魔法少女リリカルなのは 軌跡を探して   作:にこにこみ

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28話

 

 

あれからアースラに向かいレンヤ達3人は治療を受けていた。

 

「ふう、やっと休める」

 

「とんだハードスケジュールね」

 

「皆、よく頑張ったもんね」

 

レンヤ、アリサ、すずかがベットに寝ながらそう言う。

 

他の皆はラーグとソエルを連れて異界について説明している。

 

レンヤは隣で寝ているはやてとリインフォースを見た。

 

「リインフォース、はやては……」

 

「何も問題はない。浸食は止まっているし、リンカーコアも正常に作動している。不自由な足も時をおけば自然と回復するはずだ」

 

「そうか」

 

「はやてちゃん、良かった」

 

「リインフォースも無事で良かったわ」

 

そう聞くとリインフォースが顔を暗くした。

 

「夜天の書の破損は致命的な部分まで至っている。防御プログラムは停止したが、歪められた基礎構造はそのままだ。遠からず新たな防御プログラムを生成し、また暴走を始めるだろう」

 

「そんな!」

 

「修復は出来ないのか?」

 

「無理だ。管制プログラムである私の中からも夜天の書本来の姿は消されてしまっている」

 

リインフォースの言葉に項垂れるレンヤ達。

 

「じゃあ守護騎士達も…」

 

「いや…守護騎士達は残る」

 

「えっそれって…」

 

静かに迷いも恐れもなく、揺らぐ事もなく。

 

「逝くのは、私だけだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日付が変わり12/25日、クリスマスであり、レンヤの誕生日。

 

だがアースラの病室いる3人の表情は暗い。

 

「リインフォース……本当にやるのかなぁ」

 

「決意は固い、自分を犠牲にしてもはやてを救うだろ」

 

「何か他の方法はないの?」

 

悩む3人、それを目覚めたはやてが聞いてしまった。

 

「皆!それどう言う事なんや!」

 

「はやて、起きたのか」

 

「……うん、説明するよ」

 

すずかはリインフォースの事を話した。

 

「すぐに皆の元に行かな!」

 

はやてが車椅子に乗ろうとする。

 

「私達も行くよ」

 

「急いで行きましょう!」

 

アリサとすずかがはやてを車椅子に乗せて病室をでた。

 

「レンヤ」

 

「うん、分かっている。リインフォースを救う方法を」

 

「ならいいさ、急ぐぞ」

 

はやて達を追いかけ、転移ポートで街が見える丘の麓まで転移した。

 

雪は降り積もっており、辺りはまだ暗い。

 

「ほら急ぐわよ!」

 

3人で車椅子を押して丘を登る。

 

途中、疲労の為3人共力尽きてしまったが、はやてはお礼を言い先に進む。

 

「リインフォース!皆!」

 

すぐに丘の頂上に着いたはやて、止めんばかりの声をあげる。

 

「リインフォース、やめて。破壊なんかせんでええ。私がちゃんと抑える。大丈夫や、せんでええ!」

 

必死に止めるはやて、だがリインフォースは静かに首を横に振る。

 

「主はやて、良いのですよ」

 

「良い事ない、良い事なんか何もあらへん!」

 

「随分と長い時を生きていきましたが、最後の最後で私は貴方に綺麗な名前と心を頂きました。騎士達も貴方の傍にいます、何も心配はいりません、だから私は笑って逝けます」

 

リインフォースは迷いのない穏やかな笑みを浮かべる。

 

「やけどそんなこと」

 

「させない、そんな悲しい事……絶対にさせない」

 

はやての言葉に重ねるように発せられる言葉。

 

「レン君」

 

「レンヤ」

 

後から来た3人は身体中汚れていて満身創痍だ。

 

「お前達、そんな体で何を」

 

「簡単に諦めている奴に言いたい事があってね」

 

「こうして死に体を引き摺って来たわけ」

 

レンヤ達は平然を装う様に肩を竦める。

 

「私などの為にそんな無茶をしたのか!お前達がいなくなれば主はやてが、主はやてだけではない、なのはやフェイト達が、将達が悲しむと…」

 

