」

 

「感謝するよ」

 

それから話し合い、なんとか現状維持する事ができた。

 

「それじゃあこれで」

 

「車を出そうか?」

 

「いえ、これから聖王教会に行きます。ソフィーさんを会いに」

 

「そうか、教会騎士団団長にか」

 

「確か前にお世話になったんやな?」

 

「ああ、それじゃあウイント叔父さん、また」

 

「!、ああ、またなレンヤ」

 

レンヤ達は屋敷を出て、聖王教会に向かった。

 

「なんや色々と大変やったな」

 

「俺と言う宝石を独り占めしたかったんだろ」

 

「笑えない冗談ね」

 

「人それぞれだよ、私達も利用されかけたし」

 

「真っ平ごめんだがな」

 

すぐに聖王教会つき訓練場に向かった。

 

「ここも地球と変わりないね」

 

「教会なんだから聖堂くらいあるわよね?」

 

「なかったらなかったで問題やけど」

 

「……それにしても、なんか見られてないか?」

 

周りの人達の視線を感じる。

 

「はやてじゃない?」

 

「車椅子が珍しいわけあらへんやろ」

 

「なんでだろう?」

 

そうこうしてる間に訓練場についた。

 

「えーと、ソフィーさんは……」

 

「レンヤレンヤ!いたよ!」

 

「ちょうど休憩しているな」

 

「本当だ、おーい!ソフィーさーーん!」

 

レンヤはソフィーに近づきながら呼んだ。

 

「ん?この声はレンヤか………」

 

いきなり固まったソフィー。

 

「?、どうかしましたか?」

 

「レンヤよ、今自分の見た目がどうなっているかわかるか?」

 

「えっ」

 

レンヤは髪を掴んだ、金髪だった。

 

「あっしまった」

 

「ごく当たり前にしてたから、私達も気付かなかったわ」

 

その時建物から大量の人が出てきた。

 

「これは……」

 

「当たり前と言えば、当たり前ね」

 

「はあ、もう少し頭を鍛えればよかったか」

 

「それ、頭が悪いって言ってますか?言ってますよね!」

 

話している間に囲まれてしまった。

 

「聖王様!聖王様ですよね!」

 

「陛下!私達を導いて下さい!」

 

「レンヤちゃん!よく帰ってきた!」

 

「お前が居なくなってから大変だったんだからな!」

 

質問責めに合い、困るレンヤ達。

 

「どうしようか」

 

「王様モードになりゃいいじゃんか」

 

「あれ精神的に疲れるんでけど……仕方ないか」

 

レンヤは前に出て、雰囲気を変え言い放った。

 

「静まれ!」

 

さっきまでの騒ぎが一瞬で止んだ、決して大きな声とは言えないが。どこまでも響くような声だ。

 

「ふう…」

 

「お疲れ様」

 

「ソフィーさんでしたよね、すみませんが私達はこれで」

 

「またお会いしましょう」

 

「ああ、気を付けてな」

 

レンヤ達は駆け足で帰った。

 

「はあ。全く、騒がしい奴だ」

 

ソフィーは笑いながらため息をついた。

 

 


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