「それは貴方も同じよリインフォース!」

 

リインフォースの言葉を遮り、声を荒げるすずか。

 

「貴方がいなくなればはやてちゃんはもちろん、シグナム達も、私達も辛いの。それが分からない訳ないでしょう」

 

「それは……」

 

立っているのも辛いすずかは座りこんでしまいアリサが支える。

 

「リインフォース、お前は生きたいと思わないのか?主はやてとシグナム達、俺達と共に過ごしたいと」

 

「そんな事をすれば私は……」

 

「違う!周囲とか被害とか迷惑なんか気にするな!俺はお前がこのまま生きていたいか聞いているんだ!」

 

レンヤはリインフォースに率直に、真っ直ぐな問いを言う。

 

「簡単に諦めるな、足掻いて足掻いて、足掻き抜け」

 

「私は………」

 

リインフォースは俯きその表情は見えない。

 

「……………たい」

 

静かにリインフォースから滴が流れた。

 

「い……て…たい」

 

リインフォースは俯いたままで表情が見えないが肩がわずかに震えていた。

 

「私は……生きていたい。主はやてが成長する様子を傍で見ていたい。私はまだ………」

 

顔を上げたリインフォース、涙を流し思いを口にした。

 

「生きていたい」

 

その言葉に、レンヤ達は笑う。

 

「了解!ソエル!」

 

「本当に良いんだね?」

 

「ああ、必ず成功させる」

 

「あんただけで行かせないわよ」

 

「私達は….一蓮托生だよ」

 

3人は顔を合わせて、頷いた。

 

「分かった、必ず帰ってくるんだよ!」

 

「分かってる」

 

「ええ」

 

「もちろん」

 

ソエルとラーグは錠剤と神器を取り出してレンヤ達に渡した。

 

「精神結合し易くする薬だ、無事に戻ってこいよ」

 

「ああ」

 

ラーグは古びた銃……ジークフリートをレンヤに渡した。

 

「はやて、リインフォース。今からやる事だとリインフォースは生き残るかもしれないが、はやてとの契約を切る事になるから融合機としてこれからもいる事が出来ない。それでも良いか?」

 

「もちろんや、リインフォースが生きてくれとるんやったらそれでええ」

 

「ああ、主はやてがそう言って下さるなら、構わない」

 

はやてとリインフォースが了承する。

 

「よし、今から夜天の書からリインフォースを切り離す。その後リインフォースは別のデバイスに入ってもらうがな」

 

「構わない、やってくれ」

 

レンヤはなのはとフェイトの方を向き。

 

「なのは、フェイト」

 

「!、何、レン君?」

 

「レンヤ?」

 

2人に向かって手を振る。

 

「行ってくる」

 

レンヤは錠剤を飲んで地の神器を構える。

 

「ハクディム=ユーバ!」

 

神器を纏い、リインフォースの前に立つ。

 

「レンヤ君?一体何を……」

 

はやてが言い終わる前に始まる。

 

アームを地面に入れジークフリートを取り出し、魔法陣が現れ銃口をリインフォースに向ける。

 

「黄昏し巨魁の錠亭!避けるなよ、アーステッパー!」

 

黄色の砲撃がリインフォースに直撃する。

 

「ぐう!」

 

「リインフォース!」

 

「大丈夫です主はやて、痛くありません」

 

「レンヤ君!何してんの!」

 

はやてがレンヤに問い詰めるも返事がない。

 

「レン君?」

 

レンヤの神依化が解けて倒れた。

 

「レンヤ!」

 

フェイトが支えるて地面にぶつかるのを防ぐ。

 

「レンヤ、どうし……っ!」

 

フェイトはレンヤの目を見た、光がなくただ虚空を見つめている。

 

「これは一体……!」

 

「アリサちゃん!どう言う……」

 

「フォエス=メイマ!」

 

アリサはジークフリートを持ち火の神器を纏う。

 

「待って!」

 

なのはの静止も聞かずに始める。

 

剣を振り払いジークフリートが現れる、魔法陣が現れ銃口をリインフォースに向ける。

 

「業火たる白銀の聖錠!行くわよ、フランブレイブ!」

 

赤い砲撃がリインフォースに直撃する。

 

神依化が解け倒れるアリサ、すずかがアリサの手からジークフリートを取る。すでに神依化をしている。

 

「すずか……ちゃん」

 

「ごめんね、はやてちゃん。ソエルちゃん達が説明してくれるよ」

 

すずかがはやてに謝り、リインフォースと向き合う。

 

弓が掲げながら消滅しジークフリートが現れる、銃口をリインフォースに向ける。

 

「蒼華たる霊霧の執行!助けてみせます、アクアリムス!」

 

青い砲撃がリインフォースに直撃する、そのまま神依化が解け倒れるすずか。

 

「レン君!アリサちゃん!すずかちゃん!」

 

「起きている、でも心がない……!」

 

「どう言う事か説明してもらおうか」

 

シグナムがソエル達に聞く。

 

「この銃はジークフリート、神依化している時使えて、弾丸に全魔法と……精神を込めて撃つ」

 

「まさか!」

 

シャマルが驚くも話しを続ける。

 

「今レンヤ達の精神はリインフォースの中にある、防衛プログラムとリインフォースを切り離す為に」

 

「………これが失敗すれば、どうなるんだ」

 

ザフィーラが質問する。

 

「リインフォース共々………にね」

 

「そんな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

リインフォースの精神世界ーー

 

そこは何もなく、ただ眠っているリインフォースと夜天の書だけがある。

 

「初めての試み、うまくいったな」

 

「まだよ、まだうまくいってない」

 

「ここで夜天の書との、繋がりを断ち切らないと」

 

3人は夜天の書の所に行く。

 

「それでどうするのよ?」

 

「何にも聞いていないね」

 

「………そうだった」

 

項垂れる3人、その時レンヤ達の手にナイフが現れた。

 

「これは!」

 

「私達も!」

 

「物理的に切るの?」

 

「まあいいさ、アリサとすずかはリインフォースと繋がる線を切ってくれ。俺は……」

 

レンヤは夜天の書を見る。

 

「こっちをやる」

 

「分かったわ」

 

「同時にやろう」

 

3人はナイフを振りかぶり。

 

「3」

 

「2」

 

「1」

 

「「「0!」」」

 

アリサとすずかは線を切り、レンヤは夜天の書を突き刺した。

 

(ごめん、助けられなくて)

 

心の中で謝り、目の前が真っ白になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現実世界ーー

 

レンヤ達が倒れた後。

 

「大丈夫かなぁ」

 

「レンヤ達なら大丈夫だよ、きっと」

 

「レンヤ君……」

 

その時、リインフォースから赤、青、黄色の玉が出てきて3人に吸い込まれる。

 

「んっ」

 

「う〜ん」

 

「……ここは」

 

レンヤ達が目を覚ました。

 

「リインフォース、これを」

 

ラーグがリインフォースにデバイスを渡した。

 

「これに必要なプログラムを入れてくれ」

 

「あっああ」

 

まだ理解が追いつけずにいるが、デバイスに手をかざし、プログラムを書き込んでいく。

 

「皆!大丈夫!」

 

「なのは……っ!ダメ……動けない」

 

「回復したばかりのなけなしの魔力を使ったからね」

 

「ふう、疲労が激しいよ」

 

「さて、レンヤ達が目覚めた事だし」

 

「ああ、なのは、フェイト、夜天の書を送ってやれ」

 

「うん」

 

「分かった」

 

デバイスを構えて、魔法陣が展開される。その中心に……

 

「今まで一緒におってくれてありがとう。おやすみな」

 

はやてが夜天の書を置く。

 

そして魔法陣は輝きを増し、光となって天に昇り消えた。

 

その時、空から落ちてくる1つの光、夜天の魔導書の表紙を飾っていた金十字の装飾。

 

それは、はやての手に静かに収まる、はやては夜天の書が残した金十字を愛おしそうに抱きしめた。

 

「これにて一件落着かな?」

 

「まだだよ」

 

なのはが前に立ちレンヤ達を見下ろしていた。

 

「すごく心配したんだから」

 

反対側にはフェイトがいた。

 

「えっと、ごめん!こうしなきゃリインフォースは救えなかったから!」

 

「ジークフリートの事を聞くと絶対に使わせないと思ったし」

 

「そうそう!終わりよければ……」

 

すずかが言い終わる前に3人まとめてなのはとフェイトに抱きしめられた。

 

「もう、無茶しすぎだよ」

 

「無理はしないで」

 

「…ごめん」

 

「ごめんなさい」

 

「ごめんね」

 

「うん、許す!」

 

なのはとフェイトは満面の笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺達はその後すぐにアースラで再度治療を受けた。

 

全治1週間が倍の2週間となった。

 

守護騎士達は保護観察者として管理局への奉仕活動という処分となった、本来ならもっと重い処分でもおかしくなかったがクロノが機転を効かせたのだろう。

 

それからはやてが病院を抜け出した事を思い出し慌ててはやてを病院に戻した、やはりばれたらしく担当医の石田先生に怒られたそうだ。

 

色々あったがリンディさんとクライドさんが再会を喜び抱きしめ合っていた、クロノも嬉しそうだった。

 

今日はすずかの家でクリスマスパーティ…ついでだと思いたい俺の誕生日…をやる予定だ、今思えばリインフォースを助けるのに失敗してたら命日に変わっていたところですはい。

 

パーティは夜からだがこの短時間で歩くまで回復は難しかった、俺はギリギリ歩けて、アリサは松葉杖、すずかは車椅子で行く事になった。

 

ラーグとソエルはお父さん達と一緒にクリスマスを過ごすらしい。

 

「うーーーーん、はあ…」

 

病室を出て伸びをして軋む体にため息をつく、部屋の前にはフェイトとアリシアが待っていた。

 

「レンヤ、もう立って大丈夫なの?」

 

「本調子には程遠いけどね」

 

心配そうに駆け寄ってきたフェイトの頭を撫でる。

 

「むう〜、レンヤ!私も撫でて!」

 

「はいはい、アリサ達は先に行ったし、フェイトははやての所に行くんだろ?」

 

「うん、途中でなのはと合流してそれからはやての所に行った後すずかの家でクリスマスパーティだよ」

 

「よし、じゃあ行こうか」

 

転送ポートに乗って地上に降り、なのはと合流して病室に向かうが、なのはからも心配された。

 

病院ではやてと合流し、シグナム達とは一旦別れて、俺となのは、フェイトとはやての4人ですずかの家に向かった。

 

「皆さん、いらっしゃいませーー!」

 

ファリンさんに案内されてパーティ会場にきた、と言ってもいつも俺達が会議に使っている所だが十分だ。

 

「来たわね」

 

「皆、いらっしゃい!」

 

アリサとすずかがすでに中にいた、2人共見た目怪我人だが大丈夫そうだ。

 

「アリサちゃん、すずかちゃん、大丈夫?」

 

「平気よ」

 

「見た目ほどひどくないから」

 

「良かった」

 

それからクリスマスパーティが始まった、予想通りと言っていいのか俺の誕生日も行われた。やはりこの日はすごくよく分からない、誕生日でプレゼントを貰いクリスマスでプレゼントをあげる、本当によく分からん。

 

その後はいつも通りのちょっと豪華なクリスマスケーキとバースデーケーキのミックスケーキでお茶会となった。

 

「それで皆は管理局に入るの?」

 

アリシアが唐突に質問した。

 

「私は入ろうと思っているの」

 

「私も正式に」

 

「私はシグナム達も入るからなあ」

 

「俺はまず嘱託にして、それから考えるさ」

 

「私も同じかな」

 

「私も」

 

「ふーん」

 

「アリシアはどうするんだ?」

 

「私?私はまだ、デバイスを作ってもうちょっと強くなったら入ろうと思う」

 

「そうか」

 

「姉さん」

 

「アリシアちゃん!私もデバイスを作るの手伝うよ!」

 

「本当に⁉︎ありがとうすずか!」

 

「そういえば……」

 

「どうしたのレンヤ?」

 

「いや、ここにいる全員が心の羽根を持ってたような…」

 

そう呟くと全員、心の羽根を取り出した。

 

「皆も持っていたんだね」

 

「うん、レンヤからの大切な贈り物だから」

 

「私も貰ったんや」

 

「私達との絆だよ」

 

「確かにそうね」

 

「うん、レンヤ君だけじゃない。皆との絆」

 

「そうだな、見える絆もいいな」

 

それから夕方になって解散となり、今はなのはとフェイトとアリシアと帰っている。

 

「楽しかったね〜」

 

「うん」

 

「2人共、良かったね」

 

「楽しんでもらって何よりだ」

 

分かれ道についてフェイト達と別れる。

 

「じゃあなフェイト、アリシア」

 

「また明日」

 

「バイバーイ」

 

「……………」

 

「フェイト?」

 

「…レンヤ、話したい事があるんだけど」

 

先程と違って真剣な顔で言う。

 

「わかった」

 

「えっと…」

 

「私達は…」

 

「大丈夫だよ」

 

「そうか、それで話したい事って?」

 

「…………レンヤはさ、クローンについてどう思う?」

 

「「!」」

 

「クローン?」

 

いきなりの質問に戸惑う。

 

「クローンってあのクローンだよな?遺伝子から同じ動物を造り出すっていう…」

 

俺の言葉にフェイトは頷く。

 

「どう思うねぇ。ただの科学技術の進歩ぐらいかなぁ、猫や羊のクローンって言うのもあるし」

 

「その…猫や羊じゃなくて……造るのが人間だったとしたら?」

 

「人間のクローン?う〜ん……世間では問題視されてるな。特定の人物と全く同じコピー人間を造り出すものとして。クローンに嫌悪する人も多いし」

 

「「「……………………」」」

 

「でも俺は関係ない」

 

「「「え?」」」

 

「例え生まれがクローンでもその人はその人だ、クローンなんか関係ない1人の人間だ。確かにコピーかもしれない、偽物かもしれない、でもやっぱり俺には関係ない。俺はその人を人として見る、人としての可能性を信じている」

 

「「「………………………」」」

 

俺の言葉を静かに聞く3人、それから少ししてフェイトが口を開く。

 

「レンヤはその……クローン人間が気味悪い存在だとは思わないの?」

 

「さっきも言っただろ、どんな人でも俺は信じる、ただそれだけ」

 

「そう……なんだ」

 

「て言うか何でいきなりそんな話しをするんだ?」

 

「そっそれは……」

 

言いにくそうだな、目がなのは並に泳いでいる。

 

「あの…ね、実は私…」

 

俺はフェイトの唇に人差し指を当て黙らせる。

 

「!」

 

「無理に話さなくてもいいぞ」

 

「でっでも…」

 

「仮にフェイトがアリシアのクローンだとしても俺がフェイトへの接し方は変わらない。今まで話して、笑い、怒り、悲しみ、一緒に戦って来たのはアリシアじゃない。今ここにいるフェイト・テスタロッサだ、偽物じゃない。俺と出会って今日までの事はアリシアにはない、お前しか持っていない大切なものだ。周りが何と言おうがお前は他の誰でもないフェイト・テスタロッサなんだから」

 

「…レンヤ……ありがとう」

 

フェイトは目に涙を浮かべる。

 

「良かったね、フェイトちゃん」

 

「ぐす、フェイト本当に良かったよ」

 

「ありがとう、なのは、姉さん」

 

アリシアはなのはとフェイトと顔を近付け小声で喋る。

 

「…………それよりも何で今話すの…………」

 

「…………レンヤの事ばっかり聞いているから不義理だと思って……………」

 

「…………レン君はそんな事気にしないよ……………」

 

「おーいもういいか?」

 

「うん!大丈夫なの!」

 

「それじゃあまた明日!」

 

「バイバーーイ」

 

「また明日な」

 

今度こそフェイト達と別れ家に帰った。

 

それにしてもとんでもない1年だったな。

 

当分落ち着くと思うが、嘱託魔導師試験もある。

 

やっぱり大変な1年だな。

 

レンヤは空を見上げながらなのはと家に帰って行った。

 


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